スーパーラウンド・順位決定ラウンドも最終戦を迎えた
日本の最終戦(チェコ戦)は「一進一退」の攻防に…
ヨーロッパの雄・チェコも「粘り強い」戦いを見せる!
この試合が ″現役最後のプレー″ となった松田光
延長10回に及ぶ死闘を制し、日本は「意地」の7位
″世界一奪取″ を掲げながら…7位に終わった日本。
今大会の課題をしっかりと分析・検証し、再出発を!
男子ソフトボール「世界一の座」を競う「WBSC第17回男子ワールドカップ」は12月3日(土)、大会8日目を迎え、いよいよプレーオフ「スーパーラウンド」「順位決定ラウンド」(※7位~12位決定ラウンド)最終戦を迎えた。
◎大会スケジュールはこちら
◎日本代表選手名簿・プロフィールはこちら
「スーパーラウンド」は、この日第2試合でカナダがキューバを相手に2-0で完封勝利(※カナダの『エース』ショーン・クリアリーが1安打・15奪三振の快投!)。スーパーラウンドの成績を4勝1敗に伸ばし、一足先に大会最終日のワールドチャンピオンシップ/ゴールドメダルゲーム(優勝決定戦)進出を確定させた(※この日最終試合でアルゼンチン(4勝0敗)とオーストラリア(3勝1敗)が対戦。アルゼンチンが勝てば、5勝0敗 ″文句なし″ で優勝決定戦進出。逆にオーストラリアが勝てば、カナダ、アルゼンチン、オーストラリアの3チームが4勝1敗で並ぶ状況が生まれ、3チームにおける直接対決の成績もそれぞれ1勝1敗となるが、3チームにおける対戦失点数ではカナダが5。この時点でアルゼンチンが失点4、オーストラリアが失点6となっており、カナダがオーストラリアの順位を下回ることがないため、最終試合の結果にかかわらず『2位以上』が確定した)。
前日の順位決定ラウンド第2戦(ニュージーランド戦)に勝利した日本は、最終戦でチェコと対戦。
日本は今大会最終試合の先発投手に山脇佑也を起用。初回はレフトフライ、見逃し三振、空振り三振の三者凡退に抑えたが、2回表、四球、空振り三振で一死一塁となった後、チェコの6番打者にセンター頭上を遥かに越える特大のツーランホームランを浴び、2点を先制されてしまう。
日本も3回裏、一死から8番・黒岩誠亥がライト頭上をライナーで抜くスリーベースで出塁。9番・櫻庭佑輔は死球で一・三塁とすると、二死後、2番・浜本悌の打席でダブルスチールを決め、三塁走者が生還。続く4回裏には二死二・三塁から7番・坂田大士のショートへの当たりがセンターへ抜ける(ショートの目の前を二塁走者が横切ったこともあり、ショートがバウンドを合わせ切れず、センターへ抜けた)間に二者生還となり(※記録はタイムリーヒット)、3-2と逆転に成功した。
しかし、チェコは直後の5回表、代わった日本の2番手・河野拓郎を攻め、二死から1番打者が四球で出塁。2番打者が三遊間を破るヒットを放ち、一・二塁とし、3番打者も三遊間を痛烈に破るタイムリー。二塁走者が還り、3-3の同点に追いつくと、6回表にも代わった日本の3番手・小山玲央からこの回先頭の5番打者がレフトスタンドへ勝ち越しのソロホームラン。4-3と1点をリードする。
痛い勝ち越しを許し、 ″嫌な雰囲気″ が再び漂う日本だったが……その裏、3番・松田光がセンター前に落ちるヒットで出塁。4番・鳥山和也は死球、5番・森田裕介がセカンドゴロで一塁アウトとなる間に走者が二・三塁に進塁、6番・宇根良祐はスリーボール・ワンストライクから故意四球で歩かされ、満塁の絶好機を迎えると、ここで7番・坂田大士がセンター前にはじき返すタイムリー! 三塁走者が生還し、4-4と「意地」で試合を振り出しに戻した。
7回は両チーム得点を奪えず、4-4の同点のまま延長タイブレークに突入。8回、9回も両者攻め切ることができず、迎えた10回表、日本は7回から代わった4番手・松田光が二死満塁と絶体絶命のピンチを背負ったが、4番打者の左中間へ抜けようかという長打性の当たりをレフト・森田裕介が追いつき、懸命にグラブを差し出し、ナイスキャッチ!! 「大ファインプレー」でチームの窮地を救い、スリーアウトで三者残塁。
その裏、タイブレークの走者を二塁に置き、9番・櫻庭佑輔は空振り三振に倒れたが、途中出場の1番・北澤慶介のライトフライでタイブレークの二塁走者がタッチアップ、三塁へ。ライトからの送球をサードがはじき、ボールの行方を見失う間にタイブレークの走者・黒岩誠亥がサヨナラのホームイン! 日本が延長10回の「死闘」を制し、5-4でサヨナラ勝ち!! スーパーラウンドへ進めなかった無念を胸に……「意地」の7位を勝ち獲った。
日本男子ソフトボール悲願の ″世界一″ をめざした今大会の戦いは、 ″第7位″ という成績で終焉を迎えた。
いろいろと浮彫りになった課題はあるが……まずは「優勝・世界一を期待されながら、7位に終わった」事実を、真摯に受け止めなければならないと思う。この悔しさを各々がいかに噛みしめ、今後どのように進んでいくべきか……そこに「真に向き合う」ことが何より重要で、日本男子ソフトボールの「現在地・進むべき道」を日本協会の「総力」を挙げて再度考え、見つめ直す必要があるだろう。
前回大会準優勝の躍進を遂げた日本ではあるが、現時点では……まだ世界の上位常連国とは呼べない「現実」があった。悔しさは募るが、それを認め、今回の敗因がどこにあり、今後何が必要なのか!? しっかりと分析・検証した上で、また「再出発」しなければならない。
日本男子ソフトボールを投打で牽引してきた松田光は、今回のワールドカップを最後に現役を退く。 ″日本男子ソフトボールの顔″ がここで現役を引退してしまうのは寂しい限りだが(日本男子ソフトボールの『レジェンド』の最後を7位で終わらせてしまったことを、心から悔やむが……)、その松田光を「追い越していく!」ような、真の意味での「新たなリーダー」「次代を創造する選手」が出てきてくれることを期待したい。
この日のスーパーラウンド・最終試合では、オーストラリアが延長8回タイブレークの末、2-0でアルゼンチンを撃破。ここまで唯一「無傷」で突っ走ってきたアルゼンチンに今大会「初黒星」をつけるとともに、見事 ″連覇″ の夢を阻んでみせた(※オーストラリアが最後アルゼンチンに2-0で勝利したことで、カナダ、アルゼンチン、オーストラリアが4勝1敗で並び、3チーム間の対戦成績もそれぞれ1勝1敗。3チームにおける対戦失点数でもっとも失点が少ないカナダ(失点5)が先に優勝決定戦進出を決め、アルゼンチンとオーストラリアはともに失点6とここでも並ぶ状況になったが、直接対決でオーストラリアが勝利したため、オーストラリアがスーパーラウンド2位となり、優勝決定戦に進むことが決まった)。
0-0と緊迫した投手戦の中、リリーフに立ち、最後「勝利投手」となったオーストラリアの「新星サウスポー」ジャック・ベスグローブはまだ19歳と聞く。その左腕は王者・アルゼンチン相手にも仁王立ち。気迫十分! 真っ向勝負、力勝負!! で打者に立ち向かっていく様はまさに「脅威」であり、同時に、今の日本に ″欠けている部分″ ではないか……と感じた。
我々日本も負けてはいられない。
「世界の頂点」へ登り詰めるためには、この世界の強豪たちとしのぎを削り、「世界トップレベルの戦い」を勝ち抜いていかなければならないのだから。