去る11月５日（土）・６日（日）の両日、愛知県岡崎市・岡崎レッドダイヤモンドスタジアムで「ニトリ JD.LEAGUE 2022」プレーオフが開催された。

　このプレーオフは、「ニトリ JD,LEAGUE 2022」レギュラーシーズン「東地区」「西地区」２位・３位のチームと「ワイルドカード」（「東地区」「西地区」４位のチームで勝率の高いチーム）を獲得した１チームが、11月12日（土）・13日（日）の両日、千葉県千葉市・ＺＯＺＯマリンスタジアムで開催される「ダイヤモンドシリーズ」への出場権をかけて戦うもので、まず「ワイルドカード」を獲得した「東地区」４位・ホンダ リヴェルタと「西地区」３位・ＳＧホールディングス ギャラクシースターズがプレーオフ「ファーストステージ」で対戦。
　プレーオフ「ファーストステージ」の勝者が「西地区」２位の豊田自動織機 シャイニングベガとのプレーオフ「セカンドステージ」へと進み、その勝者が「ダイヤモンドシリーズ」セミファイナルで待ち受ける「西地区」優勝・トヨタ レッドテリアーズと対戦。もう一方のゾーンでは「東地区」２位・日立 サンディーバと同３位・デンソー ブライトペガサスがプレーオフ 「セカンドステージ」を戦い、その勝者が「ダイヤモンドシリーズ」セミファイナルで待ち受けるビックカメラ高崎 ビークイーンへの挑戦権を獲得することになる。

・11月５日（土）

【プレーオフ ファーストステージ】	1	2	3	4	5	6	7	R
ホンダ リヴェルタ （東地区４位）	0	0	0	0	0	1	0	1
ＳＧホールディングス ギャラクシースターズ （西地区３位）	0	0	0	0	0	0	0	0

（ホ）○ジェイリン・フォード、アリー・カーダー棚町佳奈、安山涼香
（Ｓ）●カーヤ・パーナビーー山科真里奈
〔本塁打〕
〔三塁打〕
〔二塁打〕菱谷香実（ホ）

　プレーオフ「ファーストステージ」は、「ワイルドカード」を獲得した「東地区」４位・ホンダ リヴェルタと「西地区」３位・ＳＧホールディングス ギャラクシースターズが対戦。試合は息詰まる投手戦となった。

　先攻のホンダ リヴェルタは初回、ＳＧホールディングス ギャラクシースターズの先発・カーヤ・パーナビーの立ち上がりを攻め、１番・大工谷真波、２番・下村歩実の連打で無死一・二塁とし、一死後、４番・塚本蛍も四球で歩き、満塁と攻め立てたが、後続が空振り三振、サードゴロに倒れ、先制のチャンスを逃がしてしまった。
　その後はＳＧホールディングス ギャラクシースターズ・カーヤ・パーナビー、ホンダ リヴェルタ・ジェイリン・フォードの両先発投手が好投。両チーム、２回以降はノーヒットで試合が進行し、０－０のまま、終盤を迎えた。
　６回表、ホンダ リヴェルタはこの回先頭の４番・塚本蛍が四球を選び、出塁。犠打で得点圏に走者を進め、二死後、７番・木村愛がライト前にタイムリー！　二塁走者が一気に還り、待望の先取点を挙げた。
　１点のリードを奪ったホンダ リヴェルタはその裏、５回までＳＧホールディングス ギャラクシースターズ打線をノーヒットに抑えてきたジェイリン・フォードに代え、アリー・カーダを投入。今シーズンの「必勝パターン」「勝利の方程式」で勝負に出ると、そのアリー・カーダが二死から内野安打の走者を出したものの、後続をショートゴロに打ち取り、６回裏を無失点で切り抜け、最終回も二死からショートゴロエラーで出塁を許したが、最後の打者をピッチャーゴロに打ち取り、試合終了。１－０の最少得点差で逃げ切り、プレーオフ「セカンドステージ」進出を決めた。
　今シーズン「外国人４人体制」という積極的な補強で一時は「西地区」首位を走る等、「ニトリ JD.LEAGUE 2022」を大いに盛り上げ、「旋風」を巻き起こしてくれたＳＧホールディングス ギャラクシースターズは、残念ながらここで「終戦」となってしまった。

・11月６日（日）

第１試合

【プレーオフ セカンドステージ】	1	2	3	4	5	6	7	R
デンソー ブライトペガサス （東地区３位）	0	0	0	0	2	0	0	2
日立 サンディーバ （東地区２位）	0	3	0	0	0	0	x	3

（デ）●カーリー・フーバーー小島あみ
（日）○坂本実桜、テイラー・マクイリンー清原奈侑
〔本塁打〕洲鎌夏子（デ）
〔三塁打〕
〔二塁打〕榎本千波、川村莉沙（デ）ハンナ・フリッペン（日）

　プレーオフ「セカンドステージ」第１試合、「ダイヤモンドシリーズ」セミファイナル進出をかけた一戦は、日立 サンディーバが２回裏、デンソー ブライトペガサスの先発・カーリー・フーバーをとらえ、この回先頭の４番・ハンナ・フリッペンの右越二塁打、５番・杉本梨緒のバント安打と盗塁で無死二・三塁と攻め立て、一死後、代打・那須千春への初球、止めたバットに当たった打球がファーストゴロとなり、三塁走者が本塁突入。この打球の処理を焦ったファースト・白石望美の本塁送球が逸れ、三塁走者に続き、二塁走者もホームイン。なお一死二塁のチャンスが続き、８番・清原奈侑が二遊間を抜くタイムリーを放ち、二塁走者が還り、この回３点を先制した。
　３点を追うデンソー ブライトペガサスは５回表、代打・榎本千波が右中間を破る二塁打を放ったものの、次打者のショートゴロで三塁タッチアウト。一死一塁と場面が変わり、２番・山田恵里もライトフライに倒れ、チャンスを逃がしたかに見えたが、ここで３番・洲鎌夏子がセンター頭上を越えるツーランホームランを放ち、１点差に迫った。最終回、二死走者なしから１番・川村莉沙が二塁打を放ち、「一打同点」のチャンスを作り、今シーズン限りで「現役引退」を表明している２番・山田恵里に打席を回したが……サードゴロに倒れ、試合終了。山田恵里が唯一手にすることができなかった「リーグ優勝」のタイトルは、この試合に敗れたことで「夢」と消え、数々の大記録を打ち立ててきた「レジェンド」が「ダイヤモンドシリーズ」の舞台に立つことなく、競技人生を終えることになった。

第２試合

【プレーオフ セカンドステージ】	1	2	3	4	5	6	7	R
ホンダ リヴェルタ （東地区４位）	0	0	0	0	0	0	0	0
豊田自動織機 シャイニングベガ （西地区２位）	2	2	0	0	0	0	x	4

（ホ）●ジェイリン・フォード、アリー・カーダー棚町佳奈、安山涼香
（豊）○ダラス・エスコベドーチェルシー・グッドエーカー
〔本塁打〕椛山奈々（豊）
〔三塁打〕
〔二塁打〕

　プレーオフ「セカンドステージ」第２試合は、前日（11月５日／土）のプレーオフ「ファーストステージ」で「西地区」３位のＳＧホールディングス ギャラクシースターズを撃破して勝ち上がった「東地区」４位、「ワイルドカード」のホンダ リヴェルタと「西地区」２位の豊田自動織機 シャイニングベガが「ダイヤモンドシリーズ」セミファイナル進出をかけ、対戦した。
　後攻の豊田自動織機 シャイニングベガは初回、ホンダ リヴェルタ・先発のジェイリン・フォードの立ち上がりを攻め、一死から２番・中川彩音がセカンド内野安打で出塁。二死後、４番・田井亜加音の二遊間安打、ワイルドピッチで二・三塁とし、５番・チェルシー・グッドエーカーのレフト前へのタイムリーで二者が還り、２点を先制した。
　これで勢いづいた豊田自動織機 シャイニングベガは、続く２回裏にも、８番・椛山奈々がセンター頭上を越えるソロホームラン。１点を追加し、連続四球で一死一・二塁となったところでアリー・カーダを投入。必死に防戦に努めたが、ワイルドピッチ、四球で満塁となった後、３番・金江爽友のレフトファウルフライが犠牲フライとなり、三塁走者が還り、この回２点目。４－０と大きくリードを広げた。
　序盤に４点のリードをもらった豊田自動織機 シャイニングベガの「エース」ダラス・エスコベドは、４回まで毎回走者を背負う苦しいピッチングながらも「要所」を締め、後半尻上がりに調子を上げ、５回以降は一人の走者も許さぬパーフェクトピッチング。被安打２・奪三振11の好投でホンダ リヴェルタ打線に最後まで得点を許さず、４－０の完封で「ダイヤモンドシリーズ」セミファイナル進出を決めた。
　「ワイルドカード」から「下剋上」を狙ったホンダ リヴェルタは、今シーズン後半、「東地区」の「ワイルドカード」争いで威力を発揮したジェイリン・フォード、アリー・カーダとつなぐ「必勝パターン」「勝利の方程式」が序盤の失点で崩壊してしまい、打線もわずか２安打、11三振を奪われては打つ手がなく、「下剋上」の夢はここで潰え、「ダイヤモンドシリーズ」に進むことはできなかった。

　３月に開幕し、長いレギュラーシーズンを戦い抜き、ポストシーズンに入った「ニトリ JD.LEAGUE 2022」。「プレーオフ」も終わり、いよいよ「初代王者」を決める「ダイヤモンドシリーズ」を残すのみとなった。

　この「プレーオフ」は、なかなか開催会場が決まらず、結局、レギュラーシーズンで８節・12会場でこの「JD.LEAGUE」開催してきた愛知県（岡崎市）での開催となった。また、「第51回日本男子ソフトボールリーグ決勝トーナメント」（11月５日（土）・６日（日）、大阪府豊中市・豊中ローズ球場で開催）、「第55回日本女子ソフトボールリーグ順位決定節」（11月４日（金）～６日（日）、茨城県小美玉市・希望ヶ丘公園で開催）と日程が重なってしまっており、男子リーグ・女子リーグの「クライマックス」と同時開催・同時進行になってしまったのは、何とももったいない気がした。
　もちろん、これだけの試合数をこなしていくには、どこかにシワ寄せがいき、無理が生じるのは致し方ないことかもしれないが、そういったことも考慮・配慮の上、それぞれのリーグが、それぞれの大会が、最も盛り上がる形で開催する形がとれたら……と思わずにはいられなかった。

　11月12日（土）・13日（日）の「ダイヤモンドシリーズ」は、ソフトボールシーズンのフィナーレを飾る試合となる。それだけに……ソフトボールの「魅力」「楽しさ」「面白さ」が詰まった「最高の試合」を見せてくれることを、「最高の盛り上がり」で来シーズンへと、ソフトボールの「未来」へと、「期待」をつなぐようなエンディングとなることを心から願っている。