(2024.2.10~12/愛知県刈谷市)
恒例の審判・記録中央研修会を「4年ぶり」に開催!
「ルール改正、競技者必携の改訂・修正点」を
確認しながら ″熱の込もった研修″ が行われた
※神谷和宏審判委員長(左) 遠藤正人記録委員長(右)
審判・記録とそれぞれ日本協会の委員が講師を担当。
「オリジナル教材」も駆使して、要点が詳しく解説される
日本トップレベルの選手たちも研修に協力!
審判の部の実技研修は常に「実戦を想定」して‼
記録の部では「スコアリングマニュアル第5版」を手にし、
新たな記帳方法の導入や変更点を確認。研鑽を重ねる
記帳・点検の正確さに、スピードアップも加えて!
「球春」「シーズン開幕」は、すぐそこに
来るべきシーズンに備えて!
球春の訪れを告げる恒例の「全国審判員・記録員中央研修会」が去る2月10日(土)~12日(月)の3日間にわたり、愛知県刈谷市/刈谷市産業振興センター・双葉グラウンドにおいて開催された。
この中央研修会は前回令和元年度(2020年)に開催されて以来「4年ぶり」の開催(※前回も同じく愛知県刈谷市にて開催。中央研修会の開催は隔年開催とされており、次回令和3年度:2022年に開催される予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響で中止。次年度をまたいで今回が『4年ぶりの開催』となった)。
研修会当日は(公財)日本ソフトボール協会審判委員会・記録委員会のメンバーをはじめ、全国各都道府県ソフトボール協会の審判長・記録長(またはそれに準ずる者)が参集。令和6年度ソフトボール競技におけるルール改正・ルール適用の確認、新たなシーズンに向けた審判員・記録員の連係の強化や交流・親睦をより深めることを目的とし、熱心な研修が行われた。
●研修会初日/2月10日(土)
会場となる愛知県刈谷市/刈谷市産業振興センターに全国から参加者が集い、まず開講式を実施。開講式には(公財)日本ソフトボール協会・三宅豊会長も激励に駆け付け、昨今におけるソフトボールの現状を踏まえた課題・展望、ソフトボールという競技(スポーツ)の本来あるべき姿やそこに対する自身の想い等を語り、「現役の選手の皆さん、そして競技を支える審判員・記録員の皆さんにも共通して言えることと思うが、技術を磨き、知識を広め、深めること……言わば『自己研鑽を重ねる』ことは自分自身を高めることに直結するのはもちろん、自らの『内面を磨く』ことにもつながっていくと私自身考えている。時代の流れとともにソフトボールも男女で国際化が進み、審判・記録の皆さんに求められることも増えてきていると思うが、そういった中にあっても各々がそれぞれの立場で『研鑽し続ける』ことが大切である。今後ソフトボールをさらに普及・発展させていくためにも、ぜひそれを心にとめながら、研修に励んでいただきたい」と挨拶。
続いて(公財)日本ソフトボール協会・神谷和宏審判委員長、遠藤正人記録委員長より「2024オフィシャルソフトボールルールの改正点とその適用について」確認が行われ、その後、いよいよ「審判」「記録」に分かれての研修に入ることとなった。
審判の部の初日は、再度、神谷和宏委員長がルール改正点とその適用について一つひとつ入念に確認。
特に2024オフィシャルソフトボールルールブック/P52~54 ルール4 4-10項 代替プレイヤー 10.及び(注)の新設:頭部への死球や頭部・頸部に送球・打球が当たった場合、打撃時・走塁時・守備時のいかなる場合であっても、そのようなプレイがあったときには、外見上、出血が認められなくても、代替プレイヤールールを適用することができるものとし、4-10項に10.を新設し、(注)を設け、頭部外傷に関する説明文を加えた。
P57~58 ルール5 5-6項 タイブレーク 〈効果〉6項に走者が得点した場合のアピール権の消滅について明記:他のアピールプレイとアピール権消滅のタイミングが異なるため、「違反した走者が得点すると守備側のアピール権は消滅する」ことを明記した。
等について、重点的に確認・説明され、次に水野直輝副委員長が2024ソフトボール競技者必携の改訂・修正点について確認。こちらも一つひとつ丁寧に確認作業が進められる中、2024年度から「完全実施」に踏み切る「タイブレーク走者の違反について、アピールプレイの対象となる」等、再度内容把握の徹底が図られた。
ルール改正点、競技者必携の改訂・修正点について入念な確認が行われた後は、足袋抜豊松副委員長を講師に基本的な「審判実務」について研修。続いて「東京2020オリンピックソフトボール競技」に「大会審判員」として派遣された矢部美樹氏(神奈川県ソフトボール協会所属)による「派遣報告」の時間も設けられ、コロナ禍真っ只中であった当時のエピソードや実際にオリンピック審判員としてグラウンドに立ち、プレイ・試合をジャッジした貴重な経験談が語られた。
記録の部では、遠藤正人委員長が改めて挨拶に立ち、その後「令和5年度の反省と統一事項」をテーマに記録委員会としての今後の方針を説明。この度(令和6年2月1日)新たに発行された「ソフトボールスコアリングマニュアル第5版」もお披露目となり、参加者全員で実際に手に取り、その中身・内容をじっくりと確認しながら、今回の改訂部分の説明・解説が行われた。
初日の研修の最後には「グループ討議」も行われ、北海道・東北、関東、北信越、東海、近畿、中国、四国、九州ブロックに分かれて「スコアリングマニュアル第5版に対する疑問点・今後に向けた要望」をテーマに討議。各グループが現状において感じる疑問点や改善点、要望等を話し合い、スコアリングマニュアルのあり方を改めて見つめるとともに、掲載内容の「さらなる充実」を図ろうと議論する姿も見られた。
●研修会2日目/2月11日(日)
研修会2日目、審判の部は「実技研修」を行うべく愛知県刈谷市/双葉グラウンドへ移動。
(公財)日本ソフトボール協会審判委員会・渡瀬達生委員の指導のもと早速全員でウォーミングアップを行い、研修開始。この後も同じく(公財)日本ソフトボール協会審判委員会のメンバーが講師を務め、基本動作の確認(担当講師:遠藤裕美委員)から、ストライクゾーンの確認(担当講師:佐藤和哉委員)、実務指導の要点について(担当講師:球審・岡野秀子委員、一塁審・唐橋仁委員、二塁審・松本雄二委員、三塁審・佐藤和哉委員)、投球判定(※地元・愛知を本拠地とする日本男子ソフトボールリーグ所属チーム、大学女子チーム、高校女子チームのバッテリーが協力)、実際の試合で起こり得るさまざまなプレイに対応した審判ローテーション(※地元・愛知の高校女子チームが協力)まで「実戦を想定した」熱の込もった研修が続けられた。
記録の部では、まず「スコアカードの点検の留意点」の研修からスタート。(公財)日本ソフトボール協会記録委員会・小泉昭彦委員、下村征二委員を中心にスコアカードの点検に際し、特に注意しなければいけない「留意点」を解説。
特に報道関係・各種メディアにいち早く提供しなければならない「記録4号」(イニングスコア、バッテリー、長打)の作成時には注意が必要で、学生種別や子どもたちの大会では「ウチの子が二塁打を打ったはずなのに新聞に載っていない……」といったトラブル等が生じやすい。正確なスコアカードの作成のためにしっかりとした点検を行うことはもちろんのこと、報道関係・各種メディアに提供・配布する付随資料の作成にはより慎重を期し、「間違いのない内容のもの」を提供してほしいと改めて注意が促された。
また、今シーズンから「ストライク」が「見逃し」と「空振り」を区別して記帳するようになったこと、「ペナルティボール」(※20秒ルールの違反、準備投球の超過、走者がいないとき捕手が投手以外の野手に送球したとき)、「ペナルティストライク」(打者席のライン消し、打撃姿勢遅延等)は「投球数に加えない」ことについても、今まで以上に細心の注意を払って点検するよう強調された。
この後、村田文敏副委員長を中心に実際にスコアカードを点検する「テスト」が実施され、スコアカードの点検において、あえて人為的な「誤り」を配したスコアカードが参加者一人ひとりに配布され、「JDリーグ」や「日本リーグ」「全日本大会」を想定し、一定時間で報道関係・各種メディアに配布できるクオリティのスコアカードを完成させるべく点検を行った。
次に、前日の「グループ討議」で各ブロックから出された「スコアリングマニュアル第5版に対する疑問点・要望」に関して八木美代子委員が返答し、新たな記帳方法の導入や変更点について、WBSC(世界野球ソフトボール連盟)との記帳の差異や今回取り入れた内容の経緯・趣旨について、改めて説明。
遠藤正人委員長からは「タイブレーク走者に違反があった場合、正規の走者をアウトとし、他のルール違反は適用しない」ことが確認され、「間違って走者となったタイブレーク走者の記録は正規の走者のものとし、無通告で入ったタイブレーク走者の記録も正規の走者の記録とする」(※無通告交代(失格選手)ではなく、タイブレークの違反として扱う)ことが伝えられた。
午後からは参加者を12のグループに分け、それぞれを「大会記録本部」に見立てDropboxを共有・活用し、大会開催時に必要な記録業務の取り扱いを研修。各種大会における記録業務の効率化と正確性の向上へ向けた取り組みが進められた。
●研修会最終日/2月12日(月)
研修会最終日、審判の部は再び座学にてルール改正点、競技者必携の改訂・修正点を確認。小牧司副委員長による「審判員育成共通教材」の紹介と「地区別研修会における徹底事項」等が参加者全員に伝達され、最後に神谷和宏委員長が今回の研修会を総括した。
記録の部では、「スコアカードの点検の確認」からはじまり、前日に「テスト形式」で実施された「スコアカードの点検」の点検結果を全員で確認。
続いて、国際大会の「派遣報告」が行われ、昨年8月に中国・平潭で開催された「第9回女子U18アジアカップ」の報告を群馬県ソフトボール協会・柳沢俊明氏が、同年9月に中国・杭州で開催された「第19回アジア競技大会」の報告を地元・愛知県ソフトボール協会記録委員長でもある佐藤晴美氏(日本ソフトボール協会記録委員)が行い、それぞれ貴重な経験談を発表。
最後に遠藤正人委員長が研修会を総括し、今後、各ブロック、各都道府県、各市町村で開催される伝達講習について「ここで研修した内容をしっかりと間違いなく伝達する」よう、参加者全員に徹底された。
4年ぶりに開催され、審判・記録とも ″来るべきシーズン″ に備えて3日間にわたり熱心な研修を続けた「令和5年度全国審判員・記録員中央研修会」。
この中央研修会が終われば、 ″シーズン開幕″ はすぐそこである。