新設された「男子U23」の世代の「強化」を図るべく、
全日本大学男子選抜チームをインドネシアへ派遣!
今回、全日本大学男子選抜チームを率いた
柳田信也ヘッドコーチに報告・総括していただいた
合宿地(インドネシア・マカッサル)で開催された
「Makassar Open 2019」に参戦し、国際舞台を経験
インドネシア、マレーシア、タイのクラブチーム
シンガポール代表チームを含めた全7チーム
で覇が競われた!
参加チームには“世界トップレベルの助っ人”の姿も
全日本大学男子選抜チームは予選リーグ4勝2敗。
失点数により「4位」で決勝トーナメントへ進む形に
決勝トーナメントでは“世界屈指の助っ人軍団”に
果敢に挑んだが、2-5で敗戦。最終成績「3位」
で大会を終えることとなった
「ニュージーランド代表」「元オーストラリア代表」の
トップ選手から、ピッチング&バッティングについて
アドバイスを受ける機会も得ることができた
「男子U23」の強化はまだはじまったばかり…
「大学男子」からも「世界」に挑戦する選手が
どんどん出てきてほしい!
去る9月12日(木)~24日(火)、新設された「男子U23」の世代(カテゴリー)を強化すべく、全日本大学男子選抜チームをインドネシア・マカッサルへ派遣。「男子U23 第1次海外強化合宿」が13日間にわたり実施された。
今回は(公財)日本ソフトボール協会選手強化本部会・男子強化委員会の「『U23』の世代(カテゴリー)に該当する『大学生』に『国際大会出場のチャンス』を与えるとともに、来年開催予定の男子U23アジアカップ、もしくは再来年開催予定の男子U23ワールドカップに向けた強化を図っていきたい」という意向のもと、「大学男子」にスポットを当て、全日本大学男子選抜チームを編成・派遣。合宿地のインドネシア・マカッサルで開催された「Makassar Open 2019」に出場し、国際舞台を経験するとともに、男子としては貴重な「海外での長期の強化」に取り組んだ。
ここでは、今回、全日本大学男子選抜チームを率いた柳田信也ヘッドコーチ((公財)日本ソフトボール協会選手強化本部会・男子強化委員)に「男子U23 第1次海外強化合宿」を報告・総括していただいた。
◎全日本大学男子選抜チーム
ヘッドコーチ:柳田信也(東京理科大)
(公財)日本ソフトボール協会選手強化本部会・男子強化委員
【全日本大学男子選抜チームの編成・派遣にあたって】
昨年開催された「第10回アジア男子選手権大会 ※4月23日~28日/インドネシア・ジャカルタで開催(※日本は全日本大学男子選抜を日本チームとして派遣し、優勝)」の際に、インドネシア協会会長から岡本友章チームリーダー((公財)日本ソフトボール協会選手強化本部会・男子強化委員長)に「Makassar Open 2019」参加のオファーがあり、今回はそのオファーを受ける形で、「男子U23」世代の強化も兼ね、全日本大学男子選抜チームを編成・派遣する運びとなった。「U23」の世代に該当する「大学生」にスポットを当て、「大学男子」の「新たな目標」としてその道筋を作れたこと、来年開催予定の男子U23アジアカップ、再来年開催予定の男子U23ワールドカップ、さらにはTOPチームに名を連ね、真の世界一をめざす選手をこの大学のカテゴリーからも輩出していくといった意味では「大変有意義」な海外強化合宿になったと感じている。
選手たちは全日本大学選手権終了直後ということもあり、コンディション面で不安があったが、大きなアクシデントもなく無事全日程を終了することができた。出発前日の9月11日に羽田空港近くのホテルに集合。実質そこが初顔合わせとなり、コミュニケーション不足や体調管理等心配されたが……東京都(大田区)協会のご協力もあって、出発地(羽田空港)至近のグラウンドで調整練習が行えたことも非常に大きかった。
翌日(9月12日)午前に羽田空港を出発し、ジャカルタ経由でマカッサルには現地時間午前2時過ぎに到着。13日は昼まで回復時間とし、午後から練習をスタートさせる予定だったが、ここで急遽マレーシアチームがフレンドリーマッチを組んでくれるという幸運にも恵まれた。この試合で全選手のコンディション、個々の能力・特性、チームとしての戦い方等を改めて確認することができたので、快く話を持ちかけてくれたマレーシアチームには感謝の念に堪えない。
今回はインドネシアをはじめ、マレーシア、タイ、シンガポールにも昨年の「第10回アジア男子選手権大会」で交流を深めたチームスタッフが残っていた。その「繋がり」が何より活かされたと思っているし、「国際交流の大切さ」「アジア・世界における仲間作りの必要性」を強く感じた海外強化合宿にもなった。
【Makassar Open 2019 に参戦!】
今回の「男子U23 第1次海外強化合宿」のメインである「Makassar Open 2019」に参戦。開催国・インドネシアのクラブチーム、マレーシアのクラブチーム、タイのクラブチーム、シンガポール代表チームを含めた全7チームで覇が競われるビッグイベントに出場した。
〔大会結果〕
・予選リーグ第1戦
vs LAKIDENDE 0-3●
盛大なオープニングセレモニーの後の「オープニングゲーム」となったが、開催国・インドネシアの「ソフトボール熱」を感じさせる「満員の観客」が球場に詰めかけ、素晴らしい環境での試合になった。結果は相手チームに“世界トップレベルの助っ人”「ニュージーランド代表」のニック・ヘイズ投手、「元オーストラリア代表」のジノン・ウィンタース選手らがおり、その強力バッテリーの前に打線が手も足も出ず、2安打・16三振……。完封負けを喫し、黒星スタートとなった。
・予選リーグ第2戦
vs Chiang mai 8-0○
スコア上、圧勝はしたものの、プレー面・メンタル面すべてにおいてまだまだ「意識の低さ」、日本を代表する選手としての「自覚の欠如」が見られる試合であった。久保田豊司チームリーダーをはじめ、私自身もチーム(選手たち)に想いを伝え、檄を飛ばし、じっくり選手のみでのミーティングも実施。「気持ち新た」に次の試合へ向かうこととなった。
・予選リーグ第3戦
vs シンガポール代表 7-9●
立ち上がりからシンガポール打線につかまり、その後も相手の勢いを止めることができず、大量失点を喫してしまった。この試合登板したシンガポール代表の長身右腕二人は、ともに球速120㎞/h前後で、ライズ・ドロップをしっかり投げ分ける好投手であった。昨年の「第10回アジア男子選手権大会」でも対戦していたが、その頃とは比べ物にならないほど成長していたことに驚き、試合終盤追い上げを見せたものの……自らのミスも目立ち、惜敗となった。
・予選リーグ第4戦
vs PICCADILLY 6-1○
地元・マカッサルのクラブチームではあるが、“日本からの助っ人”4名が参加しており、特に「三重県庁クラブの主力」河野拓郎投手&櫻庭佑輔選手がチームを引っ張っている印象であった。自チームとしてはこのあたりから「投打の形」ができ、「チームワーク」も醸成されてきた感があり、終始試合を支配。快勝することができた。
・予選リーグ第5戦
vs PIRATES 33-0○
チームの「団結」も強まり、走・攻・守すべて「文句なし」の試合運びができた。ただ、この対戦相手とは“明らかな実力差”があり、観客側の目線でいえば見応えのある試合にはならなかったと思う。ソフトボールの「アジアへの普及・発展の必要性」を強く感じた一戦にもなった。
・予選リーグ第6戦
vs VARSITY 15-0○
ここまで「控え」に回っていた選手たちを積極的に起用。期待に応え、攻守に「活躍」し、15-0の完勝! 予選リーグ4勝2敗の4位(※3チームが4勝2敗で並んだが、失点数により日本は4位)で決勝トーナメントに進むこととなった。
・決勝トーナメント1回戦
vs シンガポール代表 11-0○
予選リーグの対戦で苦杯をなめたシンガポールに対し、長打でまず2点を先制。その後は日本らしい「小技」「機動力」を絡め、相手守備を翻弄。ビッグイニングを作り、大量11得点! 5回コールド勝ちで「リベンジ」を果たし、決勝トーナメント2回戦へ駒を進めた。
・決勝トーナメント2回戦
vs LAKIDENDE 2-5●
先発投手に起用した左腕・海邉和也が上々の立ち上がりを見せたが、「ニュージーランド代表」レイリー・マケア、「元オーストラリア代表」ジノン・ウィンタースら“世界屈指の実力を有する助っ人”を揃えた相手打線に二回り目には捉えられ、失点してしまう。終盤に菊川智己のタイムリー、吉永文太のホームランで2点を返したものの、“世界選手権優勝投手”に輝いた実績を持つ「ニュージーランド代表」ニック・ヘイズの前に反撃もここまで。2-5で敗れ、第3位という成績で今大会を終えることとなった。
【海外強化合宿を終えて】
今回参戦した「Makassar Open 2019」では、先に紹介した「ニュージーランド代表」ニック・ヘイズ、レイリー・マケア、「元オーストラリア代表」ジノン・ウィンタースらの参戦により“世界トップレベル”を肌で感じることができた。彼らはソフトボールを競技スポーツとしてどのようにとらえ、試合で何を考え、実践しているのか?? “世界の強豪”“本物のトッププレーヤーたち”から多くの学びを得たこの海外強化合宿は、改めて大変大きなものだったと感じている。
実際のところ、選手たちからも「またこの舞台に挑戦したい!」「また日本を代表する選手となって、日の丸の重みを感じ、プライド(誇り)を持って戦いたい!!」といった未来への熱い想いを聞くことができた。これまで国際舞台になかなか縁がなかった「大学男子」にもこうしてスポットが当てられ、「世界へ羽ばたくチャンス」がいただけたことを心から嬉しく思う。
また、試合の合間にはニック・ヘイズ投手とジノン・ウィンタース選手がソフトボールクリニックを開いてくれ、今回の海外強化合宿の大きな収穫の一つとなった。彼らのアドバイスで考えさせられた点といえば、試合では“ただ正直にプレーするだけではダメだ”ということ。「ピッチングにおいてもバッティングにおいても、常に“相手と駆け引き”しろ! 最終的にグラウンド上のプレーが結果となるが、そこに至るまでには様々な“心理戦(メンタルゲーム)”がある。攻守両面あらゆる要素で相手にプレッシャーをかけたり、かけられたり……ソフトボールとはそういったメンタルゲームの繰り返し。ただ投げる、打つではなく、相手との駆け引きも含めてプレーを制し、試合を支配しよう!!」と熱く投げかけてきたメッセージが今でも強く印象に残っている。これは私自身も認識していたつもりであったが、彼らの考えを聞き、実際のプレーを観ることで、まだまだ「ソフトボールの奥深さ」「未知の領域(世界の頂点を争うレベル)」を学んでいく必要があると痛感させられた次第である。
「男子U23」の強化はまだはじまったばかり。今回、全日本大学男子選抜チームに選出された選手以外にも「世界に挑むチャンス」は巡ってくる。そのチャンスを契機に、自らがトップレベルにチャレンジし、「アジア」もしくは「世界」のソフトボールを肌で感じてもらいたい。そして個々がソフトボールの視野を広げ、この「大学男子」からも「日本のソフトボールを牽引する選手」が数多く出てきてくれることを期待している。
最後になりますが、このような機会をいただけたことに対し、関係各位に深く感謝を申し上げます。
No. | 守備 | 氏名 | 所属名 |
---|---|---|---|
1 | 投手 | 海邉 和也 | 福岡大学 |
2 | 〃 | 奥田 拓海 | 神戸学院大学 |
3 | 〃 | 佐藤 夏己 | 立命館大学 |
4 | 〃 | 柴田 將希 | 国際武道大学 |
5 | 〃 | 歳川 幹大 | 中央大学 |
6 | 捕手 | 沢村 洋 | 福岡大学 |
7 | 〃 | 鈴木 隆弘 | 関西大学 |
8 | 内野手 | 岡 龍太郎 | 国士舘大学 |
9 | 〃 | 川上 卓也 | 早稲田大学 |
10 | 〃 | 実松 悠仁 | 福岡大学 |
11 | 〃 | 島田 真尋 | 城西大学 |
12 | 〃 | 吉永 文太 | 環太平洋大学 |
13 | 外野手 | 綾戸 康祐 | 福岡大学 |
14 | 〃 | 瓦口 昂弥 | 九州産業大学 |
15 | 〃 | 菊川 智己 | 中京大学 |
No. | 役 職 | 氏 名 | 所属名 |
---|---|---|---|
1 | チームリーダー | 久保田 豊司 | 大阪国際大学 |
2 | ヘッドコーチ | 柳田 信也 | 東京理科大学 |
3 | アシスタントコーチ | 吉田 智行 | 神戸学院大学 |
4 | マネージャー | 森田 啓之 | 兵庫教育大学 |
5 | トレーナー | 田岡 幸一 | Body Laboratory |
6 | 通訳 | Siti Djulianh |