「令和5年度 女子U18日本代表チーム選手選考会」を実施!
日本全国から日本のソフトボールの「未来」を担う「金の卵」が集結
選考会は初日測定の後、「実戦形式」「試合形式」で進められた
あえて走者を置いた状況を設定し、そこでどう投げ、どう打つか……が問われる選考となった
選手たちは持てる力の「すべて」を出し切り、懸命にアピール!
グラウンド整備やライン引きも率先して行う。こういったところにも「ソフトボールと向き合う姿勢」があらわれる
飛び出せ! 「世界の舞台」へ!!
去る4月25日(火)~27日(木)、静岡県伊豆市・天城ドームを主会場に、「令和5年度 女子U18日本代表チーム選手選考会」が実施された。
この選考会は、 本年8月29日(火)~9月2日(土)、中国福建省・平潭で開催が予定されている「第9回女子U18アジアカップ」に出場する代表選手16名を選出するための選考会として実施された。
WBSC(世界野球ソフトボール連盟)の「女子ワールドカップ」「女子U18ワールドカップ」の試合方式が変更され、まず「アジア地区予選」にあたる「アジアカップ」を戦い、上位3チームが「第2次予選」にあたる「グループステージ」に進出(アジアカップでの成績・順位によりA・B・Cグループに振り分けられる)。その「グループステージ」では、各グループの上位2チームが「本大会」にあたる「ワールドカップ ファイナル」に進出。開催国1チームとワイルドカード(グループステージでの成績や地域性を考慮し、決定)1チームを加えた8チームで「世界一」の座を争うことになる。
この試合方式の変更により、大会は2023年に「アジアカップ」、2024年に「グループステージ」、2025年に「ワールドカップ ファイナル」を開催することになり、実に3年をかけて大会が実施されることになる。
また、「女子U18ワールドカップ」は年齢制限、カテゴリーの上限年齢が設定されている大会であるだけに、その都度「選手選考会」を実施することが必要になる可能性もあり、従前とはまた違った取り組み、強化方針が求められることになりそうだ。
選考会には、各都道府県支部協会、所属チームの推薦を受けた選手59名が参加。「日本代表」の座をめざし、厳しい選考に臨んだ。
選考会初日(4月25日/火)、個々の「能力測定」に重点を置いた選考が行われ、ピッチャーはスピードガンによる球速測定、それぞれが有する球種を申告の上、実際に投球を行い、変化球のキレ、コントロール等もチェックされた。
野手はそれぞれが希望するポジションでシートノック。個々の守備範囲の広さや基本的なグラブさばき、捕球技術、打球への反応・敏捷性、肩の強さ、スローイングの正確性等、守備の基本技術が厳しく問われる選考内容となった。
打撃にはついては、ロングティー、フリーバッティングで個々の基本的な打撃フォーム、スイングスピード、ミートの正確性、飛距離等、打撃の基本技術がチェックされた。
捕手は、二塁盗塁を想定した捕球から送球、二塁到達までのタイムトライアルが行われ、盗塁阻止の能力が問われる選考も実施され、初日の選考を終了した。
選考会2日目(4月26日/水)、この日から「実戦形式」「試合形式」主体の選考に入り、試合前、全選手のシートノックを実施。第1希望のポジションに加え、第2希望のポジションでもノックを受け、それぞれの適性や能力がチェックされた後、A・B・Cの3チームに分かれ、「試合形式」での選考に入った。
この日の選考は、まずノーアウト一・二塁を設定し、打者はワンボール・ワンストライクから打撃を開始。犠牲バントは行わず、進塁打もしくは安打を狙い、スリーアウトになるまでは実際の試合の進行同様、進めていく形で選考が行われた。
各チーム打者は14名~15名、ゼッケン番号の若い順に打撃を行い、ピッチャーは一巡目打者3人、二巡目打者2人、計5人の打者と対戦。「実戦」を想定し、ピッチャーは打者を打ち取るべく全力で投球し、打者はチームの得点に結びつけるために、最低でも進塁打で走者を進めること、あるいは自らの打撃で走者を還すこと、を念頭に「真剣勝負」が繰り返された。
この日は主に、「走者がいる状態」でどんなピッチングができるか、どんな打撃を行うか、ただ単に投げる、打つ、だけでなくキチンと状況を把握した上でプレーできているか、状況に応じたプレーの選択、技術の使い分けができているか否かが問われる選考内容が設定されていた。
前日の「測定」では好結果を出していた選手が、「実戦」になるとその能力を最大限に発揮できないケースや、逆に測定時にはさほど目立った数値は残していなくても、いざ「実戦」となると俄然力を発揮する選手もいる等、選手選考の難しさも感じられた。
代表チームの選考となると、その上で、さらに海外での生活への適応等も考慮しなくてはならず、言葉の通じない環境、異なる生活習慣、文化の違い等ある中でも「持てる力」を発揮できる選手でなければ国際大会「世界の舞台」では通用しない。国内での選考の中で、それを見極めていくことは「至難の業」ではあるが、日々の生活習慣やソフトボールに取り組む姿勢、食事・睡眠のとり方、精神的な逞しさ、メンタルタフネス等、単なる技術・能力だけでなく、そういったことも含めた「総合的な選考」で選手一人ひとり、その一挙手一投足に選考委員の厳しい「目」が注がれ、「日本代表」にふさわしい選手を選び抜いていくのである。
選考会最終日(4月27日/木)、この日は「走者なし」の状況で打者はワンボール・ノーストライクから打撃を開始。よりシンプルな「投手対打者」の構図が強まった選考内容となった。
投手は打者を打ち取るために、打者はその投球を打ち返すために、持てる力のすべてを出し切ろうと、まさに試合「本番」さながらの緊張感、緊迫した雰囲気の中、選考が実施された。
3日間の選考を終え、すぐに選考委員による選考会議を実施。16名の代表選手をリストアップし、選手強化本部会に提案。ここでの審議を経て、5月23日(火)に開催された(公財)日本ソフトボール協会「令和5年度第1回理事会」に諮り、審議・承認を経て正式決定。このほど代表選手16名が正式に発表された。
日本はこの「U18」のカテゴリーでは、1981年の記念すべき「第1回大会」で優勝を飾って以来、1991年の第4回大会、1999年の第6回大会、2003年の第7回大会、2013年の第10回大会と5回の優勝、「世界の頂点」に立ってきた。
しかし……2013年第10回大会の優勝を最後に、2015年の第11回大会、2017年の第12回大会、2019年の第13回大会と「宿敵」アメリカと「決勝」で対戦し、優勝を阻まれ、いずれも準優勝に甘んじている。2021年ペルー・リマでの第14回大会はコロナ禍での大会となったこともあり、大会への出場を見合わせ、アメリカが大会4連覇を達成。優勝5回の日本に対し、アメリカは優勝回数8回と水を空けられる結果となっている。
もちろん、ジュニアカテゴリーの場合、必ずしも目の前の大会で優勝すること、勝つことが重要なわけではなく、TOPカテゴリーの強化へつなげていくことが最大の目標であり、目的となる。
女子TOP日本代表のエース・上野由岐子は1999年の第6回大会の「優勝投手」であり、その後のキャリア、輝かしい戦績については、今さら言及する必要もないだろう。このカテゴリーでの「優勝」「世界一」をステップに、TOPカテゴリーで日本のソフトボールを支え続け、今や「レジェンド」的な存在となっている。
「東京2020オリンピック」で「神リリーフ」を連発し、チームの救世主的存在となった後藤希友は2019年の第13回大会のメンバー。アメリカとの決勝は0-0のまま、延長タイブレークにもつれ込む熱戦となり、8回表、日本が3点を先制しながら、その裏、「まさか……」の同点スリーランを浴び、最後はサヨナラ負けを喫した「苦い経験」を持つ。ただ、その「悔しさ」が彼女をさらに逞しく成長させ、その経験があったからこそ、「東京2020オリンピック」でのメンバー入り、その大舞台での「快投」があったとも考えられる。
必ずしも「勝つこと」「優勝すること」が絶対条件の大会ではない。しかし、2028年ロサンゼルスオリンピックでのソフトボールのオリンピック競技「復活」が実現するとすれば、今回のメンバーも当然その有力で有望な「対象」となるはずである。
その意味でも、この段階で「世界の舞台」を経験することに大きな意味があり、それが日本のソフトボールの「未来」へとつながっていくはずである。
まずは今回選出された「女子U18日本代表」がアジアの舞台でどんな戦いを見せてくれるのか、期待と注目が集まる。
第9回女子U18アジアカップ
出場選手・スタッフ(守備別50音順)
No. | 守備 | 氏名 | 支部 | 所属 |
1 | 投手 | 伊東 杏珠 | 群馬 | ビックカメラ高崎 |
2 | 〃 | 小栗 巳緒乃 | 滋賀 | 日本精工 |
3 | 〃 | 栗田 満理奏 | 東京 | 藤村女子高等学校 |
4 | 〃 | 前坂 未夢 | 兵庫 | 兵庫大学附属須磨ノ浦高等学校 |
5 | 捕手 | 井出 久美 | 群馬 | 高崎健康福祉大学高崎高等学校 |
6 | 〃 | 浦川 美桜 | 岡山 | 創志学園高等学校 |
7 | 〃 | 田口 心彩 | 山梨 | 山梨学院高等学校 |
8 | 内野手 | 島仲 湊愛 | 福岡 | 福岡大学附属若葉高等学校 |
9 | 〃 | 北原 花菜絵 | 兵庫 | 神戸野田高等学校 |
10 | 〃 | 藤田 和奏 | 栃木 | 宇都宮文星女子高等学校 |
11 | 〃 | 古川 ひとみ | 神奈川 | 神奈川県立厚木商業高校 |
12 | 〃 | 小西 陽菜 | 岐阜 | 大垣ミナモソフトボールクラブ |
13 | 〃 | 次田 せな | 岡山 | 創志学園高等学校 |
14 | 〃 | 野田 愛紗 | 愛知 | 星城高等学校 |
15 | 外野手 | 柏坂 志帆 | 兵庫 | 兵庫大学附属須磨ノ浦高等学校 |
16 | 〃 | 塩田 優和 | 山梨 | 山梨学院高等学校 |
No. | 役職 | 氏名 | 支部 | 所属 |
1 | ヘッドコーチ | 山内 悠平 | 愛知 | 星城高等学校 |
2 | アシスタントコーチ | 西山 麗 | - | 日本ソフトボール協会 |
3 | アシスタントコーチ | 今野 貴経 | 埼玉 | 埼玉栄高等学校 |
4 | マネージャー | 西川 友理 | 東京 | 藤村女子高等学校 |
5 | トレーナー | 佐藤 留美 | - | セカンドエフォートフィットネス |