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平成30年度 全国指導者中央研修会
(東京:TKP Luz 大森カンファレンスセンター/大森東急REIホテル)

平成30年度 全国指導者中央研修会を開催!

自身の「熱い想い」とともに、委員会の方針を述べた
日ソ協・久保田豊司 指導者委員長

(公財)日本スポーツ協会・栗原洋和 氏を招き、
「公認スポーツ指導者制度の改定について」説明を受けた

改定部分が具体的に示された資料をもとに、
「スポーツ指導者の資質向上」について、また、
「指導者養成の新カリキュラム」等について学ぶ

全国各ブロックに分かれて行われた地区別研修会でも、
「準指導員をどう指導者資格に繋げるか」意見交換!

2日目のグループ研修でも活発な議論・発表が行われた

指導者の資質向上を念頭に掲げると同時に……
現状をしっかりと見つめ、指導者制度の周知・発展を!

「時代」「社会」の求めに応じた指導者制度・指導者養成を!

 平成30年度全国指導者中央研修会が、去る2月9日(土)・10日(日)の両日、東京:TKP Luz 大森カンファレンスセンター/大森東急REIホテルにおいて開催された。

 研修会には、(公財)日本ソフトボール協会指導者委員会をはじめ、全国各都道府県支部協会の指導者委員長ら計54名が参加。ソフトボールの普及・振興を図る上で極めて重要な役割を担っている全国の指導者の代表が、ソフトボール指導者として「今後どうあるべきか」を考えるとともに、より「主体性」を持った指導者養成の体制づくりを推進させていくべく、活発な意見交換を行った。

 また、大きく変動する社会の中でソフトボール指導者の現場での課題を洗い出し、社会から「真に求められる指導者」を養成していくため、今後どのようなことに取り組んでいかなければならないのかを議論。全国から集まった代表者たちがそれぞれ考えを持ち寄り、さまざまな分野について熱く語り合う場となった。

◎研修会初日/2月9日(土)

 研修会初日、冒頭では(公財)日本ソフトボール協会・髙橋清生副会長/専務理事が挨拶に立ち、現在の日本協会の取り組みや直近の課題を具体的に説明。特に「非常に残念なことではありますが、昨今、スポーツ指導者の『暴力・体罰・パワハラ・セクハラ』等が数多く取り上げられ、問題視されております。本協会でも2年前(平成28年度)に『相談窓口(※(公財)日本ソフトボール協会では組織運営及び事業推進において、すべての関係者の倫理規程に基づく違反行為に関する通報・相談窓口を設置。本窓口では当法人顧問弁護士が相談を受け、必要な事案については事実確認を行い、暴力行為等が明らかになった場合は必要な対応(指導・処分等)を行う)』を設けましたが、毎年何件か相談を受けている現状にあり、今後も日本協会挙げて『指導者の資質向上』を促していかなければ……と危惧しているところであります。ソフトボールがメジャースポーツの仲間入りを果たし、今後世間に広く認知されていくためには、まず何よりも『指導者の資質向上』が不可欠となります。来年に開催が迫った“2020東京オリンピック”も見据えて、我々競技団体は今一度目の前の課題を整理し、真に民主的で、風通しが良く、老若男女誰もがソフトボールに親しみ、携われる組織となっていかなければなりません」と参加者に呼びかけた。

 指導者連絡会議では、(公財)日本ソフトボール協会・久保田豊司指導者委員長が今回の中央研修会の趣旨・流れを説明。「私自身の想いとしましては、(公財)日本ソフトボール協会指導者委員長を務めさせていただく以上、この全国指導者中央研修会をさらに発展させ、実りあるものとし、次世代(未来)へ『より良い形』で継承していきたいと考えております。昨今は社会におきましてもいろいろな問題が浮上しておりますが、何事も今が良ければいい……ではありません。スポーツに置き換えてみても『その時代、その時代』で必ず『変化』してきていますし、その時代の特徴や流れについていけなかったとき、衰退あるいは消滅してしまうのではないでしょうか? 指導者の指導法・考え方についても同じことが言えますが、『昔は良かったよね!? 』ではなく、『本来正しいものかどうか』『より良いものとは何か』を常に検証し、学び続けていくことが何より大切だと感じております」と自身の熱い想いを語るとともに、「この度の(公財)日本スポーツ協会『公認スポーツ指導者制度の改定』に伴い、本協会としましても『指導者制度のあり方・今後の方向性』をより明確にし、新たな一歩を踏み出したいと考えております。当然のことながら全国各都道府県の実状、課題もあるかと思いますので、まずはここにお集まりいただいた皆さんの意見をしっかりとお聞きしたい。その意見・要望を集約した上で次の段階に進んでいきたいと考えておりますので、どうかご協力の程、よろしくお願い致します」と指導者委員会の方針を踏まえ、参加者全員へ活発な意見交換を求めた。

 この後、研修会では全国各支部で実施されている公認ソフトボール指導者養成講習会等の事例発表が行われ、関東地区・神奈川県ソフトボール協会指導者委員長の天野利明氏、近畿地区・兵庫県ソフトボール協会指導者委員長の亀田敦宣氏が「準指導員資格をどう指導員資格に繋げるか」をテーマに講演。
 関東地区の天野氏からは、神奈川県での「準指導員養成講習会開催の現状と参加者の推移」が、近畿地区の亀田氏からは、近畿ソフトボール協会が行った「平成30年度準指導員養成講習会の実施内容とアンケート調査の考察」が具体的に示され、それぞれ今後の課題も述べられた。

 事例発表の後には、(公財)日本スポーツ協会 指導者育成部 活動推進課 課長の栗原洋和氏が「公認スポーツ指導者制度の改定について」をテーマに講演。まず、この度新たに(公財)日本スポーツ協会から発信されたスポーツ指導者へのメッセージ(プレーヤーズセンタード・学び続ける・ワークライフバランス)↓

【プレーヤーズセンタード】
 スポーツの主役はプレーヤーです。スポーツ指導者自身の考えを一方的にプレーヤーに伝えるのではなく、気づきを促し、成長に導いていくコーチングを目指しましょう。

【学び続ける】
 プレーヤーに気づきを促し成長に導くため、日本スポーツ協会公認スポーツ指導者資格の取得をはじめ、常にコーチングに関する最新の情報を手に入れ、学び続けましょう。

【ワークライフバランス】
 スポーツ指導者自身の生活の充実・幸福の追求と併せ、家族・関係者のライフプランの充実も念頭に置きましょう。

が伝えられ、その内容を踏まえた上で、「スポーツを愛する人を増やす」「反倫理的行為(暴力行為、暴言、パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、ドーピング)を根絶する」ことの重要性が強く参加者に呼びかけられた。また、(公財)日本スポーツ協会が新たに掲げる「グッドコーチ像(※コーチングの専門知識や技能を有していることはもちろん、スポーツを通じて選手の『人間力を高める』指導をめざし、自ら学び続けることができる指導者)」も紹介され、そのグッドコーチ養成のために、2019年度より「モデル・コア・カリキュラム(※現行のカリキュラム(共通科目Ⅰ~Ⅲ:知識・技能にウエイトが置かれたカリキュラム)に比べ、人間力(思考・判断、態度・行動)、実習(現場実習)も重要視されたカリキュラム)」を基にした新カリキュラムを並行してスタートさせること。競技別指導者資格の名称が変わり、「スタートコーチ」が新設されることも詳しく説明された(※資格の新設・名称変更は下記の通り)。

【スタートコーチ(新設)】
指導員   → コーチ1
上級指導員 → コーチ2
コーチ   → コーチ3
上級コーチ → コーチ4

 研修会初日の最後は、全国各ブロック(北海道・東北、関東、北信越、東海、近畿、中国、四国、九州)に分かれての地区別研修会を実施。事例報告でもテーマに挙げられていた「準指導員をどう指導者資格に繋げるか」について、活発な意見交換が行われた。

◎研修会2日目/2月10日(日)

 研修会2日目は、前回同様この中央研修会のメインとされるグループ研修を実施。参加者全員を所属ブロックに関係なく、8つのグループに振り分け、「いかに暴言・体罰・パワハラ・セクハラなどを根絶するか」をテーマに議論が行われた。討議後は各グループの代表者が「これらを根絶していくにあたって、まず我々指導者が『当事者意識』を持つことが大切ではないか?」「選手がハラスメントを受けたと感じた際も、それを周囲に相談したり、訴えたりできる環境があるか否かという点も非常に重要!」「この問題を根絶するための『指導者講習会』を定期的に実施し、時代(現代)の特徴を踏まえた最新の情報を持ち寄りながら、皆で絶えず学び続ける必要がある。 講習会では日本ソフトボール協会発行の指導教本はもちろんのこと、日本スポーツ協会の指導者養成テキスト(共通科目)も活用する。指導のあり方や考え等、指導者が『主観』に走ってしまうことのないよう『意識改革』を求めていかなければならない」等、それぞれ意見を発表。議論・発表の中で参加者が前回以上に連帯感を深めるとともに、各々の現場の実状、指導における経験談を積極的に伝え合いながら、自分たちが中心になってこの問題を根絶していこうとする姿勢が感じ取れる「熱意溢れる」研修となった。

 長きにわたって開催されてきたこの全国指導者中央研修会であるが、毎回外部から情報・知識を得て「参加者が学ぶだけ」ではなく、現在では「参加者自ら」が「指導者委員の役割」「指導者委員会のあり方・方向性」について深く考え、意見を出し合うといった「より主体性あるスタイル」へとシフトチェンジされている。多様化する社会の中で、その変化に対応し、「より良い形」を築いていきたいと思うなら……当然のことだが「自分たち」の手で何かを変えていかなければならない。

 指導者の資質向上を念頭に掲げると同時に、現状をしっかりと見つめ、指導者制度の周知・発展といった面でも歩みを進めていく。未来へと「前進」する指導者委員会に、引き続き注目していきたい。

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