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令和8年度 JDリーグ・日本女子リーグ担当審判員選考会

「令和8年度 JDリーグ・日本女子リーグ担当審判員選考会」が実施された

選考会初日はルールに関するペーパーテスト(筆記試験)が行われた

実技選考前には入念にウォーミングアップを行い、基本動作を確認

静岡県下の飛龍高等学校・星陵高等学校、両校が選考会に協力してくれた

「投球判定」の選考も実施。個々のストライクゾーンが厳しくチェックされた

実際の試合を想定し、「実戦形式」で実技選考が進められた

来年2月には、待望久しかった「オフィシャル ソフトボール ルール ケースブック」改訂第7版が発行される

選考会終了後、飛龍高等学校・星陵高等学校に感謝の意を表し、ボールを贈呈

2026(令和8)年度 JDリーグ・日本女子ソフトボールリーグ担当審判員選考会

 去る12月12日(金)~14日(日)の3日間、静岡県伊豆市・天城ドームを会場に「令和8年度 JDリーグ・日本女子リーグ担当審判員選考会」(第2次選考会/実技選考)が実施された。

 選考会に先立ち、行われた「第1次選考」(書類選考)には、各都道府県支部協会の「推薦」を受けた65名が選考書類を提出。「リーグ担当審判員」に求められるキャリア、実績、資質を有していると判断され、全員が見事「合格」。「第2次選考会」となる「実技選考」へと進むことになった。
 「第1次選考」を通過した審判員のうち、2025シーズンの「JDリーグ」プレーオフ、プレーオフに選出された審判員12名は「第2次選考」を免除。残る53名が「第2次選考」に臨む予定であったが、不慮のケガ等、やむを得ない事情により、2名が選考会に参加することが叶わず、当日は「リーグ担当審判員」として「晴れの舞台」をめざす51名が厳しい選考会に臨んだ。

 「第2次選考会」初日(12月12日/金)は、天城ドームに集合し、ペーパーテストを実施。正しいルール適用か否か、審判員の判定・処置は適切か等、瞬時に判断を求められる「〇×問題」や実際の試合で遭遇する可能性のある様々なケースを想定した記述式の問題等、70分の制限時間の中で「最適解」を導き出そうと懸命に取り組む姿が見られた。
 日頃、グラウンド上では自信に満ち、溌剌と颯爽と動き回る審判員の皆さんも、ペーパーテスト、筆記試験となると少々勝手が違うのか、問題用紙とにらめっこ。黙々と解答用紙に書き込む姿が印象に残った。
 結果は……100点満点を筆頭に、平均点で90点近い正答率を叩き出し、さすが各都道府県を代表する審判員、推薦を受けるだけの「実力」を有する審判員だということを、その結果で「証明」してみせてくれた。

 選考会2日目(12月13日/土)、最終日(12月14日/日)は「実技選考」。選考会開催地である静岡県の「男子ソフトボール」の「名門」にして「強豪」飛龍高等学校、星陵高等学校、2校の全面的・献身的な協力を得て、「実戦」を想定した「実技選考」が行われた。

 「実技選考」は、実際の「試合」を想定し、投手が投げ、打者が打ち、走者が出ればその状況を継続していく……という形で行われ、ゼッケン番号順に球審、三塁塁審、二塁塁審、一塁塁審を務め、「制限時間」がくると次々とローテーションしていく形で進められた。
 また、その傍らで実際に投球を行って、「ストライク」「ボール」を判定する「投球判定」の実技試験も実施された。

 選考会参加者は、早朝から試験会場となった天城ドームに集合し、入念にウォーミングアップ。準備運動、ストレッチ等を行った後、全員で審判員の「基本動作」を確認。「ストライク」「ボール」「アウト」「セーフ」と判定を行う大きな声がドームいっぱいに響き渡っていた。

 選考会に先立ち、まずこの選考会に協力してくれる「飛龍高等学校」「星陵高等学校」男子ソフトボール部の皆さんに挨拶。選考会への協力に感謝すると同時に、その協力に応えられるよう精一杯、選考会に臨む「決意」が述べられ、「実技選考」がスタートした。

 すでに「リーグ担当審判員」として活躍している面々もおり、落ち着き払い、正確・的確なジャッジを見せてくれる審判員が多数いる一方、「今回が初めて」の選考会参加となる審判員もおり、選考会の進行に戸惑ったりしながらも、グラウンド上では懸命・必死に取り組む姿が見られ、ぎこちなさや初々しさはあるものの、持てる力のすべてを出し切ろうと全力で選考に臨んでいた。

 ただ……一度、グラウンド上に立ってしまえば、実績もキャリアも関係ない。「ベテランだから」でミスジャッジが許されるわけもなく、「新人だから」「1年目だから」と大目に見てもらえるわけでもない。
 特に、JDリーグは「有料」でお金を払って観戦に来ている観客の皆さんの前で、日本全国、世界中に配信される映像のある中で、審判員の判定にも注目が集まる。正しいルール適用、正確で公平・公正なジャッジは「当たり前」であり、「大前提」であって、入場料に見合うだけの、満足してもらえるだけの、判定ができる審判員でなければならない。
 他の大会とはまた違った高い「注目度」があり、いわば「衆人監視」の中で、誰もが納得し、満足するだけの判定を下さなくてはならない。その一挙手一投足が、観客の皆さん、配信を楽しみにしているソフトボールファンの「厳しい目」に晒されていることを認識し、取り組んでいく必要がある。

 選考委員の「目」も当然、それを前提とした厳しいものとなり、「選考基準」もそれに応じて高く設定されることになる。
 その一方で「審判員の減少」という「現実」にも直面しており、ある程度、「将来性」や今後への「期待」を込めた選考にならざるを得ない部分もあり、向上心や成長への意欲も含め、選考対象となっていた。

 メジャーリーグや日本のプロ野球では、もはや「定着」とした感のある「ビデオ判定」についても、JDリーグでは試合会場の設備や環境、カメラの台数等の問題はあるにしても、「試験的導入」を求める声もあり、検討が進められている状況にある。そうなると、審判員の判定の「正確性」はさらに高いレベルで求められることになる。
 もちろん「映像」や「画像」が「絶対的」なものではなく、撮影の角度やタイミングによって、見え方が違って見えることもあり、「一番近く」で見ている審判員の判定への「信頼」や「敬意」が失われてはならないが、それが審判員の判定の正確性をさらに担保するものとなり、映像確認が審判員の判定の「助け」となるのであれば、前向きに検討していくだけの価値はあるといえるだろう。

 一方、映像で審判員の顔も名前もハッキリと映し出されていく中で、その判定が正しいものであったか否かがチェックされていく……という状況は審判員にさらなる「プレッシャー」を与えること、心無い誹謗・中傷を生む要因となる可能性もある。
 逆に、いつまでも自分の判定が「本当に正しかったのか」「間違ってはいなかったか」に悩まされ、引きずって、ネットやSNSで叩かれる……といった状況に置かれるよりは、もしも判定に誤りがあったのであれば、それをすぐに訂正できるこのシステムが、審判員の「心のケア」につながり、審判員を「守る」ことになる、という考え方もある。

 どちらにしても、自らの判定に「自信」を持ち、ビデオ判定はそれを「確認」する、正しかったことを「証明」する一手段であり、仮に判定が覆るようなケースがあったとしても、それを「次」へとつなげていけばいい、自らの「成長」の糧にしようと思えるだけの「強いメンタリティ」を持つ必要がある。

 現在、着々と進行が進み、来年2月に発行が予定されている「オフィシャル ソフトボール ルール ケースブック」改訂第7版では、審判員の「動画」が導入され、同時に発行される2026年度版の「競技者必携」でも従前、「イラスト」で示されてきた「審判員の基本動作」が写真に変更された。
 時代は確実に「変わって」きている。その時代の移り変わりに翻弄され、右往左往するのではなく、大切で守るべきものは守り抜き、変えるべきものは変え、取り入れる必要がるものは取り入れ、それを主体的に活用していくスタンスや姿勢が求められることは間違いない。

 今回の選考会の選考結果は、(公財)日本ソフトボール協会・審判ルール委員会で選考会の合否が決定され、理事会に提案。その審議・決議を経て、正式に発表されることになる(※選考結果は発表され次第、本ホームページに掲載する)。

 この選考会の結果に関わらず、ソフトボールの「未来」「将来」を担う審判員として、あくなき探求心と向上心を持ち、「世界最強・最高」レベルのリーグの舞台に立ち、やがては「世界の舞台」へと活動の幅を広げ、その経験を後に続く仲間たちへと継承・伝承していってくれることを期待したい。

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