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「ニトリ JD.LEAGUE 2022」第13節をふり返って
「Legend」たちとの別れ……一つの時代が終わり「新たな時代」が

「打のLegend」山田恵里選手が今シーズン限りでの「現役引退」を発表。「投のLegend」上野由岐子選手が「引退会見」にサプライズで駆けつけた 写真提供:JD.LEAGUE

「東地区」首位を走るビックカメラ高崎 ビークイーン

「西地区」ではトヨタ レッドテリアーズの「地区優勝」が決定!

「第13節」は「ツアーシリーズ」として開催され、「ツアーゲームズタイトルパートナー」である 株式会社JTBプレゼンツ「ソフトボール投げ選手権」も行われた(※画像クリックで拡大)

「一関ラウンド」を支えてくださった審判員・記録員はじめ大会運営スタッフの皆さん(※画像クリックで拡大)

「八尾ラウンド」でも大会の成功へ向け、審判員・記録員をはじめ大会運営スタッフの皆さんが「全力」で取り組んだ(※画像クリックで拡大)

この「第13節」もソフトボールの「未来」を担う子どもたちに向けたイベント・企画が実施された(※画像クリックで拡大)

今シーズン限りでの退団を表明したトヨタ レッドテリアーズのモニカ・アボット選手。リーグ優勝6回をもたらした「世界屈指のサウスポー」も日本を去る

男子TOP日本代表を「投打二刀流」で牽引する松田光選手も今シーズン限りでの「現役引退」を表明。「最後の舞台」となる「ワールドカップ」で世界一を!

一時代を築いた「Legend」たちが去っていく……それを凌駕する「新たなスター」の出現を期待!!

 去る10月1日(土)~3日(月)、「ニトリ JD.LEAGUE 2022」第13節が開催され、「東地区」が千葉県浦安市・浦安市運動公園野球場での「浦安ラウンド」、長野県伊那市・伊那スタジアムでの「伊那ラウンド」の2会場で、「西地区」が岩手県一関市・一関運動公園野球場での「一関ラウンド」、大阪府八尾市・八尾市立山本球場での「八尾ラウンド」の2会場で熱戦が展開された。

 千葉県浦安市・浦安市運動公園野球場で開催された「浦安ラウンド」では、今シーズン限りでの「現役引退」を表明したデンソー ブライトペガサス・山田恵里選手の「引退会見」も行われる等、長年「日本代表」として、旧・日本リーグのトッププレーヤーとして、そして、今春新たにスタートを切ったこの「ニトリ JD.LEAGUE 2022」でも変わらぬ活躍を見せていたソフトボール界の「Legend」が今シーズン限りでユニフォームに別れを告げることを決断した。山田恵里選手は2002年に旧・日本リーグにデビューすると新人賞、本塁打王、打点王、ベストナインといきなりタイトルを総なめ。以来、首位打者5回、ベストナイン14回の個人タイトルを獲得。日本代表としては、2006年、2010年、2012年、2014年、2016年、2018年と世界選手権(現・ワールドカップ)に6回出場。2012年、2014年の「連覇」を含む「優勝」2回、準優勝4回という輝かしい成績を残し、オリンピックも2004年のアテネオリンピックでの銅メダル獲得を皮切りに、2008年の北京オリンピックで「悲願」の金メダルを獲得。昨年の「東京2020オリンピック」では二度目の金メダルに輝く等、同時代をプレーした「投のLegend」上野由岐子選手(ビックカメラ高崎 ビークイーン)とともに「日本ソフトボールの黄金時代」を築いてくれた。「引退会見」には、その上野由岐子選手も「サプライズ」で登場。「打のLegend」に感謝の想いを伝え、ずっとともに「同じ道」を歩んできた「盟友」「戦友」と道を分かつことになる瞬間を二人で噛み締めた。
 その「浦安ラウンド」では「東地区」首位を走るビックカメラ高崎 ビークイーンが、今節初戦となった日立 サンディーバに2-3で敗れたものの、「マンデーソフトボール」となった2位・デンソー ブライトペガサスとの「直接対決」は、初回に先手を奪われながら、2回裏、「投打二刀流」藤田倭が左中間二塁打を放ち、猛攻の口火を切ると、5本の長短打を集め、4点を奪い、あっさり逆転。このリードを濱村ゆかりが守り切り、4-2で快勝。通算成績20勝5敗とし、首位の座を守った。
 2位は18勝7敗のデンソー ブライトペガサス。今節初戦の大垣ミナモ戦は初回に2点を先制されたものの、佐野由貴美、川畑瞳の本塁打を含む15安打・8得点と打線が爆発! 8-4と試合をひっくり返し、第8節から続く「連勝」を「10」に伸ばした。しかし、「マンデーソフトボール」として行われた「首位」ビックカメラ高崎 ビークイーンとの「直接対決」は勝てば「同率首位」に並ぶという「大一番」となったが、レギュラーシーズンの「先」にある「ポストシーズン」を見据え、「エース」カーリー・フーバーを温存し、登板を回避。川村莉沙の「先頭打者本塁打」で先手を取ったものの、「エース」を温存した投手陣ではこのリードを守れず、2-4の逆転負け。「首位」ビックカメラ高崎 ビークイーンとのゲーム差は再び「2ゲーム差」に開いた。
 この「浦安ラウンド」では日立 サンディーバが大垣ミナモを4-1で破り、「首位」ビックカメラ高崎 ビークイーンにも山口みどり、ハンナ・フリッペンの二者連続本塁打等で3点を奪い、テイラー・マクイリン、坂本実桜とつなぐ投手リレーでビックカメラ高崎 ビークイーンの反撃を炭谷遥香のツーランホームランによる2点のみに抑え、3-2で逃げ切り、今節連勝を飾り、通算成績17勝8敗の3位につけ、すでに前節(第12節)で「東地区」3位以上、「ポストシーズン」進出が確定している首位・ビックカメラ高崎 ビークイーンに続き、2位のデンソー ブライトペガサスと3位の日立 サンディーバの「東地区」3位以上、「ポストシーズン」進出が決まった(※現在4位のホンダ リヴェルタが残り4試合に「全勝」しても17勝8敗でデンソー ブライトペガサスの18勝には届かず、17勝の日立 サンディーバと「同率」で並んでも「直接対決」で1勝2敗と負け越しているため、順位で上回ることはできない)。

 同じく「東地区」の「伊那ラウンド」では、両セクションの「4位」で勝率の高いチームに与えられる「ワイルドカード」争いを繰り広げているホンダ リヴェルタと太陽誘電 ソルフィーユが明暗分かれる結果となり、ホンダ リヴェルタは初戦のNECプラットフォームズ レッドファルコンズ戦を2-0の完封勝ち。アリー・カーダ、ジェイリン・フォードの「左右の二枚看板」「現役・アメリカ代表」を惜しげもなく投入する投手リレーで快勝すると、続く「ワイルドカード」争いの「ライバル」太陽誘電 ソルフィーユとの「直接対決」も初回に、現在、「東地区」の打撃ランキングトップ(打率4割6厘)に立つ塚本蛍のツーランホームランで2点を先制し、終盤6回裏には糟谷舞乃のソロホームランで3点目を追加。守っては、試合開始と同時にDPに起用されていたアリー・カーダがFP・ジェイリン・フォードのピッチャーの守備を兼務。「実質的な先発投手」として3回を無失点に抑えると、4回からアリー・カーダの投手の守備の兼務を解除。DPに戻し、FP・ジェイリン・フォードを投手として再出場させ、6回まで無失点。最終回、DP・アリー・カーダが再びFP・投手の守備を兼務し、再登板すると、太陽誘電 ソルフィーユ打線に4安打を浴び、2点を返され、1点目まで詰め寄られ、冷や汗をかく場面もあったが、何とか3-2の1点差で逃げ切り、今節「連勝」。通算成績13勝12敗と星を伸ばし、4位に浮上。「ワイルドカード」争いで優位に立った。
 一方、太陽誘電 ソルフィーユは初戦の戸田中央 メディックス埼玉に延長9回タイブレークの末、4-5のサヨナラ負け。「ワイルドカード」争い「ライバル」ホンダ リヴェルタにも2-3で敗れ、手痛い連敗。12勝13敗で5位に転落し、「ワイルドカード」圏外へ……残り4試合での「逆転」にかける。
 「東地区」は今節1勝1敗の戸田中央 メディックスが10勝15敗で6位、今節連敗の大垣ミナモが9勝16敗で7位、前節(第12節)からの4試合、3勝1敗と好調なNECプラットフォームズ レッドファルコンズが9勝16敗で「同率7位」に並びかけ、最下位脱出が見えてきた。

 「西地区」では「一関ラウンド」でトヨタ レッドテリアーズが「地区優勝」を決めた。「一関ラウンド」の前日(9月30日/金)、第4節「豊田ラウンド」で雨天順延となったトヨタ レッドテリアーズと日本精工 ブレイブベアリーズの「代替試合」が行われ、日本精工 ブレイブベアリーズが3-2で「首位」トヨタ レッドテリアーズを破る「大金星」を挙げる「波乱」の幕開けとなったが、トヨタ レッドテリアーズは動じることなく、すぐにチームを立て直し、続く豊田自動織機 シャイニングベガ戦は延長8回タイブレークの末に4-3の逆転サヨナラ勝ち。「20勝」の大台に乗せる勝利を挙げ、「西地区優勝」に「王手」をかけると、今節最終戦、「代替試合」で不覚を取った日本精工 ブレイブベアリーズに4-0と快勝。あっさりと「地区優勝」を決め、「ダイヤモンドシリーズ」セミファイナルへの進出を決めた。
 3位につける豊田自動織機 シャイニングベガは今節1勝1敗で通算成績14勝9敗。「第4節」で雨天順延となった「代替試合」を含め、3試合を行った日本精工 ブレイブベアリーズは2勝1敗で通算成績8勝15敗の6位、東海理化 チェリーブロッサムズは今節連敗。6勝19敗で7位となっている。

 同じく「西地区」の「八尾ラウンド」では、SGホールディングス ギャラクシースターズが今節初戦のシオノギ レインボーストークス兵庫戦に3-4の逆転負けを喫したものの、続く伊予銀行 ヴェールズ戦に5-2で快勝し、「西地区」3位以上、「プレーオフ進出」が決まった(※現在4位のシオノギ レインボーストークス兵庫が残り試合に「全勝」し、SGホールディングス ギャラクシースターズが「全敗」して15勝14敗の「同率」に並んでも「直接対決」で2勝1敗と勝ち越しているSGホールディングス ギャラクシースターズの順位が上となるため)。
 この「八尾ラウンド」では、シオノギ レインボーストークス兵庫が前節(第12節)に続き、連勝。「サマーブレイク」を挟んで後半戦再開後、「4連勝」と絶好調。通算成績11勝14敗まで星を伸ばし、「東地区」4位との「ワイルドカード」争いで「逆転」の可能性がわずかながら見えてきた。
 伊予銀行 ヴェールズは今節1勝1敗。通算成績9勝16敗で5位。今節連敗のタカギ北九州 ウォーターウェーブは4勝19敗で最下位となっている。
※第13節終了時点の戦績表はこちら

 今春、華々しく開幕を迎えた「ニトリ JD.LEAGUE 2022」も第13節を終え、レギュラーシーズンは残り2節となった。
 今回の「第13節」は「ツアーゲームズ」(各チームの「ホーム」以外での開催)となり、「ツアーゲームズタイトルパートナー」である 株式会社JTBプレゼンツ「ソフトボール投げ選手権」が「第12節」に続き、実施された。このイベントの企画・趣旨は「ソフトボールを通じて人々の交流が生まれ、『笑顔』あふれるコミュニティが開催各地で拡がること」を期待してのものであり、イベントに参加した皆さんには、その「期待通り」の『笑顔』があふれていた。

 また、各会場で、ソフトボールの「未来」を支える子どもたちを対象とした「ファーストピッチセレモニー」(始球式)や「ソフトボールクリニック」(ソフトボール教室・技術講習会)が実施される等、ソフトボールのさらなる普及やこのJD.LEAGUEをめざす子どもたちが一人でも多く現れ、生涯を通じてソフトボールに親しみ、取り組んでもらいたいとの「願い」を込めた企画やイベントが積極的に展開されていた。

 そして、大会を支える審判員・記録員をはじめ、大会役員、大会運営を支えるボランティアの皆さんが今節も奮闘。滞りなく試合を進行させ、よりエキサイティングでスリリングな試合を提供しようと一致団結、力を合わせ、取り組んでいた。
 ただ……今回、「東地区」の会場となった岩手県一関市と長野県伊那市は、岩手県では9月初旬に「第55回日本女子ソフトボールリーグ」第3節サファイアセクションが開催され、この「第13節」の開催直前に「日本スポーツマスターズ2022岩手大会」が実施される等、タイトなスケジュールに追われた。特に「日本スポーツマスターズ2022岩手大会」は男子:42チーム、女子:23チームが集う大会であり、「第13節」の直前、26日(月)までこの大会が開催されていたことを思うと、開催地協会の皆さまのご苦労はいかばかりであったか……と思わずにはいられない。
 長野県も同様の状況で、9月10日(土)~12日(月)、「第27回全日本レディース大会」が全国から44チームが参加し、開催されており、岩手県が「第55回日本女子ソフトボールリーグ」第3節サファイアセクションの開催が遠野市、「日本スポーツマスターズ2022岩手大会」の開催が花巻市と同一県内とはいえ、異なる市での開催であったのに比べ、長野はどちらも長野県伊那市「同一市」「同一会場」での開催。開催地の大会開催のために費やされた時間・労力・エネルギーは決して小さなものではなかったはずである。
 この「ニトリ JD.LEAGUE 2022」も後半戦になってようやく「(公財)日本ソフトボール協会との共同事業」といったことが強調されるようになってはいるが、やはり大会日程や開催地・開催会場を決める段階から、もっともっと話し合い、コミュニケーションを深め、連携・協働、互いに手と手を取り合いながら「より良い方向」へ向かうことができるよう努力していく必要があるのでは……と感じる。
 もちろん、これだけの日程、試合数をこなしていこうと思えば、どこかに「無理」も生じる。その「無理」が生じたときに、お互いが助け合い、力を合わせて乗り切ろうと思えるか、「勝手にやればいいじゃん」と冷めた突き放した想いで「他人事」としてとらえるのでは、「いざ!」というときの「頑張り」に、どうしても差が生じてしまう。ただの「イベント開催」ではなく、「ソフトボール」という競技の「本質」を理解した上で、競技の普及や発展にもつながるような形で、この「JD.LEAGUE」が運営されていくことを期待したい。

 第13節終了後には、トヨタ レッドテリアーズの「絶対的エース」として君臨し、2009年の来日以来、旧・日本リーグ時代に優勝6回、MVP4回、最優秀防御率賞7回、最多勝利投手賞4回、ベストナイン賞6回と、これまで数々の個人タイトルを獲得してきたモニカ・アボット選手が今シーズン限りでの退団を表明。「永遠のライバル」上野由岐子との投げ合いで、常に「優勝」を争い、リーグの「主役」となってきた「世界屈指のサウスポー」が日本を去ることになった。

 男子ソフトボール界からも2019年WBSC(世界野球ソフトボール連盟)ベストプレーヤーに輝いた平林金属男子ソフトボールクラブの松田光選手が今シーズン限りでの「現役引退」を表明する等、一時代を築いた選手たちが次々と「現役」を離れ、戦いの舞台から去っていく「決断」を下している。
 ソフトボール界の「顔」ともいうべき選手たちのプレーが見られなくなるのは寂しい限りだが……時は永遠でなく、誰にもいつか「その日」は訪れる。山田恵里、モニカ・アボット、松田光、各選手のその存在と足跡に改めて敬意と感謝を表するとともに、グラウンド上で残してくれたプレーの数々を瞼の裏に刻み込み、ソフトボールに取り組む姿勢にはじまり、磨き抜かれた力と技の数々を受け継ぎ、伝承し、いつかはその「Legendたち」を超えていかなくてはならない。今……「一つの時代」が終わろうとしている。だが、ここで立ち止まるわけにはいかないのだ。男女とも「世界一」を狙える「強い」日本のソフトボールの「伝統」を守り、さらに発展させていくために……時代は「新たなスター」を求めている。

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