令和5年度「男子U18日本代表チーム選手選考会」を開催!
選考会は「実戦形式」「試合形式」で進められた
投手陣には将来性豊かな有望な人材が揃っていた
実戦の中でスピードガンによる球速測定も実施!
打者はそれぞれの特徴・持ち味をアピールしつつ、状況に応じたバッティングも求められた
日本の「伝統」である堅守を継承できる選手であるか否かも選考基準となった
選手たちは「日本代表」の座をめざし、最後まで全力プレーを続けた
「男子U18日本代表」選手16名を選出! この世代の選手たちの活躍がソフトボールの「未来」を切り拓いていく!!
去る4月17日(月)~19日(水)、静岡県伊豆市・天城ドーム、天城ふるさと広場野球場・多目的広場を会場に「令和5年度 男子U18日本代表チーム選手選考会」(2023年第8回男子U18アジアカップ出場選手選考会)が開催された。
選考会には、各都道府県支部協会・所属チームの推薦を受け、あらかじめ定められた「選考会参加条件」をクリアした77名が参加。「男子U18日本代表」の一員となり、「第8回男子U18アジアカップ」(6月22日(木)〜24日(土)/高知県高知市で開催予定)に出場することをめざし、厳しい選考に臨んだ。
今回の選考会は、「試合形式」「実戦形式」で行われ、参加全選手をA~Fの6つのグループに分け、各チームが対戦する形で進められた。
今回、男子U18日本代表チームを率いることが決定している田中徹浩ヘッドコーチ(2016年の第11回大会でアシスタントコーチとして「35年ぶり2度目」の世界一を経験したのを皮切りに、2018年の「第12回大会」からヘッドコーチに就任。同大会で準優勝、2020年の前回では見事優勝、日本を三度目の「世界一」に導いている)は、今回の選考会に際し、「各都道府県支部協会、所属チームの推薦を得ているという時点で、基本的な選考会参加条件は『クリアしている』という前提に立ち、『日本代表』たるにふさわしい選手が選考会に参加していると考え、いわゆる『測定』的なものは極力省き、試合形式・実戦形式の中で、どれだけ力を発揮できるかを選考基準とした」と今回の選考会の選考内容・選考基準を説明した。
選手たちは、その「試合形式」「実戦形式」の選考の中で、ピッチャーであれば「自分の武器」がなんであるかをアピールすると同時に、その「武器」をどう使い、打者を打ち取るのか、が選考の大きな要素となった。
もちろんネット裏にはスピードガンが設置され、それぞれの投手の球速を一球一球測定し、それぞれが有する球種のチェックも行われていたが、ただ単にボールが速いとか、変化球がキレる、といったことだけではなく、そのボールをどう使い、どう打者を打ち取るのか、どんないいボールを持っていても、打者を打ち取ることにつながらないのであれば意味がない。実際の試合の中で、それをどう活かすことができるかが問われる選考内容となっていた。
打者も同様で、自分の特徴・持ち味をアピールするのはもちろん、場面に応じた状況判断ができるのか、チームが得点するために、チームが勝つために、「今、何をすべきか」を考え、それを実行できる選手、その状況に応じたプレーを選択することのできる能力・センスが求められ、そこを重視した選考が行われた。
A~Fに分かれたチームの中で、個々の選手が「自分」をアピールしながらも、「チーム」のために何ができる選手なのか、時には自分を犠牲にして最低でも進塁打を打つことができる、送るべき場面では確実に送り、結果が求められるところではしっかりと結果を出すことができる、それができる選手でないと、国際大会、世界の舞台では戦えない。「世界」の舞台で戦うことを熟知している田中徹浩ヘッドコーチはじめコーチングスタッフが揃っているからこそ、「世界の舞台」で戦い、「勝つ」ということの意味、選手に求められる資質・条件、選考基準が明確にされていた。
田中徹浩ヘッドコーチは、「今回コロナの影響で大会が延期になり、出場選手の上限年齢が据え置かれたことで、投手にいい人材が揃い、レベルが高いと感じる。逆にその次の年になるとやや目立った人材がいない印象もあり、こういった年齢制限のある大会においては、『いつ大会が開催されるか』という巡り合わせによって、チームの構成、チーム力がまったく変わってきてしまうこともある。そういう他の大会にはない難しさがあり、『運』も重要な要素になる。これは選手たちにとっても同じことがいえ、今はワールドカップが『2年に一度』の開催となったので、まだ多くの選手に大会出場のチャンスが巡ってくるようになったが、かつて『4年に一度』の開催であったときには、それこそ大会との巡り合わせ、『運』の要素が強く、それによってチーム構成も様変わりしていたのではないかと思う」と、この大会特有の「難しさ」にも言及した。
折しも、この選考会の直後、アルゼンチン・パラナで「第1回男子U23ワールドカップ」(2023.4.15~23:大会結果・出場選手プロフィールはこちら)が開催され、男子U23日本代表が「世界の強豪」を相手に戦い、昨年の「第17回男子ワールドカップ」(2022.11.26~12.4/ニュージーランド・オークランド)で「世界一」「優勝投手」となった上で、この大会に臨んできたオーストラリア代表ジャック・ベスグローブと「優勝決定戦」を戦い、最終回まで0-0という「死闘」「互角の戦い」を演じてみせた。結果は……0-1で敗れ、記念すべき「第1回大会」で「初代チャンピオン」こその逃がしたものの、「世界の舞台」を経験し、若干19歳ながら「今、世界で最も注目されている投手」ジャック・ベスグローブ」と対戦することで「世界との距離」を測ることができたことは大きな収穫といえよう。そんな「貴重な経験」を積むことができたのも「U23」というカテゴリーが創設されたからに他ならない。「U23」というカテゴリーが創設されていなかったら……いずれ「日本代表」として戦うTOPカテゴリーの選手が、この「U23」世代から出てくるにしても、それにはもう数年の月日が必要となったはずである。
また、1年早く生まれていたら……どんなに望んでも、このチームの一員となることはできず、コロナ禍での大会延期による措置で、出場選手の上限年齢が据え置かれることがなければ、またまったく違った選手がその舞台に立っていた可能性もある。年齢によって、生まれた年、月によって、チャンスが巡ってくる選手もいれば、そのチャンスに恵まれない選手もいる。年齢別、世代別のカテゴリーでの戦いは、そういった「巡り合わせ」によって左右される難しさがあるのは事実である。
前述の男子U23日本代表メンバーの中には、田中徹浩ヘッドコーチとともに「U18」の日本代表として「世界の舞台」を経験した選手がチームの「中核」「骨格」を担っていた。ジュニアカテゴリーでの「成績」「実績」が、その後のTOPカテゴリー、代表チームの戦いに「反映」される傾向は年々強くなってきていると感じる。
TOPカテゴリーで昨年の「第17回男子ワールドカップ」を制し、「世界の頂点」に立ったオーストラリアは、ジュニアカテゴリー(当時はU19)のワールドカップで1997年の「第5回大会」~2008年の「第8回大会」までの大会4連覇を含め、2018年の「第12回大会」と大会最多の5回の優勝を誇っており、その後、ジュニア世代で「世界一」となったアンドリュー・カークパトリック(日本男子リーグ・ダイワアクトでプレー、2001年の「第6回世界男子ジュニア選手権大会」で優勝を飾ったときの「エース」)、長らく「世界最速」の名をほしいままにしたアダム・フォーカード(2005年の「第7回世界男子ジュニア選手権大会」の優勝投手)がチームの中核となり、2009年の「第12回世界男子選手権大会」(現・男子ワールドカップ)に優勝し、「世界一」となる「原動力」となった。
その後、「世界最速」「世界最高」といわれたアダム」フォーカードを擁し、どの大会でも常に「優勝候補の大本命」に挙げられながら優勝を手にすることができず、「もうピークを過ぎた」と思われた昨年の「第17回男子ワールドカップ」で彗星のごとく現れた「若きエース」ジャック・ベスグローブが4勝(1敗)を挙げる活躍。投球回数34回2/3で71奪三振と実に1イニング2個以上のペースで三振を奪う驚異的な数字を叩き出し、オーストラリアを二度目の「世界一」に押し上げる立役者となった。また、当然といえば当然の結果だが、「第1回男子U23ワールドカップ」も引き続き制し、ここでも「世界一」となって「オーストラリア強し!」の印象を強くしている。
そのオーストラリアに敗れ、昨年の「第17回男子ワールドカップ」では「決勝進出」も「連覇」も逃すことになったアルゼンチンも、2012年、2014年とジュニアカテゴリーで「連覇」を飾り、2019年の「第16回世界男子選手権大会」を制し、「世界の頂点」に立っている。ジュニア時代に「連覇」を達成したウエムル・マタ、ロマン・ゴドイらが中心となり、ジュニアカテゴリーでの「連覇」の勢いそのままに、TOPカテゴリーでも一気に「世界の頂点」まで駆け上がった。
日本も2016年の「第11回世界男子ジュニア選手権大会」で35年ぶり二度目となるジュニアカテゴリーでの「世界一」に輝き、そのときの「エース」小山玲央がTOPカテゴリーに昇格して臨んだ2019年の「第16回世界男子選手権大会」で準優勝。2020年の「第13回男子U18ワールドカップ」(この大会から年齢上限がU19/19歳以下からU18/18歳以下に引き下げられた)でも優勝を飾り、三度目の「世界一」となったことで、コロナ禍で大会が延期された「第16回男子ワールドカップ」で、TOPカテゴリー「初」の優勝、「世界一」への期待は高かるばかりだったが……「まさか」の7位に終わっている。
とはいえオーストラリア、アルゼンチンの例を見れば、ジュニアカテゴリーの「強化」、そこでも「成績」「実績」が、TOPカテゴリーでの「成績」「実績」に直結していることは間違いなく、ジュニアカテゴリーで同様の成績を残し続けている日本もそれに続き、TOPカテゴリーでの「優勝」「世界一」をめざしており、「第17回男子ワールドカップ」での躓き、足踏みは「予想外」「想定外」でそのショックは大きなものがあったが、今回の「U23」が「王者」オーストラリアに肉薄してことで、「世界一」を十分に狙えるだけの位置にあるという「事実」とそれだけのポテンシャルを有していることを「証明」して見せてくれたといっていいだろう。
そして……そのTOPカテゴリー「初」の優勝、世界一を実現させるための「最後のピース」が今回の「U18」の選手たちの中から出てきてくれることを期待したい。「U18」での四度目となる「優勝」「世界一」は通過点でしかなく、それがTOPカテゴリーでの「結果」に結びついていかなくては意味がない。アジアを勝ち抜き、「世界の舞台」で躍動する「新たなスター」、日本版「ジャック・ベスグローブ」の出現を期待し、心待ちにしている。
令和5年度 男子U18日本代表チーム選手名簿
「2023第8回男子U18ソフトボールアジアカップ」出場選手・スタッフ(守備別50音順)
No. | 守備 | 氏名 | 支部 | 所属 |
1 | 投手 | 阿曽 慣太 | 岡山 | 平林金属株式会社 |
2 | 〃 | 新井 大和 | 東京 | 日本体育大学 |
3 | 〃 | 高橋 理央 | 京都 | 同志社大学 |
4 | 捕手 | 上野 結来 | 京都 | 同志社大学 |
5 | 〃 | 淀川 瑛澄 | 岐阜 | 岐阜聖徳学園大学 |
6 | 内野手 | 大野 流畏斗 | 静岡 | 飛龍高等学校 |
7 | 〃 | 木原 和也 | 静岡 | 飛龍高等学校 |
8 | 〃 | 葛野 奏 | 福井 | 啓新高等学校 |
9 | 〃 | 田部 一護 | 岡山 | 環太平洋大学 |
10 | 〃 | 松尾 唯斗 | 岐阜 | 日本エコシステム |
11 | 〃 | 山下 鉄太 | 愛知 | 中京大学 |
12 | 〃 | 山本 陸人 | 愛知 | 豊田自動織機 |
13 | 外野手 | 鰯谷 柑太 | 長崎 | 長崎県立大村工業高等学校 |
14 | 〃 | 梅田 瑠河 | 岐阜 | 岐阜聖徳学園大学 |
15 | 〃 | 津田 龍輝 | 東京 | 日本体育大学 |
16 | 〃 | 橋本 怜 | 長崎 | 長崎県立島原工業高等学校 |
No. | 役職 | 氏名 | 支部 | 所属 |
1 | ヘッドコーチ | 田中 徹浩 | 群馬 | 新島学園高等学校 |
2 | アシスタントコーチ | 安部 厚志 | 静岡 | 飛龍高等学校 |
3 | アシスタントコーチ | 山崎 均 | 福井 | 啓新高等学校 |
4 | マネージャー | 井上 大輔 | 高知 | 土佐市立高岡中学校 |
5 | トレーナー | 内藤 慶 | 群馬 | オールケアR |