「ニトリ JD.LEAGUE 2022」は第5節を終了!
今節も全国4会場で熱戦を展開!!
ゴールデンウイーク中の開催ということもあって、たくさんの観客が各会場のスタンドを埋めた
JD.リーガーに「直接指導」を受ける貴重な機会。「忘れられない思い出」に……
※写真提供:JD.LEAGUE
ソフトボールの「未来」を築き、「次なる時代」を担う子どもたちに「夢」と「希望」を!
「高い意識」のもと、より「高いレベル」をめざす審判員の皆さん
記録員もより迅速で正確な公式記録の提供をめざし、全力を尽くす
「東京2020オリンピック」開幕の地・福島県営あずま球場で「福島ラウンド」を開催!
※写真は昨年11月、同球場で行われた「ゴールドメダルセレモニー」でのもの
鹿児島県日置市での「鹿児島ラウンド」。来年に開催を控える「鹿児島国体」へ向け、「貴重な経験」となった
多くの人の「支え」があってソフトボールが成り立っている。一人ひとりがその「支え」にならなければならない
今節も多くの人の支え、尽力、奮闘、奔走……によって無事に全日程を終了することができた
「ニトリ JD.LEAGUE 2022」は、5月3日(火・祝)、第1節「高崎ラウンド」で雨天順延となっていたビックカメラ高崎 ビークイーン対戸田中央 メディックス埼玉戦を群馬県高崎市・宇津木スタジアムで実施。「ホーム」のビックカメラ高崎 ビークイーンが2回裏、一死二・三塁の先制機に相手守備陣の挟殺プレーの一瞬の隙を突き、三塁走者・藤本麗の好判断・好走塁で本塁を陥れ、先制。戸田中央 メディックス埼玉は3回表、今田まなのライトスタンドへ運ぶソロホームランで1-1の同点に追いつき、試合を振り出しに戻した。1-1の同点のまま、迎えた5回裏、ビックカメラ高崎 ビークイーンが二死満塁と攻め立て、藤本麗がレフト線に落ちるタイムリーツーベースを放ち、2点を勝ち越し。このリードを先発・濱村ゆかり、藤田倭とつなぐ投手リレーで守り切り、3-1で逃げ切り、通算成績7勝2敗とし、「東地区」単独首位の座を守った。敗れた戸田中央 メディックス埼玉は3勝5敗となり、「勝率5割」復帰はならなかった。
第5節は5月7日(土)・8日(日)の両日、各チームの「ホーム」を離れ、初の「ツアーゲームズ」として開催された。「東地区」は昨夏、「東京2020オリンピック」ソフトボール競技の試合会場となり、すべての競技に先駆け、「オリンピック開幕」を迎えた福島県福島市・福島県営あづま球場、東京都大田区・大田スタジアムの2会場で、「西地区」が岡山県倉敷市・マスカットスタジアム、鹿児島県日置市・伊集院運動公園野球場の2会場で、それぞれ開催された。
「東地区」福島ラウンドでは、初日(5月7日/土)、デンソー ブライトペガサスが日立 サンディーバに6-0で完勝。「エース」カーリー・フーバーがノーヒット・ノーランを達成する「快投」を見せ、通算成績4勝5敗の5位。「勝率5割」復帰へあと一歩と迫った。敗れた日立 サンディーバは5勝4敗の同率3位。積極的な大型補強で「巨大戦力」を有し、「東地区」の「優勝候補」に挙げられていたが……もう一つ波に乗り切れずにいる。
翌8日(日)はホンダ リヴェルタが戸田中央 メディックス埼玉を相手に、第5節終了時点で打率5割、「東地区」の首位打者争いのトップを走る塚本蛍、「キャプテン」長谷川優理の本塁打を含む11安打と打ちまくり、7-3と打ち勝ち、通算成績6勝3敗。2位の好位置につけている。敗れた戸田中央 メディックス埼玉は3勝6敗。同率6位と思うように星を伸ばせずにいる。
「東地区」東京ラウンドでは、初日(5月7日/土)、「東地区」首位を走るビックカメラ高崎 ビークイーンが大垣ミナモと対戦。先発・濱村ゆかりが被安打1・奪三振10の好投で打線の援護を待つと、最終回、今シーズンから「移籍加入」し、レギュラーに定着。打率4割を超えるハイアベレージで「東地区」リーディングヒッター争いを演じている松本怜奈の決勝ツーランで2-0の完封勝利。通算成績8勝2敗で「単独首位」の座を堅持している。
敗れた大垣ミナモは3勝6敗。先発・エレン・ロバーツが好投し、緊迫の投手戦を演じたが、本塁打「一発」に泣き、完封負け。同率6位と苦しい戦いが続いている。
翌8日(日)、太陽誘電 ソルフィーユは開幕から戦列を離れていた「キャプテン」中溝優生がようやく戦列復帰。いきなり「4番」に座ると、1-1の同点で迎えた5回表、その中溝優生が勝ち越しのタイムリー。最終回にもダメ押しの本塁打を放つ等、大活躍を見せ、NECプラットフォームズ レッドファルコンズに4-1で快勝。通算成績5勝4敗の「貯金1」、同率3位に浮上した。敗れたNECプラットフォームズ レッドファルコンズは初回、いきなり失点したものの、その裏、分藤柚葉の適時二塁打ですぐに同点に追いついたが、3投手をつぎ込む継投策も実らず、後半小刻みに失点し、1-4の敗戦。2勝7敗で「東地区」最下位に沈んでいる。
「西地区」倉敷ラウンドでは、今節初日(5月7日/土)、豊田自動織機 シャイニングベガが日本精工 ブレイブベアリーズと対戦。豊田自動織機 シャイニングベガが須藤志歩の先頭打者本塁打で試合の主導権を握り、常に「先手」を取る試合展開で有利に試合を進め、先発・原奈々、江渡祐希とつなぎ、最後は「エース」ダラス・エスコベドを投入する「盤石」の投手リレーを見せ、4-2で逃げ切り、通算成績6勝2敗で3位につけた。敗れた日本精工 ブレイブベアリーズは3勝5敗で6位となった。
翌8日(日)、シオノギ レインボーストークス兵庫が伊予銀行 ヴェールズに4-1で快勝。初回に松瀬清夏に先頭打者本塁打を浴び、先制を許したものの、その裏すぐに逆転。谷本奈々、加藤愛夢の長短打、大橋茜の適時三塁打で一挙3点を奪い、試合をひっくり返し、5回裏にも1点を追加。守っては、「左右の二枚看板」千葉咲実、吉井朝香とつなぐ継投策で伊予銀行 ヴェールズに2回以降は追加点を許さず、4-1で勝利を収め、通算成績4勝5敗。敗れた伊予銀行 ヴェールズも4勝5敗で同率4位に並んでいる。
「西地区」鹿児島ラウンドでは、初日(5月7日/土)、トヨタ レッドテリアーズが東海理化 チェリーブロッサムズに13-1と大勝。バッバ・ニクルスの2本塁打を含む二桁10安打を放ち、大量13得点。先発・モニカ・アボットから後藤希友、最後は三輪さくらにつなぐ投手リレーで東海理化 チェリーブロッサムズ打線をわずか2安打に抑え込み、失点は6回裏の1点のみ。余裕の試合展開で大勝し、通算成績7勝2敗で2位につけ、虎視眈々と「首位」の座を狙っている。
翌8日(日)は「全勝」チームと「全敗」チームの対戦となり、戦前の予想に反し、「大番狂わせ」が起こった。開幕から未だ勝ち星のないタカギ北九州 ウォーターウェーブが「全勝」で破竹の快進撃を見せ、首位を快走するSGホールディングス ギャラクシースターズの先発・丹羽萌をとらえ、3回表、兼平真咲の適時内野安打、今シーズンから「移籍加入」した樋口菜美のツーランホームラン等で3点を先制。5回表には代わった並木あかねにも3本の長短打を浴びせ、2点を追加。5-0と大きくリードを奪った。
SGホールディングス ギャラクシースターズも「全勝」で「首位」を走るチームの「意地」を見せ、6回裏、エリカ・ピアンカステリのツーランホームラン、山科真里奈のソロホームランで2点差に迫り、最終回にもエリカ・ピアンカステリがタイムリーを放ち、1点差に肉薄。なお一死満塁のチャンスが続いたが、山科真里奈のショートゴロでまず三塁走者が本塁封殺。ホームゲッツーを狙ってキャッチャーが一塁へ転送する間に、代走に起用されていた二塁走者・小暮沙希が果敢に本塁突入を試みたが……本塁寸前タッチアウト。今シーズン初黒星を喫し、通算成績8勝1敗。2位・トヨタ レッドテリアーズにその差を「1ゲーム差」に詰められたものの、辛うじて「単独首位」の座を守った。
勝ったタカギ北九州 ウォーターウェーブは嬉しいJD.LEAGUE初勝利。首位チームの猛追をかわし、5-4で逃げ切り。次節以降に「希望」をつなぎ、新たな「歴史」を刻む「貴重な1勝」を挙げた。
(※第5節終了時点の戦績表はこちら)
この第5節は「ツアーゲームズ」として開催され、各会場1日・1試合。その分、選手の皆さんと観戦に訪れた観客の皆さん、特にソフトボールの「未来」を築き、「次代」を担う子どもたちとの触れ合い、ソフトボール教室の開催等に時間が割かれ、各会場趣向を凝らしたイベントが催された。
JD.LEAGUEで活躍する選手たちの「輝く姿」を目の当たりにし、その選手たちと触れ合い、手取り足取りソフトボールの基本技術を指導してもらう機会を得たことは、子どもたちにとって「忘れられない思い出」であり、「いつかこの舞台に立ってみたい」あるいは「ずっとソフトボールを続け、ソフトボールを応援していきたい」という想いやモチベーションを生み出していく大きな「契機」となったのではないだろうか。
選手たちも、このような機会を作ることの「意味」を十分に理解しており、「真剣勝負」が続く毎日の中にあっても、「笑顔」で子どもたちと接し、ソフトボールという競技の「面白さ」「楽しさ」を伝えようと、率先して動き、奮闘していた。
また、今節も大会を支える審判員、記録員、運営スタッフの皆さんも大会の「成功」へ向け、全力を尽くし、懸命に取り組む姿が見られた。岡山県倉敷市で開催された「倉敷ラウンド」では、現在、「リーグ審判員」4名を輩出する土地柄とあって(※本年度の「リーグ審判員」名簿はこちら)、試合開始前、まだ誰もいない試合会場に審判員の姿があり、「ストライク」「ボール」「アウト」「セーフ」の大きな声が響き渡り、コールと基本動作を入念に確認。基礎・基本の大切さを知るからこそ、その重要性を理解し、黙々と反復練習に励んでいた。審判員としての「原点」を、「あるべき姿」を、決して忘れず、日々努力を積み重ねていく。そんな真摯な姿勢と努力の「裏付け」があるからこそ、どんな大舞台・大事な試合であっても、常に冷静で客観的に、公正・公平にして厳格で正確なジャッジを行うことができるのだと、改めて感じさせてくれるシーンが垣間見られた。
公式記録員も、選手たちの「全力プレー」の一つひとつを何一つ漏らすことなく正確に記録し、残そうと奮闘。真剣なまなざしで選手の一挙手一投足に集中し、報道関係・各種メディアに迅速に、正確な公式記録を提供すべく奔走する姿があった。ソフトボールの話題を少しでも大きく紙面に取り上げてもらい、選手たちの活躍を活字に載せ、あるいは映像で発信してもらうために……そのための「基礎資料」「ベース」となる公式記録の作成・点検・提供に総力を挙げて取り組んでいた。
昨夏、「東京2020オリンピック」を開催した福島県福島市・福島県営あづま球場での「福島ラウンド」では、その「オリンピックレガシー」を後世に伝えていこうと、この「ニトリ JD.LEAGUE 2022」を開催。8月には「日米対抗」の開催も決定し、「日本vsアメリカ」のオリンピック「決勝」のカードが、「オリンピック開幕の地」福島で「再現」されることになる(※日米対抗の大会概要はこちら)。
また、新型コロナウイルス感染症の影響で「延期」を余儀なくされてしまった「鹿児島国体」の開催を来年に控える鹿児島県でも「鹿児島ラウンド」が日置市で開催され、この「ニトリ JD.LEAGUE 2022」の貴重な開催経験を、「鹿児島国体」にも活かしていこうと、大会に取り組む、審判員・記録員・大会スタッフの姿が見られた(※鹿児島国体公式ホームページはこちら)。
一方、大会の取材に訪れる度に、耳にするのが審判員・記録員の「高齢化」、後継者・新たな人材がいない……という問題である。新たなソフトボールファンを獲得していくことももちろん大切だが、ソフトボールを「支える人材」の育成にも目を向けていく必要がある。その昔は、選手たちがある一定の年齢に達すると、現役を引退し、「そろそろ審判でもやるか」と言って、選手から審判員へ転向する……といった一つの「流れ」があったのだが、幸か不幸か、ソフトボールはまさに「生涯スポーツ」。男子であれば「壮年」(40歳以上)、実年(50歳以上)、シニア(59歳以上)、ハイシニア(68歳以上)、女子であればエルダー(35歳以上)、エルデスト(50歳以上)のカテゴリーがあり、それこそ「一生涯を通じて」ソフトボールを楽しめる状況になっていることが、皮肉にも「審判員・記録員の減少」という状況を生む一因になってしまっているのである。
もちろん、それがソフトボールの「特性」でもあり、それはそれで喜ばしいことでもあるのだが、この状況を放置していたのでは、いずれソフトボールという「競技全体」を支える人がいなくなってしまう……という「危機感」も抱えている。
競技人口、チーム登録数の減少も同じように顕著であり、日本全体の少子高齢化の状況を考えても、その「危機感」は切迫している。この状況を打開していくためにも、今回催されたイベントのように、ソフトボールの「未来」を築き、「次の時代」を担ってくれる「子どもたち」に夢と希望を与え、ソフトボールに「興味」を持ってもらい、「好き」になってもらうこと。未来の「JD.リーガー」を育てるとともに、どのような形であれ、一人でも多くの子どもたちが「生涯を通じて」ソフトボールに関わってくれるような状況を創り出していくことが「急務」であり、大きな「課題」でもある。
また、それはソフトボールファンを増やす、競技人口を増やし、チームを増やしていく、という取り組みと同時に、審判員や記録員、試合を行う上で必要なスタッフを増やし、育てていく……という取り組みにもつながっていくものとしなければならない。
例えば、「高崎ラウンド」では、高崎市を「ホームタウン」とするビックカメラ高崎 ビークイーン、太陽誘電 ソルフィーユで活躍した「かつての名選手」たちが場内アナウンスを担当してくれている。各チームでも「アナリスト」や「トレーナー」として情報収集・戦力分析に携わる「選手出身」のスタッフが増え、「広報担当」として写真撮影を行ったり、動画を配信したり……といった分野で活躍している姿も多々見られる。最近では「選手」を経ずに、最初から「その道の専門家」として、アナリストを採用するチームもあり、時代とともに、ソフトボールとの関わり方、携わり方が変わってきているとも感じる。また、プロ野球のように「選手出身」の審判員がいてもいいし、公式記録員がいてもいい。「選手としてJD.LEAGUEでプレーする」ことだけが道ではない。
その意味でも選手、チームの立場から、審判員、記録員といった形で、あるいは大会運営や協会組織の一員として、ソフトボールに関わり、携わってくれる皆さんがもっともっと出てきてくれることを期待したい。「第一線」でプレーした「選手」としての経験があるからこそ、ソフトボール経験が有しているからこそ、「見えるもの」「わかること」もあるはずである。選手経験を活かして指導者をめざすのも、もちろん素晴らしいことであり、確かに「王道」でもあるのだが……また違った角度から視点を変えてみれば、審判員として、記録員として、あるいは大会運営スタッフ、協会組織の一員として、ソフトボールに「貢献」する道、「恩返し」していく道もあるのではないだろうか。華やかな舞台を知っているからこそ、それを裏で支えてくれる皆さんの「力」、その存在の「ありがたさ」が誰よりもわかっているはずである。そして……その「支え」なくしては「ソフトボール」は成り立たないということも……すべてわかっているはずである。
まずは「選手」「チーム」の立場で、子どもたちに「夢」と「希望」を与えるような「最高のプレー」を見せてもらうことが「最優先」であり、現時点での使命だが……自らが「愛した」ソフトボールという競技の「未来」「将来」についても真剣に考え、その「先」の姿を思い描いてもらえれば……とも思う。JD.LEAGUEで「完全燃焼」もいいが「人生」はまだまだ先が長いのだから。