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「令和7年度 JD.リーグ・日本女子リーグ担当審判員選考会」

2025年度(令和7年度)JD.リーグ・日本女子リーグ担当審判員選考会を開催

選考会初日はルールに関する「筆記試験」が実施された

地元・静岡の「名門」にして「強豪」飛龍高等学校男子ソフトボール部が選考会に全面協力

選考会2日目は「実戦形式」による「実技選考」を実施

「実戦」の中での判定の正確性が厳しくチェックされた

「実戦形式」での選考の傍ら「投球判定」の選考も行われた

一つひとつの判定に選考委員の「厳しい目」が注がれた

ここは「ゴール」ではなく、「スタート地点」に立っただけ。この経験を「次」につなげて……

「JD.リーグ・日本女子リーグ担当審判員選考会」

 去る12月6日(金)~8日(日)の3日間、静岡県伊豆市/天城ドーム会場に「令和7年度 JD.リーグ・日本女子リーグ担当審判員選考会」が開催された。
 選考会には、第1次選考(書類選考)を通過した60名のうち、第2次選考(筆記試験・実技選考)を免除(「ニトリ JD.リーグ 2024」の「プレーオフ」「ダイヤモンドシリーズ」の担当審判員として選出された10名の審判員)を除く、50名が参加。「晴れの舞台」をめざし、厳しい選考に臨んだ。

 選考会初日(12月6日/金)は、選考会場となる天城ドームに集合した後、「筆記試験」を実施。リーグ担当審判員に求められるレベルで、ルールの正しい理解ができているか、その適用がキチンとできるかが確認・チェックされ、審判員の「基礎・基本」となるルールへの知識、その場面に応じた適用力、応用力も求められる試験問題が「最初のハードル」として課せられた。
 グラウンド上では溌剌とした姿を見せる審判員もペーパーテストは勝手が違うのか、解答に四苦八苦する場面も見られたが……この日のためにしっかりと準備をしてきた審判員は、慌てることなく「余裕」を感じさせる対応を見せ、求められる水準以上のレベルで「正解」を導き出していた。
 一方、「合格ラインギリギリ」という審判員もおり、審判員の「基礎・基本」となるルールへの取り組みをしっかりとしてほしいという「苦言」が呈される場面も……。この程度の問題であれば「頭の体操」「脳のトレーニング」として簡単にこなせるようでなければ、リーグ担当審判員は務まらないと叱咤激励され、翌日からの「実技選考」へ向け、気持ちを引き締めていた。

 

 選考会2日目(12月7日/土)、この日から「実技選考」に入り、地元・静岡の男子ソフトボール界の「名門」にして「強豪」、飛龍高等学校男子ソフトボール部の全面協力のもと、「実戦形式」での「実技選考」が行われた。
 この日は開始早々、カミナリが落とされ、「汗一つかいていないようなウォーミングアップがウォーミングアップといえるか!?」「これで試合に臨む準備ができている……と自信をもっていえるのか」「基本動作、発声、もっと大きなゼスチュアで大きな声でコールしないと、観ている人たちには何が何だかわからないぞ!」と厳しい声が飛んだ。確かに、特に多くの観客が詰めかけ、大音量で応援の音楽等が流される「JD.リーグ」でジャッジすることを考えると、より明確に、よりハッキリと、そのジャッジを選手やチームはもちろん、観客の皆さんにも伝えられなければならない。この選考会の選考委員を務める審判委員会の面々が自らも旧・日本リーグ1部決勝トーナメントや開幕節等、数千人、時には数万人に及ぶ大観衆が詰めかけた大舞台や「世界の頂点」を決めるワールドカップや各種国際大会を経験してきているだけに、その「実体験」に基づいた指摘・指導の数々には「説得力」があった。

 「実戦」を想定した「実技選考」では、刻一刻と変わっていく状況の中で、まずは正確なジャッジを行っていくことが求められ、ゼッケン番号によって割り当てられた球審・一塁塁審・二塁塁審・三塁塁審の四氏審判が互い協力し合いながら、打球によって、プレーによって、誰が打球を追い、走者の触塁は誰が確認し、誰が最終的なジャッジを行うのかを瞬時に判断・決定。その時々の場面・局面に応じて、ローテーションを駆使して、互いにフォロー、サポートし合いながら、円滑に試合を進めていくことに力を尽くす姿が印象に残った。

 その傍ら「投球判定」の「実技選考」も実施され、飛龍高等学校のバッテリーが実際に投球を行い、一球一球を判定。「ストライク」「ボール」の大きな声がドームの中を響き渡った。
 ここでもただ単に「ストライク」か「ボール」かを判定するだけでなく(もちろん正しくストライクゾーンを見極められることが大前提となるが)、試合のテンポ、リズムを創り出し、ピッチャーを「ノセて」いくこと、気持ちよく投球できるような状況にもっていくこと、いい意味で審判員が試合を「作る」という高いレベルでの審判技術が求められていた。
 前日の「筆記試験」でもそうだったが、「正解」できるのは当たり前。そのルールの知識を試合でいかに活かすかが重要であり、この「投球判定」でも「ストライク」「ボール」が正しく判定できる、そんなことは当然のことであって、その上で、リーグ担当審判員として、無理矢理にではなく、自然に試合がテンポよく、リズムに乗って流れるように進行し、選手・チームも観客も、その試合にのめり込んでいくような試合にできるか、白熱し、盛り上がった試合できるかは、審判員の「手腕」にかかっているのだということが改めて強調され、その「基準」に則った選考が進められていた。

 2日目の選考を終え、総括として、観客の皆さんはお金(入場料)を払って試合を観戦しており、選手たちも試合の成績がそれぞれの評価(給料)に直結している場合が多く、その試合を裁く審判員もそれ相応の覚悟を持って試合に臨まなくてはいけないと、改めてリーグ担当審判員としての「自覚」が促され、誰が見ても、誰がどこから見ても、ハッキリと明確に、その「判定」がわかるよう大きな声とゼスチュアで示してほしいと重ねて指導・指摘された。
 また、多くの試合がLIVE配信され、試合が終わった後もその映像を何度でも見直せる状況にあり、一つひとつのジャッジが日本全国、ひいては世界中で見られ、確認できる状況下にあることをしっかりと認識した上で、一つひとつの判定にあたってはやり直しのきかない「真剣勝負」であるということを忘れず、リーグ担当審判員としてグラウンドに立つ以上、常に「高い意識」とそれ相応の「覚悟」を持って試合に臨んでほしいと、現状を正しく認識した上で取り組んでいくことが求められた。
 ワールドカップ等では「ビデオ判定」が採用されるに至っており、一つひとつのプレー、ジャッジが改めて確認・検証される方向性に進み、一つの大きな流れとなっていることは事実だが、それでも「一番近くでプレーを見ている者」としての自信とプライドを持ち、映像が残ろうが、ビデオで撮影されようが、繰り返し確認・検証されようが、「自分の判定に間違いはない」と確信の持てるジャッジをしてもらいたいと、審判員としての「プライド」が強く求めら、2日目の「実技選考」を締めくくった。

 選考会最終日(12月8日/日)も午前中いっぱい、前日同様、飛龍高等学校の協力を得て、「実戦形式」での「実技選考」が行われ、選考会は3日間にわたる全日程を終えた。
 選考会終了後、すぐに選考委員による選考会議が実施され、この結果は年明け1月26日(日)に開催される(公財)日本ソフトボール協会「令和6年度 第9回理事会」での承認を経て、正式に発表される予定である。

 

 選考会の中で、選考委員から何度も話があったのは、「ここはスタート地点であってゴールではない」ということである。選考会である以上、全員が「合格」というわけにはいかないのが「事実」であり、「現実」である。
 また、今回の選考会に「合格」したからといって、そこが「ゴール」なわけではなく、リーグ担当審判員としての「スタート地点」に立ったに過ぎない。真の意味で信頼され、「あの人にこの試合の審判をやってもらいたい」「あの人の判定であれば仕方ない」と、選手やチームから思われるような審判員となって初めて「一人前」の審判員として認められたことになる。
 そして……いつかは「JD.リーグダイヤモンドシリーズ」ファイナルの球審を務め、オリンピックやワールドカップといった「世界の最高峰」「トップオブトップ」の大会の審判員に名を連ねる日が来るよう、日々研鑽、たゆまぬ努力を積み重ねていく必要がある。
 この一球、この判定が誰かの人生を左右するかもしれない……といった「覚悟」を持って試合に臨み、誰もが憧れ、全国の審判員の目標、お手本・見本となり、「あんな審判員になりたい!」と思ってもらえるだけの存在となってほしい。
 この選考会では惜しくも選に漏れた審判員も「ここで終わり」ではない。「リーグ担当審判員になる!」という「志」を持ち、この場に立ったことがまずは素晴らしい「チャレンジ」である。ただ……その「志」を持った以上は、一度や二度の「挫折」で諦めることなく、めざす目標を達成するまで挑戦を続けてほしい。ここでの「経験」を今後に活かしていくこと、何よりもそれが大事なことであり、その「学び」や「経験」が「明日の自分」を創っていく。良き経験も苦い思い出もすべてが「明日の自分」を創るエネルギーとなる。ここは「ゴール」ではなく、「スタート地点」そう胸に刻み込み、ここに集った全員が「次なるチャレンジ」を始めなければならない。

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