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ニュース 女子TOP日本代表

◆WBSC第17回女子ワールドカップ ファイナルステージ 【現地レポート⑥】

女子TOP日本代表、チャンピオンシップファイナルでアメリカを「撃破」!
2014年以来「3大会ぶり4回目」の「優勝・世界一」に輝く !!

いよいよ大会最終日、ブロンズメダルゲームでは
カナダが「劇的なグランドスラム」でサヨナラ勝ち!
前回(2018年)同様「第3位」に

日本はチャンピオンシップファイナルでアメリカと再戦。
アメリカは先発投手に「左腕」ケリー・マックスウェルを
ぶつけてきた

初回先制されたものの、直後の2回表に逆転!

4回表には一挙4点を加え、試合の大勢を決める

日本、決勝で王者・アメリカを撃破! 見事「王座奪還」 !!

これが ″完成形″ ″ゴール″ ではない。
まだまだ「成長」「強化」を続けて…

チャンピオンシップファイナル(優勝決定戦)・アメリカ戦ハイライト

 7月15日に開幕した「WBSC第17回女子ソフトボールワールドカップ ファイナルステージ」もいよいよクライマックス。

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 大会最終日はブロンズメダルゲーム(3位決定戦)とワールドチャンピオンシップファイナル(優勝決定戦)の2試合が行われ、まずブロンズメダルゲームではカナダ(スーパーラウンド3位:1勝2敗)とオランダ(スーパーラウンド4位:0勝3敗)が「3位の座」をかけて対戦。試合は両チーム ″ノーガードの打ち合い″ となり、5-5のまま延長タイブレークに突入。延長8回、9回、10回も一進一退の攻防が続き、10回終了時点で試合スコアは7-7……まさしく「大熱戦」「どちらが勝利をつかむか予測不能の展開」になったが、迎えた11回裏、カナダがオランダの ″満塁策″ により再び決定機(サヨナラのチャンス)を得ると、3番:カルム・ピルグリムがバットを一閃! 高く舞い上がった打球はそのままレフトスタンドに吸い込まれ、「劇的なグランドスラム」となり、ついに勝負あり!! カナダの「意地とプライド」が最後の最後オランダを上回り、11-7で歴史に残る死闘に終止符。前回大会(2018年第16回大会:日本・千葉県にて開催)に続いて「第3位」(ブロンズメダル獲得)となることが決まった。

 続くワールドチャンピオンシップファイナル「女子ソフトボール世界一決定戦」は、もはや説明不要の「宿命のライバル対決」アメリカ(スーパーラウンド1位:3勝0敗) vs 日本(スーパーラウンド2位:2勝1敗)。前の対戦(スーパーラウンド第1戦)で0-2の完封負けを喫している女子TOP日本代表が ″ワールドカップ3連覇″ を狙う王者・アメリカにいかにして挑むか!? 「注目」が集まった。

大会第6日:最終日/7月20日(土)
ワールドチャンピオンシップファイナル(優勝決定戦)

1 2 3 4 5 6 7 R
日  本 0 2 0 4 0 0 0 6
アメリカ 1 0 0 0 0 0 0 1

日本:○後藤希友(4回)、上野由岐子(3回)ー切石結女
〔二塁打〕塚本蛍

 アメリカの先発投手はスーパーラウンドで日本を完封したメーガン・ファライモではなく、「サウスポー」のケリー・マックスウェル(※先日の日米対抗ソフトボール2024・第1戦に先発登板し、6回までノーヒットピッチングの好投を見せた左腕)。
 先攻の日本は初回、1番・中川彩音、2番・石川恭子と連続三振に倒れ、3番・塚本蛍もショートフライ。ケリー・マックスウェルの「多彩な球種」(特に打者の膝元へ独特の軌道で落ちるドロップ)に翻弄され、三者凡退。無得点。
 日本の先発投手も「同じくサウスポー」の後藤希友。「若きエース」に「世界一の座奪還」が託された。その後藤希友は立ち上がり、サードゴロで一死を取った後、2番打者、3番打者に続けてヒットを許し、一死一・二塁。4番打者をストレートのフォアボールで歩かせ、一死満塁と塁上を埋められると、5番打者の詰まった当たりが無情にもライト前に落ち、三塁走者が生還。いきなり1点を先制されてしまう。
 しかし、日本は直後の2回表、先頭の4番・下山絵理が二遊間を破るヒットで出塁。すかさず二盗を決め、得点圏に走者を進めると、5番・坂本結愛は送りバント失敗の後、しぶとく食らいつき、左中間へ落ちるヒット! この打球の処理を誤る間に二塁走者が一気に生還し、1-1の同点!! さらに一死後、7番・唐牛彩名も二遊間を抜くタイムリー! 二塁走者を生還させ、2-1と逆転に成功した!!
 先取点を奪われながら、試合をひっくり返し、逆に主導権を握った日本は1点リードのまま迎えた4回表にも、前の回途中で代わったメーガン・ファライモ(3回表無死一塁、2番・石川恭子を迎えた場面で先発:ケリー・マックスウェルに代わり投入された)を攻め、四球、ワイルドピッチ等で二死二塁。ここで8番・切石結女が右中間に落とすタイムリー! 二塁走者が還り、貴重な追加点!! さらにテンポラリーランナーに入った唐牛彩名が二塁盗塁に成功。9番・藤本麗はフルカウントから粘りに粘り、20秒ルール・タイムオーバーでペナルティーボールが宣告され、四球となり、二死一・二塁。続く1番・中川彩名が一・二塁間を破るタイムリー! 2番・石川恭子もライト前に運ぶタイムリーヒットを放ち、この回大量4点を加えた。
 投げては、「若きエース」後藤希友が4イニングを「1失点のみ」で凌ぎ、5回裏「レジェンド」上野由岐子へ必勝リレー。バトンを受けた上野由岐子は5回、6回、7回とアメリカ打線を「円熟味増すピッチング」でノーヒットに抑え、最後(7回裏二死一・二塁となった場面)は3番打者のピッチャー返しを上野由岐子がはじいたが、セカンド・川畑瞳が見事なカバーリングで一塁にランニングスロー(ダイビングスロー)。優勝を飾るにふさわしい「スーパープレー」でスリーアウト、試合終了! 女子TOP日本代表が6-1で見事アメリカを撃破し、ワールドカップでは2014年以来となる4回目の優勝!! 「王座奪還」を果たし、アメリカの3連覇を阻止した。

 正直なところ ″アメリカ有利″ と感じてしまっていた決勝戦。直近の対戦結果から日本打線が「苦手意識」を持っているであろうメーガン・ファライモ、ケリー・マックスウェルら「強力投手陣」の存在、「ここぞ!」の大一番で「爆発する可能性」を秘める「打線の底力」はやはり怖さがあり、このチャンピオンシップファイナルも王者・アメリカに分があるのでは……と予想せざるを得ない部分があった。
 しかし、そこは「さすが!」現・オリンピックチャンピオン、百戦錬磨の宇津木麗華ヘッドコーチ率いる女子TOP日本代表チーム。 ″同じ手は食わないぞ ‼ ″ と言わんばかりに修正力・対応力の高さを見せ、実際に6点も奪い、最終的にはしっかりアメリカを叩く「リアルなリベンジ」「公約通りの王座奪還」をやってのけた。

 特に打撃においては、敗戦の要因に直結してしまう三振を極力なくし、しぶとく、しつこく出塁し続ける「日本本来のスタイル」をこの優勝決定戦の舞台で確実に遂行。各打者が強振(大振り)するのではなく、「よりコンパクトにボールをとらえ、打球をフェアゾーンへ押し込んでいく」(※相手投手の特徴に応じてバットの出し方やスイングの軌道を調整し、よりコンパクトに対応・アジャスト。海外の投手特有の球速・球威に押し負けることなく、バットのヘッドを利かせて打球をフェアゾーンへ押し込んでいくイメージを持つ)ことに意識を強く働かせながら、相手守備の隙(もしくは穴)も見抜き、こちらが仕掛けるべき場面では「小技・足」を積極的かつ絶妙に絡めていく。大会前から宇津木麗華ヘッドコーチが繰り返しチームに求めた「国際大会使用の打撃理論・打撃技術」が、この二度目のアメリカ戦で上手く反映されていた。

 守備でも今大会「キャプテン・遊撃手」として「抜群の存在感」を示した石川恭子を中心に、川畑瞳、坂本結愛といったあたりが幾度となく相手のチャンスの芽を摘み取り、ピンチの状況で ″一瞬、やられた″ (痛打された)と感じてしまう鋭い当たりにも「瞬時の反応で追いつき、好捕! ファインプレーで窮地を脱出する!!」という、言わば「日本ソフトボールの伝統」「鉄壁の守り」を随所に見せてくれた。

 投手陣は「若きエース」後藤希友が ″世界屈指のアメリカ打線″ を向こうに回しても「ある程度力で抑えることが可能」なことを今回の結果をもって証明。ただ、「球種の豊富さ」や「ボールを意図して操る技術」という点に関しては「レジェンド」上野由岐子と「まだまだ差」があり、その「今後取り組むべき課題」に自らがどう向き合い、克服・成長していけるかが大きなポイントとなりそうである。もちろん、三輪さくらや坂本実桜もこのワールドカップ ファイナルステージを実際に経験して「気づき」「学び」が多々あったはず。今大会起こった、もしくは体感した ″リアルな現実″ から決して目をそらすことなく、「さらなるレベルアップ」を自身に課して、これからも前進し続けてもらいたい。

 優勝後のチームミーティングで宇津木麗華ヘッドコーチは「皆さんの今回の成果は確かに素晴らしいモノであったが、これが女子TOP日本代表の『完成形』『ゴール』ではないということを常に心に留めておいてほしい。まだまだやれる、成長できる!と思ってさらに高いレベルを、ソフトボールの真髄を『追求・探求』していってもらいたいし、それを選手として、チームとして第一にやり続けることが私たちTOPカテゴリーの役割・責任ではないかと考えている」と選手たちに熱く投げかけたが、 ″LA28″ (2028年ロサンゼルスオリンピックでのオリンピック3連覇)を見据え、新生・女子TOP日本代表はまだスタートを切ったばかり。「最初のミッション」を果たしたにすぎないのである。

 決勝で日本に敗れた(1-6という屈辱の敗戦を喫した)アメリカも当然 ″やられたら、やり返す!″ と、このまま黙ってはいないはず。

 ″ワールドカップ王座奪還″ の「その先」へ。
 今大会の収穫・課題をしっかりと整理、見つめ直し、「成長」「強化」し続けていく必要があると切に感じる。

●文・写真
女子TOP日本代表チーム
選手団広報/竹﨑 治(日本体育社)

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