「第69回全日本総合女子選手権大会」が福井県越前市・永平寺町・福井市・敦賀市の
3市1町で開催。「福井しあわせ元気国体ソフトボール競技プレ大会」として開催された
「連覇」を狙ったビックカメラ高崎 BEE QUEENは準々決勝で敗退
トヨタ自動車 レッドテリアーズは「宿敵」を破り、ベスト4進出
デンソー ブライトペガサスは日本リーグでの不振を忘れさせる快進撃!
園田学園女子大は「大学生チーム」では唯一の準々決勝進出
来月、地元・愛媛での国体開催を控える伊予銀行 VERTZもベスト4!
豊田自動織機 シャイニングベガは3年連続の決勝進出
トヨタ自動車 レッドテリアーズの「絶対的エース」モニカ・アボットは4連投とフル回転
豊田自動織機 シャイニングベガは果敢に攻め、モニカ・アボットから7安打を放ったが…
トヨタ自動車 レッドテリアーズが「激闘」を制し、3年ぶり5回目の優勝!
去る9月16日(土)~19日(火)、福井県越前市(越前会場:武生東運動公園ソフトボール場)・永平寺町(永平寺会場:松岡総合運動公園 you me パーク)・福井市(福井会場:福井市きららパーク多目的グラウンド)・敦賀市(敦賀会場:敦賀市きらめきスタジアム)の3市・1町を会場に、「第69回全日本総合女子選手権大会」(大会結果はこちら)が来年に開催を控えた「福井しあわせ元気国体」のソフトボール競技プレ大会として開催された。
大会には、前年度優勝・準優勝チームを含む日本女子リーグ1部所属の12チームが推薦出場。その他、全国各ブロックの厳しい予選を勝ち抜いた女子リーグ2部所属チーム(5チーム)、大学チーム(12チーム)、クラブチーム(3チーム)の計32チームが集結。「日本一」の座をかけ、熱戦を展開した。
大会は、大型で強い勢力を誇る「台風18号」が日本列島を縦断するとの予報もあり、開催が危ぶまれていたが、大会初日からその台風の影響もあり、天候が悪化。全会場とも第1試合は行うことができたものの、越前会場(武生東運動公園ソフトボール場)が何とか第2試合終了まで試合を続行した他は、福井会場(福井市きららパーク多目的グラウンド)は第1試合終了時点で第2試合以降の試合実施が不可能と判断され、永平寺会場(松岡総合運動公園 you me パーク)が第2試合3回表で、敦賀会場(敦賀市きらめきスタジアム)が第2試合4回裏で、サスペンデッドゲームとなり、このサスペンデッドゲーム2試合を含む、1回戦の残り11試合が翌日(9月17日/日)に順延され、2回戦・準々決勝は大会3日目(9月18日/月・祝)、準決勝・決勝は予備日(9月19日/火)に実施する大会スケジュールに変更を余儀なくされた。
大会スケジュールの変更は行ったものの、1回戦の残り11試合を行う予定となった大会2日目(9月17日/日)は、台風18号が日本を直撃。九州から北海道まで縦断するようなコースを取ると予想されていたため、試合の実施は厳しいのでは……と思われたが、早朝から懸命のグラウンド整備を行い、一部試合会場を変更する等して予定された11試合を消化し、その日の夕方から翌朝にかけ、台風が襲来。激しい雨風に晒されたが、翌朝再び懸命のグラウンド整備を行い、チームも総出で水とりを行う等、関係者「一丸」となって準備に奔走。試合時間を遅らせて「プレーボール!」にこぎつけ、何とかこの日、予定されていた2回戦・準々決勝を予定通り行うことができた。
永平寺会場(松岡総合運動公園 you me パーク)は、前年度優勝のビックカメラ高崎 BEE QUEEN(群馬)と、常に日本リーグ、この全日本総合女子選手権大会でビックカメラ高崎 BEE QUEEN(群馬)と「優勝」「日本一」を争う「宿敵」トヨタ自動車 レッドテリアーズ(愛知)が同居する「激戦区」となり、準々決勝で早くもその両チームが激突。「事実上の決勝戦」と目されたこの試合は、予想通りBEE QUEEN・上野由岐子、レッドテリアーズ・モニカ・アボットという「世界屈指の好投手」同士の投げ合いとなり、上野由岐子がMAX117km/hを記録すれば、モニカ・アボットはMAX118km/hを叩き出す等、超ハイレベルな投手戦を展開。3回表、BEE QUEENは1番・森に「値千金」の一発が飛び出し、先取点を挙げると、その後も毎回走者を出し、押し気味に試合を進めていた。
投げては、「エース」上野由岐子が5回までレッドテリアーズ打線をわずか2安打に抑え込み、9三振を奪う力投。このまま押し切るかに見えたが、6回裏、レッドテリアーズが反撃。代打・山本絵梨奈が詰まりながらもライト前に落とすヒットで出塁すると、一死後、3番・長﨑望未がレフト線ギリギリに同点のタイムリーツーベースを放ち、一塁走者が一気に還り、同点。次打者の内野ゴロの間に三塁へ進み、5番・渥美万奈がファウル、ファウルで粘った末の10球目、四球を選び、出塁。途中出場の6番・田中麻美への2球目が痛恨のワイルドピッチとなり、三塁走者が生還。逆転に成功した。
レッドテリアーズの「絶対的エース」モニカ・アボットは7安打を浴び、毎回のように走者を背負いながらも、失点はソロホームランによる1点に抑え、最終回の二死三塁のピンチも代打・降矢香をサードライナーに打ち取り、ゲームセット。2-1で逃げ切り、準決勝進出を決めた。
福井会場(福井市きららパーク多目的グラウンド)は、日本リーグでは第7節終了時点で3勝12敗の同率10位、「入替戦出場」の危機に瀕しているデンソー ブライトペガサス(愛知)が「別人」のような快進撃。初戦の東北福祉大(宮城)戦を8-0の6回コールドで快勝すると、2回戦の日立 サンディーバ(神奈川)戦を松木瑛里、巽麗菜の本塁打等で4-2と競り勝ち、準々決勝では日本リーグで「躍進」を続けるSGホールディングス ギャラクシースターズ(京都)の安定感溢れる「エース」カーヤ・パーナビーから鬼澤麻純、松木瑛里が「効果的な一発」を放ち、2-1の逆転勝ち。この日の朝、早々にホテルのチェックアウトを済ませ、「帰り支度」までしていたチームが、日本リーグでは「上位」のチームを連破。見事、ベスト4に名乗りを挙げた。
越前会場(武生東運動公園ソフトボール場)では、園田学園女子大(兵庫)が大健闘。1回戦で日本リーグ2部・ホープセクションで首位を走る大垣ミナモソフトボールクラブ(岐阜)を4-0で破ると、2回戦では日本リーグ「1部」のシオノギ製薬 ポポンギャルズ(兵庫)も8-3で撃破。今夏のインカレ(全日本大学女子選手権大会)では惜しくも「連覇」を逃したものの、常に「優勝争い」を演じている「大学ソフトボール界の強豪」が快進撃。準々決勝でも同じく日本リーグ「1部」の伊予銀行 VERTZ(愛媛)と1点を争う好ゲームを展開。最終回、1点差に迫ったが、あと一歩及ばず、惜敗。この試合に2-1で勝利し、「1部リーグの意地」を見せたVERTZがベスト4進出を決めた。
敦賀会場(敦賀市きらめきスタジアム)では、「優勝候補」の一角に挙げられていた太陽誘電 ソルフィーユ(群馬)が、予想外の大苦戦。1回戦の環太平洋大短期大学部(愛媛)戦では、4回表に1点を先制しながら、その裏すぐに3点を奪われ、逆転を許す「想定外」の試合展開。終盤の逆転で4-3と辛勝したものの、2回戦のHonda Reverta(栃木)戦では序盤4点のリードを奪われ、原田のどか、藤田倭、中溝優生の3本の本塁打で5-4と試合をひっくり返し、準々決勝に駒を進めたものの、豊田自動織機 シャイニングベガ(愛知)に0-2の完封負け。ベスト4進出はならず、そのソルフィーユを完封したシャイニングベガが準決勝に勝ち上がった。
大会最終日(9月19日/火)、準決勝、レッドテリアーズ対ブライトペガサスの一戦は、初回、レッドテリアーズが ブライトペガサス・先発の辰巳舞衣の立ち上がりを攻め、一死から2番・山下りらが三遊間を破る安打を放ち、出塁すると、3番・長﨑望未がライトスタンドへ先制のツーランホームラン! 前日の準々決勝、「宿敵」BEE QUEEN戦でも「逆転」の口火を切る一打を放った「天才打者」が、この試合でもいきなりの「一発」。試合の主導権を握ると、5回裏には、代打・山本絵梨奈がライトスタンドへダメ押しのソロホームラン。
3点のリードをもらった「絶対的エース」モニカ・アボットは、ブライトペガサス打線をわずか2安打に抑え、完封。危なげのない試合運びで3-0と快勝し、レッドテリアーズが決勝進出を決めた。
もう一方のゾーン、シャイニングベガ対VERTZの対戦は、シャイニングベガが2回裏、5番・佐藤光紗、6番・ケイラニ・リケッツの連打からチャンスをつかみ、一死後、8番・ケイリン・キャスティーヨが四球を選び、満塁。ここで9番・神田結美が四球の後の初球を積極的に狙い、左中間へタイムリーツーベース。二者を迎え入れ、なお一死二・三塁のチャンスが続き、二死後、2番・横野涼が意表を突くセーフティーバント。これが見事に決まり、三塁走者がホームイン。この回3点を挙げた。
続く3回裏には、4番・洲鎌夏子、5番・佐藤光紗の連打から二死二・三塁の追加点のチャンスをつかみ、8番・ケイリン・キャスティーヨが右中間へスリーランホームラン。この一発で6点差にリードを広げた。
6-0で迎えた6回裏には、二死一・二塁から4番・洲鎌夏子がレフト前にタイムリーを放ち、二塁走者が生還。7点差となり、6回コールド勝ちが成立。シャイニングベガが3年連続となる決勝進出を決めた。
シャイニングベガとレッドテリアーズの「愛知県勢同士」の顔合わせとなった決勝は、シャイニングベガが試合開始と同時に選手交代。DP・ケイラニ・リケッツがFP・栗田美穂のピッチャーの守備を兼務し、「実質的な先発投手」となったが、レッドテリアーズは構うことなく、その立ち上がりを攻め、四球とファーストゴロエラー等で二死二・三塁とし、準決勝で「代打本塁打」を放ち、この試合スタメンに起用された5番・山本絵梨奈がレフト頭上を越えるタイムリーツーベース。二者を迎え入れ、試合の主導権を握ると、続く2回表にも死球、フィルダースチョイス、死球で無死満塁としたものの、ショートゴロ、ピッチャーゴロで二死となり、チャンスを逃したかに見えたが、4番・坂元令奈が満塁の走者を一掃するライトオーバーのツーベースを放ち、3点を追加。5点差にリードを広げ、このまま一方的な試合展開になるかと思われた。
しかし、シャイニングベガが、4連投となるレッドテリアーズの「絶対的エース」モニカ・アボットを果敢に攻め、2回裏には四球と8番・ケイリン・キャスティーヨのセンター前ヒットで二死一・二塁、3回裏には三振振り逃げ、3番・中森菜摘の一・二塁間を抜く安打で一死一・二塁、4回裏にも6番・ケイラニ・リケッツのセンター前ヒット、四球で一死一・二塁と、毎回のように得点圏に走者を進めながら「あと一本」が出ず、どうしても得点を挙げることができない。
シャイニングベガはようやく5回裏、この回先頭の2番・横野涼がライト前ヒットで出塁。一死後、4番・洲鎌夏子がレフトポール際へ「ツーランホームランか!?」という大きな当たりを放ったが、判定は「ファウル」で「幻」のホームランに……。それでも気を取り直し、洲鎌夏子が三塁強襲安打を「打ち直し」、一・二塁とチャンスを広げ、二死後、5番・ケイラニ・リケッツのファーストゴロがエラーを誘い、満塁。ここで7番・永溝早紀が三遊間を破るタイムリーを放ち、二者が還り、まず2点を返し、8番・ケイリン・キャスティーヨが四球を選び、再び満塁。追加点のチャンスが続いたが、「あと一本」が出ず、2点どまり。最終回にも、一死から5番・佐藤光紗が一・二塁間を破る安打を放ち、出塁したが、後続が連続三振に倒れ、無得点。5-2でレッドテリアーズが逃げ切り、3年ぶり5回目の優勝を飾った。