南国・高知とは思えぬ寒風吹きすさぶ中、「女子U15日本代表チーム」選手選考会が実施された
選考会初日(1月27日/金)、まずは「走力」の測定からスタート!
投手はスピードガンによる球速測定と変化球のキレ等が選考対象となった
一球一球に選考委員の「厳しい目」が注がれ、投手5名が選出された
野手は希望するポジションでシートノックを受け、個々の「持ち味」「特徴」を全力でアピール!
北京、東京で二度オリンピックで「金メダル」を手にした「名捕手」峰幸代氏がキャッチャーの選考に目を光らせる
キャッチャーは「盗塁阻止」を想定し、捕球から二塁送球到達までのタイムを計測
ロングティーでバッティングの基本技術がチェックされた
選考会2日目・3日目は「実戦形式」で選考が進められた
実際の試合を想定し、ただ「打つ」「守る」だけでなく、的確な状況判断ができるかどうかが求められる選考内容となった
厳しい寒さの中、選手たちはそれを感じさせない「熱い」プレーを展開!
女子U15日本代表・ヘッドコーチ就任が決まった山本優氏。「金メダル」のレガシーを継承・伝承すべく、ジュニア世代の育成に挑む!
去る1月27日(金)~29日(日)、3日間にわたり、「令和4年度 女子U15日本代表チーム選手選考会」が、高知県高知市・高知県立春野総合運動公園で実施された。この選考会直前には「10年に一度」という大寒波に襲われ、一息ついたかと思えば、この選考会に合わせたかのように強烈な南岸低気圧が襲来。南国・高知とは思えない凍えるような寒さの中で選考会が実施された。
この選考会は、本年開催が予定されている「第1回女子U15アジアカップ」(兼「第1回女子U15ワールドカップアジア地区予選」今春、中国または台湾で開催予定)。「第1回女子U15ワールドカップ」(今秋、日本・東京で開催予定)に出場する「女子U15日本代表」16名を選出するためのもので、下記の基準を満たしていることが選考会への「参加条件」とされた。
【投手】
①ファストボール(速球)の平均球速が 90 ㎞/h 以上
②縦の変化(ライズボールまたはドロップボール)を有する
③前後の変化(チェンジアップ)を有する
※原則、投手は上記①~③すべての条件を満たしていることが望ましい。
ただし、打者を打ち取ることのできる「球種」ならびに「投球術」があると認められる場合はこの限りとしない。なお、野手全般の条件も満たしていることが望ましい。
※ただし、選考会は投球距離 (本塁から投手板までの距離)11.58mで選考を行う
【捕手】
①二塁送球 1 秒 85 以内が望ましい(革ボール・捕手捕球 → 送球 → 二塁捕球)
※捕手は①および野手③の条件を満たしていること。また野手②の条件を満たしていることが望ましい。
【野手全般】
①遠投 45m 以上(革ボール・半径 1mの円内から送球)
②30m走 4 秒 95 以内
③ティーバッティング(バッティングティーにボールを置いて打つ)飛距離 50m 以上(革ボール)
以上の「厳しい条件」をクリアした全国の精鋭83名が選考会に参加した。
選考会初日(1月27日/金)、高知県高知市・春野総合運動公園に集合した選手たちは、まず屋内運動場で「走力測定」にチャレンジ。「二塁打」を想定し、本塁から二塁までの走力が測定された。
その後、グラウンドに場所を移し、投手はスピードガンによる球速測定と、自己の有する球種を申告した上で、変化球の投球を行い、そのスピード、コントロール、変化球のキレ等が選考の対象となった。
野手はそれぞれが希望するポジションでシートノック。打球への反応、守備範囲の広さ、グラブさばき、捕球技術、肩の強さ、送球の正確さ等が厳しくチェックされた。
捕手は、「盗塁阻止」を想定し、実際に投手が投球した球を受け、二塁へ送球。二塁手に球が到達するまでのタイム計測を行った。ここでは、肩の強さはもちろんのこと、捕球から送球に移る際の動作の機敏さ・スムーズさ、送球の正確性が求められる選考内容となった。
この後、全員でロングティー。選考委員がトスするボールを打ち返す形で選考が進められ、基本的な打撃姿勢(構え)、スイング、スイングスピード、ミートの正確性、打球の速さ・飛距離等、バッティングの基本技術・基本要素が選考の対象となった。
選考会2日目(1月28日/土)、選考会はこの日から「実戦形式」での選考へ入り、試合形式での選考が行われた。まずワンボール・ワンストライクの状況を設定の上、投球、打撃を行う形で選考が進められ、投手は打者3人と対戦した時点でその結果にかかわらず交代。選考会参加者が多かったこともあり、守備位置もどんどん入れ替え、選手交代も行いながら、すべての参加者が公平・平等、均等な選考機会を得られるようにと工夫を凝らした選考方法で実施された。
最初は走者なしの状況、次はノーアウト一塁を設定して、といった形で実際の試合に近い形で選考が進められ、最初は単純に「投手対打者」、投手は打者を打ち取る能力・技能、打者はそれに対応し、打ち返すだけの力と技術があるかどうかが問われる選考内容が設定された。今回の選考は「第1回女子U15アジアカップ」(女子U15アジア地区予選)、「第1回女子ワールドカップ」のための選手選考会とあって、その大会のレギュレーションに合わせ、投球距離(本塁から投手板までの距離)が11.58mに設定され、打者も「フェイスガード付きのヘルメット」の着用が義務付けられた。また、日頃扱い慣れている「ゴムボール」ではなく、実際に大会で使用されるのと同じ「革ボール」を使用する等、「初体験」や「慣れない環境」の中で、いかに普段通り自分の持てる力が発揮できるかも選考の一要素とされた。
その後は、走者なしから「無死一塁」を設定し、そこから刻一刻と状況が変化していく中で、その場面に応じた「最適解」を導くことができるか、単純な「投手対打者」の構図からより「実戦的」な要素が盛り込まれ、ただ投げ、打ち、守る、だけでなく、的確な状況判断を下すことができるかどうか、その場面に応じたプレーの選択、技術の使い分けができるかどうか、投球、打撃、守備の基本的な能力はもちろんのこと、判断力やセンスといった部分まで「実戦」の中で問われる選考内容が課され、厳しくチェックされた。
選考会最終日(1月29日/日)は、引き続き「実戦形式」での選考が進められたが、その内容をさらに推し進め、一死走者二・三塁といった「試合を決める場面」でどのようなプレーができるかが問われる選考となった。
ソフトボールにおける「1点」の重みを考えたとき、こういった「ここぞ!」という場面で普段通りの力が発揮できるのか、冷静に自分に課せられた役割を果たすことができるのか、それがチームの「勝敗」を分けることになり、チーム浮沈のカギを握ることにもなる。
勝負どころでのメンタルタフネス、精神的な強さ、技術を支える「こころ」の部分までもが問われる選考となった。
今回の選考会の選考委員は、(公財)日本ソフトボール協会選手強化本部会・松田和広選手強化本部長を筆頭に、佐藤理恵選手強化副本部長、宗方貞徳女子強化委員長、GEM(ジュニア)担当の門松浩孝(GEMリーダー)、佐藤洋介(GEM委員)、古渡美奈(GEM委員)、山本かんな(GEM委員)が務めたが、「東京2020オリンピック」金メダリストであり、(公財)日本ソフトボール協会理事でもある峰幸代氏、長く日本の「4番」に座り、世界を震撼させたスラッガー・山本優氏も参加。これは(公財)日本ソフトボール協会が推し進めるオリンピアンを指導者として育成していこうという施策の一環で、オリンピックという世界最高の舞台で活躍し、金メダル獲得という偉業を成し遂げたオリンピアンの「経験」をレガシーとして遺し、受け継ぎ、継承・伝承していくことを期待してのもの。
この女子U15のカテゴリーは、今秋、東京で「ワールドカップ」の開催が決定しているだけに、まさに「東京2020オリンピック」金メダルの「レガシー」が受け継がれていくことになれば、まさに「理想的」な形となる。
3日間にわたる選考会を終え、まずは今回の選手選考会の選考委員を務めた面々が「女子U15日本代表」選手16名をリストアップ。その「原案」を作成し、すぐに(公財)日本ソフトボール協会選手強化本部会・女子強化委員会を招集。そこでさらに精査した上で、2月5日(日)に開催された同協会「令和4年度 第8回理事会」の席上に提出。理事会での審議・承認を経て、この度、正式に「令和4年度 女子U15日本代表」選手16名が正式に発表された。
併せて、チームを率いるコーチングスタッフも決定。「東京2020オリンピック」で金メダリストとなった山本優氏がヘッドコーチ、「2008北京オリンピック」「東京2020オリンピック」で二度もオリンピック金メダルを手にした峰幸代氏がアシスタントコーチに就任。オリンピック金メダリストたちが「東京」にどんなレガシーを遺し、ソフトボールの「将来」「未来」を担う「金の卵」たちに何を伝えてくれるのか、その「手腕」にも期待したいところだ。
令和4年度女子U15日本代表チーム
「第1回女子U15アジアカップ」および「第1回女子U15ワールドカップ」
出場選手・スタッフ(守備別50音順)
No. | 守備 | 氏名 | 支部 | 所属 |
1 | 投手 | 梶目 莉空 | 広島 | 広島プリンセス |
2 | 〃 | 吉良 優里 | 大阪 | 大阪イーリス |
3 | 〃 | 長友 彩莉 | 愛知 | ハッピーフレンズ |
4 | 〃 | 中村 律 | 東京 | 神田女学園中学校 |
5 | 〃 | 山本 心音 | 大阪 | 岸城クラブ |
6 | 捕手 | 加減 夢華 | 大阪 | 岸城クラブ |
7 | 〃 | 橋本 真央 | 岡山 | 岡山エンゼルス |
8 | 野手 | 安楽 咲 | 愛知 | ハッピーフレンズ |
9 | 〃 | 今村 倖 | 鹿児島 | 神村学園中等部 |
10 | 〃 | 大川 沙菜 | 千葉 | 松戸市立第三中学校 |
11 | 〃 | 櫻木 藍睦 | 福岡 | KGスラッガー |
12 | 〃 | 髙久 日蘭莉 | 栃木 | 那須町立那須中央中学校 |
13 | 〃 | 中西 華 | 福岡 | KGスラッガー |
14 | 〃 | 藤田 莉心 | 鹿児島 | 神村学園中等部 |
15 | 〃 | 睦谷 羽蘭 | 長野 | 信濃ドリームスター |
16 | 〃 | ルーウィス 梨々亜 | 福岡 | 福岡レッドドリームズ |
No. | 守備 | 氏名 | 支部 | 所属 |
1 | チームリーダー | 未定 | ||
2 | ヘッドコーチ | 山本 優 | 北海道 | 札幌Futures |
3 | アシスタントコーチ | 古渡 美奈 | 東京 | 神田女学園中学校 |
4 | アシスタントコーチ | 峰 幸代 | 愛知 | トヨタ自動車 |
5 | マネージャー | 山本 かんな | 京都 | 京都市立洛南中学校 |
6 | トレーナー | 髙松 久美子 | ー | ENISHI BODY DESIGN |
7 | 審判員 | 未定 | ||
8 | 通訳 | 未定 |