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◆「皇后盃 第76回全日本総合女子選手権大会」を振り返って

「皇后盃」の冠を賜り、「新たな歴史」がスタート!
戸田中央メディックス埼玉(埼玉)が初の頂点へ !!

戸田中央メディックス埼玉が「初代・皇后盃」の栄誉に!

今年度・第76回大会から新たに「皇后盃」の冠を賜った

″大学チームの快進撃″ が目を引いた今大会。
日本体育大学と中京大学がJD.LEAGUE勢を
続けて撃破し、準々決勝で激突する場面も!

準決勝に進んだ中京大学を「トップリーグの意地」で
5回コールドと一蹴した、戸田中央メディックス埼玉

決勝ではその戸田中央メディックス埼玉が先制攻撃!

初優勝をかけ、SGホールディングスも懸命に戦ったが…

「新たな歴史」を、ここから!
今後も大会を成長・発展させて!!

 去る9月14日(土)~16日(月・祝)の3日間、滋賀県守山市・草津市・東近江市・高島市を舞台に「皇后盃 第76回全日本総合女子選手権大会」が開催された。

 この全日本総合女子選手権は、日本女子ソフトボールの現トップリーグであるJD.LEAGUEをはじめ、日本リーグ、実業団、クラブ、大学の各カテゴリーが「日本の頂点」を競い合う文字通り「国内最高峰の大会」と位置づけられてきたが、今年度:第76回大会から新たに「皇后盃」の冠を御下賜いただくこととなった(※2024年(令和6年)9月6日、天皇皇后両陛下より宮内庁を通じ、当協会:公益財団法人 日本ソフトボール協会へ『天皇盃』『皇后盃』を御下賜いただきました。今後は『天皇盃』を『全日本総合男子選手権大会・優勝チーム』に、『皇后盃』を『全日本総合女子選手権大会・優勝チーム』にそれぞれ授与することといたします)。

 ″皇后盃初年度″ となった今大会には、前回悪天候により最後「2チーム同時優勝」という形に終わったトヨタレッドテリアーズ(愛知)、ビックカメラ高崎ビークイーン(群馬)、その前回優勝2チーム(トヨタ、ビックカメラ高崎)を除いたJD.LEAGUE所属14チーム/Honda Reverta(栃木)、太陽誘電ソルフィーユ(群馬)、戸田中央メディックス埼玉(埼玉)、日立サンディーバ(神奈川)、大垣ミナモソフトボールクラブ(岐阜)、NECプラットフォームズ Red Falcons(静岡)、デンソーブライトペガサス(愛知)、豊田自動織機シャイニングベガ(愛知)、東海理化チェリーブロッサムズ(愛知)、日本精工ブレイブベアリーズ(滋賀)、SGホールディングスギャラクシースターズ(京都)、シオノギレインボーストークス兵庫(兵庫)、伊予銀行ヴェールズ(愛媛)、タカギ北九州ウォーターウェーブ(福岡)が推薦出場。そこに全国各ブロックの予選を突破した15チーム/富士大学(岩手・東北)、東北福祉大学(宮城・東北)、ペヤング女子ソフトボール部(群馬・関東)、日本体育大学(東京・関東)、うぐいす会VONDS市原ソフトボールクラブ(千葉・関東)、山梨学院大学(山梨・関東)、金沢学院大学(石川・北信越)、中京大学(愛知・東海)、靜甲株式会社(静岡・東海)、立命館大学(京都・近畿)、同志社大学(京都・近畿)、IPU・環太平洋大学(岡山・中国)、Kochi Tamon Nijinoyume(高知・四国)、MORI ALL WAVE KANOYA(鹿児島・九州)、日本文理大学(大分・九州)と地元1チーム/ルネス紅葉スポーツ柔整専門学校(滋賀)を加えた合計32チームによって覇が競われた。

 大会初日・1回戦は、日本体育大学がトヨタレッドテリアーズを延長8回タイブレークの末「1-0」、中京大学も太陽誘電ソルフィーユを「2-0」で撃破する「大金星」。また、日本リーグ所属の靜甲株式会社がJD.LEAGUE勢の一角・シオノギレインボーストークス兵庫に「3-1」で快勝するという「健闘ぶり」もあった。

 大会2日目も前日同様「大学チームの奮戦」が目を引き、日本体育大学が日本精工ブレイブベアリーズに「3-1」と逆転勝ち。中京大学も東海理化チェリーブロッサムズに「3-0」の完封勝利を収め、ともに「準々決勝進出」。日本リーグ所属チームとして唯一初戦を突破した靜甲株式会社もタカギ北九州ウォーターウェーブを延長8回タイブレークの末「2-0」で振り切り、「ベスト8」へ駒を進めた。
 この日の第3試合、その準々決勝では ″快進撃″ を続ける日本体育大学と中京大学の「大学勢対決」が実現。3-3の同点で延長タイブレークにもつれ込んだ激闘は、最後延長8回裏、中京大学が一死二・三塁から「捨て身のヒットエンドラン」を仕掛けて決勝点をもぎ取り、4-3のサヨナラ勝ち! 初の「準決勝進出」!! 同じく1回戦、2回戦でJD.LEAGUEチームを破り勝ち上がってきた靜甲株式会社はSGホールディングスギャラクシースターズにチャレンジしたが、こちらは打線がSGホールディングスの投手陣(キャスリン・サンダーコック、永井柚衣)に「ノーヒット」と完璧に抑え込まれ、0-4の力負け。初のベスト4へ名乗りを上げることはできなかった。

 「初代・皇后盃」の栄誉をつかむべく、大会最終日に勝ち残ったのは中京大学、戸田中央メディックス埼玉、SGホールディングスギャラクシースターズ、ビックカメラ高崎ビークイーン。それぞれのチームが「日本の頂点」をかけた最終決戦に挑んだ。

 準決勝:中京大学 vs 戸田中央メディックス埼玉は、後攻の戸田中央が初回鮮やかな先制攻撃! 1番・坂本結愛が「初球」を狙いすまし、いきなりサード強襲のツーベースで出塁。さらに四球、内野安打でアッという間に塁上を埋めると、4番・糟谷舞乃のレフトへの犠牲フライであっさり1点を先取。その後も ″エンジン全開″ の打線が容赦なく中京に襲い掛かり、6番・今田まな、7番・武富沙耶、代打・佐藤香美、打者一巡して1番・坂本結愛と次々にタイムリー!! 大量6点を奪い、早々に試合の大勢を決めてしまった。
 1回戦、2回戦でJD.LEAGUE勢を破る金星を挙げ「初の準決勝進出」を果たした中京は戸田中央の怒涛の先制攻撃の前になす術なく……この試合最終的に7失点。大会を盛り上げ、周囲の注目を集めた「快進撃」もついにここでストップし、大躍進の決勝進出とはいかなかった。

 もう一方の準決勝:SGホールディングスギャラクシースターズ vs ビックカメラ高崎ビークイーンは、両チーム一歩も譲らぬ投手戦を展開。0-0のまま迎えた5回表、SGホールディングスは前の回(4回表)二死から登板したビックカメラ高崎・上野由岐子を攻め、一死から9番・山本星が左中間を破るスリーベースで出塁。1番・望月朱里は空振り三振に倒れたが、続く2番・中川彩音が「初球」を積極的に振り抜き、二遊間を抜くタイムリー! 待望の1点を先制した。
 投げては、先発登板したカーヤ・パーナビーが6イニングを「圧巻」のパーフェクトピッチング。最終回の締めくくりはキャスリン・サンダーコックへ託し、完全試合達成とはならなかったが、1-0の完封勝ちで10年ぶりの決勝進出を決めた。

 決勝戦:SGホールディングスギャラクシースターズ vs 戸田中央メディックス埼玉は「初優勝」をめざすチーム同士のぶつかり合いとなり、後攻の戸田中央が準決勝に続いて初回に先制攻撃。一死から2番・鈴木鮎美がサード頭上を越えるヒットで出塁すると、二死後、4番・糟谷舞乃のライト線へ落ちるタイムリースリーベースで一気に生還。なお二死三塁から5番:サバンナ・ジェーキッシュにもセンター前タイムリーが飛び出し、幸先良く2点を先制した。
 守っては、先発・増田侑希が3回表に二者連続ツーベースを浴びて1点差に詰め寄られたものの、5回表からリリーフに立ったジョージナ・コリックが被安打1の好投で追加点を許さず、リードを守り抜き、2-1で接戦に勝利! 「初の頂点」へ登り詰め、栄えある「初代・皇后盃」を手にした!!

 日本女子ソフトボール「国内最高峰の大会」と位置づけられるこの全日本総合女子選手権大会、「初代・皇后盃」の栄冠に輝いたのはJD.LEAGUEに所属する戸田中央メディックス埼玉(埼玉)だった。戸田中央メディックス埼玉の今回の戦いぶりを振り返ると、1回戦・富士大学戦に4-2、2回戦・日立サンディーバ戦に1-0、準々決勝・デンソーブライトペガサス戦に2-1と「接戦の連続」を勝ち上がり、準決勝は中京大学を7-0(5回コールド)と圧倒、決勝ではSGホールディングスギャラクシースターズとの「僅差の戦い」を2-1でモノにし、見事「初の総合選手権制覇」を成し遂げた。

 先にもふれたが、今大会では日本体育大学、中京大学、靜甲株式会社の3チームが従来「戦力・選手層で他を上回る」と目されていた「JD.LEAGUEチーム」を「連破」。勢いに乗ってそのまま頂点奪取!とはさすがにいかなかったが、いわゆる ″ジャイアントキリング″ を起こして見せ、大会全体を盛り上げてくれた。 ただ一方で、その「相次ぐJD.LEAGUE勢の敗退」にどこか「不安・危機感」を抱いてしまった事実が……未だ消えず心に残っている。
 前回優勝(※ビックカメラ高崎ビークイーンとの同時優勝)のトヨタレッドテリアーズが今年 ″インカレ1回戦負け″ の日本体育大学に、いきなり足元をすくわれてしまう。中京大学に苦杯をなめた太陽誘電ソルフィーユ、東海理化チェリーブロッサムズも同様に ″見せ場なく、あっさり完封負け″ を喫してしまう等……今回早々に姿を消したJD.LEAGUEチームからは残念ながら「初代・皇后盃」に懸ける「意気込み」や「気迫」(何が何でもこのタイトルを獲りにいく!!という強い想い)がもう一つ伝わってこなかった。

 今年度においては宮内庁より「皇后盃」を御下賜いただいたタイミングが大会開催(9月14日~16日)の直前(9月6日)であったことも影響したか、「今回を『記念すべき初代・皇后盃』としてこれまでの総合選手権のあり方(※女子は長きにわたり国体(現・国民スポーツ大会)のリハーサル大会と称し、開催してきた経緯がある)を変えていこう!」「真の意味でここからもう一段階段を上がり、皆で『新たな歴史』を創造していこうではないか!! 」といった「全体の雰囲気の変化」や「具体的な次の一手」を目にすることはできなかった。気運に伴った新しい会場設営・特別感のある演出等も実際のところは「まだ手付かず……」の現実があることを再度しっかりと見つめて、今後「地に足をつけた取り組み」を一つ一つ遂行していけるか否かが大きなカギとなってくるだろう。

 栄誉ある「皇后盃」の冠を賜ったからには……この全日本総合女子選手権に携わるすべての人々の力・情熱・協力で、現状を「グレードアップ」させていく必要がある。
 そして当然のことではあるが、その ″特別な舞台″ には出場チーム・選手の「至極のプレー」、「これぞ、国内最高峰! さすが、日本女子ソフトボールのトップレベル!! 」と観客の皆さんの目を惹きつけて離さない「本気と本気のぶつかり合い」が欠かせない。

 「皇后盃 全日本総合女子選手権大会」と名を改めて、ここに確かな歴史の足跡が刻まれていく。
 「皇后盃」の冠に恥じぬよう、チーム・選手はもちろん、私たちもそれぞれの立場でソフトボールを輝かせていかなければならない。

●文・写真
日本ソフトボール協会広報担当
竹﨑  治 (日本体育社)

皇后盃 第76回全日本総合女子選手権大会トーナメント表
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