第1部には、日ソ協・宇津木妙子副会長、東京女子体育大学・佐藤理恵氏、
スポーツニッポン新聞社・首藤昌史記者が登壇。
2007年のJAPAN CUP前に行われた日本代表強化合宿での佐藤理恵氏。
北京オリンピックで一塁手として「ウイニングボール」をキャッチした
佐藤理恵氏が当時を振り返りながら話す。
これからの「SOFT JAPAN」への期待を語る宇津木妙子副会長。
第2部は女子TOP日本代表より山田恵里主将と我妻悠香選手が登壇!
「最強のバッターは?」と我妻悠香選手への質問に、山田恵里主将が
我妻悠香選手に耳打ち。何と言ったのでしょうか…(笑)。
このイベントに参加してくださった方に抽選会。
見事サインボールをゲットされた方と交流をする両選手。
8月9日(水)、東京・毎日新聞社毎日ホールで、8月25日(金)~8月27日(日)の3日間、群馬県高崎市で開催される「2017 JAPAN CUP国際女子ソフトボール大会 in 高崎(大会概要はこちらから)」の事前イベントとして「国際女子ソフトボール大会 JAPAN CUP 10回記念トークイベント」が行われた。
トークイベントは2部構成とされ、第1部では(公財)日本ソフトボール協会・宇津木妙子副会長と東京女子体育大学ソフトボール部の部長であり、監督でもある佐藤理恵氏(2004アテネオリンピック銅メダリスト、2008北京オリンピック金メダリスト)、スポーツニッポン新聞社・首藤昌史記者の3名による座談会「JAPAN CUPを振り返る」が行われ、第2部では女子TOP日本代表・山田恵里主将、我妻悠香選手による、日本代表ゲストトークが、日本女子ソフトボールリーグ場内アナウンスでおなじみの生方純夫氏の司会・進行の元、約2時間にわたり行われた。
【第1部:座談会「JAPAN CUPを振り返る」】
まず初めに2002年に日本で初めて開催された「第1回JAPAN CUP」について問われると、宇津木妙子副会長は「1997年に監督に就任してから、世界各国の大会に参加してきました。その中、日本でも国際的な大会ができないかと思っていたところ、当時の毎日新聞社のスポーツ事業部長がソフトボールにすごく『熱い』方で、その方が『世界のTOP4を集めた大会を開催しよう!』と提案してくださり、この『JAPAN CUP』が立ち上げられました」と、「JAPAN CUP」の誕生の経緯を語ると、2007年に開催された第5回大会に出場した佐藤理恵氏は「目標にしていたのが2008年の北京オリンピックで、この2007年のJAPAN CUPが『北京オリンピック』の選考を兼ねた重要な大会となっていました。それだけに、選手一人ひとりがプレッシャーを感じていましたが、私自身のモチベーションもとても高く、選手全員が『結果を残したい!』と強い思いを持って臨んでいた大会でした」と、当時を振り返った。
続いて、2002年・2003年の「JAPAN CUP」ではヘッドコーチ(監督)を務めた宇津木妙子副会長が「当時は『アテネオリンピック』を見据えた選考過程の大会でしたので、特にオリンピック前年の2003年の大会は試合どころではありませんでした(笑)。オリンピックに出場できる選手は『15名』。15番目の選手と16番目の選手、この『天と地の差』を承知した上で決断を下すのは私自身であり、試合の勝ち負け以上に、誰を残して、誰を外すのか…選手一人ひとりの対応力や個性を見なくてはいけないと……考えれば考えるほど、眠れなくなりました」と、当時の複雑な胸の内を語り、「オリンピックは、15名しか選ぶことができません。2003年の第2回JAPAN CUPを終え、翌年のアテネオリンピックの出場選手を決定したわけですが、そこから外れた選手、通常の世界選手権であればベンチ入りできた16番目、17番目の選手には、私の方から手紙を送った覚えがあります」とオリンピックに出場する選手を決めなければならない側の苦悩を打ち明けた。
また、北京オリンピックで金メダルを獲得し、一塁手としてウイニングボールを掴んだ佐藤理恵氏は、その「金メダル」について「まず、ウイニングボールを喜びのあまり投げてしまって……世間には『消えたウイニングボール』と言われ、その節はお騒がせしました(笑)。金メダルだけを目標にオリンピックの舞台を夢見ながら、この場に立つことができなかった選手のためにも金メダルを獲りたいという思いが強くありました。アトランタ、シドニー、アテネとめざし続け、願い続けた金メダルでしたし、そこに懸けるすべての人々の想いの詰まった、すごく『重い』金メダルでした。今までの努力が報われた瞬間でした」と、北京オリンピックでの思い出を語った。
最後に、「第10回JAPAN CUP」の「優勝候補」を聞かれると、首藤昌史記者は「皆さん『日本』と言うと思うんですけど…(笑)。これまで日本は『JAPAN CUP』で2回しか優勝したことがないんですよね。ぜひ『連覇』を成し遂げてもらいたいと思っています。結果を残すことによってチームもまとまってくると思うので、若い選手がレジェンド2人(上野由岐子投手、山田恵里主将)の出番を奪って、優勝してくれるのが理想でしょうかね!」と期待を込めて語れば、「宇津木麗華監督の下、優勝を期待しています!」と佐藤理恵氏も後押し。最後は宇津木妙子副会長が「今日、この会場に来てくれている皆さんは、みんな高崎に観に来てくれるでしょ(笑)。応援してくれる皆さんにパワーをもらって、来年の世界選手権に向けて、弾みをつけてくれるような戦い方にも期待したいですし、チームだけでなく、ソフトボールを応援してくれる「みんなの力」が必要なんです。勝つことはもちろんですが、みんなから愛され、応援される『SOFT JAPAN』であり、そんなみんなの想いが結集して『金メダル』獲得につながってくれることを期待しています!」と、第1部・座談会「JAPAN CUPを振り返る」を締めくくった。
【第2部・日本代表ゲストトーク】
女子TOP日本代表より、歴代最多(7回)の大会出場となり、前回大会では大会MVPに輝いた山田恵里主将と、2015年の第7回大会から3大会連続出場の我妻悠香選手が登壇。まず、「JAPAN CUP」の思い出について聞かれると、2003年の第2回大会に19歳で出場した山田恵里主将は「初めて日本代表に選ばれ、初めての国際大会ということもあり、最初の試合で2三振……。『このままじゃ~代表に残れない』という危機感に焦り、2試合目からは打ちまくり!0から10の活躍を見せることができたので、翌年のアテネオリンピックの選手に選んでもらえたのかな……と思っています」と初出場の印象を語り、「海外のチームとやるのが初めてに近かったのですが、海外のチームの印象以上に、日本が海外のチームを相手にこういう戦い方をしているんだ、と実感した大会でした」と我妻悠香選手が2015年の第8回大会に初出場し、「日本代表」の一員に名を連ねた実感を語った。また、山田恵里主将は2003年の第2回大会のことを「自分の日本代表での『原点』であり、忘れられない大会」と振り返った。
また、両選手に最強のピッチャー、最強のバッターを聞かれると「打のレジェンド」山田恵里主将は「本当にすごいと思うのは、上野投手です。でも、対戦して一番打つのに苦労したのはオスターマン(キャット・オスターマン/元アメリカ代表・日本リーグの豊田自動織機でもプレー)」と、北京オリンピックで日本の前に立ちはだかった好投手の名を挙げると、我妻悠香選手は「日本人では、もちろん山田選手。海外の選手を挙げると、ワトリー選手(ナターシャ・ワトリー/元アメリカ代表・日本リーグトヨタ自動車の「黄金時代」を築く)。足もありますし、長打も打てる。すごく良いバッターです」と両選手との「日本代表」の「投打のレジェンド」の名を挙げると同時に、常に「世界の頂点」を争う「宿敵」アメリカの伝説的プレーヤーの名を挙げた。
8月25日より開催される、「第10回JAPAN CUP」で自身の「見てほしいところ」を聞かれた山田恵里主将は「前回大会では4本のホームランを打っているので、今年は7本打ちます!」と堂々と宣言。頼れる主将の一言で、会場から拍手が沸き起こった。
最後は、「守備の要」我妻悠香選手が「日本チームが“チームプレー”をお見せできる場でもあり、海外の強豪チームを相手に日本がどう戦うか、一人ひとりがどうプレーするかを間近で見てほしいと思います。私たち選手も優勝をめざして頑張りますので、ぜひ会場に足を運んでください!」と、大会にかける意気込みを語り、山田恵里主将も「JAPAN CUPは私自身思い出の深い大会でもありますし、1本でも多くヒットを打ち、観に来てくださった方が『観に来てよかった』と思ってもらえるような試合をしたいです。また、来年の世界選手権、2020年東京オリンピック等、日本で開催される大会がたくさんありますので、選手として“ソフトボールの魅力”を伝えていきたいと思いますし、何よりも皆さんの応援が力となりますので、会場に来て、会場に来られない方は動画配信やテレビの中継等で、ぜひ『一緒に』戦っていただきたいです。応援よろしくお願い致します!」と大会へ向けた意欲を語り、「共に戦ってほしい!」と呼びかけた。
ゲストトーク終了後には、この事前イベントに参加してくれた方々に抽選会を実施。山田恵里主将、我妻悠香選手のサイン入りボールが4名に、両選手のサイン入りレプリカユニフォームが1名に抽選でプレゼントされ、この事前イベントが終了した。
日本のみならず、アメリカ、カナダ、オーストラリアといった「世界のTOP4」が集まるこの「JAPAN CUP」。USAワールドカップ、カナダカップを制し、その後も1カ月に及ぶ合宿で「強化」を続け、「成長」した女子TOP日本代表が、世界トップレベルのチームを相手にどう戦うか。ソフトボールファンなら高崎に急げ!