男子U23ワールドカップもいよいよ最終日!
「最後の決戦」を前に、再度意思統一を図る
日本代表の「誇り」を胸に、いざ、戦いへ!
日本の先発投手に起用されたのは、八木孔輝
オーストラリアも「現・世界No.1」「絶対的エース」の
ジャック・ベスグローブを先発に立て、本気モード!
0-0の緊迫した投手戦が続いたが、迎えた7回表、
「曲者」ジェレミー・ウォータースにタイムリーを浴び、
ついに1点を奪われてしまう…
そのままオーストラリアが1-0で勝利!
記念すべき「第1回大会王者」となった !!
今回の経験を必ずや ″次″ につなげて!
日本男子ソフトボールの「未来」のために…
「WBSC第1回男子U23ソフトボールワールドカップ」もいよいよ最終日。この日はワールドチャンピオンシップ2試合(ブロンズメダルゲーム/3位決定戦、ゴールドメダルゲーム/優勝決定戦)が予定され、9日間に及んだ大会の「クライマックス」を迎えることとなった。
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まず、メキシコ(スーパーラウンド3位) vs アルゼンチン(スーパーラウンド4位)のブロンズメダルゲーム/3位決定戦では、前日のスーパーラウンド最終戦で ″唯一全勝″ の日本に ″土″ をつけた「ホスト国」アルゼンチン打線が爆発! 連日押し寄せる「満員の観客」の「大声援」にも後押しされ、2本のホームランを含む14安打で大量10点を奪い、メキシコを圧倒。メキシコにはオープニングラウンドで4-5と一度敗れていたが、しっかりと「リベンジ」を果たし、10-1の6回コールド勝ちで「3位の座/ブロンズメダル」をつかんだ。
スーパーラウンドを4勝1敗(1位)の成績で終え、ゴールドメダルゲーム(優勝決定戦)へ駒を進めた日本は、記念すべき「第1回大会優勝」をかけて、今大会「最大のライバル」オーストラリアと決勝の舞台で再び激突した。
大会第9日/4月23日(日)
優勝決定戦
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | R | |
オーストラリア | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
日 本 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
日本:八木孔輝(4回)、●海邉和也(3回)-本塚勇太
〔二塁打〕大川竜志、永吉飛斗、佐藤光希
日本はこの優勝決定戦の先発投手に八木孔輝を起用。今大会「快投」を続ける投手陣の中でも横田将和ヘッドコーチが「もっとも信頼できる!」と豪語する右腕(※2020年U18ワールドカップ優勝投手)が、満を持して決勝の舞台に先発登板。
一方のオーストラリアは前日のスーパーラウンド最終戦(カナダ戦)で「ノーヒット・ノーラン」(※無安打・10奪三振)をやってのけた「絶対的エース」ジャック・ベスグローブが連投。まだ「19歳のサウスポー」ではあるが、 ″今大会はジャック・ベスグローブで栄冠を勝ち獲る!″ そんなオーストラリアの「メッセージ性のある投手起用」が最後まで貫かれる形となった。
試合は両先発投手が立ち上がりから一歩も譲らず投げ合い、0-0のまま終盤に突入(※日本の先発・八木孔輝は4イニングを投げ、被安打2・奪三振2の投球内容。先発投手としての役割をキッチリ果たした)。日本は5回表から2番手・海邉和也にスイッチし、その「貴重なサウスポー」海邉和也も負けじと熱投! 5回表、6回表とオーストラリア打線に得点を許さず、依然「互いに無得点」のまま最終回へ入った。
しかし、迎えた7回表、日本は一死からオーストラリアの7番打者にレフトオーバーのツーベースヒットを許すと(※決して強振するのではなく、『コンパクトなスイング』でしっかり『ミート』してきた)、8番打者は空振り三振に仕留め、二死二塁となったが、その後パスボールで二塁走者が三塁に進塁。ここで「曲者の9番打者」ジェレミー・ウォータース(※2018年世界ジュニア選手権優勝メンバー)に三遊間を破られ……ついに1点を奪われてしまった。
1点を追う展開となった日本はその裏「気持ちを切らすことなく」懸命に反撃を試み、この回先頭の5番・佐藤光希がチェンジアップをとらえ、レフト線にツーベースヒット! 無死二塁の同点のチャンスを作ったが、6番・大川竜志はショートゴロで走者を進められず、一死二塁。7番・西森亜夕夢も空振り三振に倒れ、二死二塁となり、最後は8番・本塚勇太がサードフライに打ち取られ、スリーアウト。試合終了。男子U23日本代表はすでにTOPカテゴリーで「世界一」となっているオーストラリアの「エース」ジャック・ベスグローブから4安打を放ったものの、11三振を奪われ、完封負けを喫し、今大会「準優勝」に終わった。
連投がかさんだ「相手のエース」ジャック・ベスグローブは、グラウンドレベルで見る限り全開・絶好調ではなく、「この調子のベスグローブなら打ち込めるぞ!」と、そんな期待が正直何度も持てた試合であった。
だが……結果的には4安打・11三振。特に得点圏に走者を置いた場面での「あと1本」「決定打」が厳しく、要所(ここぞ!の状況)で見逃し三振、空振り三振を繰り返してしまったことが実質「敗因」につながったと感じている。
前日の現地レポートで「ジャック・ベスグローブは対左打者の際、『アウトコース低め』へ『スライダーのように曲がるファストボール』を多投してくる。逆に右打者と勝負する場合は捕手が甘め(真ん中寄り)に構えるかわりに、球種(ハイライズやチェンジアップ)を増やす傾向にある」と記したが、この優勝決定戦のピッチングも「おおよそそのような傾向」にあった。
試合の最初から最後まで「精密機械のようなコントロール」は「ない」が、 ″ここで打たれたらまずい″ ″ここは絶対に抑えなければ″ と感じ取る「危機察知能力」はさすがで、そのような大事な局面では球威・制球力をグンと上げてくる。実際、日本の攻撃で5回裏(二死二塁のチャンスの場面)、1番・菊川智己が見逃し三振に終わったシーン(※左打者の背中から入ってくるようなスライダー(ローライズ?)に手が出ず、見逃し三振)は象徴的であり、敗れた日本としては、こういったところで「いかに三振をなくすか」もしくは「痛打を浴びせることができるか」が今後の「大きな課題」となるだろう。
ワールドカップに来てはじめて対策を練る、対応力を磨く、のでは遅い。
「世界トップレベル」の投手を打ち崩す、攻略するためには……この勝負の舞台に至るまでの段階で、国内の、日頃の練習から、「世界のトップを見据えたトレーニング」を積み重ねていく必要がある。
今大会、投手陣を中心とした「日本らしい堅い守り」が随所に見られ、日本本来の勝ちパターンである「ロースコアの試合展開」に常に持ち込めていたことは、高く評価できる。しかし、その一方で「打撃力」「得点力」が「ウィークポイント」であることが露呈されたのも事実だ。
″男子U23日本代表″ というチームはここで終わりではなく、ここからがスタート! このU23からTOPカテゴリーへと「つなげていく」「鍛え上げていく」チームである。
今回の経験を必ずや ″次″ につなげて‼
日本男子ソフトボールの未来は、今、ここにいる彼らの「成長」にかかっている。
●文・写真
男子U23日本代表チーム
選手団広報/竹﨑 治(日本体育社)