高知パシフィックウェーブが13年ぶりの日本リーグチャンピオンに!
東西の上位4チーム(合計8チーム)が「最後の決戦」に臨んだ
地元・ホンダエンジニアリングは、2年連続で初戦敗退……
高知パシフィックウェーブの4番・立石壮平が大活躍!
好投手・松田光から「2打席連続アーチ」を放ち、勝利に導く!!
2年ぶりの王座奪還を狙った平林金属は、準決勝で姿を消した
「剛腕」岡﨑建斗が力投!
大阪桃次郎が昨年に続き、決勝へ
トヨタ自動車も「東日本リーグ勢」の意地を見せ、果敢に戦った
「勢い」に乗る高知パシフィックウェーブ打線が、決勝でも一発攻勢!
高知パシフィックウェーブ、歓喜の瞬間!!
岡本友章監督の身体が久々に宙に舞った
今シーズンの日本男子ソフトボールリーグの王者を決める「第46回日本男子ソフトボールリーグ決勝トーナメント」が、去る11月11日(土)・12日(日)の両日、栃木県足利市/足利市総合運動場硬式野球場において開催された。
この決勝トーナメントには、今シーズンの東西両リーグ上位4チーム(計8チーム)が進出。「真の日本リーグチャンピオン」の座をかけて「最後の決戦」が繰り広げられ、東日本リーグからは、1位・トヨタ自動車、2位・日本エコシステム、3位・ホンダエンジニアリング、4位・デンソーの4チームが出場。西日本リーグからは、1位・平林金属、2位・大阪桃次郎、3位・高知パシフィックウェーブ、4位・ダイワアクトの4チームが出場し、覇が競われた。
初日は1回戦4試合が行われ、まず第1試合で日本エコシステム(東2位)と高知パシフィックウェーブ(西3位)が対戦。
高知パシフィックウェーブが2回裏、一死一塁から6番・中西健太のライトへの「会心」のツーランホームランで2点を先制すると、2点リードのまま迎えた4回裏にも5番・岡本友章の右中間へのヒットを足場に、四球、ワイルドピッチ等で一死二・三塁と攻め立て、8番・村上魁のサード内野安打の間に3点目を追加。
守っては、このリードを「キャプテンでありエース」の高橋速水が被安打5・奪三振10の力投で守り抜き、完封勝利を収め、準決勝進出を決めた。
第2試合、平林金属(西1位)とデンソー(東4位)の対戦は、現在「日本の男子ソフトボール界を牽引する男」と評される松田光を「投打の柱」に据える優勝候補の筆頭・平林金属に対し、「下克上」を狙うデンソーが先制攻撃。3回裏に1番・大林正樹、4回裏に5番・川田寛明が相次いでソロホームランを放ち、「一発攻勢」で2点のリードを奪ったが、「地力に勝る」平林金属が終盤反撃に出て、5回表(3点)、6回表(3点)、7回表(2点)と連続得点。終わってみれば16安打を浴びせて8-5と打ち勝ち、翌日の準決勝へ駒を進めた。
第3試合はトヨタ自動車(東1位)とダイワアクト(西4位)が対戦。
現役オーストラリア代表で「世界№1サウスポー」とも称されるダイワアクト・アンドリュー・カークパトリックにトヨタ自動車打線がいかに挑むか!? という点が注目されたが、0-0で迎えた4回表、一死一塁からトヨタ自動車の4番・真﨑海斗がワンストライク後の2球目を鋭く振り抜き、センターへ「弾丸ライナー」で突き刺すツーランホームラン! 昨年の「第11回世界ジュニア選手権・優勝メンバー」でもある「期待のルーキー」が、はじめての決勝トーナメントでいきなり決勝ホームランを放つまさに“大仕事”をやってのけ、見事昨年の覇者を撃破した。
第4試合では地元・ホンダエンジニアリング(東3位)と大阪桃次郎(西2位)が激突。
大阪桃次郎が2回裏にホンダエンジニアリングの先発・吉田大祐を攻め、二死一・二塁から8番・高野晃平のライト線を抜くタイムリースリーベースで2点を先取すれば、「地元応援団の大声援」を背に戦うホンダエンジニアリングも直後の3回表、二死二・三塁から3番・大石司がしぶとくレフト前にはじき返し、同点。しかし、この「完全アウェー」の状況に燃えた大阪桃次郎はその裏、一死二塁から3番・岡﨑建斗が自らライトへ「力で運ぶ」ツーランホームランを叩き込み、勝ち越しに成功すると、終盤6回裏にもこの回先頭の5番・ドニー・ヘイルがホンダエンジニアリングの3番手・長井風雅からトドメのソロホームラン! 元ニュージーランド代表の「世界的強打者」が「ワールドレベルの一発」を鮮やかに突き刺し、息の根を止め、5-2と勝利を飾った。
2日目は準決勝・決勝の3試合が行われ、まず準決勝で平林金属(西1位)と高知パシフィックウェーブ(西3位)、トヨタ自動車(東1位)と大阪桃次郎(西2位)が決勝進出をかけて対戦。
準決勝第1試合・平林金属(西1位)対高知パシフィックウェーブ(西3位)戦は、後攻の高知パシフィックウェーブが初回、二死一塁から4番・立石壮平のセンターへのツーランホームランで幸先良く2点を先制。試合の主導権を握ると、平林金属の9番・谷口淳にソロホームランを浴びて1点を返された直後の3回裏にも、今度は二死二塁から再び4番・立石壮平が「2打席連続」となるツーランホームランを「完璧な弾道」で叩き込み、得点差を3点に広げ、そのまま4-1で快勝。2011年以来6年ぶりの決勝進出を決めた。
準決勝第2試合・トヨタ自動車(東1位)対大阪桃次郎(西2位)戦では、3回裏に大阪桃次郎が二死三塁から2番・澤田優生のレフト前タイムリーで1点を先取。「頼れるキャプテン」が大事な先制点を叩き出し、このまま有利に試合を進めるかと思われたが……トヨタ自動車も6回表、大阪桃次郎の先発・岡﨑建斗にしぶとく食らいついて二死一・二塁とチャンスを作り、5番・江口真史の三遊間を破るタイムリーで同点。「執念」で試合を振り出しに戻した。まさに「東西の意地」がぶつかり合う形となった両チームの戦いは、その裏、大阪桃次郎が3番・岡﨑建斗のセンター前タイムリー、ワイルドピッチで2点を勝ち越し! 負けじとトヨタ自動車も7回表に1点差に迫り、なお二死二・三塁と「一打出れば逆転!!」の場面まで持ち込んだものの、最後は3番・黒岩誠亥が空振り三振に斬って取られ、万事休す。結果、大阪桃次郎がトヨタ自動車に3-2で競り勝ち、前回同様決勝に進むこととなった。
大阪桃次郎(西2位)vs高知パシフィックウェーブ(西3位)の決勝は、大阪桃次郎が先発投手に「ここまで登板のない」サウスポー・河野拓郎を起用してきたのに対し、高知パシフィックウェーブは「3連投」となるエース・高橋速水が満を持して先発登板。初回、2回と互いに得点を挙げられずにいたが、3回裏、高知パシフィックウェーブが3番・片岡大洋のセンターオーバーのエンタイトルツーベースを足場に一死一・三塁のチャンスを作り、6番・中西健太のライトへの犠牲フライで1点を先制すると、なお二死一塁となった場面で7番・中西康太がセンターへ「打った瞬間、入った!」と分かる豪快なツーランホームラン!! この回3点を奪い、試合の主導権を握った。「勢い」に乗る高知パシフィックウェーブは3点リードのまま迎えた5回裏にも、無死一塁から今大会「絶好調」の4番・立石壮平がセンターへ特大のツーランホームランを叩き込み、大きな2点を追加。
投げては、先発・高橋速水が残る力をふり絞ってこの決勝も力投。終盤はさすがに疲れが感じられたが、気力で投げ抜き、被安打4の完封勝利で「13年ぶり2度目」の優勝に花を添えた。
日本男子ソフトボールリーグに“決勝トーナメント”が導入されたのは、今から13年前(※それまでの1部・2部制を廃止し、加盟チームを東日本・西日本に分けてリーグ戦(2回総当たり)を実施。そのリーグ戦の結果に基づいて決勝トーナメントを行い、日本リーグチャンピオンを決定する試合方式に変更された。決勝トーナメント開催初年度(第1回目の開催)となった記念すべき2004年は、当時日本リーグに加盟していた全16チームで覇が競われている)。その年「初代チャンピオン」に輝いたのが、今回優勝を飾った高知パシフィックウェーブである。
実のところ、今のチームにその13年前の栄光を知るメンバーは4人(岡本友章、笹岡裕之(当時キャプテン:現在は部長を務めている)、岡村卓典、田中省次)しかいない。決勝戦終了後にチームの様子を覗いてみると、王座奪還! というよりは……はじめて「日本リーグ優勝」を経験した選手たちの「素直な喜び」が印象的であった。高知県立岡豊高等学校時代に国内の主要タイトル(春の高校選抜、夏のインターハイ、秋の国体)を総なめし、U19日本代表、その後日本代表としても数々の国際大会に出場。チームの「顔」「主力」としてプレーを続ける高橋速水や片岡大洋も、気がつけばもう30歳。年々チームに下の世代(若手)が増えていく中で、今後は「ソフトボール王国・高知と呼ばれてきた『歴史・伝統』を守り、次世代へ『継承』していく」役割を真に担っていくこととなる。そういった意味では、その高橋速水や片岡大洋の「後輩」にあたる立石壮平、中西康太らの今回の決勝トーナメントでの活躍は非常に意義があり、「心強い」ものだったといえるだろう。
この「決勝トーナメント優勝」は、高知パシフィックウェーブにとってゴールではない。新たな時代を切り拓くための……「スタート」なのである!