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ニュース 女子GEM2(U15)

令和5年度(2023)全国男子・女子ジュニア育成中央研修会を実施!

「NTS全国女子ジュニア育成研修会」を久々に開催!

現在(いま)の自分を知るために……各種測定を実施

ソフトボールの「基礎・基本」に立ち返り、研修に励んだ

「日本代表」に名を連ねる選手たちの高い技術に触れ、「直接指導」を受ける機会も……

「基礎・基本」の土台をしっかり作った上で、それを「実戦」で活かす研修が行われた

令和5年度 NTS 全国女子ジュニア育成中央研修会

 去る11月12日(日)~15日(水)の4日間、静岡県伊豆市を会場に「全国女子ジュニア育成中央研修会」が実施され、続いて24日(金)~26日(日)の3日間、愛知県豊田市・トヨタスポーツセンターを会場に、こちらは「初」の試みとなる「全国男子ジュニア育成中央研修会」が実施された。

 まず11月12日(日)~15日(水)、静岡県伊豆市全国女子ジュニア育成中央研修会が久々に「復活」。2016年に野球・ソフトボールが「東京2020オリンピック」の追加種目となり、「GEMプロジェクト」がスタートしたこともあって、この「NTS」(全国ジュニア育成中央研修会)の活動は中断していたが、ジュニア世代の育成・強化を図った「GEMプロジェクト」、東京2020オリンピック世代の強化に重点を置いた「Target Age Project」(ターゲット・エイジ・プロジェクト/通称TAP)の成果が実を結び、東京2020オリンピックでTOPチームが見事「金メダル」を獲得。これを受け、2023年4月からさらなる事業の「進化」をめざし、「NTS」を再稼働させ、今後、日本を代表する選手となり得るジュニア世代の「発掘・育成」を進め、次世代を担う選手層を厚くし、TOPカテゴリーを「頂点」とし、そのさらなる「強化」につなげる「一貫指導システム」の再構築をすべく「原点回帰」。「NTS」の新たな取り組み、活動をスタートした。

 11月12日(日)、夕刻、全国各ブロックから選出された45名(北海道・東北・関東・北信越・東海・近畿・中国・四国・九州の9ブロックから、それぞれ投手2名・捕手1名・野手2名の計5名の選出を原則)が集い、宿舎となった「ラフォーレ修善寺」で、まず「インテグリティ」「コンプライアンス」の研修を受講した。
 ここでは、この「NTS」の位置づけ、将来「日の丸」を背負い、各種国際大会に出場するであろう選手たちに、「日本代表」のユニフォームに袖を通すことの「重み」、その「価値」とそれに伴う「責任」「重圧」、世界に通用する技術・体力を有し、世界の「トップ」に立つ選手となることはもちろんのこと、すべてのソフトボールプレーヤーの「憧れ」となり、その「見本」「お手本」となるだけの「人間力」を身につけていかなければならないことが強調された。
 また、「アクティブラーニング」、受動的ではなく、自ら考え、進んで行動する能動的な姿勢を持ち、この研修会で学び、得た知識(技術)を活用して問題点を発見し、それを解決する力を持つことの大切さが説かれた。
 さらには、ソフトボールは「チームスポーツ」であり、「自分のため」ではなく、「チームのために」を最優先し、「人のために」尽くせる選手であることが求められた。

 2日目からは、朝から夕方までは実技研修、夜、宿舎に帰ってからは講義・講習と分刻みのハードスケジュールをこなしていった。
 2日目の実技研修は、まず現時点での自らの「能力」を知るべく、「測定」を実施。基本的な走力を計る50m走、瞬発力・爆発力を計測する立ち幅跳び、敏捷性とそれを繰り返すスタミナも問われる反復横跳び、ティー台にボールを置き、そのボールをどこまで飛ばせるかといったティー打撃も行われ、個々の選手が持つ「現時点」での体力・筋力・能力の測定が行われた。
 その後、実技研修に入り、すべてのソフトボールの技術の「基礎」となるキャッチボールの研修、基本動作の確認、その「応用編」となるクイックスローの研修を行い、守備の基本動作、ゴロ・フライの捕球の基本、内・外野の守備の基本を、「NTS指導マニュアル」に沿う形で再確認。さらにはノックを行い、それまでに学んだ「守備の基本」を改めて確認する時間が設けられた。
 研修のポイント・ポイントで、今回の研修会に、選手たちの「目標」となり、「お手本」となる「日本代表」選手も参加。「女子TOP日本代表」に名を連ねる中山日菜子投手、「女子U18日本代表」に選出されている小西陽菜選手をはじめ、キャッチャーの岩月優衣選手、外野手であり、投手もこなす「投打二刀流」の三堀茉莉愛選手(いずれもJD.LEAGUE・大垣 ミナモ所属)の4名の日本トップレベルの選手たちが駆けつけ、選手たちの「見本」となるプレーを見せてくれた。
 キャッチボールにはじまり、ゴロ・フライの捕球の基本、随所でその高い技術を披露し、それらの技術のポイント、コツを伝授すると同時に、「直接指導」で選手たちと触れ合い、刺激を与えてくれていた。
 午後からは、ポジション別での個別指導、専門的指導が行われ、ピッチャー、キャッチャー、野手それぞれに分かれての指導・研修が行われた。ここでも日本のトッププレーヤーによる「直接指導」が行われ、疑問点があれば選手個々が質問し、それに応え、技術の「真髄」をその目で確認し、一緒にに行い、課題・問題点を見つけては修正・向上させていく……という貴重にして濃密な時間が持たれた。
 その後、実際の試合の様々な状況を設定した「ケースノック」も行われ、実戦に即した形での研修が進められた。今回は、そもそも各ポジションから選出されているわけではなく、中には不慣れなポジション、まったく経験のないポジションにつくようなケースもありはしたが、逆にいつもとは違うポジションにつくことで、立場が変わり、いつもとは違う「視点」を持つことで「相手の立場で考える」「相手の気持ちを考える」貴重な機会となっていた。
 宿舎に帰ると、「スポーツと医学」「アンチ・ドーピング」についての研修が行われ、女性アスリートならではの課題・問題点にも触れ、大会へ向けた健康管理やコンディショニング、ピーキング等についても学び、日々どのようなことを意識して生活すべきか、何に注意していかなければならないか等、トップアスリートととしての「高い意識」が求められ、国際大会で必ず行われるドーピング検査に関する知識や対応、使用できる薬物や事前の申請方法、あるいは自らが口にする飲み物、食べ物について「責任」を持って管理することの大切さ、今後、必ず必要になるであろう大切な事柄を学ぶ時間となった。

 研修会3日目、この日はウォーミングアップの後、トレーニング指導の時間が設けられ、技術的な要素が求められるソフトボールにおいては、打撃や守備の技術を高めることに重きが置かれ、そこにばかり目が行き、それを追求しがちだが、まずその技術を高め、追求していくための「前提」として、それを可能とする体力、身体がなければならないこと、日々のトレーニングの重要性と、ケガのない、ケガをしない身体作り、身体バランス等を考慮したトレーニングの重要性を改めて確認・研修した。

 その上で、この日は打撃の指導が行われ、打撃の基礎理論にはじまり、応用技術の習得、バントやスラップといった技術についての研修が行われた。
 ここでは基本的な構え、スイング等が「NTS指導マニュアル」に則り、まず指導され、「応用編」として、ピッチャーは打者に対してどう攻めてくるのか、それに対応するにはどうしたらいいのか、そのための考え方、対応策等が示され、さらにはスラップやバントといった小技、細かな技術についても指導が施された。
 その後、前日に引き続き、「実戦」を想定したケースノックが行われ、午後からは4チームに分かれ、「実戦形式」での研修が進められた。
 これまで学んできた「基本技術」を、今度は「実戦」の中でどう生かすか、個々の選手が自らの「持ち味」や「特徴」を考えながら、自分の「生きる道」を見出そうと懸命な取り組みが見られ、終日、「実戦形式」での研修が行われた。

 宿舎に帰ると、「スポーツと栄養」と「メンタルトレーニング」に関する講義の時間が設けられ、この日の朝、実施されたトレーニングの研修のさらに「前段階」となり、「基礎中の基礎」「基本中の基本」である「栄養」について学んだ。「アスリート」として、いつ、何を食べることが効果的なのか、自らを高め、強くするために、何を食べ、飲み、生活のサイクルを組み立てていけばいいのか等、食事と栄養に関する研修が行われ、さらには「技術」「体力」を支える「心」の問題、メンタルトレーニングについても学ぶ機会を得た。

 研修会最終日、この日は4チームに分かれて「実戦形式」での研修を行い、2日間にわたるゲーム形式での研修を総括。それぞれにその中で出てきた「課題」を洗い出し、その「課題」を克服すべく課題解決のための時間も設けられた。

 こうして4日間にわたる研修を終えたが、久々の「復活」とあって、当時からの「流れ」を知る人も少なく、選手たちばかりか講師までも戸惑う場面も見られた。今後、2028ロサンゼルスオリンピックで「復活」したことで、従前の「GEM」プロジェクトとの兼ね合いや「NTS」との棲み分け、オリンピックへ向けた強化の中での位置づけ等、考えていかなければならないことは数多くある。
 ただ、いずれにせよ、ジュニア世代の強化、選手の発掘・育成とTOPカテゴリーを「頂点」とした一貫指導システム、一貫強化システムの構築は必要不可欠なものであり、名称や枠組み以上に、その「中身」「内容」が大切であり、その意味では、まず今回、NTSが「復活」し、新たな一歩を踏み出したことにまず意義があり、行動すること、アクションを起こしていくことこそが「重要」である。日本協会としてのビジョン、方向性をしっかりと定め、大きな目標に皆が力を合わせ、向かっていくことが何より求められる。

男子のNTS、全国ジュニア育成中央研修会は今回が「初」の試み

ピッチャーはまずスピードガンによる球速測定を行い、「現在(いま)」の自分を見つめ直した

男子はバッテリーに特化した研修を行い、ウインドミルの基礎・基本から再確認を行った

「憧れ」「目標」とする選手たちのピッチングを目の当たりにし、モチベーションが高まる

キャッチャーは男子U23日本代表・西森亜夕夢選手がマンツーマンで指導してくれた

日本が誇るトップレベルの選手の「直接指導」を受ける「貴重な経験」が今後に必ずい生きてくるはず……

すべては「ここから!」 ソフトボールの「未来」は作っていくのは君たちだ!!

令和5年度 NTS全国男子ジュニア育成中央研修会

 この後、11月24日(金)~26日(日)には、愛知県豊田市・トヨタスポーツセンターで「全国男子ジュニア育成中央研修会」が実施された。こちらは女子と違って「初」の試みであり、投手と捕手、「バッテリー」に限定する形で研修が行われた。
 研修会初日、トヨタスポーツセンターに集合すると、まず「開講式」が行われ、この研修会の趣旨・目的、スケジュールの詳細等が説明され、早速、研修へと入っていった。

 ウォーミングアップを行った後、ピッチャーはスピードガンによる球速測定。キャッチャーは「盗塁阻止」を想定し、投球を捕球してから二塁送球、二塁到達までのタイム計測が行われた。この研修会に参加した時点での自らの「現在地」を知り、「今の実力」を知る意味での測定が実施された。
 宿舎では、男子ソフトボールの過去の国際大会での戦績や国際大会の情報について講義され、研修会場には、この研修会の直前に開催された「第14回男子U18ワールドカップ」(11月11日(土)~19日(日)/メキシコ・エルモシージョ)で「優勝」「連覇」を飾った男子U18日本代表の帰国の出迎えに使用された「優勝」を祝う横断幕やポスターが飾られ、研修会に臨む参加者たちの「モチベーションアップ」に一役買っていた。また、今年4月にアルゼンチン・パラナで開催され、惜しくも優勝こそ逃したものの、すでに「TOPカテゴリー」でワールドカップ優勝を経験し、「世界一」となっているオーストラリアの「エース」ジャック・ベスグローブと堂々と渡り合った男子U23日本代表の「準優勝」のポスターも掲示され、実際にそこで戦った代表選手たちが「直接指導」にあたってくれるとあって、今回の研修に参加した選手たちに大きな「目標」「めざすべき場所」をより具体的に、明確に、指し示してくれた。
 また、過去のジュニアカテゴリーでの優勝記念誌や男子ソフトボールの歴史等に触れられるWebサイト等も紹介され、男子U23日本代表の大会報告書も配布された。

2016年「第11回世界男子ジュニア選手権大会」優勝記念誌

同記念誌収録 男子ソフトボールの歴史(フィールドの軌跡)

2020「第13回男子U18ワールドカップ」優勝記念誌

同記念誌収録 ソフトボールの未来のために

2023 第1回男子U23ワールドカップ大会報告書

 この後、女子同様、技術追求のための「前提条件」となるトレーニングに関する研修も行われ、ソフトボールという競技、ピッチャー、キャッチャーのポジション特性、特に鍛えておくべき部位、強化すべき箇所等を学んだ。

 研修会2日目、午前中は厳しい寒さが予想されたため、当初予定のグラウンドから場所を室内練習場に移し、研修を行った。
 まずはウォーミングアップを行い、前日の講義で学んだ内容を反復しながら、ソフトボールの選手にとって特に意識しなければいけない部位・箇所が改めて説明され、身体をほぐし、温め、本格的な研修内容に備えた。
 この後、ピッチャーとキャッチャーに分かれて個別研修に入り、ピッチャーはウインドミルの基本動作、基本的なフォームにおける留意点等が段階的に説明された。
 このジュニアカテゴリーにおいては、まず基本的な球速を上げることを意識し、変化球やチェンジアップに走らず、球速アップ、威力のあるボールを投げること、球威を上げることを念頭に置いてほしいとの指導があった。また、前日のスピードガンでの計測結果等も示され、この研修会に参加している選手たちが「次」にめざすべき、「U18日本代表」の選考会での歴代の記録やデータも公表され、「U18」の段階で「世界一」となった投手たちが、どの程度の球速を記録していたのか、めざすべきところはどこなのかが「数字」によって明確に示された。その上でこの時期に世界で通用するボールのスピード、球速に辿り着くための「土台」を作っておかないと、後からそれをめざしても到底そこに辿り着くことはできず、その球速を可能とするだけの身体作り、無理のないフォーム、そしてコントロールを磨くことが重要であることが強調された。

 この研修会には、男子TOP日本代表の山脇佑也投手(デンソー)、男子U23日本代表の小野寺翔太投手、八木孔輝投手、キャッチャーの西森亜夕夢選手(ともにトヨタ自動車)が講師として参加。豊富な国際経験を基に、あるいはここに集う選手のように、ジュニアカテゴリーのU18日本代表からU23日本代表へと確実に階段を昇り、「次」はTOPカテゴリーで男子ソフトボール界の「悲願」である「世界一」に挑もうという「伸び盛り」のトップレベルの選手たちが参加。自らの「後継者」となる「次なる世代」の選手たちに「直接指導」を行ってくれた。
 特に、ただ一人「キャッチャー」として、この研修会に参加してくれた西森亜夕夢選手は、基本的なキャッチングの技術、フレーミングの功罪、捕球から送球動作への素早い移行のコツ、ワンバンドの投球を逸らすことなく止める技術、インサイドワーク、リード・配球のセオリー、本塁での走者のブロックの技術等、自らの持つ技術を惜しげもなく披露し、それを伝授してくれた。
 また、ピッチャーでは男子TOP日本代表の一員として「世界の舞台」で戦い続けている山脇佑也投手を中心に、「基礎・基本」を大切にしながらも、NTSスタッフと最先端のピッチング理論・技術について熱く語り合う場面もあり、これにはかつて「日本代表」に名を連ね、日本のソフトボールの「歴史」を築いてきた輝かしい経歴を持つNTSスタッフ、「歴戦の勇者」たちもピッチングの「現在」(いま)に触れ、熱心に耳を傾け、自らの持つ経験、技術論、ピッチング理論をアップデート、ブラッシュアップさせ、見つめ直すという「指導者の研修」「指導者の勉強」の場ともなっていた。

 午後、研修会場をグラウンドに移し、小野寺翔太投手、八木孔輝投手、山脇佑也投手がデモンストレーションとして「世界トップレベル」のピッチングを実演。すでにシーズンオフに入り、決して万全な状態ではなく、寒さもあり、コンディションも良いとはいえない状況の中で、様々な球種を投げ分け、「さすが!」のピッチングを見せてくれた。
 それを間近で見た選手たちの「やる気」に火がつき、午前中、室内練習場で学んだピッチング、ウインドミルの「基礎・基本」を思い出しながら、さらに自らのレベルを上げていこうとチャレンジする姿が印象に残った。陽が落ち、寒風が吹きすさぶ中でも、一球、もう一球と投げ込む姿に、日本のソフトボールの「未来」が見えた気がした。

 宿舎に帰ると、この日も講義が行われ、「スポーツインテグリティとは何か?」「アスリートに必要な食事と栄養」と題した2つの講演を受け、技術・体力のみならず、自らの「内面」も磨き、高める研修も実施された。
 スポーツには本来、人々を幸福にし、社会を善い方向に導く力があるといわれているが、そのための前提として「インテグリティ」が守られていることが重要で、自らの成績を伸ばすためには「ドーピング」も辞さず、強くなるため……との名目で暴力による指導やパワハラ、セクハラが横行するような状況であってはならず、そのための「インテグリティ」の保護・強化へ向け、IOC(国際オリンピック委員会)、国際競技連盟、世界アンチ・ドーピング機構らが懸命の取り組みを進めていること等を学ぶ機会を得た。
 また、トップアスリートとなるために、その「根本」「土台」となる食事、栄養についても学び、強くなるために、さらに「上」をめざすために、食事・栄養の重要性を再認識する機会ともなった。

 研修会最終日、ウォーミングアップ、ブルペンでのピッチングの後、打者を立たせてのフリーバッティングを行い、実際に打者と対峙する中でのピッチングを行った。今回の研修会、ここまでは自分のペースで、自分の投げたいように、ピッチングを行ってきたが、それを狙い、打つ「相手」「打者」がいるとなると、また話は変わってくる。ピッチャーの「価値」はスピードガンで記録した数値でも、ボールがどれだけ変化したかでもない。打者がどれだけ打ちづらく、安打を許すことなく、あるいは「極論」すればどれだけ走者を出そうとも得点を許さず、もしくは相手より1点だけ少ない得点に抑え、てチームを「勝利」に導くことにある。実際、「ブルペンエース」という言葉がある通り、練習のときには素晴らしいピッチングを見せるのに、いざ「本番」となると途端に萎縮してしまい、本来の力を発揮できずに終わるピッチャーもいる。その意味では、やはり「実戦」を経験し、数多くの打者と対戦し、その「経験値」を上げていくことはピッチャーにとって重要で、それを支えるキャッチャーとともに、「バッテリー」として、一つの投球スタイルを確立させ、「勝てる」ピッチングを身につけていくことが大切になる。今回は研修会は参加者が「バッテリーのみ」に絞られていたこともあり、完全な「実戦形式」での研修を行うことは難しく、このような形となったが、これも一つの「経験」として、今後につなげていってくれることを期待したい。
 最後に、この研修会を締めくくる意味で、スピードガンによる球速測定を実施。最初の測定のときと、この研修会を経た後での差異を検証。その成果が「数値」で求められた。慣れない環境の中での3日間にわたる研修による「疲れ」、もあり、残念ながらハッキリと「数字」に表れるほどの球速アップは見られなかったが、逆にいえば、その中でも研修会開始時と変わらぬ球速を維持していたことは、効率的な力の使い方、無理のない投球フォームを身につけた「成果」といえよう。また、その点を「最重要視」し、研修の「重点」を置いたわけではなかったが、変化球の球種が増し、そのキレに磨きがかかっていたのは、思わぬ研修の「副産物」であり、日本のトッププレーヤーのピッチングを目の当たりにし、豊富な経験を持つ講師の指導を受け、多くの「仲間」と交流し、刺激し合う「場」を持てた「結果」でもあった。それだけでも、今回の研修会の開催に大きな意味があった、といえるのではないだろうか。

 3日間の研修を終え、女子同様、TOPプレイヤーとの交流、直接指導の機会は、選手たちにとって何物にも代えがたい貴重な「経験」であり、新たなモチベーションの創出に大きく寄与したのではないだろうか。また、ちょうど研修会開催に合わせるかのように「U18」の日本代表が「世界一」となってくれたことも、「次」にめざすべき場所が明確となり、競技の継続性という意味で大きな力となってくれた。
 また、「バッテリー」だけに限定したこともかえって研修としての効果は大きく、講師も元・日本代表の豪華な顔ぶれが揃い、きめ細やかでハイレベルな個別指導を実現していた。また、研修会に参加した選手以上に、講師の皆さんが、「現役」日本代表の最新・最先端のピッチング理論に触れ、その投球技術を目の当たりにし、「衝撃」を受け、何とかそれを「自分のもの」にしてやろうという姿勢と飽くなき探求心には驚かされた。こういう思考と姿勢があったからこそ、自らを「日本代表」たらしめ、「世界の舞台」に立ち、世界を相手に戦うだけのピッチャーになれたのだろう……と改めて感じずにはいられなかった。
 こうした機会を得て、指導者自身も自らの指導法をブラッシュアップさせ、アップデートさせていくことができれば、選手の発掘・育成のみに留まらず、指導者の資質向上にもつながるはずである。まだまだ暗中模索、五里霧中のところもあるが、このNTSを開催したからこそ「見えてきた」ものもあるはずである。それを「次」へ、また「次」へとつなげていくことができれば……いつしか日本のソフトボールの「根幹」を支える事業とすることも可能なはずである。

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