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「ニトリ JD.LEAGUE 2023」ダイヤモンドシリーズ

・大会第1日/11月18日(土)
セミファイナル・第1試合

「ニトリ JD.LEAGUE 2023」のチャンピオンを決める「ダイヤモンドシリーズ」とあってスタンドは超満員!

ホンダ リヴェルタは「右のエース」アリー・カーダではなく、「左のエース」ジェイリン・フォードが先発に立てたが……

「連覇」を狙うビックカメラ高崎 ビークイーンが「キャプテン」内藤実穂のスリーランで先制!

ビックカメラ高崎 ビークイーンは本塁打3本を含む13安打・12得点の猛攻で圧勝!

1 2 3 4 5 6 7 R
ホンダ リヴェルタ
(東地区3位)
0 1 0 0 1 1 2 5
ビックカメラ高崎 ビークイーン
(東地区優勝)
3 0 3 0 4 2 x 12

(ホ)●ジェイリン・フォード(2回)、アリー・カーダ(4回)-棚町佳奈、安山涼香
(ビ)濱村ゆかり(3回)、○上野由岐子(4回)-我妻悠香
〔本塁打〕内藤実穂、市口侑果、藤田倭(ビ)
〔三塁打〕片岡美結(ビ)
〔二塁打〕大川茉由②、吉田彩夏(ホ)片岡美結(ビ)
【球審】笹島綾花【一塁塁審】野口加奈子【二塁塁審】田中勝裕【三塁塁審】濱崎哲一
【公式記録員】笠原真理子

 「ニトリ JD.LEAGUE 2023」ダイヤモンドシリーズ・セミファイナル第1試合は、「東地区」優勝のビックカメラ高崎 ビークイーンと、「東地区」3位で「プレーオフ」(11月11日(土)・12日(日)、神奈川県川崎市・等々力球場)進出。「東地区」2位の日立 サンディーバを延長タイブレークにもつれ込む「死闘」の末、8-7で破り、この「ダイヤモンドシリーズ」に駒を進めてきたホンダ リヴェルタが対戦した。

 ビックカメラ高崎 ビークイーンの先発は濱村ゆかり。今シーズン18試合・90イニングを投げ、9勝4敗・防御率1.87・奪三振100、チームNo.1の勝ち星を挙げている「稼ぎ頭」を先発に立てた。その濱村ゆかりの立ち上がり、先頭打者を空振り三振、セーフティーバントのピッチャーフライ、見逃し三振の三者凡退の滑り出し。日本代表」に選出された経歴を持ち、何度も全国優勝、リーグ優勝を経験してきた百戦錬磨のピッチャーらしく、落ち着いた立ち上がりを見せた。

 今シーズン、「レギュラーシーズン」の対戦では、2年連続「東地区」優勝のビックカメラ高崎を相手に「3戦全勝」と相性の良いホンダ リヴェルタは、「レギュラーシーズン」でその「3勝」すべてを「完投」で挙げている「右のエース」アリー・カーダではなく、「左のエース」ジェイリン・フォードを先発に立ててきた。そのジェイリン・フォードは今シーズン16試合・89イニングを投げ、11勝2敗。防御率1.34・奪三振86。「右のエース」アリー・カーダとともにチームを支えてきた「左のエース」に「大事な試合」の先発を託した。
 ビックカメラ高崎 ビークイーンは1番・市口侑果実が見逃し三振に倒れたものの、この試合「2番」に起用された炭谷遥香が二遊間を破る安打を放ち、出塁。3番・工藤環奈の当たりはセカンドの守備範囲。おあつらえ向きのゲッツコースと思われたが……セカンド・渡邉瑞貴がダブルプレーを取らなくては……気が急いたか、この打球をはじいてしまい、オールセーフ。この「大きなミス」を「王者」が見逃すはずもなく、4番・内藤実穂がライトスタンドへライナーで突き刺すスリーランホームラン! 「東京2020オリンピック」の金メダリストであり、チームを引っ張る「キャプテン」の大きな大きな「一発」で初回に3点を先制した。

 しかし……今シーズン「王者」ビックカメラ高崎 ビークイーンに「レギュラーシーズン」3戦全勝、3試合中2試合が「逆転勝ち」というホンダ リヴェルタも黙ってはいない。3点を先制された直後の2回表、簡単に二死となった後、「昨シーズン」新人賞(野手部門)に輝いた6番・大川茉由がライトのフェンスをワンバウンドで越えるエンタイトルツーベース。反撃の口火を切ると、続く7番・渡邉瑞貴が初回の守備のミスを取り戻すかのように「気合」で二遊間を抜くタイムリーを放ち、二塁走者が還り、1点を返した。

 ホンダ リヴェルタは3回裏、早々に先発・ジェイリン・フォードから「右のエース」アリー・カーダに投手交代。その代わり端、1番・市口侑果にセンター前に運ばれ、2番・炭谷遥香は送りバント失敗で追い込まれた後、「進塁打」の意識で右方向を狙い、バットに合わせただけの打球が「測ったように」一・二塁間を抜けていき、無死一・二塁とチャンスを広げた。一死後、パスボールで二・三塁となった後、初回に先制ホームランを放っている4番・内藤実穂は粘った末に四球を選び、満塁。ここで5番・藤田倭が思い切ってフルスイングした打球が当たり損ねとなり、急激なスピンがかかり、セカンド・渡邉瑞貴をまるで避けていく「生き物」のように急旋回。亡くなられた漫画家・水島新司氏の代表作「ドカベン」に出てくる「殿馬」の「秘打」を彷彿とさせるような内野安打となり、1点を追加。なお一死満塁のチャンスが続き、6番・藤本麗の一塁線の打球をファースト・大川茉由が捕球できず、一塁線を抜けていき、二者生還(記録は安打)。ビックカメラ高崎 ビークイーンがこの回3点を追加し、6-1と大きくリードを広げた。

 4回表、ビックカメラ高崎 ビークイーンも早めの投手交代に踏み切り、昨シーズン、記念すべき「JD.LEAGUE」スタートの年に1試合も登板できず、今シーズン「クローザー」として鮮やかな復活を遂げた「レジェンド」上野由岐子を早くも投入。いきなり3四球を与え、満塁のピンチを招く場面もあったが、そこは誰よりも経験豊富で数々の修羅場をくぐり抜けてきた「レジェンド」。落ち着いて後続を断ち、無失点でこのピンチを切り抜けた。
 しかし、5回表に入っても微妙な制球が定まらず、またしても四球の走者を出し、そこからワイルドピッチ、セカンドゴロで走者を三塁まで進められ、ライトファウルグラウンドへのフェンス際のフライをライト・片岡美結がフェンスにぶつかりながらも捕球するファインプレーを見せたが、これが犠牲フライとなり、また1点を返された。

 ビックカメラ高崎 ビークイーンはその裏、反撃の機運を断ち切り、追撃を許してなるものかとばかりに容赦のない攻めを見せ、6番・藤本麗、7番・我妻悠香の連打等で一死二・三塁のチャンスをつかみ、二死後、9番・松本怜奈のサード強襲のタイムリー、1番・市口侑果のライトスタンドへ運ぶスリーランホームランでこの回一挙4点を奪う猛攻。ホンダ リヴェルタが誇る「二枚看板」「左右のエース」を打ち崩し、10-2と大差をつけた

 ホンダ リヴェルタも「このまま終わるわけにはいかない」と、6回表、6番・大川茉由がこの試合2本目となる二塁打を左中間に放ち、7番・渡邉瑞貴もセカンド内野安打で続き、無死一・三塁。一死後、途中出場の9番・安山涼香がピッチャー強襲安打。1点を返し、なお一死一・二塁のチャンスが続いたが、続く1番・大工谷真波は「注文通り」の6-4―3とわたるダブルプレーに打ち取られ、チャンスを活かし切れず、この回も1点止まり。

 「レギュラーシーズン」の逆転負けの「教訓」もあるのか、取られたら取り返すビックカメラ高崎 ビークイーンは、その裏、一死から5番・藤田倭がセンター頭上を越えるソロホ―ムラン! 藤田倭「らしい」豪快な一発で1点を追加し、二死後、7番・我妻悠香が四球で出塁し、8番・片岡美結が左中間を破る三塁打。テンポラリーランナーに起用されていた藤本麗が俊足を飛ばして一気に還り、この回「倍返し」の2点を加え、12-3とさらにリードを広げた。

 ホンダ リヴェルタは最終回、この回先頭の2番・吉田彩夏がセンター頭上を越える二塁打。ワイルドピッチで無死三塁とし、3番・木村愛のショート後方へのフライで三塁走者がタッチアップからホームイン。1点を返し、四球、安打等でなお二死二・三塁と攻め立て、7番・渡邉瑞貴が二遊間へのタイムリー。最後まで諦めず、2点を還す粘りを見せてくれたが……失点があまりにも大き過ぎ、12-5の大差で試合終了のときを迎えた。

 勝ったビックカメラ高崎 ビークイーンは2年連続のファイナル進出。効果的な「一発攻勢」で得点を重ね、投手陣の投球内容に一抹の不安は残るものの、「連覇」へ「王手」をかけた。

 敗れたホンダ リヴェルタは3位で終戦。「レギュラーシーズン」でビックカメラ高崎 ビークイーンからすべて「完投」で3勝を挙げていたアリー・カーダではなく、「左のエース」ジェイリン・フォードの先発を選択したことが一つの「勝負の分かれ目」「ターニングポイント」となったか、試合開始直後から「王者」に試合の主導権を握られ、「レギュラーシーズン」のような試合展開に持ち込むことができず、先手・先手で容赦なく攻め続ける「王者」の猛攻を受け、今シーズンの「躍進」を支え続けてきた「左右のエース」が攻略されては打つ手がなかった


セミファイナル・第2試合

豊田自動織機 シャイニングベガは、もちろん「エース」ダラス・エスコベドが先発

トヨタ レッドテリアーズは2回裏、下山絵理、切石結女のホームランで先制!

トヨタ レッドテリアーズの「エース」後藤希友が最後を締め、ファイナルへ!

「東地区」優勝・ビックカメラ高崎 ビークイーンが「連覇」を狙い、ファイナル進出

「西地区」優勝・トヨタ レッドテリアーズ。ついに……ファイナルの舞台に辿り着いた

第1試合 1 2 3 4 5 6 7 R
豊田自動織機 シャイニングベガ
(西地区2位)
0 0 0 0 0 0 0 0
トヨタ レッドテリアーズ
(西地区優勝)
0 2 1 0 0 0 x 3

(豊)●ダラス・エスコベド(6回)-池上桃花
(ト)メーガン・ファライモ(3回)、○後藤希友(4回)-切石結女
〔本塁打〕下山絵理、切石結女(ト)
〔三塁打〕
〔二塁打〕鎌田優希(ト)
【球審】橋本隆【一塁塁審】矢部美樹【二塁塁審】井口佑太【三塁塁審】松田尚也
【公式記録員】中田海人

 「ニトリ JD.LEAGUE 2023」ダイヤモンドシリーズ・セミファイナル第2試合は、「西地区」優勝のトヨタ レッドテリアーズと、「西地区」2位で臨んだ「プレーオフ」(11月11日(土)・12日(日)、神奈川県川崎市・等々力球場)では、「東地区」4位となり、「ワイルドカード」で勝ち上がってきたデンソー ブライトペガサスの「挑戦」を退け、5-1の鮮やかな逆転勝ち。2年連続でこの「ダイヤモンドシリーズ」に駒を進めてきた豊田自動織機 シャイニングベガが「ファイナル」進出をかけ、対戦。この「ダイヤモンドシリーズ」セミファイナルの顔合わせは2年連続。昨シーズンの対戦では豊田自動織機 シャイニングベガが大方の予想を裏切り、延長タイブレークの末、大平あいが昨シーズンの「MVP」後藤希友から決勝のツーランホームランを放ち、ファイナル進出を果たしている。

 トヨタ レッドテリアーズの先発は、シーズン後半からチームに加わったメーガン・ファライモ。4試合・21イニングを投げ、3勝・防御率は0.00。21イニング無失点、奪三振22の好投。2019年の「第13回女子U19ワールドカップ」(現在は「U18」にカテゴリーの上限年齢が変更されている)では、現在「チームメイト」の後藤希友と決勝で投げ合った経歴も持っており(日本を破り、優勝)、WBSC(世界野球ソフトボール連盟)が定める「世界ランキング」1位に君臨するアメリカが期待を寄せる「逸材」であり、「若手有望株」を先発に起用してきた。

 一方、豊田自動織機 シャイニングベガの先発はもちろん「エース」ダラス・エスコベド。今シーズン17試合・107回2/3を投げ、13勝3敗・防御率1.11・奪三振121と抜群の安定感を誇るピッチャーであり、「メキシコ代表」でも「エース」として活躍。母国・メキシコを「初」のオリンピック出場(東京2020オリンピックに出場)に導いたことで「国民的英雄」と呼ばれるほどの選手である。

 試合が動いたのは2回裏、この回先頭の5番・下山絵理が、ダラス・エスコベドが投じたツーボール・ワンストライクからの4球目をとらえ、センター頭上を越えるソロホ―ムラン! 「西地区」トップの9本塁打を放っている「実力者」がこの「大事な試合」の先制点を叩き出した。この「一発」で勢いづいたトヨタ レッドテリアーズは、二死後、8番・切石結女にもレフトスタンドに運ぶソロホ―ムランが飛び出し、豊田自動織機 シャイニングベガの「大黒柱」であり、「生命線」でもあるダラス・エスコベドから大きな2点を奪い取った。

 2点を先制された豊田自動織機 シャイニングベガは、その直後の3回表、一死から1番・須藤志歩が死球で出塁。2番・大平あいが左中間への安打で続き、一死一・二塁とし、二死後、4番・田井亜加音が三遊間深く転がすショート内野安打。二死満塁と攻め立てたが……5番・テイラー・エルズウォースが三球三振に打ち取られ、反撃のチャンスを逃し、無得点に終わった。

 満塁のピンチを切り抜けたトヨタ レッドテリアーズはその裏、「西地区」打撃ランキングトップ、打率4割9厘の1番・石川恭子がサード内野安打で出塁。2番・鎌田優希がレフト前に落とすヒットでつなぎ、3番・原田のどかが犠打で確実に走者を進め、4番・バッバ・ニクルスが三遊間を鋭く破るタイムリー! 1点を追加し、3点差にリードを広げた。

 3点をリードしたトヨタ レッドテリアーズは4回表から「エース」後藤希友が満を持して登板。今シーズン18試合・101回2/3を投げ、14勝を挙げ、敗戦投手となったのはシーズンを通してたった1回。防御率0.83・奪三振107とレギュラーシーズンで「圧倒的」な数字を残したエースがその「実力」をいかんなく発揮し、昨シーズン逃してしまった「ファイナル」進出への道をより確かなものすべく力投。セカンドゴロ、空振り三振、ファーストゴロの三者凡退に斬って取り、続く5回表、安打を1本許したものの、アウトはすべて三振で奪い、6回表は三者凡退。トヨタ レッドテリアーズが3点のリードを保ったまま、試合は最終回を迎えた。

 豊田自動織機 シャイニングベガも懸命の反撃を試み、2つの四球を得て、二死二・三塁と後藤希友が登板してから「初めて」のチャンスを作ったが……「最後の打者」がセカンドゴロに打ち取られ、万事休す。3-0の完封でトヨタ レッドテリアーズが勝ち、こちらも「地区優勝」を果たしたチームが「レギュラーシーズン」の結果通りの「強さ」を見せつけ、ファイナル進出を決めた。

 勝ったレッドテリアーズはファイナル進出。昨シーズン「不覚」を取った「鬼門」のセミファイナルを無事突破し、念願の「JD.LEAGUE」制覇に「王手」をかけた。

 敗れた豊田自動織機 シャイニングベガは3位で終戦。昨シーズンの「再現」はならず……セミファイナルで姿を消した。

 「東地区」「西地区」の「地区優勝」を果たした2チームによるファイナル。「JD.LEAGUEチャンピオン」を決めるにふさわしいカードとなり、「舞台」はすべて整った。

 「ニトリ JD.LEAGUE 2023」ダイヤモンドシリーズ「ファイナル」は、明日(11月19日/日)、13時から今日と同じ埼玉県朝霞市・朝霞中央公園野球場で行われ、本年度の「チャンピオンチーム」が決まることになる。

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