隔年開催となった「全国審判員・記録員中央研修会」を愛知県刈谷市で開催
開講式で主管協会を代表し、挨拶する長井和彦愛知県協会副会長
審判・記録の「合同研修」では、阿久津静審判委員長代行が
2018年度のルール改正点を入念に確認し、解説した
今回の研修の「目玉」となったVR(バーチャルリアリティ」を活用した
「ストライクゾーン」の研修
「打席外し」や「ライン消し」に際し、どう記帳すべきか、
記帳方法について解説する佐藤正典記録委員
「実技研修」でも「ストライクゾーン」を入念に確認!
記録の部の研修は、国際大会に対応した機能を搭載した
新記録集計システム「Windmill Version.2」の研修を行った
審判の部の研修では、地区別の「事例研修」も実施。
活発な意見交換を行い、代表者にも発表も行われた
記録委員会の「あるべき姿」「めざすべき場所」「国際化」等
について、熱く語る井之上哲夫記録委員長
今季限りで退任する委員に花束が贈呈される一幕も……
研修生を代表し、謝辞を述べる柴木政雄福井県協会審判委員長。
福井県では今年「福井しあわせ元気国体」が開催される
去る2月10日(土)~12日(月・祝)の3日間、愛知県刈谷市・刈谷市産業振興センター・双葉グラウンドを会場に、「球春」の訪れを告げる恒例の全国審判員・記録員中央研修会が開催された。
この中央研修会は、「隔年開催」となったため2年ぶりの開催となったが、全国各都道府県支部の審判委員長・記録委員長またはそれに準ずる「指導的役割」を担う140名余りが参加。2018年のルール改正点をはじめ、それに伴う審判員・記録員の実務的な変更点を中心に熱心な研修が行われた。
また、全国有数のチーム登録数、審判員・記録員登録数を誇る愛知県ソフトボール協会、「ソフトボールのメッカ」刈谷市ソフトボール連盟のスタッフが、「ブランク」を感じさせない協力体制で献身的にサポート。研修会をより円滑に、よどみなく進行させる「大きな力」となり、「黒子」に徹しながらも、見事に統率されたその働きで「存在感」を際立たせていた。
・研修会初日(2月10日/土)
【開講式】
研修会初日、刈谷市産業振興センター・小ホールで催された開講式では、まず公益財団法人日本ソフトボール協会・徳田寬会長が挨拶に立ち、「審判員の皆さんには、観ていて試合が楽しくなるようなジャッジをお願いしたい。もちろん、その根本には『正確で公正なジャッジ』がなければならないが、ソフトボールをより楽しく、面白く、観戦できるような方策を審判員としても工夫し、考えていってもらえれば……と考えている。記録員の皆さんにも、ソフトボールという競技の面白さ、楽しさ、深さが伝わるような記録の伝え方をしていただき、『あと1本ヒットが出ればあの選手が記録を達成する』とか、『この選手はこんな特徴を持った選手です』等、記録的な見地、数字の積み重ねから、観客の皆さん、ソフトボールファンの皆さんへのサービスに努め、選手・チームと審判員・記録員が『一体』となって、試合を観戦するワクワク感、ドキドキ感が高まるような試合を、大会を、作り上げていってほしい」と、ソフトボールをより魅力あるスポーツとしていくための「提言」がなされ、「2018年のシーズンは、千葉で開催される『第16回世界女子選手権大会』を是が非でも成功させなければならない。その盛り上がりも皆さんの力にかかっているといっても過言ではなく、世界選手権を必ずや成功させ、その勢いで2020年東京オリンピックまで突っ走りたいと考えている。国際的なビッグイベントが次々と開催される中で、審判員も記録員も、よりインターナショナルでグローバルに活躍できる人材の発掘・育成が急務であり、そのための取り組みを推し進めてほしい」と、国内における伝達に留まらず、視野を「世界」へと広げ、世界に羽ばたく委員会となってほしいと参加者を激励した。
続いて、地元・愛知県ソフトボール協会・長井和彦副会長が主管協会を代表して挨拶。「愛知県協会、刈谷市連盟の総力を挙げて、この研修会がより実り多きものとなるよう最大限のサポートをしていきたい。至らないところも多いと思うが、この研修会がよりスムーズに、滞りなく進行できるよう、微力ながら全力を尽くしたい」と、協会挙げての全面的なバックアップを約束し、3日間にわたる研修会がスタートした。
【審判・記録合同研修】
開講式終了後、そのまま刈谷市産業振興センター・小ホールにおいて、審判員・記録員が合同研修。審判委員会・阿久津静委員長代行が司会・進行役を務め、「2018ルール改正点」について研修。「2018 オフィシャル ソフトボール ルール」の「まえがき」と参照する形で、ルール改正の経緯・背景・趣旨について解説。
特に、国際ルールの改正に伴い、改めてその「基準」が明文化された「ストライクゾーン」と、投球規程の改正(自由足を投手板から離し、後方(投手板の両端の後方延長線内)に置くことができる)の2点について、入念な解説が加えられた。
この合同研修の後、審判・記録それぞれに分かれての研修に入った。
【審判の部】
審判の部の研修は、国際ルールの改正に伴い、それに合致する内容に修正された「ストライクゾーン」「ストライク」についての研修でスタート。
国際ルールの改正に伴い、「R1-65項」「R7-4項」において、「打者が自然に構えたとき(スイングする前)の「みぞおち」(上限)と「膝の皿の底部」(下限)の間の、本塁上の上方空間」であり、「ホームプレート上に想定される5角柱の空間」と定義(明記)され、そのホームプレート上に想定される5角柱の空間のどこかを球が通過すれば「ストライク」である、と明記された。
従前のJSAルール(国内ルール)では、「R1-65項」で「打者が打撃をしようとするときの脇の下と膝頭の間の、本塁の上方空間」が「ストライクゾーン」と定義されており、「R7-4項」にも同様の文章が「注」として記載されていた。これは国際ルールも同様であったが、それが昨年10月の4年に一度の国際ルールの改正によって、現在、世界選手権等ですでに運用されている実際のストライクゾーンの判定基準をより明確にしようとの意図・趣旨で「ストライクゾーン」「ストライク」に関する文章表現が書き改められた。それに合わせ、JSAルールも「R1-65項」を修正し、(注1)~(注3)を追記。「R7-4項」も同様の修正が加えられ、(注)を(注1)~(注4)に細分化。国際ルールの改正に伴い、若干の修正が加えられたが「ストライクゾーン」が大幅に変わったというわけではない。
高さの上限が「脇の下」から「みぞおち」に、下限が「膝頭」から「膝の皿の底部」という表現に修正されており、この文章だけを見るとストライクゾーンがずいぶんと下がったような印象を持たれるかもしれないが、実際に打者が打撃姿勢をとったときの上限、下限の位置を見ると、さほど大きな差異はなく、わずか「数cm」の違いでしかない。
また、内・外角についても、「ホームプレートにかかっていなければならない」から「ホームプレートに接すればストライク」となり、「ホームプレート上に想定される5角柱の空間のどこかを球が通過すればストライク」と文章表現が書き改められ、これも文章だけを読むとストライクゾーンが大きく広がったような印象を受けるかもしれないが、現実にはホームプレート上で急激に変化するようなボールはなく、実際にボールが変化をはじめる地点は思っているよりも(見た目よりも)ずっと投手寄りである、という「事実」を考えると、ルールの条文の文章表現が変更されたからといって、「ストライクゾーン」が大きく変わったわけではなく、実際の運用に即した形で微調整が加えられた、と受け止めるべき内容のようだ。
今回の研修では、「女子TOP日本代表」をはじめ、「GEMプロジェクト」等、「日本代表」の強化にも携わっている「NTTコミュニケーション科学基礎研究所」の協力を得て作成されたVR(バーチャル・リアリティ)を活用した「ストライクゾーン」の研修も行われ、VR上で110km/hに設定された様々な球種のボールがストライクゾーンを通過したか否かを実際に判定。また、前述した「ボールが変化をはじめる位置」等についてもVR上で確認。ピッチャーが投じたボールがどのような軌道を描いて捕手のミットに収まっているか、最先端の科学技術による分析・検証を進めると同時に、それをフル活用したVR研修に時間が割かれた。
続いて、吉里弘副委員長を中心に「競技者必携の改訂・修正点」を確認。2017年度と2018年度の改訂・修正点がひと目でわかる一覧表が用意され、その一覧表に従って、一項目ずつ入念な確認作業が行われた。ここでも塁審の立つ位置、判定する位置が「国際基準」に沿って変更されたことが説明され、翌日の実技研修で実際に確認することになった。
次に、村島成幸副委員長を中心に、「審判実務について」に確認され、翌日に予定されている実技研修について、その要点や進め方が説明され、初日の研修を終了した。
【記録の部】
記録委員会では、井之上哲夫委員長が冒頭の挨拶で、日本協会全体の動向や記録委員会が取り組む国際化(国際大会対応の機能を搭載し、リニューアルした「Windmill Ver.2」、スコアリングマニュアルの英訳、国際大会における公式記録・記帳の統一化)、記録委員会が取り組むべき課題について話があった後、下村征二副委員長による「本年度の反省と統一事項の確認」が行われ、日本リーグ、各種全日本大会に派遣された記録委員、派遣記録員の報告をもとに、各種大会における反省点が洗い出され、記録委員会としての「統一事項」が再確認された。
ここでは、各種大会で必要になる環境の整備を主管協会が責任を持って行うことの重要性が説かれ、記録業務に必要な機器が十分に整備されていなければ、迅速に正確な公式記録を提供することは物理的に不可能であることが改めて強調された。
また、当たり前のことだが、グラウンドでのプレーを見ていなければ、絶対に「正確な記帳」はできないし、公式記録としての信頼性は損なわれてしまう。「記録員に求められていることは何か」「そのために何が必要なのか」、それを全員で再確認し、来るべきシーズンに備えた。
次に、佐藤正典委員を中心に「事例研修」。全国の大会で実際に起こった事例を検証し、どのように記帳すればよいか、その模範解答が示された。
これも記録員の「バイブル」である「スコアリングマニュアル」が発刊されるようになってからは、統一見解が示され、記帳方法も統一されたことによって、全国から寄せられる事例の数は年々少なくなっており、これは「スコアリングマニュアル」の定着・浸透を示す、何よりの「証」であり、その「成果」の賜物であるといえよう。
最後は、遠藤正人副委員長、本間恵美子委員による「スコアカードの記帳」(選手交代と集計)の研修。ソフトボールでは「DP」が「FP」やその他の選手の守備を兼務することや、守備を兼務された選手は「OPO」となって打撃専門の選手となること、「FP」が「DP」の打撃を兼務し、またはその逆で兼務を解除すること等、一筋縄ではいかない「複雑」な選手交代が行われるケースもある。ただ、どんなに複雑に見える選手交代であったも、その組み合わせは「無限」にあるわけではなく、実際には「限られたパターン」しかないのも事実である。ルールを熟知し、正確に理解していれば、確実に記帳できるはずであり、然るべき選手にキチンとその記録を残し、集計することは決して難しいことではない。むしろ記録員としては「当たり前」のことであり、これができなければ「公式記録」とは呼べないものになってしまう。記録員としての「基礎・基本」に立ち返り、全員でスコアカードを記帳・集計した上で、本間恵美子委員が選手交代におけるスコアカードの記帳・集計上の留意点や重要ポイントを解説。どんな選手交代があろうとも、滞りなく試合が円滑に進行できるよう、その内容を再確認し、初日の研修を締めくくった。
・研修会2日目(2月11日/日)
【審判の部】
研修会2日目、審判の部の研修は、場所を「双葉グラウンド」に移しての実技研修となった。
全員でウォーミングアップを行った後、まずは前日、VRを活用して研修を行った「ストライクゾーン」を再確認。ルールの条文との整合性を図りながら、どこからどこまでが「ストライク」なのかを全員で確認。長い棒の先にイエローボールをつけた器具等を駆使しながら、入念に「ストライクゾーン」の確認を行った。
ここでは、これも「国際基準」に合わせて変更された「球審の構え」も研修。右打者の場合、右足をホームプレートの中心に置き、左足を一足分前に出し、「臍(へそ)」をホームプレートの3/4の位置に置くような形で、無理に「投手に正対」させるのではなく、自然な体勢で投球を待ち、ホームプレートのアウトサイドに接するようなボールでも十分に目が行き届くような「構え」に変更された。
また、すでに昨年「予告」されていた「打席外し」や「ライン消し」についても、その「効果」(ペナルティ)が確認され、球審はそのような行為があった場合には、「ボールデッド」とし、打者を指さして「ペナルティワンストライク」を宣告。例えば、ツーアウト後、打者が三振した際の「ストライク」の宣告に腹を立て、腹立ちまぎれに打者席のラインを故意に消してしまったような場合は、攻守交代となっても、その「ペナルティワンストライク」は持ち越され、次にそのチームの攻撃となったときに、先頭打者が打席に入る際、打者に対し、「ペナルティワンストライク」を宣告することが確認された。
この「ペナルティワンストライク」は、なぜ「ストライク」が宣告されたのか、放送設備がある場合には場内アナウンスでそれを知らせ、それができない場合にも当該チームの監督に通告し、対応することで意思統一が図られた。
ただ、「打席外し」も「ライン消し」も「ペナルティ」を与えることが目的ではなく、あくまでの試合のスピードアップやフェアプレーを促すためのルールであり、例えば、特に小・中学生の選手がサインを見るために両足を打席から外してしまっているような場合には、まず球審が「打席に入って」と注意を促すこと、また、打者が打者席内をならしていたときに、たまたま砂がラインにかかった、消えてしまった、というような場合はすぐにペナルティを適用する必要はないことが改めて確認された。
審判員にとって大切なことは、「ペナルティ」を与えることではなく、それが「故意」であるか否か、試合の遅延を意図するものか否か、あるいは打者席のラインを消すことによって自らの打撃を有利にしたり、審判の目をごまかそうという意図があっての行為か、といったことを審判員が冷静にしっかり見極めることである、という「統一見解」が示され、さらに研修が続けられた。
次に、「投手版の踏み方」についての研修に入り、これも国際ルールの改正により、従前、投球準備動作において、投手板を踏むときは必ず両手を離して「両足」を投手板に触れていなければならなかったが、「軸足」のみ投手板に触れていれば、「自由足」は投手板から離して後方に置くことがルール上認められた。
もちろん、従前通り「両足」で投手板に触れても構わないが、「軸足」が投手板に触れていれば、投手板の両端後方延長線内であれば、「自由足」を後方に置くことができるようになったのである。
ただし、投球動作に入るとき、「セット」して「完全停止」を行った後は、「自由足」を投手板から後方へ引いたり、あらかじめ後方に置いていた「自由足」をさらに後方に引いた場合には「不正投球」が適用される。
ここでは、「投手板の両端の後方延長線内」の解釈が確認され、これは「自由足」を踏み出す範囲(投手板の両端の前方延長線内)と同様の解釈であり、想定される「ライン上」はその「範囲内」にあるとみなされ、完全に踏み出してしまった場合には、「不正投球」となることが確認された。
また、あらかじめ後方に置いた「自由足」の踵を上げ下げするような行為は、その位置が変わらなければ(後ろに引かなければ)、合法的な投球であるとの「統一見解」が示された。
続いて、一塁塁審、二塁塁審、三塁塁審の位置及び動きの変更点が確認された。これも「国際基準」に合わせた変更であり、走者がいないときには塁から5.5mの位置に立ち、走者がいるときには、そこからさらに1mほど近づいた位置をとる研修が進められた。
次に、各グループに分かれて、「投球判定」の研修。今年も、地元・愛知県に所属する男女日本リーグチームのバッテリー、県下の高校女子チームのバッテリーの協力を得て、実際に投球を行いながら、「ストライクゾーン」を入念に確認。ここでも一球一球、これまでの研修内容を踏まえながら判定を行い、審判員同士、あるいは投球するピッチャー、それを受けるキャッチャーの意見にも耳を傾けながら、真剣な表情で投球に向かっていた。
前日のVR研修、この日朝の「ストライクゾーン」の研修で入念な確認を行った成果か、実際の投球判定においても大きな混乱はなく、「ストライク」「ボール」の大きな声がグラウンドいっぱいに響き、審判員・選手・チームがコミュニケーションを密にしながら、それぞれの立場から確認し合い、研修を進める姿が印象的であった。
昼食を挟み、午後はローテーションの研修。ここでは、愛知県下の高校女子チームの協力を仰ぎ、特に、変更された塁審の位置・動き、判定位置を入念に確認。厳しい寒さの中、シーズンの開幕を直前に控え、「実戦」を想定した熱心な研修が進められた。
【記録の部】
記録の部、2日目の研修は、関根睦、筒井照雄両委員を中心に、「スコアカードの点検に関する留意点」の研修でスタート。この研修に参加しているのは、各ブロック・各都道府県支部協会では「指導的役割」を担う方々ばかり。それだけに「スコアカードの点検」が重要な任務となるだけに、まずはスコアカードを点検する際の効率的な手順、要領を全員で再確認。誤りやすい点、見過ごしがちな点等を踏まえた上で、実際にあらかじめ人為的な「ミス」が配されたスコアカードの点検の「試験問題」に取り組んだ。
昼食を挟み、遠藤正人副委員長を中心に、リニューアルされた記録集計システム「Windmill Ver.2」の研修が行われ、新たに追加された機能や操作の利便性の改善等が説明され、実際にそれを使用。
参加者それぞれが用意したPCのため、端末ごとに環境の差異があり、「Windmill Ver.2」をインストールする段階から戸惑うような場面もあったが、従来使用されてきた「Windmill Ver.1」と、それほど大きな操作性の違いはないとあって、それぞれのグループに分かれての大会結果の入力・集計作業は処理速度の違いこそあれ、順調に研修は進み、今後、この「Windmill Ver.2」が今夏開催される「第16回世界女子選手権大会」や「日米対抗」「JAPAN CUP」等の各種国際大会で活用され、より迅速で正確な公式記録の提供や、ソフトボールの魅力や楽しさ、素晴らしさを伝えるためのツールとして有効利用されることを期待したい。
・研修会最終日(2月12日/月・祝)
【審判の部】
最終日の研修は、ルール改正点の確認、「競技者必携」の改訂・修正点が確認され、東日本・中日本・西日本の三地区に分かれての事例研修も実施された。
ルール改正点の確認、「競技者必携」の改訂・修正点の確認では、初日のVR研修、前日の実技研修で実施された内容を全員で再確認。「全国どこでも、誰がやっても、同じ判定となるように」と意思統一を図り、この後行われる地区伝達、各都道府県支部の伝達、あるいは各市町村に至るまで、「同じ内容」でしっかりと伝達できるよう周知徹底が図られた。
三地区に分かれての事例研修では、昨年の全日本大会、日本リーグはもとより、各地区・各都道府県・各市町村等で起こった「実際の事例」をもとに、そのような事態が起こったとき、どのような対応をすべきか、あるいはどのような備えをしておけばそのような事態を招くことがなかったかと徹底的に議論。様々な角度から検証を試み、問題点・課題の洗い出しを行い、予防策・防止策を検討。最後は東日本・中日本・西日本の三地区で意見を集約し、代表者が発表を行った。
最後に、村島成幸副委員長が地区伝達における伝達方法、その要点を最終確認。阿久津静委員長代行が研修会を総括し、今回の研修会の全日程を終えた。
【記録の部】
記録の部、最終日の研修は、堀義光、吉田ケイ子委員を中心に「スコアカードの点検に関する確認事項」を行い、常岡昇委員が地元・青森県における記録委員会の取り組みを、吉田ケイ子委員が同じく地元・福岡市の取り組みを紹介。それぞれの支部、あるいは市町村における特徴的な取り組みが紹介された。
また、「国体を迎えるにあたり」と題し、平成30年に国体開催を迎える福井県、翌31年に国体開催を迎える茨城県が、それに向けた備えや記録員の育成、行政との連携等、「国体ならでは」の実践例が報告された。
最後に、井之上哲夫委員長が研修会を総括。記録委員会が取り組んでいるスコアリングマニュアルの英訳や国際大会に対応した「Windmill Ver.2」のリニューアルといった「国際化」について言及。また、研修会初日に行われたVRの研修についても、「できれば審判員だけではなく、記録委員会も合同で研修を行い、その内容を『共有』したかった。もちろん、記録員はグラウンド上で起こったことを正確に、公正に、間違いなく、記帳し、迅速に公式記録を提供するのが役目であることは重々理解しており、その投球が『ストライク』か『ボール』か、審判員のジャッジに口を出す気は毛頭ない。ただ、最先端の技術を活用し、どのような研修を行っているか、お互いの委員会が何をめざし、どこへ向かっているのか、その『目的』や『方向性』を知り、理解・共有しておくことは審判委員会・記録委員会の『連携』『協力』ということを考えても、やはり大切なことではないか……と思う。せっかく合同で研修を持つ機会を持っているのだから、それを最大限に活かす内容にしなければならないと思うし、中身の濃い研修ししていく努力が必要なはずである」と今回の研修を締めくくった。
【閉講式】
閉講式では、まず主催者を代表し、公益財団法人日本ソフトボール協会・髙橋清生専務理事が、主管協会である愛知県協会、刈谷市連盟に謝辞を述べ、「時代の求めによってソフトボールも変わり、組織も変わっていく。ソフトボールという競技をより魅力あるものとしていくためにも、審判員・記録員の皆さんの力は欠くことのできないものであり、変わりゆく時代に取り残されることなく、変化を恐れず、常に新たなことにチャレンジし、ソフトボールを支えていってほしい」と参加者を激励。
続いて、愛知県協会・長井和彦副会長、刈谷市連盟・艸田聰名誉会長が挨拶し、最後に、研修生を代表し、平成30年度の国体開催地となる福井県協会・柴木政雄審判委員長が謝辞を述べ、3日間にわたる研修会の全日程を終了した。