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ニュース 男子リーグ

◆第54回日本男子ソフトボールリーグ決勝トーナメント

地元開催に燃えた大阪桃次郎の「下剋上」「奇跡的優勝」で幕!
シーズン終了と同時に、日本男子リーグの ″今″ を見つめて…

2025シーズン・決勝トーナメントは、
大阪桃次郎の「奇跡的優勝」で幕

「異例の5位繰り上げ」で「急遽出場」となった
高知パシフィックウェーブは、初戦サヨナラ負け…

1位・2位戦は三重ヴェルデウィンが「圧勝」!
一足先に優勝決定戦進出、チャンピオンへ王手

2回戦、大阪桃次郎が先制・ダメ押しで快勝!

駆け付けた「大応援団」の声援を背に、
「闘志」を漲らせたジェイテクトだったが…

【3位決定戦】エース・岡﨑建斗、魂の熱投!
大阪桃次郎がレギュラーシーズン1位を撃破 !!

平林金属は最終決戦の舞台で勝利を挙げられず…

【優勝決定戦】1-1のまま延長タイブレークに突入。
8回表、大阪桃次郎が相手守備の乱れで勝ち越し!

大阪桃次郎、「地元開催」で16年ぶりの「歓喜」 !!
シーズン終了と同時に、リーグの ″今″ を見つめて…

 今シーズンの日本男子リーグの王者を決める「第54回日本男子ソフトボールリーグ決勝トーナメント」が、去る11月8日~10日(※雨天により1日順延)、大阪府堺市/くら寿司スタジアム堺(原池公園野球場)において開催された。

◎決勝トーナメントの試合結果&フォトギャラリーはこちら

 日本男子リーグ決勝トーナメントは、2019年にリーグが「東西統一」されたことを受け、「リーグ戦(レギュラーシーズン)上位5チーム」による「最終順位決定戦」へとシステムを変更。試合方式もソフトボール特有のページシステム(※敗者復活戦を含むトーナメント方式)が採用され、その現・決勝トーナメントを最後まで勝ち抜いたチームが「日本リーグ優勝」となる形をとっている。

 2025シーズンはレギュラーシーズン全4節を終了し、リーグ戦1位・平林金属、リーグ戦2位・Honda、リーグ戦3位・三重ヴェルデウィン、リーグ戦4位・ジェイテクト、リーグ戦5位・大阪桃次郎がそれぞれ決勝トーナメントに進出する予定だったが……第4節終了後、「2位」Honda「決勝トーナメント出場を辞退」することに。(公財)日本ソフトボール協会・リーグ委員会で協議の結果、「※3位以下のリーグ戦順位を1つ繰り上げる ※Hondaの順位付けは行わない ※決勝トーナメント出場チームは1位・平林金属、2位・三重ヴェルデウィン、3位・ジェイテクト、4位・大阪桃次郎、5位・高知パシフィックウェーブとして取り扱う」ことが決定される「異例」の事態になった。

 初日(11月8日/土)は翌日の優勝決定戦・3位決定戦進出をかけた合計3試合が行われ、まず第1試合(1回戦)で大阪桃次郎(リーグ戦4位に繰り上げ)と高知パシフィックウェーブ(リーグ戦5位に繰り上げ)が対戦。
 後攻の大阪桃次郎が初回、1番・宇根良祐、2番・小原孝太の「鮮やかな連続ホームラン」でいきなり2点を先制。高知パシフィックウェーブも3回表に反撃に転じ、一死二塁から9番・岡本恵弥のタイムリー、さらに相手守備の乱れに乗じて試合を振り出しに。2-2の同点のまま迎えた7回表には、ヒット、盗塁で得点圏に走者を進め、代打・中西康太が右中間へ勝ち越しのタイムリーツーベース! 3-2とリードを奪い、このまま逃げ切るかと思われた。しかし、「地元の熱い声援」を背に「諦めない」大阪桃次郎はその裏、一死から代打・須藤雄杜が初球を狙い打ち、ライト前ヒットで出塁。1番・宇根良祐もライト前へ痛烈な安打を放ち、一・二塁とし、2番・小原孝太はインフィールドフライに倒れたが……このフライを一塁手が落球、二塁走者が三塁へ進み、二死一・三塁という状況に。迎えた3番・松本三汰の打席、初球がワイルドピッチとなって……3-3の同点。なお二死二塁のサヨナラのチャンスが続き、松本三汰が6球目をショート強襲タイムリー! 二塁走者が一気に還り、劇的幕切れ!! 大阪桃次郎が「土壇場の逆転劇」で高知パシフィックウェーブを4-3と撃破し、2回戦進出を決めた。

 第2試合(準決勝)では、平林金属(リーグ戦1位)と三重ヴェルデウィン(リーグ戦2位に繰り上げ)が激突。
 平林金属・小山玲央、三重ヴェルデウィン・河野拓郎 両投手の先発でスタートした試合は、4回表、三重ヴェルデウィンが二死一塁から6番・櫻庭佑輔のライトへのツーランホームランで2点を先制。続く5回表にも8番・京谷優吾がライトオーバーのスリーベースでチャンスメイクし、代わった平林金属の2番手・景山蓮から9番・井上匠がセンターへ「完璧な当たり」のツーランホームラン。一死後、2番・新井優太もレフトへ「特大」のソロアーチを叩き込み、3点を追加。「勢い」に乗る三重ヴェルデウィン打線は1点を返された後の6回表にも、平林金属の3番手・阿曽慣太を攻め、7番・中原雄大のタイムリー、スクイズ、9番・井上匠のタイムリーでダメ押しとなる3点を加え、そのまま8-1で圧勝! ″優勝候補″ と目される両者の戦い「注目の一戦」は「予想外の大差」で三重ヴェルデウィンに軍配が上がり、この準決勝/1位・2位戦に勝利した三重ヴェルデウィンが一足先に優勝決定戦へ進出。敗れた平林金属は敗者復活戦に回ることとなった。

 第3試合(2回戦)はジェイテクト(リーグ戦3位に繰り上げ)とこの日の第1試合に勝利した大阪桃次郎が対戦。
 先攻の大阪桃次郎が初回、一死から2番・小原孝太の左中間に飛び込むソロホームランで幸先良く1点を先制。その後は大阪桃次郎・岡﨑建斗、ジェイテクト・大西泰河の「両エース」が一歩も譲らぬ「見応えのある投げ合い」を展開。1-0と大阪桃次郎がリードを奪ったまま、終盤に入った。迎えた6回表、大阪桃次郎は一死から3番・松本三汰がライトへツーベースを放ち、出塁すると、4番・山内貴博の二遊間を抜くタイムリーで生還を果たし、貴重な追加点! なお一死二塁のチャンスが続き、代打・高草昂大がセンターへ「会心の当たり」のツーランホームラン!! この回大きな3点を挙げ、4-0とリードを広げた。
 投げては、初日ダブルヘッダー・連投となった岡﨑建斗が ″初の決勝トーナメント進出″ で意気上がるジェイテクト打線を4安打・12三振に抑える「熱投」! 「経験値の違い」を見せつけるかのような「貫禄の完封勝利」で、翌日の3位決定戦へ駒を進めた。

 雨天順延をはさんでの3日目(11月10日/月)は3位決定戦・優勝決定戦の2試合が行われ、まず3位決定戦で平林金属(初日第2試合の敗者)と大阪桃次郎(初日第3試合の勝者)が対戦。
 平林金属・景山蓮、大阪桃次郎・岡﨑建斗 両投手の先発ではじまった試合は、先攻の大阪桃次郎が初回、二死走者なしから3番・松本三汰のレフトへのソロホームランで1点を先制! 「先手」を取った大阪桃次郎は、その後、平林金属投手陣(平林金属は先発・景山蓮が5イニングを投げ、6回表、小山玲央へ投手リレー)から追加点を奪うことができなかったものの、初日同様「地元の期待・声援」に後押しされ「魂の込もったピッチング」を続ける「エース」岡﨑建斗が6安打されながら11三振を奪う力投!! レギュラーシーズンを14勝3敗の1位通過、今回の決勝トーナメントで ″4年ぶりの王座奪還″ を誓っていた平林金属の夢を阻む「価値ある完封勝利」を飾り、優勝決定戦へと進むことになった。

 優勝決定戦は ″日本男子リーグに参入し、いきなり頂点へ登り詰めた″ 2009年以来「16年ぶり2回目」の優勝をめざす大阪桃次郎と「2年ぶり2回目」のリーグチャンピオンを狙う三重ヴェルデウィンが激突。
 試合は序盤2回に両チーム1点ずつを取り合い、1-1の膠着状態のまま、延長タイブレークに突入。迎えた8回表、大阪桃次郎がタイブレークの走者を二塁に置き、3番・松本三汰はセカンドフライに打ち取られたが、4番・山内貴博が死球で出塁し、一死一・二塁。続く5番・筒井拓友の打席の初球がワイルドピッチ(※アウトコース低めに投じられたドロップを捕手が捕り切れず、ボールを横に逸らす形となった/記録はワイルドピッチ)となり、この間に二塁走者が三塁へ。三塁陥れを狙った二塁走者を刺そうと捕手が慌てて送球したが……悪送球となり、二塁走者(タイブレークの走者)はそのまま一気に生還! 大阪桃次郎が2-1と勝ち越しに成功した。
 守っては、雨天順延をはさみ「4連投」の「エース」岡﨑建斗が最後の力を振り絞り、まさに「全身全霊の投球」! その裏、三重ヴェルデウィン打線を「気迫・魂」で三者凡退に斬って取り、歓喜爆発!! 地元・大阪で文字通り「下剋上」「奇跡的優勝」を成し遂げた。

日本男子リーグの ″今″ を見つめて

 レギュラーシーズン4位・大阪桃次郎(※従前5位から繰り上げ)が最終決戦の舞台で優勝候補をなぎ倒し、「16年ぶりの頂点奪取」! 第54回日本男子ソフトボールリーグのクライマックスは大方の予想を覆す展開。「一発勝負・短期決戦の醍醐味」が凝縮された、言わば「ドラマチックな熱戦・激闘」が繰り広げられた。
 決勝トーナメント「合計484球」「全4試合・29イニング」完投。「毎試合二桁三振」を奪う「圧巻のピッチング」で「優勝の立役者」となった岡﨑建斗、チャンピオンチーム(大阪桃次郎)の選手・スタッフをはじめ、2025シーズンを全力で戦い抜いたすべての関係者に心から敬意を表したい。
 グラウンド上の攻防だけでなく、開催地・大阪(大阪桃次郎のホーム)で大会運営に携わった多くの皆さんの「パワー」「熱量」も非常に大きかった。地元チームに対する「想い」「期待」が確実に選手たちへ届き、通常節以上の、いや、2倍、3倍の力が引き出され……「大阪桃次郎リーグ制覇」という「最高のゴール」に結実したことを改めてここに記しておく。

 だが、そのような大阪桃次郎の「歓喜」「地元への恩返し」と隣り合わせに……優勝候補筆頭であったHondaの ″決勝トーナメント出場辞退″ があったこと。2025年度国内大会において ″実業団・総合選手権(天皇盃)優勝の二冠″ に輝いていた日本男子ソフトボールを代表するチームの姿が、今シーズンの総決算となる日本リーグ最終決戦の直前に消え、リーグ全体の成績・順位決定はもちろんのこと、他のリーグ所属チームや関係各所に大きな影響を及ぼす事態となってしまった事実は、決して他人ごとではなく、重く受け止めなければならない。
 過去を振り返ってみても、近年では2022年にYKKがシーズン途中で廃部(※第2節を前にチーム廃部の事態が起こり、その年の順位は付かず。2節以降の対戦結果を0-7(対戦チームは7-0)とする取り扱いで全体の順位決定がなされた)、翌2023年もNeo長崎が同じくシーズン中に廃部(※第3節を前にチーム廃部が決まり、その年の順位は付かず。3節以降の対戦結果を0-7(対戦チームは7-0)とする取り扱いで全体の順位決定がなされた)となる等、「通常では考えられないケース」が目立っている。そういった現実を「日本男子ソフトボール国内トップリーグ」として、どうとらえ、考えるか……「競技のさらなる普及・発展を!」「男子ソフトボールをメジャーに!! 」声高らかにそう謳う前に……各々が今一度足元を見つめ直し、「日本男子リーグのあり方」「日本男子リーグが進むべき道筋」について正面から向き合い、本音を語り、議論を深めるべきではないだろうか。

 今夏開催された「第18回男子ワールドカップ ファイナル」「第12回ワールドゲームズ」(男子ソフトボール)では、男子TOP日本代表チームが世界の強豪を相手に「4位」「優勝」(※アメリカと同時優勝)と食らいつき、躍進する「堂々たる戦い」を見せてくれた。名実ともに真の世界一へ登り詰めるにはまだまだ課題があるが、現在の日本男子ソフトボールのレベル(競技力)において「未来への希望・可能性」を感じさせてくれたことは間違いなく「収穫」であり、「嬉しい便り」でもあった。

 その「追い風」が吹いた一方で、日本男子リーグの ″今″ は果たしてどうだろう?

 全18チームの大所帯に膨れ上がった加盟チームそれぞれの「実状」はどうか。
 先にもふれたが、「日本男子のトップリーグ」と銘打つ舞台の「意義・役割・めざすべきところ」を、皆が本当の意味で「理解」「意思統一」できているか。
 試合の勝敗やプレーの良し悪しに止まらず、「開催地・運営側の事情」にも耳を傾け、審判員、記録員、大会運営スタッフ、会場に足を運んでくれる観客の方々等々……「様々な立場・目線」に立ってリーグ全体を見渡す「広い視野」を持てているか。

 シーズン終了と同時に、これらのことを自らに問いかけ、考えてみてほしい。

 ソフトボールという競技を愛し、トップレベルを追い求め、全力で戦う選手・チームを「リスペクト」する気持ちに変わりはない。ソフトボールに懸ける熱き男たちの「本気の勝負」を、来シーズンもたくさんのソフトボールファンが、彼らに憧れる子どもたちが……楽しみにしている。

 その想い・期待に、私たちは真に応えることができているのか……。
 今こそ「リーグ全体のこと」としてとらえ、向き合ってもらいたい。

●文責
日本ソフトボール協会広報担当
竹﨑  治 (日本体育社)

●写真
日本ソフトボール協会広報担当
森山  楓 (日本体育社)

第54回日本男子ソフトボールリーグ 決勝トーナメント表
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