CANADA
日本、予選リーグ第4戦の相手はカナダ
カナダの投手陣はダニエル・ローリーをはじめ「ベテラン」揃いで実績十分
キャッチャーのケイリー・ラフターもキャリアは長く国際経験豊富。長打力は要警戒
1996年アトランタ・オリンピックは5位
2000年シドニー・オリンピックは残念ながら最下位に終わる
2004年アテネ・オリンピックでは「金メダル候補」日本を撃破!
2008年北京オリンピックは4位。メダルに届かず……
世界選手権は2大会連続の3位。オリンピックでもメダルを手にできるか!?
来る7月21日(水)、新型コロナウイルスの影響で「1年延期」を余儀なくされていた「第32回オリンピック競技大会(2020/東京)ソフトボール競技」が、全競技に先駆け、福島県福島市・福島あづま球場で「開幕」を迎えることになる。
ここでは、日本の予選リーグの対戦順に従って、「第32回オリンピック競技大会(2020/東京)ソフトボール競技」出場チームを紹介する。第4回は予選リーグ第4戦、「横浜ラウンド」第2戦の対戦相手となるカナダを紹介する。
ROASTER
(出場メンバー)
オリンピックでベンチ入りが許されるメンバーは15名。通常の国際大会に比べ、2名少ない(過去の世界選手権/現・ワールドカップ等は17名。ただし、オリンピックに関しては、アトランタ、シドニー、アテネ、北京の過去4大会、すべて今回と同じ15名となっている)。
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注目選手
投手陣の中心は、ダニエル・ローリー。2008年の北京オリンピック出場の経験があり、世界選手権には2006年、2010年、2012年、2018年の4回出場。2010年、2018年は3位に食い込む「原動力」となった。2012年・2013年の2シーズン、日本リーグ・豊田自動織機でプレーし、2012年は8勝5敗・防御率1.15・奪三振125(投球回数:97回1/3)、2013年は1試合のみの登板で、1勝0敗・防御率0.00・奪三振7(投球回数:7回)の成績を残している。
ダニエル・ローリーを「エース」として、2004年のアテネ・オリンピック、2008年の北京オリンピックに出場している「ベテラン左腕」ローラン・レギュラーも健在。2004年のアテネ・オリンピック予選リーグの日本戦では延長8回を完封。見事「勝利投手」となった経歴も有している。
この「百戦錬磨」の投手陣の「女房役」となるのがケイリ―・ラフター。2008年の北京オリンピックメンバーであり、世界選手権にも3回出場している。2019年の東京2020オリンピック「アメリカ大陸予選」では、オリンピック出場を決める本塁打(最終戦のブラジル戦、ケイリ―・ラフターの本塁打で5回コールド勝ちが確定)を放っている。2013年・2014年の2シーズンにわたり、日本リーグ・Hondaでプレーしており、2013年は打率2割7分6厘・本塁打4・打点11、2014年は打率2割5分8厘・本塁打8・打点17の成績を残した。
野手では、世界選手権出場5回、2008年の北京オリンピックに出場しているジェニファー・セーリングもおり、チームの「骨格」を「ベテラン」が支え、そこにどれだけ「活きの良い若手」が絡んでいけるかが、チーム躍進の「カギ」となりそうだ。
ROAD TO TOKYO
オリンピック出場権獲得まで
2019年8月25日~9月2日、カナダ・サレーで開催された「アメリカ大陸予選」には、カナダ(WBSC世界ランキング3位)、プエルトリコ(同4位)、メキシコ(同5位)、ブラジル(同14位)、ベネズエラ(同16位)、キューバ(同17位)、グアテマラ(同18位)、ドミニカ(同19位)、ペルー(同20位)、アルゼンチン(同25位)、バハマ(同39位)、英領バージン諸島(同57位)の12チームが参加。6チームずつがグループA・Bに分かれ、まずオープニングラウンド(1次リーグ)を実施。グループAに振り分けられたカナダは、参加チーム中、ランキング「最上位」の実力通り、初戦でキューバを17-0の3回コールドで一蹴すると、アルゼンチンに7-0(不戦勝)、グアテマラに19-0の4回コールド、プエルトリコに3-0、最終戦のバハマ戦も18-0の4回コールド勝ち。5戦「全勝」の1位で「スーパーラウンド」進出を決めた。
グループA・B上位3チームによる「スーパーラウンド」は「オープニングラウンド」同組の勝敗が持ち越されるため、カナダはすでに「2勝」のアドバンテージを持った状態での戦いとなり、まず初戦でグループB3位のベネズエラに11-0の4回コールド勝ち。グループBを「全勝」の1位で通過し、「スーパーラウンド」の初戦でグループA2位のプエルトリコに2-0の完封勝利を収めたメキシコとの「全勝対決」を迎えた。勝ったチームが「東京2020オリンピック出場権」を獲得する「大一番」は、カナダが3回表に先取点を奪ったものの、5回裏に逆転を許し、1-2と競り負け、今大会「初黒星」。オリンピック出場権獲得はブラジルとの最終戦に持ち越された。オリンピック出場権のかかるブラジル戦は序盤から打線が爆発! 2回裏に1点、3回裏に大量5点を奪い、大きくリードを奪うと、5回裏、ケイリ―・ラフターが5回コールド勝ちを「確定」させる本塁打を放ち、試合終了。7-0で勝利を収め、「2位」が確定。メキシコに次ぐ「第2代表」としてオリンピック出場を決めた。
オリンピック出場を決める「メモリアルアーチ」を放ったケイリー・ラフターは、前述した通り、かつて日本リーグのHondaでプレーした経験を持つベテランキャッチャー。この試合「先発」し、5イニングをわずか1安打、8三振を奪う力投を見せたダニエル・ローリーも豊田自動織機で2シーズンを過ごした「日本に縁もゆかりもある選手たち」が躍動し、「5大会連続」のオリンピック出場を勝ち取った。
※世界ランキングは大会開催時のものです。
2019 東京2020オリンピック アメリカ大陸予選
■オープニングラウンド(1次リーグ)グループA
グループA | カナダ | プエルトリコ | キューバ | グアテマラ | バハマ | アルゼンチン | 勝 | 敗 | 順位 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
カナダ | ☆ | ○ 3-0 |
○ 17-0 |
○ 19-0 |
○ 18-0 |
○ 7-0 |
5 | 0 | 1 |
プエルトリコ | ● 0-3 |
☆ | ○ 10-0 |
○ 13-0 |
○ 13-0 |
○ 7-0 |
4 | 1 | 2 |
キューバ | ● 0-17 |
● 0-10 |
☆ | ○ 15-0 |
○ 13-0 |
○ 7-0 |
3 | 2 | 3 |
グアテマラ | ● 0-19 |
● 0-13 |
● 0-15 |
☆ | ○ 9-4 |
○ 7-0 |
2 | 3 | 4 |
バハマ | ● 0-18 |
● 0-13 |
● 0-13 |
● 4-9 |
☆ | ○ 7-0 |
1 | 4 | 5 |
アルゼンチン | ● 0-7 |
● 0-7 |
● 0-7 |
● 0-7 |
● 0-7 |
☆ | 0 | 5 | 6 |
※上位3チームが「スーパーラウンド」に進出(同グループ内の試合結果は「スーパーランド」に持ち越す。アルゼンチンは出場をキャンセル(不戦敗扱いですべて●0-7)
■オープニングラウンド(1次リーグ)グループB
グループB | メキシコ | ブラジル | ベネズエラ | ペルー | ドミニカ | 英領バージン諸島 | 勝 | 敗 | 順位 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
メキシコ | ☆ | ○ 10-0 |
○ 7-0 |
○ 8-0 |
○ 9-1 |
○ 7-0 |
5 | 0 | 1 |
ブラジル | ● 0-10 |
☆ | ○ 2-1 |
○ 5-0 |
○ 4-3 |
○ 7-0 |
4 | 1 | 2 |
ベネズエラ | ● 0-7 |
● 1-2 |
☆ | ○ 1-0 |
○ 7-3 |
○ 7-0 |
3 | 2 | 3 |
ペルー | ● 0-8 |
● 0-5 |
● 0-1 |
☆ | ○ 6-1 |
○ 7-0 |
2 | 3 | 4 |
ドミニカ | ● 1-9 |
● 3-4 |
● 3-7 |
● 1-6 |
☆ | ○ 7-0 |
1 | 4 | 5 |
英領バージン諸島 | ● 0-7 |
● 0-7 |
● 0-7 |
● 0-7 |
● 0-7 |
☆ | 0 | 5 | 6 |
※上位3チームが「スーパーラウンド」に進出(同グループ内の試合結果は「スーパーランド」に持ち越す。英領バージン諸島は出場をキャンセル(不戦敗扱い●0-7)
■スーパーラウンド
カナダ | メキシコ | プエルトリコ | ブラジル | キューバ | ベネズエラ | 勝 | 敗 | 順位 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
カナダ | ☆ | ● 1-2 |
○ 3-0 |
○ 7-0 |
○ 17-0 |
○ 11-0 |
4 | 1 | 2 |
メキシコ | ○ 2-1 |
☆ | ○ 2-0 |
○ 10-0 |
○ 7-0 |
○ 7-0 |
5 | 0 | 1 |
プエルトリコ | ● 0-3 |
● 0-2 |
☆ | ○ 7-0 |
○ 10-0 |
○ 4-1 |
3 | 2 | 3 |
ブラジル | ● 0-7 |
● 0-10 |
● 0-7 |
☆ | ○ 6-5 |
○ 2-1 |
2 | 3 | 4 |
キューバ | ● 0-17 |
● 0-7 |
● 0-10 |
● 5-6 |
☆ | ○ 2-1 |
1 | 4 | 5 |
ベネズエラ | ● 0-11 |
● 0-7 |
● 1-4 |
● 1-2 |
● 1-2 |
☆ | 0 | 5 | 6 |
※「オープニングラウンド」同グループ内の試合結果は「スーパーラウンド」に持ち越す。1位・メキシコ、2位・カナダはオリンピック出場権獲得
日本との過去の対戦
カナダとのオリンピックでの対戦は、2004年のアテネ・オリンピックの予選リーグ第4戦、この「東京2020オリンピック」にも出場するローラン・レギュラー(対戦当時は「旧姓」のローラン・ベイ)に延長8回を完封されたのが唯一の敗戦。1996年のアトランタ・オリンピックは4-0、2000年のシドニー・オリンピックでは延長10回の「死闘」の末、4-3、2008年の北京オリンピックでは6-0で勝利を収めている。
世界選手権では、1970年に大阪で開催された「第2回世界女子選手権大会」で初対戦。日本が2-0の完封勝利を収めている。その後は1986年「第6回世界女子選手権大会」まで対戦がなく、ここではカナダが延長8回、2-1で勝利を収めている。1990年「第7回世界女子選手権大会」では、日本が延長8回、1-0のサヨナラ勝ち。
この後、またしばらく対戦がなく、久しぶりの対戦は2014年「第14回世界女子選手権大会」、雨で試合時間の遅延、中断があり、最後は停電で試合続行不可能となり、2日がかりの試合となったが、日本が4-0で快勝している。
2016年「第15回世界女子選手権大会」では、初めて「決勝トーナメント」の舞台で激突。「ブロンズメダルゲーム」(3位決定戦)での対戦は、山田恵里、市口侑果、渥美万奈、山本優の4本塁打等で日本が二桁得点を奪い、11-1で4回コールド勝ちを収めている。2018年「第16回世界女子選手権大会」では、予選リーグと決勝トーナメントで二度対戦。予選リーグでの対戦は、台風接近の悪天候の中での試合となり、カナダが初回、日本の「エース」上野由岐子を攻め、無死満塁の「絶好機」をつかんだが、後続が三者連続三振(無死満塁から4番打者を三振に打ち取ったところで雨のため中断。約30分の中断をはさみ、再開後、5番打者・6番打者を連続三振に斬って取った)。3回表に相手守備の乱れから2点を先制し、このリードを上野由岐子が守り切り、完封。2-0で勝利を収めた。日本、カナダともに「決勝トーナメント」に駒を進め、2大会連続「ブロンズメダルゲーム」(3位決定戦)で激突。日本が初回、山崎早紀のタイムリースリーベースで先制し、3回裏には山崎早紀のランニングホームラン、山本優、渥美万奈の連打で相手守備の乱れも絡み、この回2点を追加。「エース」上野由岐子が被安打4・奪三振7の力投でカナダ打線を抑え込み、3-0で完封勝利を飾っている。
オリンピックは5大会連続の出場。過去4大会では惜しくも「メダル」に手が届いていないが、世界選手権では2大会連続で「3位」となる等、メダル獲得の可能性は十分。日本としては、このカナダ戦まで「全勝」で突っ走り、最終戦のアメリカ戦を前に「2位以上」「決勝進出」を確定させておきたいところだ。
どちらにしても、日本にとっては絶対に負けられない「重要な一戦」となることは間違いない。
カナダ オリンピック過去4大会成績
大会名 | 金メダル | 銀メダル | 銅メダル | 第4位 | 第5位 | 第6位 | 第7位 | 第8位 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1996 アトランタ | アメリカ | 中国 | オーストラリア | 日本 | カナダ | チャイニーズ・タイペイ | オランダ | プエルトリコ |
2000 シドニー | アメリカ | 日本 | オーストラリア | 中国 | イタリア | ニュージーランド | キューバ | カナダ |
2004 アテネ | アメリカ | オーストラリア | 日本 | 中国 | カナダ | チャイニーズ・タイペイ | ギリシャ | イタリア |
2008 北京 | 日本 | アメリカ | オーストラリア | カナダ | チャイニーズ・タイペイ | 中国 | ベネズエラ | オランダ |
カナダ 世界選手権(現・ワールドカップ 成績(1994~2018)
大会名 | 優勝 | 準優勝 | 第3位 | 第4位 | 第5位 | 第6位 | 第7位 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1994 第8回世界選手権 (アトランタ・オリンピック1次予選) | アメリカ | 中国 | オーストラリア | カナダ | チャイニーズ・タイペイ | ニュージーランド | 日本 オランダ |
オリンピック出場チームを決定するため、5位決定戦を実施 |
1998 第9回世界選手権 (シドニー・オリンピック1次予選) | アメリカ | オーストラリア | 日本 | 中国 | カナダ | イタリア | チャイニーズ・タイペイ ベネズエラ |
オリンピック出場チームを決定するため、5位決定戦を実施 |
2002 第10回世界選手権 (アテネ・オリンピック1次予選) | アメリカ | 日本 | チャイニーズ・タイペイ | 中国 | オーストラリア ニュージーランド |
イタリア プエルトリコ |
予選リーグ敗退 3勝4敗 Pool・A 5位 |
|
2006 第11回世界選手権 (北京オリンピック1次予選) | アメリカ | 日本 | オーストラリア | 中国 | カナダ | イタリア | ベネズエラ チャイニーズ・タイペイ |
オリンピック出場チームを決定するため、5位決定戦を実施 |
2010 第12回世界選手権 | アメリカ | 日本 | カナダ | 中国 | ベネズエラ オーストラリア |
チャイニーズ・タイペイ オランダ |
||
2012 第13回世界選手権 | 日本 | アメリカ | オーストラリア | カナダ | 中国 オランダ |
チャイニーズ・タイペイ プエルトリコ |
||
2014 第14回世界選手権 | 日本 | アメリカ | オーストラリア | カナダ | チャイニーズ・タイペイ オランダ |
中国 ニュージーランド |
||
2016 第15回世界選手権 | アメリカ | 日本 | カナダ | オランダ | メキシコ ベネズエラ |
ニュージーランド 中国 |
||
2018 第16回世界選手権 | アメリカ | 日本 | カナダ | オーストラリア | プエルトリコ メキシコ |
オランダ イタリア |