シーズン開幕に備え、リーグ担当審判員研修会を実施
「世界的な選手」が顔を揃える「熊野オープン」が研修の場となった
リーグ「本番」を想定した「実戦」の中で研修が進められた
「実戦」を終えると、すぐに「反省」と「フィードバック」の場が持たれた
「実戦」の合間を縫って、基本姿勢やストライクゾーンの確認も入念に!
3月いっぱいで退職される上山事務局員に感謝を込めて!
去る3月3日(金)~5日(日)、三重県熊野市において「ニトリ JD.LEAGUE 2023・第56回日本女子ソフトボールリーグ担当審判員研修会」が実施された。
この研修会に参加した「ニトリ JD.LEAGUE 2023・第56回日本女子ソフトボールリーグ担当審判員」は、昨年末、全国各都道府県支部協会から推薦を受けた74名によって、まず「第1次選考」(書類選考)が行われ、すでに2年以上のリーグ審判員のキャリアを持つ候補者27名は「第2次選考」(筆記・実技選考)を免除。キャリア1年のリーグ審判員経験者と今回「初めて」選考会に臨む総勢46名が、昨年12月9日(金)~11日(日)の3日間、静岡県伊豆市・天城ドームで実施された同選考会に臨み、選考の結果、新たなリーグ担当審判員9名を含む23名を選出。前述の「第2次選考」を免除された27名を加えた計50名が、晴れて「ニトリ JD.LEAGUE 2023・第56回日本女子ソフトボールリーグ担当審判員」となり、この研修会に参加することになった。
(※「ニトリ JD.LEAGUE 2023・第56回日本女子ソフトボールリーグ担当審判員」一覧はこちら)
研修会は、ちょうど当地で開催されていた「第25回熊野オープン」に合わせて実施される形となり、「ニトリ JD.LEAGUE 2023」に参戦する豊田自動織機 シャイニングベガ(昨年2位/西地区2位)、トヨタ レッドテリアーズ(昨年3位/西地区優勝)、日立 サンディーバ(昨年3位/東地区2位)、SGホールディングス ギャラクシースターズ(昨年7位/西地区3位)、シオノギ レインボーストークス兵庫(西地区4位)、太陽誘電 ソルフィーユ(東地区5位)、伊予銀行 ヴェールズ(西地区5位)、大垣 ミナモ(東地区6位)、タカギ北九州 ウォーターウェーブ(西地区6位)、NECプラットフォームズ レッドファルコンズ(東地区7位)、戸田中央 メディックス埼玉(東地区8位)、東海理化 チェリーブロッサムズ(西地区8位)の12チームに加え、大学の「強豪」園田学園女子大(兵庫)、富士大(岩手)、大成学院大(大阪)、日本文理大(大分)の4チームが参加。まさに「日本のTOPレベル」のチームが集う大会とあって「絶好の研修の場」となった。
この「第25回熊野オープン」が4会場を使用しての大会となったことから、研修に参加する審判員を4つのグループに分け、その4グループを(公財)日本ソフトボール協会審判委員会の面々が分担して担当。その一挙手一投足を厳しくチェックし、指導する形で「実戦」の中で研修が進められた。
通常、JD.LEAGUE、日本女子ソフトボールリーグでは、リーグ担当審判員は球審、一塁塁審を担当することになるが、この研修会では二塁塁審、三塁塁審もリーグ担当審判員が務め、順次ローテーションする形で研修が進められた。
JD.LEAGUEの選手たちといえば、「日本のTOPレベル」であることはもちろん、「東京2020オリンピック」の金メダリスト等、「世界のTOP」に君臨する選手も多く、そんな選手たちのプレーをジャッジするとあって「緊張」に身震いするような場面も……。研修に臨む審判員一人ひとりが「本番」さながらの緊張感の中で「実戦」に臨み、実際に試合を行う際の手順に従って、バット、ヘルメットの検査、捕手のマスク、ヘルメット、レガース、ボディープロテクターのチェックから始まり、試合前のスターティングメンバ―の最終確認等、すべて「本番」と同じ状況を設定し、研修が進められた。
また、この「熊野オープン」の各試合が1時間45分の「時間制限」の中で行われたこともあり、審判員も半分の試合時間が経過したところで球審、一塁塁審、二塁塁審、三塁塁審すべて交代。引き上げてくるとすぐに、その会場を担当する審判委員を交えて「反省会」を行い、そこで起こったことをしっかりとフィードバックし、課題・問題点を明確にした上で、それをどう改善すればいいか、具体的なアドバイスが送られていた。
各会場の担当する審判委員の面々は、いずれもかつては「リーグ担当審判員」として、この場に立っていたキャリアを有している委員ばかりとあって、審判員のジャッジを見守る「目」は厳正にして的確そのもの。長い審判員としてのキャリア、実戦経験の中で培われてきた「確かな目」が、「後輩」にあたる審判員たちに注がれ、「こんなときどうすればいいか」「ここで何をすべきだったのか」等、厳しくも温かく指導・助言を行う等、ともに課題の克服に取り組む姿勢が見られた。
また、リーグ担当審判員として、「より高いレベル」をめざすべく、互いに「こうしよう」「ああしよう」と何かあれば話し合い、よりよいジャッジを行うべく切磋琢磨し、また、キャリア豊富な「先輩」のリーグ審判員からも「こんなときはこうしたらいい」「自分はこんな風にしている」等、他の大会とリーグとの違いに言及しながら、自らの貴重な「体験談」をひもとき、アドバイスするシーンも見られた。
実戦での研修を終え、ホテルに帰ると入念なミーティング。各会場を担当した審判委員が「総括」を行い、改めて「リーグ担当審判員」としての心構え、姿勢を説く場面もあった。派遣された会場では開催地の理事長にキチンと挨拶をすること、また、派遣してもらった自らの協会にも連絡・報告を怠らないこと、常に謙虚な姿勢で取り組むこと等、「当たり前」のことを当たり前に行っていくことの大切さ、それを積み重ね、継続していくことの重要性が改めて伝えられた。
また、神谷和宏審判委員長からは、「審判員である限り、常に努力を惜しまない、上をめざす意識・意欲を持ってほしい。今、ここで同じスタートラインに立ち、最終的には『ニトリ JD.LEAGUE 2023』のプレーオフ、ダイヤモンドシリーズの審判員に選ばれ、その場に立つことを目標に、日々精進してほしい」と激励の言葉が贈られた。
翌日も時間の許す限り、「実戦」の中で研修。日本の、世界の、「TOPレベル」のプレーに触れ、そこでジャッジすることの責任の重さ。自らの判定一つひとつ、一球一球を、選手が、チームが、観客が、あるいはLIVE配信を通じて、日本中、世界中の人々が注視する「常に見られている」という環境。大きなやり甲斐があると同時に「背負うべきもの」も大きく重くなる。その使命と役割を全うするためには……自らの意識を高め、向上心を持ち、日々努力・精進していくしかない。
今回の研修で洗い出された様々な「課題」と向き合い、克服し、「さすが! リーグ審判員は違う!!」と観る者を唸らせるような、正確無比、厳格にして公平・公正な判定を見せてくれることを期待したいところだ。
研修会の最後には、長年、審判委員会、リーグ担当審判員選考会・研修会を担当してきた(公財)日本ソフトボール協会・上山政樹事務局員が、この3月で退職されるとあって、これまでの感謝を込め、花束と記念品が贈られる感動のシーンもあった。
ソフトボールシーズンの「開幕」はすぐ目の前! 選手・チームだけでなく、審判員たちもその「開幕」に備え、準備を整えている。