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●第64回全日本総合男子ソフトボール選手権大会

日本体育大学(東京)が歴史を変える初優勝!
「大学勢初」の頂点に立つ!!

日本体育大学(東京)が日本リーグ勢をなぎ倒し、初の栄冠に!

男子ソフトボール「日本の頂点」をかけ、32チームが熱戦を展開

「大学王者」日本体育大学がその強さを証明する「躍進」を見せた

7月の全日本実業団選手権を制したトヨタ自動車が、
準決勝で王者・平林金属に勝利! 4年ぶりの決勝へ!!

平林金属は準決勝で敗退。3連覇達成はならなかった

もう一方の準決勝では、日本体育大学がデンソーを撃破!

デンソーは、今大会「2試合連続の完全試合」をやってのけた
「エース」山脇佑也を柱に意地を見せたいところだったが……

周囲の期待・注目を集める日本体育大学が、
決勝でトヨタ自動車に果敢にチャレンジ!

試合は予想外ともいえる一方的な展開に……。
日本体育大学が得点を重ね、6-0で「完勝」!!

「大学勢」としては初の全日本総合選手権制覇!
可能性溢れる若き才能たちが、歴史を変えた!!

 「第64回全日本総合男子ソフトボール選手権大会(大会結果はこちら)」が、去る9月15日(土)~18日(火)の4日間(※雨天のため初日/9月15日(土)が中止・順延)、京都府福知山市/福知山市三段池公園多目的グラウンド他において開催された。

 大会には前回優勝の平林金属(岡山)、準優勝の高崎市役所(群馬)をはじめ、昨年の日本男子ソフトボールリーグ決勝トーナメントに出場した7チーム(※昨年優勝の平林金属を除いた7チーム(トヨタ自動車(愛知)、日本エコシステム(岐阜)、ホンダエンジニアリング(栃木)、デンソー(愛知)、大阪桃次郎(大阪)、高知パシフィックウェーブ(高知)、ダイワアクト(佐賀))が推薦出場。その他、全国各都道府県・各ブロックの厳しい予選を勝ち抜いた23チーム、開催地枠として地元1チームを加えた総勢32チームが出場。文字通り「日本の頂点」をめざして熱戦を繰り広げた。

 雨天による中止・順延で実質初日となった大会2日目/9月16日(日)は、1回戦16試合が行われ、中国ブロック代表の環太平洋大学(岡山)が豊田自動織機(愛知)を2-1、関東ブロック代表の原巽ジャガーズ(埼玉)が愛媛ウエスト(愛媛)を3-2、東海ブロック代表の三菱重工名古屋(愛知)がジェイテクト(徳島)を3-2(※サヨナラ勝ち)、開催地枠で出場した京都サンファニークラブ(京都)がNeo長崎(長崎)を2-0、関東ブロック代表の日本体育大学(東京)がYKK(富山)を2-0で破る等、「日本リーグ勢」から「金星」。

 しかし、大会3日目/9月17日(月)に入るとその「日本リーグ勢」が本領を発揮し、2回戦で前回優勝・今大会「3連覇」を狙う「王者」平林金属が環太平洋大学に11-3、日本エコシステムが原巽ジャガーズに6-4、トヨタ自動車が未来都H・C(大阪)に9-1(※5回得点差コールド)、デンソーが三菱重工名古屋に4-0、大阪桃次郎が京都サンファニークラブに5-0、ホンダエンジニアリングが前回準優勝の高崎市役所に3-1で快勝する等、順当にベスト8へ進出。続く準々決勝でも平林金属、トヨタ自動車、デンソーがそれぞれ勝利を収め(※平林金属が旭化成に4-3、トヨタ自動車が日本エコシステムに4-1、デンソーが大阪桃次郎に5-2で勝利)、勝ち進む状況となったが、その中にあって唯一「大学勢」の日本体育大学がダイワアクト、ホンダエンジニアリングを撃破する「大躍進」を披露!「『王者』平林金属の『3連覇』達成なるか!?」といった戦前の見どころに加えて「『大学チャンピオン』日本体育大学が『大学勢として初』の全日本総合選手権制覇を成し遂げるか!?」という新たな注目ポイントが生まれ、ベスト4が出揃うことになった。

 最終日となった大会4日目(予備日)/9月18日(火)は準決勝・決勝が行われ、準決勝・トヨタ自動車対平林金属戦は、平林金属が3回裏に相手守備の乱れに乗じて1点を先制。このまま有利に試合を進めるかと思われたが、トヨタ自動車もすぐに反撃。4回表、四球、ヒット、盗塁で無死二・三塁のチャンスを作ると、次打者の4球目がワイルドピッチとなる間にまず同点。なお無死三塁のチャンスが続き、三振で一死となったが、ここで5番・西森亜夕夢がしぶとくレフト前に落とすタイムリーを放って逆転に成功。2-1と1点リードのまま迎えた7回表にも、この回先頭の7番・井上洋平の内野安打を足場に盗塁、内野ゴロ、死球で一死一・三塁と攻め、次打者の初球が再びワイルドピッチとなる間に大きな3点目を追加。投げては、このリードを「エース」櫻田侑也が被安打3・奪三振11の「力投」で守り抜き、完投勝利を収め、王者・平林金属の3連覇を阻止! 4年ぶりの決勝へ駒を進めた。
 もう一方の準決勝・日本体育大学対デンソー戦は、日本体育大学・小山玲央、デンソー・山脇佑也の「両エース」が立ち上がりから一歩も譲らぬ「投げ合い」を展開。試合が動いたのは5回表、日本体育大学が5番・小貫満郎、6番・調和政の長短打で無死二・三塁と攻め立て、次打者の3球目がワイルドピッチとなる間に待望の1点を先制。さらに無死三塁と続いたチャンスで「ここが勝負どころ!! 」と見た田儀幸男監督が迷わず「スクイズ」を指示。これを7番・竹森歩夢がキッチリと決め、貴重な2点目を追加した。守っては、ここまでその「高いポテンシャル」を見せつけ、強豪・日本リーグ勢をなぎ倒してきた「絶対的エース」小山玲央が5イニングを被安打3・失点0の投球内容でしっかりまとめると、6回表から「体力温存」といわんばかりに2番手・豊本翔貴へつなぐ余裕の投手リレー。ラスト2イニングもリリーフに立った豊本翔貴がデンソー打線に得点を許さず、2-0の完封勝利を飾り、9年ぶりの決勝進出を決めた。

 決勝では、「36年ぶり4度目」の頂点を狙うトヨタ自動車と「初優勝」をめざす日本体育大学が激突。“ここまできたら失うモノは何もない!”とチーム一丸突き進む日本体育大学が2回裏、トヨタ自動車の先発・櫻田侑也を攻め、この回先頭の4番・池田泰一朗のレフトへの会心のソロホームランで1点を先制。一死後、6番・調和政、7番・竹森歩夢にも長短打が飛び出し、2点目を追加すると、続く3回裏には代わった濱口寿二から3番・田中亨昂のタイムリー、ワイルドピッチ、犠牲フライで一挙3得点。こうなると流れは一気に日本体育大学へ傾き、4回裏にもこの回先頭の8番・上田郁也がレフトへ特大のソロホームラン! 怒涛の「3イニング連続得点」で優勝をグッと引き寄せた。投げては、満を持して先発登板した「絶対的エース」小山玲央がこの決勝でも相手打線を「力でねじふせる」圧巻のピッチングを展開。7イニングを投げ抜き、被安打2・奪三振7と危なげのない投球内容でトヨタ自動車打線をシャットアウト。6-0の「完勝」で、「大学勢初」となる全日本総合選手権優勝を成し遂げた。

 先に行われた全日本大学選手権(インカレ)で「圧倒的な強さ」を見せつけ、2年連続30度目の優勝。「大学チャンピオン」としてこの全日本総合選手権に挑んだ日本体育大学だったが、やはり……その強さは「本物」だった。キャプテンの池田泰一朗、副キャプテンの竹森歩夢ら2016年の「世界ジュニア選手権優勝メンバー(7名)」をズラリと揃える「群を抜いた選手層の厚さ」が強さの要因ともいえるだろうが、何といっても「絶対的エース」小山玲央の存在が大きい。
 現在の小山玲央は、U19で世界を制した頃に比べて一回り大きく成長。球速はすでに「MAX130㎞/h」に到達し、これまで「日本最速」であった岡﨑建斗(大阪桃次郎)と肩を並べるまでになっている。また、今回のインカレ・全日本総合をじっくり見る限り、球速・球威だけではなく、球種も多彩になった。本人が最も得意な球種と話すライズボールはさることながら、そのライズボールをより活かすため、「新たな武器」の習得に励み、常時120㎞/h後半で「打者の膝元から横にすべるように落とす」カットボールをマスター。ドロップ系のボール(※落ちる変化球)のバリエーションを増やすことにも成功している。もともと有していたチェンジアップもより「巧み」になっており、打者としては相当「つかまえづらくなった」はずである。
 2回戦で死闘を繰り広げた相手、ダイワアクトのアンドリュー・カークパトリック投手(※オーストラリア代表)も試合後、「さすがU19で世界を制した逸材。今後トップレベルで『経験』を積み重ねていけば、彼はもっと素晴らしい投手になる! できればアメリカの所属チーム(※ニューヨークグレムリンズ:今夏カナダ・トロントで開催された「ISCワールドトーナメント」で優勝。ニュージーランド、カナダ、オーストラリア、アルゼンチン等の代表選手が集まり、現在『世界最強のクラブチーム』と評されている)で、ともにプレーしてみたいぐらいだよ」と絶賛。“世界最高のサウスポー”から大いに興味を示されていたことからも、小山玲央という投手の「凄さ」「期待度の高さ」が伝わることだろう。

 小山玲央だけではなく、日本体育大学として「大学勢初」となったこの快挙・偉業は、間違いなく日本の男子ソフトボール界に「強烈なインパクト」を与えてくれた。“全日本総合選手権の歴史を変えた”ともいえるこの初優勝がキッカケとなり、すべての選手・関係者が良い意味で「覚醒」していってくれればと願う。そしてそれがさらなる相乗効果を生み……「男子ソフトボール活性化」へつながっていくことを期待したい。

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