常に優勝を争う「宿命のライバル」が開幕戦で激突!
日本リーグ時代から続く「連覇」を継続し、JD.LEAGUE「初代チャンピオン」の座を狙うビックカメラ高崎 ビークイーン
4年ぶりの「頂点」へ……JD.LEAGUE「初代チャンピオン」の座は「絶対に譲れない」トヨタ レッドテリアーズ
トヨタ レッドテリアーズの「新監督」に就任した馬場幸子氏。2008年北京オリンピック金メダリストだ(写真左から2人目)
2010年、日本リーグ「優勝」を置き土産に現役引退。トヨタ レッドテリアーズ「黄金時代」の礎を築いた馬場幸子氏
トヨタ レッドテリアーズ「期待の新戦力」バッハ・ニクルス。打線の「起爆剤」となれるか!?
1点を争う手に汗握る好ゲームとなることは必死。開幕からいきなりの「大一番」となる
記念すべきJD.LEAGUE「最初のシーズン」が幕を開ける!
3月28日(月)、ZOZOマリンスタジアムを会場に「ニトリ JD.LEAGUE 2022」が開幕(開幕戦特設サイトはこちら)を迎える(「ニトリ JD.LEAGUE 2022」試合スケジュールはこちら)。
「日本リーグ」時代の2008年から昨シーズンまでの過去14年間、他チームに「王座」を明け渡すことなく、「頂点」に君臨し続けてきた「宿命のライバル」ビックカメラ高崎 ビークイーン(優勝8回/「ビックカメラ」としては5回)とトヨタ レッドテリアーズ(優勝6回)が、いきなり「開幕戦」で激突! 決して見逃すことのできない好カード、互いに「絶対に負けられない!」一戦で「新たなシーズン」が幕を開けることになる。
「日本リーグ」最後のシーズンまで「3連覇」。記念すべき「JD.LEAGUE」の開幕初年度でも、もちろん「優勝」を狙う「王者」ビックカメラ高崎 ビークイーンは、昨夏の「東京2020オリンピック」で金メダルを獲得した「エース」上野由岐子、大会「MVP」にも輝いた「投打二刀流」の藤田倭を中心に、勝負強さが光った「キャプテン」内藤実穂、個性豊かな投手陣の力を見事に引き出した「司令塔」我妻悠香、攻守に「ユーティリティー」な活躍を見せた市口侑果の「金メダリスト」がチームの「骨格」をしっかりと支える。
さらに新たに「日本代表」に選出された「大型遊撃手」工藤環奈、「曲者」藤本麗らが脇を固める布陣は、今シーズンも「優勝候補筆頭」といえそうだ。
ただ、「主砲」山本優、「打撃の職人」森さやかが「現役引退」し、「ソフトボール界のイチロー」山田恵里にも匹敵する広い守備範囲と強肩を誇り、「ここぞ!」という場面で頼りになった大工谷真波が移籍(ホンダ リヴェルタに移籍)。これに代わる「新戦力」の台頭がなければ「連覇」への見通しは明るいものとはいえなくなってしまう。
2019年の「第13回女子U19ワールドカップ」(現在はU18にカテゴリー変更)で「日本の主砲」として打率5割・本塁打2・打点10と打ちまくった炭谷遥香(日立 サンディーバから移籍加入)、同じく2017年の「第12回世界女子ジュニア選手権大会」(現在はワールドカップに改称、カテゴリーもU19からU18に変更されている)で主に「3番」を打ち、打率2割9分4厘・6打点、チームトップの10四球を選ぶ等、選球眼も良く、攻守にバランスの取れた松本怜奈(ホンダ リヴェルタから移籍加入)の「移籍組」の新天地での「覚醒」「才能開花」に期待したいところか。
2018年以来となる「王座返り咲き」、記念すべき「JD.LEAGUE」初年度を制し、「初代チャンピオン」となることを目論むトヨタ レッドテリアーズは、「新監督」に馬場(旧姓・伊藤)幸子氏を迎え、心機一転「新体制」での戦いとなる。
馬場幸子氏は現役時代、1998年~2010年までトヨタ自動車でプレーし、「日本代表」として世界選手権出場2回(2002年、2006年いずれも準優勝)、アジア大会で2回(2002年釜山、2006年ドーハ)、オリンピックで1回(2008年北京)、「金メダル」を手にした名選手。長らく日本代表の「精神的支柱」となり、「キャプテン」も務める等、チームを引っ張り、支えてくれた。
トヨタ自動車でも2010年、決勝トーナメント制が導入されてから「初」となる「日本リーグ優勝」をその手で勝ち獲り、その優勝を「花道」に現役を引退している。現役引退後は「母校」中京大でコーチとして指導者の道を歩み始め、ここでも同校「初」となるインカレ優勝に貢献する等、トヨタの「切り札」ともいうべき存在が満を持して「監督」の座に就くだけに、その「手腕」に大きな「期待」と「注目」が集まる。
こちらも昨夏の「東京2020オリンピック」で金メダルを獲得した峰幸代、渥美万奈、山崎早紀が現役引退。「絶対的エース」モニカ・アボットの「女房役」でもあった峰幸代、金メダルを決定づけた「神ゲッツー」が話題を呼び、華麗なフィールディングで守備の要であった渥美万奈、攻守に安定した力を発揮し、2019年のシーズンには「MVP」にも輝いていた山崎早紀の現役引退は大きなものがあるが、新たに「日本代表」に名を連ねた「期待の大型捕手」切石結女、俊足と小技が持ち味の伊波菜々らの成長に期待したいところだ。
また、「現役・アメリカ代表」バッバ・ニクルスが期待の「新戦力」として加入。まだ「代表」では目立った成績は残していないものの、昨夏の「東京2020オリンピック」銀メダリストであり、ジュニア時代には2015年、2017年と二度にわたり「世界一」になっている。いずれも日本を決勝で破って手にした「世界一」であり、2015年が打率4割・本塁打1・打点10、2017年に至っては打率6割9分・6本塁打・30打点とまさに「手がつけられない」状態で打ちまくり、日本の前に立ちはだかった。アメリカ「期待の若手」が「JD.LEAGUE」を舞台に類い稀なる才能を花開かせる可能性は十分にある。ビックカメラ高崎 ビークイーンの強力投手陣を相手にどんなバッティングを見せてくれるか……大きな見どころの一つとなりそうだ。
(※2017年「第12回世界女子ジュニア選手権大会」決勝、日本戦で放ったバッバ・ニクルスの本塁打 ソフトボール 第12回世界女子ジュニア選手権大会 決勝トーナメント ゴールドメダルゲーム(決勝)1回表 - YouTube)
ビックカメラ高崎 ビークイーンの「エース」上野由岐子、藤田倭の「金メダリスト」二人に、日本代表「復帰」を果たした勝股美咲、「日本代表」経験があり、昨シーズン「最優秀防御率賞」のタイトルを獲得した濱村ゆかりを加えた「史上最高のカルテット」に、トヨタ レッドテリアーズは昨夏の「東京2020オリンピック」の「神リリーフ」で一躍「時の人」となり、昨シーズン「MVP」に輝いた後藤希友、その「東京2020オリンピック」で日本と金メダルを争った「アメリカ代表」モニカ・アボットのWエースに加え、新たに「日本代表」に選出された三輪さくらが揃う「日米連合」で対抗。こうなると「開幕戦」の焦点は、この強力投手陣から両チームが「いかに得点を挙げることができるか!?」の1点に絞られそうな気配だ。
昨シーズン・日本リーグ時代の対戦は、ビックカメラ 高崎ビークイーンの4戦全勝。2-1、1-0、2-0、3-0と僅差ではあるものの、4試合中3試合、ビックカメラ高崎 ビークイーン投手陣がトヨタ レッドテリアーズ打線を「完封」。1点を失ったシーズン最初の対戦を除き、3試合連続で先発・濱村ゆかり、リリーフ・上野由岐子の継投策で1安打、4安打、3安打と完全に抑え込んでいる。この状況を打開できなければトヨタ レッドテリアーズに「勝機」はない。
一方、トヨタ レッドテリアーズは、ここ2シーズン、コロナ禍でのシーズンで、「オリンピックイヤー」とも重なったこともあり、「絶対的エース」モニカ・アボットの来日、調整が難しく、「期待の大型左腕」「次代のエース」後藤希友を中心とした投手起用を行ってきたが、勝負どころで打線に「日本代表」を揃えるビックカメラ高崎 ビークイーン打線につかまり、「先手」を奪われ、試合の主導権を握られると、そのまま押し切られてしまう……という試合展開が続いている。レギュラーシーズン最初の対戦が被安打3(後藤希友が完投)、2回目の対戦が被安打2(江渡祐希が完投。今シーズン、豊田自動織機 シャイニングベガに移籍)、決勝トーナメント最初の対戦では7安打を浴びて敗れ(先発・後藤希友が3イニングを投げ、被安打4・自責点2で敗戦投手。リリーフした三輪さくらが3イニングを投げ、被安打3・無失点)、「敗者復活戦」を勝ち上がって3年ぶりに駒を進めた「決勝」での再戦は被安打5・失点3(先発・モニカ・アボットが5回0/3を投げ、被安打5・自責点3で敗戦投手。リリーフした後藤希友が1イニングを投げ、無安打・無失点)で打線も振るわず完封負けを喫している。
「3年ぶり」となった決勝での「宿敵」との対戦では、「絶対的エース」モニカ・アボットを久々に先発起用。5回まで被安打2・奪三振8とほぼ「完璧」なピッチングを見せ、これまでのパターン、試合展開を覆し、流れを変えたかに見えたが……。6回裏、ビックカメラ高崎 ビークイーンの「金メダリスト」たちが、その名にふさわしい「仕事」をやってのけ、市口侑果が「執念」の内野安打で突破口を開くと、内藤実穂が「送るぞ」「仕掛けるぞ」とプレッシャーをかけ続けて四球で歩き、チャンスを広げ、藤田倭が送りバント失敗で追い込まれながらも「フォア・ザ・チーム」に徹した進塁打、右打ちの意識でライトオーバーの先制打を放ち、待望の先取点。勝負を決める「1点」を奪っている。
結局、打線の「厚み」「迫力」という点でビックカメラ高崎 ビークイーンに「一日の長」があり、レギュラーシーズン最初の対戦ではわずか3安打ながらそのうちの2本が長打(本塁打と三塁打)でこれをしっかり得点に結びつけており、2回目の対戦も2安打に抑え込まれながら、そのうち1本が我妻悠香の決勝本塁打。決勝トーナメントでも最初の対戦は後藤希友から放った4本の安打のうち3本(三塁打1本を含む)を1イニングに集中させ、勝負を決める2点を奪っており、決勝でもモニカ・アボットから放った5本の安打のうち3本(二塁打2本を含む)を6回裏に集中させ、一挙3点を奪い、優勝を勝ち獲っている。この結果を見る限り、特に「長打力の差」がその試合結果に直結し、勝負を分ける「ターニングポイント」となったといえるだろう。
また、「世界のエース」上野由岐子を筆頭に「日本代表」クラスのピッチャーがペース配分を考えることなく、短いイニングを「全力投球」してくるとなると、それをとらえ、つかまえることは「至難の業」である。
ただ……この「戦術」はトヨタ レッドテリアーズにも「応用可能」で、モニカ・アボット、後藤希友、三輪さくらの日米の「代表」が揃う投手陣であれば、十分に対抗できるポテンシャルを有している。また、昨シーズンの対戦で12打数4安打(本塁打1・三塁打1・二塁打1・3打点)と「してやられていた」大工谷真波がホンダ リヴェルタに移籍したことも「明るい材料」になり得る。
その大工谷真波の「移籍」を含め、両チームの「打線」から山本優、森さやか、渥美万奈、山崎早紀、峰幸代の「ビッグネーム」「実力者」が消えたことを考えても、昨シーズン以上に「1点勝負」となる可能性は高く、JD.LEAGUE「特別ルール」(※9回終了時点で同点の場合は引き分け)で採用された「引き分け」「スコアレスドロー」という結末もあり得る。
とにかく「先取点」が重要な意味を持つ試合となり、「先手」を取ったチームが大きく「勝利」に近づくことは間違いないだろう。
順当にいけば「1点勝負」となるはずの両チームの対戦だが、今シーズンもコロナ禍の中での「開幕」となってしまったこともあり、「思いもよらぬ試合展開」になる可能性もないとはいえない。2020年のシーズン、リーグ前半戦全試合が新型コロナウイルス感染症拡大の影響で「中止」となってしまい、後半戦のみを実施。通常のシーズンの「半分」である11試合での決着、「超短期決戦」となったあのシーズンの「開幕」で激突した際には、「世界のエース」上野由岐子がコロナ禍で溜め込んだ自らの「パワー」「エネルギー」を制御し切れず、被安打7・四死球5の大乱調で「自己ワースト」の6失点。4回途中降板、10-1の予想外の大差でトヨタ レッドテリアーズが勝利を収めた……という試合もあった。
ただ……コロナ禍でのシーズンも3シーズン目となり、各チーム・選手個々の調整方法や対処方のノウハウも蓄積され、進化しており、さらには「オリンピック」という「夢の舞台」を経験し、「異例」の1年延期や無観客開催という、度重なる「試練」を乗り越えて「金メダル」をつかんだ選手たちが「主力」となる両チームであれば、あのときのように「荒れた試合」になることは現実的には考えにくい。
やはり「1点勝負」、両チームが誇る「日本トップクラス」「ワールドレベル」の投手陣が「ソフトボールらしい」息詰まる投手戦を、緊迫の試合展開を見せてくれるのではないだろうか。これまで日本のソフトボールを先頭に立って牽引し、二度の「金メダル」をその手につかんだ「レジェンド」上野由岐子、「東京2020オリンピック」の舞台で一気に「覚醒」し、神懸かり的なリリーフで何度も日本の窮地を救い、「新たなスター」となった後藤希友。この両雄の投げ合いを「開幕」から見られたら、盛り上がること間違いなし……だが、「投打二刀流」藤田倭、オリンピックの「雪辱」を期すモニカ・アボット、最後までオリンピック代表の座を争いながら涙を飲んだ濱村ゆかり、勝股美咲、新たに「日本代表」に名を連ねた三輪さくら、と「ワールドクラス」のタレントが揃う両チームだけに、誰が、どこで、登場するか、両チームがどんな戦術、選手起用をするのか……予想することは難しく、またそれがこの試合をより楽しみなものに、興味深いものに、してくれている。
その意味でも、両チームにとって今シーズンを「占う」大事な一戦となり、長いシーズンの「戦い方」を決める一戦となる可能性が高い。記念すべき「JD.LEAGUE」のオープニングゲーム、まさに「世界最高レベル」の戦いで「新たな歴史」の扉が開かれる!