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第72回国民体育大会(2017愛顔つなぐえひめ国体)

男女4種別で熱戦を展開!
愛媛が男女総合、兵庫が女子総合優勝

「2017愛顔つなぐえひめ国体(ソフトボール競技)」が開催された

2日目が終日雨に見舞われたものの、3日間にわたり熱戦を展開

成年男子は「地元・愛媛」と栃木が優勝を分け合う形に

成年女子は「地元・愛媛」が快進撃を見せ、歓喜の優勝!

少年男子は「世代最強投手」宮本海斗を擁する広島が「連覇」!!

少年女子は長崎と千葉が勝ち上がり、両チーム優勝で幕
(※画像提供:ソフトボール・マガジン)

初日の試合終了後、成年女子の部の会場では
宇津木妙子氏による恒例の「ソフトボール教室」も行われた

来年は福井(福井しあわせ元気国体2018)へと
「国体の舞台」が移されることになる

 第72回国民体育大会(2017愛顔つなぐえひめ国体)ソフトボール競技が、去る10月1日(日)~3日(火)の3日間にわたり、愛媛県八幡浜市・大洲市(成年男子)・西予市(成年女子)・東温市(少年男子)・西条市(少年女子)を会場に開催された。

 愛媛県においては、昭和28年に四国4県で共同開催して以来、64年ぶり、初の単独での国体開催。特に「地元・愛媛」の方々は、感動や夢、希望を分かち合える国体をめざし、「お接待」に代表される“おもてなし”の精神で、「愛顔つなぐえひめ国体」の愛称のもと、その準備に万全を尽くし、一丸となって大会本番が迎えられていた。

 大会期間中は2日目が終日あいにくの雨。その雨の影響を受けながらも、懸命に試合実施を試み、できるところまで何とかスケジュールを進行する措置がとられたが、結局、成年男子の部が1試合消化できず、少年女子の部が全試合中止……。3日目(最終日)はともに準決勝までの実施となることを余儀なくされ、準決勝で勝利した2チームをそれぞれ優勝(第1位)とする形になってしまったが、男女4種別その悪天候にもめげることなく、最後まで「熱い戦い」が繰り広げられた。

 結果は、成年男子・成年女子で優勝、少年男子で準優勝の好成績を収めた「地元・愛媛」が天皇杯得点となる男女総合優勝。皇后杯得点となる女子総合優勝には、成年女子で第3位、少年女子で準優勝の成績を収めた兵庫が輝いた。

 愛媛県八幡浜市・大洲市/王子の森公園運動広場(王子の森スタジアム)他において開催された成年男子は、日本男子西日本リーグに所属する愛媛ウエストの単独チームである愛媛、また、日本男子東日本リーグに所属するホンダエンジニアリングの単独チームである栃木の2チームが優勝(※悪天候の影響で決勝戦を実施できず、両チーム優勝。愛媛は43年ぶり2度目、栃木は2年連続3度目の優勝)。
 愛媛は、初日の1回戦で長崎と対戦。1-1の同点で迎えた6回表、2番・小椋一弘、3番・池田寛人の長短打で無死二・三塁とチャンスを作り、4番・菅野達也、5番・遠藤大輔の連続犠牲フライで2点を勝ち越し。そのまま3-1で勝利を飾ると、2日目の準々決勝・大阪戦も、0-0のまま迎えた6回表に4番・菅野達也のタイムリースリーベースで待望の1点を先制。続く7回表には7番・谷本祥太、1番・前田直哉のタイムリーで大きな2点を奪い、勝利をグッと引き寄せ、最終的に3-1で勝利。事実上「優勝をかけた一戦」となった宮崎との準決勝では、初回から打線が爆発し、1番・前田直哉(2本)、7番・谷本祥太、3番・池田寛人の4本のホームランを含む16安打の猛攻で19-4と大勝。残念ながら決勝を戦うことができなかったものの、地元開催で見事43年ぶりの栄冠を手にした。
 一方、栃木は初日の1回戦で兵庫と対戦。初回に「キャプテン」を務める3番・糸瀬勇助のタイムリーで幸先良く1点を先制すると、4回表にはこの試合先発登板した「ベテラン」浜口辰也が自らセンターへ豪快なソロホームランを叩き込む等、着実に加点。守っても、その先発・浜口辰也が緩急自在のピッチングで兵庫打線を散発4安打に抑え、最終的に5-0の完封勝利を飾り、初戦突破。2日目、愛知との準々決勝は両チーム譲らぬ激しい打撃戦となったが、6-6の同点で迎えた7回裏、一死一・二塁から最後は6番・保坂真樹がしぶとく左中間へタイムリーを放ち、7-6のサヨナラ勝ちで準決勝進出を決めた。もう一方のブロック同様、準決勝が事実上「優勝をかけた一戦」となり、迎えた福井戦では、4回表に5番・床井優介のタイムリー、1番・坂田大士の満塁ホームラン等で一挙7得点。この打線の援護に先発・長井風雅が「ノーヒット・ノーラン」を達成する「快投」で応え、7-0と完勝し、「連覇」を達成した。

 愛媛県西予市/西予市営宇和球場・西予市宇和運動公園多目的広場で開催された成年女子は、日本女子1部リーグに所属する伊予銀行 VERTZのメンバーを主体に、「ふるさと選手制度」で今回も「故郷・愛媛県チーム」の一員としてプレーすることを選んだ「強力助っ人」長﨑望未、山下りら(※ともに日本女子1部リーグではトヨタ自動車 レッドテリアーズに所属)を加えた愛媛が7年ぶり2度目の優勝。
 2日目の準々決勝から登場した愛媛は、まず岡山と対戦し、初回、一死二塁から3番・長﨑望未の二遊間を破るタイムリーで1点を先制。3回表にも3番・長﨑望未のタイムリーツーベース、5番・樋口菜美のツーランホームランで大きな3点を追加すると、7回表には4番・加藤文恵のレフトへのツーランホームランでダメ押しの2点を加え、6-0と快勝。3日目の兵庫との準決勝は「取られたら取り返す!」白熱の攻防となったが、4-4の同点で迎えた6回表、相手投手の制球の乱れに乗じ、押し出しの四球とワイルドピッチで決勝点となる2点を挙げ、6-4で勝利。地元応援団の大声援にも後押しされ、まさに「勢い」に乗って決勝へと駒を進めた。決勝では、日本女子1部リーグに所属するトヨタ自動車 レッドテリアーズ、豊田自動織機 シャイニングベガ、デンソー ブライトペガサスの混成チームである愛知に「怯むことなく」挑み、4回裏、3番・長﨑望未のセンターへの鮮やかなソロホームランで1点を先取。5回表に同点に追いつかれはしたが、迎えた6回裏、5番・樋口菜美、6番・二宮はな、8番・松城あゆみの3本のタイムリーで一挙3点を奪い、勝ち越しに成功。そのまま4-1で逃げ切り、歓喜の優勝を飾った。

 愛媛県東温市/東温市総合公園多目的グラウンド・東温市かすみの森公園多目的広場において開催された少年男子は、広島県立御調高等学校のメンバーを主体とした広島が2年連続2度目の優勝。
 初日、1回戦で高知と対戦した広島は、4回表、一死二・三塁から5番・斎木玲於のセンター前タイムリーでまず1点を先制。なお一死一・三塁のチャンスが続き、ここで6番・佐々本集斗がスクイズを成功させ、2点目。この後7番・芦田竜之介にも二遊間を破るタイムリーが飛び出し、3点目を奪い、試合の主導権を握ると、守っては「球速120km/h超」の切れ味鋭いライズ・ドロップを武器に「世代最強投手」と呼び声高いエース・宮本海斗が、その前評判通り被安打4・奪三振10の好投を見せ、3-0の完封勝利。2日目の準々決勝・大阪戦でも、エース・宮本海斗が「さらに一段ギアを上げたピッチング」で被安打1・奪三振18と力投し、初回に挙げた1点を最後まで守り抜いて1-0の完封勝ち。準決勝の千葉戦も3回裏に自ら先制タイムリーを放ち、投げては被安打3・奪三振12とまさに「宮本劇場!」を演出する活躍で決勝進出を決めた。「地元・愛媛」と対することになった決勝では、3回裏に押し出しの死球と6番・佐々本集斗の走者一掃のタイムリーツーベースで一挙4点を奪い、このリードを「絶好調のエース」宮本海斗が愛媛打線をわずか3安打に抑え込む「相変わらずの好投」で守り抜き、4-0と快勝。貫録の「連覇」を成し遂げた。

 愛媛県西条市/西条市東予運動公園多目的広場において開催された少年女子は、九州文化学園高等学校のメンバーを主体とする長崎と、千葉経済大学附属高等学校のメンバーを主体とする千葉が決勝まで勝ち上がり、優勝を分け合う形となった(※悪天候の影響で決勝戦を実施できず、両チーム優勝。長崎は7年ぶり2度目、千葉は2年連続7度目の優勝)。
 長崎は初日の1回戦で愛知に3点を先取されながら、粘り強く戦い、4-4の同点で迎えた7回表、一死満塁から8番・福田芽生のライトへの犠牲フライと9番・古庄未久のレフト前タイムリーで2点を挙げ、6-4と逆転勝ち。2日目の準々決勝・福岡戦も序盤に奪ったリードを最後まで守り抜いて4-2で勝利を収めると、3日目、事実上「優勝を決める一戦」となった準決勝では兵庫と対戦。1-1の同点のまま最終回を迎えたが、7回表、一死二塁から8番・福田芽生の右中間を切り裂くタイムリースリーベースで二塁走者を迎え入れ、勝ち越しに成功。2-1で接戦をモノにし、「真の意味での頂点奪取」こそ叶わなかったが、優勝の栄冠を手にした。
 一方、千葉は3日目の準々決勝(※2日目が雨のため中止。翌日(最終日)の日程に組み込まれ、実施された)から登場する形となり、まず香川と対戦。初回から着々と得点を重ね、14安打を浴びせる猛攻! 8-1で一蹴し、事実上「優勝を争う一戦」となる準決勝へ駒を進めると、その準決勝では、今年、春の選抜・夏のインターハイを制し、この国体で「三冠達成」を狙う創志学園高校の単独チームで臨んだ岡山と激突。3回表に1番・鈴木真唯のタイムリーツーベースで1点を先制した後、5回表にも一死三塁から9番・大石沙和のショートゴロの間に2点目を加え、試合の主導権を握り、1点を返された後の6回表には一死二・三塁から5番・上杉緋呂がスクイズを成功させる等「ソツのない攻撃」で2点を追加。その裏、粘る岡山に2点目を返され、7回裏も二死満塁と「一打同点、長打・一発が出れば逆転サヨナラ」のピンチを背負ったが、何とか逃げ切り、昨年に続く「連覇」を果たした。

 また、今回の国体でも、初日の試合終了後に成年女子の部の会場(西予市宇和運動公園多目的広場)で、宇津木妙子氏(公益財団法人日本ソフトボール協会副会長・国際委員長/シドニーオリンピック、アテネオリンピック女子日本代表ヘッドコーチ)を講師に、藤本索子氏(北京オリンピック金メダリスト)、廣瀬芽氏(北京オリンピック金メダリスト)、乾絵美氏(アテネオリンピック銅メダリスト、北京オリンピック金メダリスト)がアシスタントとなり、地元の小・中学生を対象に「ソフトボール教室」を実施。ウォーミングアップからはじまり、キャッチボールの指導、また、打撃・守備の基本中の基本が伝授され、女子日本代表ヘッドコーチ時代同様、宇津木妙子氏ならではの「熱血指導」が行われた。

 男女4種別が3日間にわたり熱戦を繰り広げ、今回は「地元・愛媛」の男女総合優勝、兵庫の女子総合優勝という結果で幕を閉じた第72回国民体育大会(ソフトボール競技)。来年は福井(福井しあわせ元気国体2018)へと「国体の舞台」が移されることになる。日本において「国内最大のスポーツの祭典」と言われる国体。今後もこの国体を通じて「ソフトボール」が人々の身近にあり続け、親しまれることはもちろん、真に愛される競技へ発展していってほしいと切に願う。そのためには、まず開催地の行政や関係者、そして選手たちがともに手を取り合い、一丸となって大会を「盛り上げ」、「成功させる」こと。そしてその上で……「人々の記憶に残る」祭典にし続けていくことが重要である。

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