去る4月14日(金)~16日(木)の3日間、静岡県伊豆市・天城ドームを主会場に「平成29年度 女子GEM2(U16)日本代表選考会」(2017 カナダカップ/ショーケースゴールドトーナメント派遣選手選考会)が実施された。
この選考会には、所属チーム・所属都道府県支部協会の推薦を受けた58名の選手が参加。女子GEM2(U16)日本代表の座、「2017 カナダカップ/ショーケースゴールドトーナメント」への出場をめざし、厳しい選考に臨んだ。
選考会に先立ち、行われた開始式では、まず公益財団法人日本ソフトボール協会・矢端信介選手強化副本部長が挨拶に立ち、「現在、日本ソフトボール協会では女子TOP日本代表を『頂点』とするジュニア世代の強化に力を注ぎ、GEM1~GEM4のカテゴリーを設け選手育成・強化を進めています。このGEM2は高校1年生・中学3年生を対象としたカテゴリーになりますが、今回は今年7月にカナダ・サレーで開催される『2017 カナダカップ/ショーケースゴールドトーナメント』に派遣する代表選手17名を決める選考会となりますので、皆さんの持てる力を余すことなく発揮できるよう頑張ってください」と、参加選手を激励した。
続いて、渡辺祐司GEMプロジェクトリーダーが、「皆さんは各都道府県支部協会の推薦を受けた、この世代の『日本トップクラス』の選手であると認識しています。ただ、この選考会では、技術だけでなく、『心のソフトボール』を重視し、グラウンド上だけでなく、宿舎での生活態度や言動を含めて評価対象となります。今後、『日本代表』として世界の舞台でプレーするにふさわしい選手であるか否か、日本のソフトボールを背負って立つ人材と成り得るかどうか、その心構えと覚悟を備えた選手であるかどうかを含めて選考させていただきます」と、今回の選考会の選考基準について説明した。
女子GEM2(U16)日本代表選考会を実施!
選考会初日は測定を中心とした選考内容となった
選考会2日目、「実戦」形式の選考と並行して「遠投」の測定も実施
選手たちは「全力プレー」で個々の持ち味を懸命にアピール!
杉山浩之ヘッドコーチの「総評」で選考会を締めくくった
選考会初日は、個々の基本的な身体能力の測定、ゲームノックによる守備力のチェックに時間が割かれ、まずA・B・C・Dの4グループを編成し、そのグループごとにウォーミングアップを行った後、「盗塁」を想定した塁間走、「二塁打」を想定した30m走のタイム測定が行われた。
その後、投手は球速測定。投手は自らが有する球種を申告し、投球。球速をスピードガンで計測すると同時に、変化球の切れやそれをどこまで自在にコントロールできるかも選考対象とされた。
また、ゲームノックでは、A・B・C・Dの4グループごとにチームを編成し、実際の試合を想定したノックが行われ、刻々と変わっていく状況の中で、走者の有無、走者の位置、アウトカウント、イニング等を考慮しながら、的確な状況判断を下すことができているか、その状況に即したプレーが選択できているかどうかが選考対象とされた。
その中で、基本的なグラブさばき、肩の強さ、スローイングの正確性、守備範囲の広さ等も厳しくチェックされ、第1希望・第2希望のポジション適性や複数ポジションをこなせるか否かのユーティリティー性等も併せて確認され、初日の選考を終了した。
初日の選考を終え、この吉田央GEM2リーダーは、「正直なところタイムスケジュールをしっかりと守り、選手たちに公平・平等に選考機会を与えるというだけでイッパイイッパイになってしまったところがありました。選考会の進行ばかりに気を取られると選手たちのプレーに十分に目がいかず、逆に選手選考に集中しようとすると進行が滞ってしまったり……といったことが起おこり得ますので、選手たちの全力プレーに応えられるよう、委員・コーチングスタッフ全員で力を合わせ、役割分担をしっかり行い、それぞれが与えられた役割をしっかりと果たすと同時に、お互いの様子を感じながら、必要に応じてフォローに動き、サポートに回ることを心がけました。まだまだ課題もあるとは思いますが、今後よりこの選考会をより充実したものにしていくために、委員・スタッフ自身が意識改革とスキルアップを進めていくと同時に、様々な工夫や改善を加えていきたいと思います」と語った。
選考会2日目は、まずロングティーを行い、基本的なバッティングフォーム、ミートの正確性、スイングスピード、打球の飛距離等、個々の打撃力がチェックされた。また、キャッチャーは一塁走者の二塁盗塁を想定した本塁から二塁までの送球のタイム計測を実施。肩の強さやスローイングの正確性、捕球・送球動作の俊敏性が確認された。
その後、A・B・C・Dの4チームが対戦する形で、「実戦形式」の選考を実施。時間短縮のため、攻守交代は行わず、一方のチームが7イニング連続で攻撃もしくは守備を行い、7イニングを終了したら攻守交代。投手は、無死走者なしから打者6人と対戦したら、交代する形で選考が行われ、並行して試合のないチームは「遠投」の測定も行った。
2日目の選考を終え、渡辺祐司GEMプロジェクトリーダーは、「前日の球速測定のときと比べ、全体的に5km/hほど球速が落ちている。それだけこの年代の選手にとっては、実際の試合で打者と相対する中で、『練習通り』の力を発揮することは難しいのかもしれません。また、『打たれたくない』『抑えたい』という気持ち、意識が先行してしまうのか、それが力みにつながり、ボールカウントを悪くし、四球を出してしまうケースや苦し紛れにストライクを取りに行き、痛打される場面も目立ちました」と、実際の試合の中で「普段通り」「練習通り」の力を発揮することの難しさ、「結果」が求められる選考会「独特」の雰囲気についても言及した。
前日、自らノックバットを握り、この世代の選手が日常的にプレーしている「ゴムボール」と、国際大会で使用される「イエローボール」(革ボール)の打球の速さ、ポジショニング(守備位置)の違いを説明した矢端信介強化副本部長も「普段使い慣れているゴムボールでの『習慣』や『クセ』がどうしても顔を出してしまうところがある。国際大会を戦う上では、そのあたりの『感覚の違い』『競技特性の違い』をしっかりと認識し、理解した上でプレーしないと世界で通用するプレーヤーになることはできない」と、ジュニア世代の早い段階で「国際感覚」を身につけていく必要性を強調した。
選考会最終日も「実戦形式」での選考となり、打者は常にワンボール・ワンストライクの状況を設定し、打席に入る形で選考が行われた。選手たちは最後の最後まで全力でアピール。本番さながらの熱のこもった攻守が展開され、選考会の全日程を終了した。
3日間にわたる選考会を終え、矢端信介強化副本部長は、「代表選手の選考は、この後、選考委員会を行い、代表選手を決定。今月末の常務理事会で承認を得て、早ければ今月中、遅くとも来月初旬までに、皆さんの所属協会・所属チーム代表者宛に文書で結果をお送りします」と、代表選手決定までの手順・合否発表時期について改めて説明。杉山浩之ヘッドコーチが、「今回の選考会に参加した皆さんはいずれも今後の日本のソフトボールを担うべき『逸材』ばかりです。選考会である以上、合否は出てしまいますが、合格し、カナダカップに『日本代表』として参加する皆さんには、その貴重な経験を今後に生かしていってほしいと思いますし、今回は選考に漏れてしまった皆さんにも、その悔しさをバネにして、また『次』の機会にさらに成長した姿を見せ、再度チャレンジしてくれることを期待しています」と総評を述べ、選考会を締めくくった。