「最大にして最強のライバル」アメリカとついに対戦!
日本の先発投手は「若きエース」後藤希友
アメリカも後藤希友と「同世代」の
メーガン・ファライモを先発に起用!
0-0のまま迎えた終盤5回表、
2本のタイムリーを浴びてついに失点…
日本、ライバル・アメリカに ″0-2″ の完封負け。
次戦(カナダ戦)に勝利し、決勝で必ず再戦を !!
「WBSC第17回女子ソフトボールワールドカップ ファイナルステージ」はいよいよ後半戦(大会4日目)を迎え、この日からスーパーラウンド(2次ラウンド)に突入。スーパーラウンドにはオープニングラウンド(予選ラウンド)グループA・Bの上位2チーム(合計4チーム)が進出。グループAは1位・アメリカと2位・カナダ、グループBからは1位・日本と2位・オランダが名乗りを上げる形となった。
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大会第4日/7月18日(木)
スーパーラウンド第1戦
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | R | |
アメリカ | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 2 |
日 本 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
日本:●後藤希友(5回)、上野由岐子(2回)ー切石結女
〔二塁打〕切石結女、石川恭子
日本の先発投手は前日のオランダ戦で思うようなピッチングができず、 ″3回途中降板″ という悔しさを味わった後藤希友。気持ちを切り替え、「最大のライバル」「強打」のアメリカ打線相手にどのような投球を披露してくれるか。日本の「若きエース」の立ち上がりにまず注目が集まった。
その後藤希友は初回、アメリカの攻撃に対し1番打者をサード前ファウルフライに打ち取り、一死。2番打者(昨シーズンまで日立 サンディーバでプレーしていたハンナ・フリッペン)に死球を与えてしまったが、3番打者のピッチャーライナーをさばき、一塁へ素早く送球。一塁走者は戻れず、ダブルプレーとなり、スリーアウト。大事な初回の守りをしっかり無失点で終えた。
一方、アメリカの先発投手は日本・後藤希友と同い年で「2019年第13回女子U19ワールドカップ」(現・女子U18ワールドカップ)決勝の舞台でも投げ合い(このときは延長8回タイブレークにもつれ込む熱戦の末、アメリカが日本に4-3の逆転サヨナラ勝ち。大会最多となる7回目の優勝。大会史上初となる「3連覇」を達成している)、現在は日本の「JD.LEAGUE:トヨタ レッドテリアーズ」で後藤希友とチームメイト・最強コンビを形成しているメーガン・ファライモ。こちらもライバル・後藤希友に「負けてなるものか!」と気迫十分!! 日本打線を問題なく三者凡退に打ち取り、「白熱の投手戦」を予感させる滑り出しとなった。
試合は予想通り日本・後藤希友とアメリカ:メーガン・ファライモが一歩も譲らず投げ合い、4回まで互いに無得点。
試合が動いたのは5回表、日本・後藤希友はこの回先頭の4番打者に死球を与え、無死一塁とノーアウトの走者を出塁させてしまうと、続く5番打者にライト頭上を越えるタイムリースリーベースを打たれ、ついにアメリカが1点を先取。なお無死三塁のピンチが続き、6番打者(日立 サンディーバでプレーするデジャ・ムリポラ)にも三塁線を破られ、三塁走者が還り、2点目。アメリカに「痛い2点」を先制されてしまった。
何とか反撃に出たい日本打線だったが、アメリカ:メーガン・ファライモの高低・左右をキッチリ突くコントロール、ハイライズ・ローライズ、打者の膝元へカットボール気味に落とすドロップ等「クオリティ・完成度の高いピッチング」の前になかなか反撃の糸口を見出せず……。6回裏、二死から2番・石川恭子がセンターへ鋭い当たりの二塁打を放ち、3番・塚本蛍もレフト前に運ぶタイムリー! 二塁走者が還り、1点差!! と思われたが……ビデオ判定の結果、二塁走者の離塁が早かったとの判定。離塁アウトでスリーアウトとなり、得点は取り消されてしまった。
日本は最終7回裏の攻撃も3番・塚本蛍がサードゴロ、4番・下山絵理がレフトライナーでツーアウト。5番・坂本結愛のセカンドへの高いバウンドのゴロが一塁への悪送球を誘い、二死一塁となったが、6番・工藤環奈が三球三振に倒れ、スリーアウト。試合終了。アメリカの先発:メーガン・ファライモを崩せず、「3安打・8三振」と抑えられ、0-2の完封負け。今大会「初黒星」を喫することになった。
大会4日目(7月18日)スーパーラウンドは日本戦に続いてオランダ vs カナダが行われ、カナダが土壇場(7回裏)の「逆転サヨナラホームラン」で6-3と劇的勝利! このカナダの勝利により、オランダがオープニングラウンドでの日本戦の黒星を含め ″2敗目″ を喫することとなり(スーパーラウンド0勝2敗となり)、アメリカ(2勝0敗)の「スーパーラウンド1位」「ワールドチャンピオンシップファイナル進出」が早々と確定。優勝決定戦進出「残り一枠」は、翌スーパーラウンド最終日の日本 vs カナダの結果で決定する展開となった(日本 vs カナダの勝者がスーパーラウンド2位の座をつかみ、決勝で1位・アメリカと再戦する形になる)。
「ワールドカップ王者」アメリカは、やはり日米対抗に来ていた若いアメリカチーム(実質のところ大学選抜)とは違い、「世界トップレベル」のチームであった。
この試合に先発登板してきたメーガン・ファライモは、球速・球威はさることながら、ライズ(ハイライズとローライズをしっかり投げ分けてくる)・ドロップ(打者の膝元へカットボール気味に落ちる特徴がある)と変化球のキレ(変化量の大きさ)が一味違う。しかもそれを高低・左右にキッチリとコントロールできる「確かな制球力」が備わっており、日本打線がつかまえる、痛打を浴びせることは……次(決勝の舞台で)再戦が叶った際も「至難の業」となりそうだ。
打撃にも相変わらず一発・長打を放つ「パワー」があり、少しでも球が甘く入れば、外野深くまでもっていかれてしまう(運ばれてしまう)という「脅威」を常に感じながら、バッテリーは球種の選択・配球に慎重を期さなければならない。
正直、 ″力と力″ ではアメリカに分がある……と認めざるを得ないが、我々日本も「やりよう」(戦い方)はあるはず。大会前から宇津木麗華ヘッドコーチが繰り返しチームに要求してきたように、各打者が狙う球種・コースをより限定し、身体の開きを抑え、いかにコンパクトに、逆方向中心に、しぶとく打球を飛ばしていけるかがカギになってくる。連打! 連打!! で打ちまくるというイメージは現実的ではなく、日本得意の「足・機動力」もフルに活かして「とにかく相手にプレッシャーをかけ続ける」原点へ今一度立ち返る必要があるだろう。
そして、一番は何といっても「投手陣の奮起・踏ん張り」を期待したい。
「レジェンド」上野由岐子がクローザー的存在として後ろに控えてくれてはいるものの、やはり今大会は「若きエース」後藤希友がどこまでやれるかが最大の注目ポイント。その「真価」が改めて問われることになる。
ワールドチャンピオンシップファイナル(優勝決定戦)でアメリカと再戦するために……次戦(カナダ戦)は絶対に勝たなければならない!
●文・写真
女子TOP日本代表チーム
選手団広報/竹﨑 治(日本体育社)