「第73回全日本総合女子選手権大会」が、来年の「いちご一会とちぎ国体」成年男女、少年女子の試合会場となる栃木県大田原市で開催された
サッカーでいえば「天皇杯」のような大会。日本リーグのチームを筆頭に実業団、クラブ、大学チームが一堂に会し、「日本一」の座をかけ、激突!
豊田自動織機 シャイニングベガは「エース」ダラス・エスコベドに頼らず、秋元菜穂、長谷川鈴夏を中心とした「日本人投手」の継投策で勝ち上がった
チームの「窮地」を救う活躍を見せたビックカメラ高崎 BEE QUEEN・山本優
日立 サンディーバは準々決勝で伊予銀行 VERTZと延長タイブレークにもつれ込む「死闘」を展開
デンソー ブライトペガサスは日本リーグチーム同士の「潰し合い」を制し、ベスト4進出!
準決勝、豊田自動織機 シャイニングベガが日立 サンディーバに2−1で競り勝ち、決勝進出
準決勝、ビックカメラ高崎 BEE QUEENが効果的な「一発攻勢」でデンソー ブライトペガサスを退け、決勝へ!
決勝、ビックカメラ高崎 BEE QUEENが豊田自動織機 シャイニングベガを4−1で撃破し、「二冠」達成!!
11月19日(金)~21日(日)、「第73回全日本総合女子選手権大会」が2年ぶりに開催され(昨年は新型コロナウイルス感染症の影響で中止)、来年(2022年)10月に開催が予定されている「いちご一会とちぎ国体」ソフトボール競技・成年男女、少年女子の試合会場となる栃木県大田原市を舞台に、3日間にわたり熱戦が繰り広げられた。
大会には、前回大会の優勝・準優勝チーム(昨年の第72回大会が新型コロナウイルス感染症の影響で中止となったため、一昨年の第71回大会の優勝チーム・トヨタ自動車 レッドテリアーズ(愛知)、準優勝チーム・ビックカメラ高崎 BEE QUEEN(群馬)が対象)を含む日本女子ソフトボールリーグ1部の12チームが「推薦」で出場。全国各地区の厳しい予選を勝ち抜いた日本リーグ2部・3部、実業団、クラブ、大学のカテゴリーの20チーム、計32チームが一堂に会し、「日本一」の座をかけ、激突した。
大会初日(11月19日/金)は、1回戦16試合が実施され、日本リーグ1部所属の12チームが揃って1回戦を突破。それ以外では、日本リーグ3部優勝のMORI ALL WAVE KANOYA(鹿児島)、大学のカテゴリーから中京大(愛知)、金沢学院大(石川)、インカレの覇者・園田学園女子大(兵庫)の3チーム、計16チームが2回戦に勝ち進んだ。
大会2日目(11月20日/土)、この日は2回戦8試合・準々決勝4試合が実施され、前回大会の覇者・トヨタ自動車 レッドテリアーズが、2回戦の中京大戦は4-1で順当に勝利を収めたものの、準々決勝の豊田自動織機 シャイニングベガ戦では自らの守備の乱れから失点し、「期待のニュースター」後藤希友も力投も空しく、打線の援護なく0-1の完封負け。最終日を待たずに「連覇」の夢が潰え、姿を消すという「波乱」があった。
前回準優勝のビックカメラ高崎 BEE QUEENは、大会初日(11月19日/金)のNECプラットフォームズ Red Falcons(静岡)戦で0-0のまま、延長タイブレークにもつれ込む「苦戦」を強いられ、日没寸前の延長8回裏、何とか1-0のサヨナラ勝ち。この日はまず2回戦で「日本リーグ3部優勝」のMORI ALL WAVE KANOYAの「挑戦」を8-1の6回コールドで退け、これで「本来の調子」を取り戻したかに見えたが……準々決勝では同じ群馬県高崎市に本拠地を置く太陽誘電 ソルフィーユに再び「大苦戦」を強いられた。0-0で迎えた7回表、太陽誘電 ソルフィーユは、今シーズン、日本リーグ「防御率1位」(0.65)で「最優秀防御率賞」の受賞が決まっている濱村ゆかりに4連続長短打を浴びせ、一挙3点を奪い、勝負を決めたかに見えた。
太陽誘電 ソルフィーユは投手起用にも冴えを見せ、先発・山口美紀が2回2/3を無失点に抑え、2番手に左腕・曽根はん奈をショートリリーフではさみ、3回裏のスリーアウト目、4回裏の先頭打者を打ち取り、次打者に安打を許したところで、先発・山口美紀が再出場・再登板。6回裏、連打と犠打で一死二・三塁のピンチを招くと、日本リーグ・投手部門の「新人賞」を獲得した寺田愛友を投入。3番・内藤実穂に四球を与え、一死満塁で4番に座る「驚異の二刀流」藤田倭を打席に迎えるという、この試合「最大の山場」を迎えたが、ここを寺田愛友が踏ん張り、ピッチャーゴロに打ち取り、1-2-3とわたるホームゲッツーでピンチを脱出。その直後の7回表に3点を奪うという、思い描いた通りのゲームプランで試合を進め、まさに「理想的な試合展開」で勝利は「目前」。あと1イニング、あとアウト3つで歓喜のエンディングを「シナリオ通り」に迎えるはずだった。
しかし……その裏、「断崖絶壁」まで追い詰められた日本リーグ「3連覇」の「王者」ビックカメラ高崎 BEE QUEENがその「底力」を見せつける。3点のリードをもらったことで「勝利」を意識したか……寺田愛友の制球が微妙に乱れ、3四死球で二死ながら満塁の走者を背負うと、この試合「1番」に起用されていた山本優に左中間を破られ、走者一掃。「金メダリスト」の「起死回生」の一打で土壇場で3-3の同点に追いつき、「絶体絶命」の窮地から息を吹き返した。
九死に一生を得たビックカメラ高崎 BEE QUEENは、延長タイブレークに入ると、「切り札」上野由岐子を投入。8回表、9回表と走者を三塁まで進められながら「決定打」を許さず、無失点でしのぐと、9回裏、一死満塁からまたしても1番・山本優が「劇的」なサヨナラのタイムリー。熱戦にピリオドを打ち、4-3で太陽誘電を振り切り、日本リーグに続く「二冠」に望みをつないだ。
残るベスト4「2枠」は、準々決勝の伊予銀行 VERTZ(愛媛)戦で初回に先手を取りながら一度は逆転を許し、1点を追う迎えた最終回、安打、犠打で得点圏に走者を進め、途中出場の8番・清原奈侑のタイムリーで2-2の同点に追いつき、延長タイブレークの末、3-2で競り勝った日立 サンディーバ(神奈川)。
2回戦で地元・栃木のHonda Revertaに序盤3点をリードされながら6-4の逆転勝ち。準々決勝の大垣 ミナモ(岐阜)戦は逆に序盤のリードを守り切り、4-2で逃げ切ったデンソー ブライトペガサス(愛知)の4チームが大会最終日の準決勝に駒を進め、ベスト4が出揃った。
大会最終日(11月21日/日)、準決勝、豊田自動織機 シャイニングベガと日立 サンディーバの対戦(イニングスコア、バッテリー、長打はこちら)は、日立 サンディーバが2回表、豊田自動織機 シャイニングベガの先発・秋元菜穂を攻め、日本リーグで「新人賞」(野手部門)を受賞した6番・高瀬沙羅のライト前ヒット、犠打で一死二塁とし、8番・服部洋代がライト頭上を越える適時三塁打。1点を先制した。
1点を追う豊田自動織機 シャイニングベガは4回裏、敵失、犠打、サードゴロ、四球で二死ながら一・二塁とし、代打・森山春奈が逆転の適時二塁打。塁上の走者を一掃し、2-1と試合をひっくり返した。
守っては、先発・秋元菜穂が4回1失点で試合を作り、5回表から左腕・長谷川鈴夏につなぐ投手リレーで1点のリードを最後まで守り切り、第69回大会以来、4年ぶりの決勝に駒を進めた。
もう一方のゾーン、デンソー ブライトペガサスとビックカメラ高崎 BEE QUEENの対戦(イニングスコア、バッテリー、長打はこちら)は、後攻のデンソー ブライトペガサスが初回、ビックカメラ高崎 BEE QUEENの先発・濱村の制球の乱れにつけ込み、3連続四死球等で二死ながら満塁と攻め立てると、早くも「エース」上野由岐子に投手交代。局面の打開を図ったが……6番・吉松梨乃にピッチャー強襲のタイムリーを浴び、1点を失い、先手を取られてしまった。
しかし、その直後の2回表、ビックカメラ高崎 BEE QUEENがすぐに同点に追いつく。デンソー ブライトペガサスの先発・原奈々から7番・工藤環奈がライトスタンドへ同点のソロホームラン! 「一振り」で試合を振り出しに戻すと、4回表には、この回先頭の5番・森さやかがレフトスタンドへ勝ち越しのソロホームランを叩き込み、さらに四球、安打等で二死ながら一・二塁とし、1番・山本優、2番・市口侑果の連続タイムリーで2点を追加。この回3点を勝ち越した。このリードを「エース」上野由岐子が守り切り、4-1で勝利を収め、決勝進出。3年ぶりの「王座奪還」、日本リーグに続く「二冠」に「王手」をかけた。
決勝は2015年の「第67回大会」以来となる5度目の「優勝」を狙う豊田自動織機 シャイニングベガと3年ぶり3度目の「戴冠」、日本リーグとの「二冠」に「王手」をかけているビックカメラ高崎 BEE QUEENの対戦(イニングスコア、バッテリー、長打はこちら)は、両チーム無得点で迎えた3回表、ビックカメラ高崎 BEE QUEENが、豊田自動織機 シャイニングベガの先発・長谷川鈴夏をとらえ、この回先頭の7番・工藤環奈が準決勝に続く「2戦連発」となる先制のソロホームランを放ち、先手を取ると、続く4回表にも2番・市口侑果のライトスタンドへのソロホームランで1点を追加。3番・内藤実穂、5番・森さやかの安打等で一死一・三塁のチャンスが続き、6番・大工谷真波のレフトへの犠牲フライで三塁走者を迎え入れ、この回2点目。3-0とリードを広げた。
3回まで豊田自動織機 シャイニングベガ打線を完全に抑え込み、一人の走者も許さず、4奪三振。「パーフェクトピッチング」を続けてきた先発・濱村ゆかりが、4回裏、先頭打者に死球を与え、一死後、3番・チェルシー・グッドエーカーが「チーム初安打」となるライト前ヒット。二死後、5番・田井亜加音に三塁線を破るタイムリーを浴び、1点を返されると、ビックカメラ高崎 BEE QUEENベンチは迷いなく「エース」上野由岐子に投手交代。次打者を空振り三振に打ち取り、豊田自動織機 シャイニングベガに傾きかけた試合の流れを引き戻した。
この「エース」のピッチングに打線も応える。ビックカメラ高崎 BEE QUEENは7回表、安打で出塁した走者を次打者のピッチャーゴロ、パスボールで三塁まで進め、8番・我妻悠香がしっかりとヒットエンドランを決め、ダメ押しの4点目。4-1と再び3点差にリードを広げた。
その裏、必死の反撃を試みる豊田自動織機 シャイニングベガ打線を「エース」上野由岐子が「余裕たっぷり」のピッチングでレフトファウルフライ、空振り三振、レフトフライの三者凡退に斬って取り、試合終了! 4-1で快勝し、日本リーグに続く「二冠」を達成した。
第73回全日本総合女子選手権大会トーナメント表