7月7日~15日の9日間にわたって開催された
「第12回世界男子ジュニア選手権大会」を振り返る
昨年11月に静岡県伊豆市で代表選手選考会を実施。
全国から「64名」が参加し、3日間の厳しい選考に臨んだ
その選考会を経て、今年6月に「代表17名」を初招集。
群馬県高崎市において本格的な強化に励み、チームの
形を作り上げていった!
7月5日、いよいよ世界男子ジュニア選手権大会が開幕!
日本は予選リーグ初戦で難敵・アルゼンチンを破り、好発進!!
その後もキャプテン・坂田大士を中心に連戦連勝!
日本らしい「機動力」「堅守」で順調に白星を重ねる
予選リーグ最終戦では強豪・オーストラリアも撃破し、
「6戦全勝」で文句なしの1位通過をはたした
決勝トーナメントでも初戦(予選1位・2位戦)で
ニュージーランドを叩き、順当にセミファイナルへ!
しかし、セミファイナルでは「本気」のオーストラリアに
2-4で逆転負け。敗者復活戦へ回ることに……
敗者復活戦(ニュージーランド戦)に勝利し、
オーストラリアが待ち受けるゴールドメダルゲーム
へと駒を進めたが……1-6で完敗
日本の前に立ちはだかり、「4大会ぶり5度目」の
優勝を飾ったオーストラリア。「大会屈指の右腕」
レイトン・リードをはじめ役者が揃っていたが、勝負
に対する「強かさ」も健在だった!
「ソフトボール王国」ニュージーランドは今回第3位。
トーマス・マケアヘッドコーチのもと、このジュニアはあくまで
「育成段階」と位置づけ、一貫した強化に取り組んでいる
「連覇」をめざし、最後まで懸命に戦い抜いた日本。
この悔しを胸に刻み、各々がさらなる成長を遂げてほしい
トップチームへと駆け上がり、そこで「真の世界一」を勝ち獲れ!!
去る7月7日(土)~15日(日)、カナダ/プリンス・アルバートにおいて開催された「第12回世界男子ジュニアソフトボール選手権大会(※大会結果はこちら)」。前回大会(※2016年にアメリカ・ミッドランドで開催)「35年ぶり2度目」の「優勝」「世界一」に輝いた男子U19日本代表が、ディフェンディングチャンピオンとして大会「連覇」をかけた戦いに挑んだ。
ここでは、今回、その男子U19日本代表がどのように編成・強化され、大会に臨んだか。また、「世界の舞台」でいかに戦い、何を得た(学んだ)かを振り返るとともに、他の「強豪国の戦いぶり」や日本の男子ソフトボールの「今後の強化・展望」についても考えてみたいと思う。
【大会前年に代表チームを編成。『直前』の国内強化合宿を経て…… 】
昨年11月16日~18日、静岡県伊豆市/天城ドーム・天城ふるさと広場野球場を会場に「平成29年度男子U19日本代表チーム選手選考会」が実施され、全国の実業団、クラブ、大学、高校から64名の選手が参加。初日に選手全員の体力測定や個人面談、2日目・3日目は64名の選手を4つのグループに振り分け、紅白戦で対戦させる「実戦形式」の選考が行われ、個々が「国際大会の舞台で通用する」また「力を発揮できる選手か否か」という部分に選考委員(※今回チームの指揮を執った田中徹浩ヘッドコーチ(新島学園高)をはじめ、(公財)日本ソフトボール協会選手強化本部会・男子強化委員の面々が選考にあたった)の厳しい目が向けられた。
この選考会を経て選び抜かれた男子U19日本代表「17名」は、翌年(今年)の6月21日に「初招集」され、群馬県高崎市において4日間にわたり第1次国内強化合宿を実施。大会本番まで2週間を切った「直前」の時期での強化となったが、選手たちが「日本代表チーム」としてしっかりと一つにまとまり、「世界の舞台で戦える」集団になるということはもちろん、“日本リーグ優勝”“全日本総合選手権優勝”を成し遂げた実績を誇る「日本屈指の強豪チーム」ホンダエンジニアリング、高崎市役所の胸を借りて計5試合のテストマッチを行う等、初の実戦にも臨み、連日強化に励んだ。
【いざ、世界ジュニア選手権へ! 『チーム一丸』となり熱戦を展開!! 】
群馬県高崎市での国内強化合宿を終えた男子U19日本代表は、7月3日、成田国際空港に集合。出発前の結団式・壮行会で駆け付けた関係者の激励、見送りを受け、一路、カナダ/プリンス・アルバートへ! 現地到着翌日から早速最終調整に入り、精力的に身体を動かすと、アメリカ、カナダとのテストマッチも実施(※アメリカと1試合、カナダと2試合(合計3試合)を行い、3連勝を飾った)。7月5日、いよいよ「第12回世界男子ジュニアソフトボール選手権大会」の開幕を迎えた。
大会には「連覇」を狙う日本をはじめ、「ホスト国」のカナダ、「ソフトボール王国」ニュージーランド、かつて「4連覇」の偉業を達成したオーストラリア、同じく「連覇」を成し遂げた実績を持つアルゼンチン等、「世界の強豪」13チームが参加。この参加13チームをグループA、グループBの2セクションに分け、各セクション内でシングルラウンドロビン(1回戦総当たり)方式の予選リーグを実施。両セクションの上位4チームがページシステム(敗者復活戦を含むトーナメント)で行われる決勝トーナメントへ駒を進め、最後まで勝ち残ったチームが「優勝」「世界一」となる試合方式で覇が競われた。
予選リーグ・グループAに振り分けられた男子U19日本代表は、初戦のアルゼンチン戦に5-2で快勝すると、デンマークを16-0(4回コールド)、メキシコを7-1、南アフリカを17-5(4回コールド)、インドを12-0(4回コールド)と圧倒的な強さで無傷の5連勝。予選リーグ最終戦でオーストラリアとの「全勝対決」に臨み、3-2で撃破。予選リーグ・グループAを6戦全勝の1位で通過し、「最終決戦」となる決勝トーナメントへ駒を進めた。
決勝トーナメントでは、初戦で予選リーグ・グループB2位のニュージーランドと対戦。試合終盤までもつれる「死闘」を6-4で制し、セミファイナルに進出し、決勝進出をかけたセミファイナルでは、予選リーグ・グループB1位のカナダを「エース」レイトン・リードの16三振を奪う力投(※2-0の完封)で退けたオーストラリアと対戦。先制しながら逆転を許し、2-4で敗れ、敗者復活戦へと回った。
大会最終日、オーストラリアが待ち受ける決勝への進出をかけた「ブロンズメダルゲーム(3位決定戦)」では、ニュージーランドと対戦。試合開始直後に「プレーボールホームラン」を浴びる等、初回に2点を失う「衝撃的な幕開け」となりながら、その裏、「キャプテン」坂田大士の反撃のソロホームランですぐに1点を返し、3回裏には松尾翔輝、西森亜夕夢、佐藤夏己、近森大起が相次いで長短打を放ち、一挙4点を奪い、試合をひっくり返すと、このリードを2回表からロングリリーフに立った北川右悟の力投で守り切り、5-3で競り勝ち、「連覇」へ「王手」をかけた。
しかし……「連覇」のかかった「ゴールドメダルゲーム(優勝決定戦/決勝)」では、満を持して待ち受けるオーストラリアの「エース」レイトン・リードに14三振を奪われ、ノーヒットと打線が沈黙。1-6で「完敗」を喫し、「連覇」はならず、準優勝に終わった。
【改めて際立った日本の『スピード(機動力)』『組織力』! だが…… 】
今大会、惜しくも「連覇達成」とはならなかった男子U19日本代表。まずは今回、攻守において日本の何が通用し、通用しなかったのかを総括してみたい。
大会を振り返って強く再認識させられた点といえば、やはり日本の「スピード(機動力)」「組織力」が国際舞台では「大きな強み」になるということだった。
「スピード(機動力)」が存分に活かされていたのは攻撃面。特に今回は「チーム№1の俊足」を誇り、「前回優勝」を経験した唯一の選手として「キャプテン」に抜擢された坂田大士が中心となり、「隙あらば仕掛ける!!」積極果敢な姿勢が随所に見て取れた。チームを指揮した田中徹浩ヘッドコーチ自身も采配の中での「仕掛け」は得意としており、日本選手の特性とうまく融合していたといえるのではないだろうか。予選リーグ第1戦(アルゼンチン戦)、0-0で迎えた3回裏、一死からライト前ヒットで出塁した坂田大士が「相手捕手の肩が弱い」と見るやすかさず二盗! 二死後、積極的に三盗を仕掛けて相手守備の乱れを誘発、一気に本塁まで還り大事な先制点をもぎ取った場面は象徴的であり、チームを勢いづけるキッカケにもなったまさに「日本らしい」攻撃であった。また、決勝トーナメント初戦(予選1位・2位戦/ニュージーランド戦)の初回、二死一・三塁から仕掛けた「絶妙なダブルスチール」も見逃せない。ここも単純な仕掛けとは一味違い、三塁走者・関亘が一塁走者の二盗でディレード気味に様子をうかがうと、「捕手の二塁への送球が若干逸れた」一瞬の隙を突いて迷わず本塁突入! 巧みなスライディングで捕手のタッチをかいくぐり、流れを呼び込む先取点を「足」でもたらした非常に印象に残るプレーだったといえる。
「組織力」が発揮されていたと感じたのは守備面。今回投手陣では「唯一球速120㎞/h超え」の小野寺翔太が「エース」として重要な一戦を任される形となったが、他の4名の投手も個々が「持ち味」を発揮して試合を組み立てていた。「力で押すタイプ」の小野寺翔太、大西泰河、宮本海斗がつかまりはじめ、苦しくなってきたと判断すれば、「制球力・投球術で勝負するタイプ」の北川右悟、海邉和也を思い切って投入。“小野寺をエースとし、戦う”構想をベースにしていたことは間違いないが、その形だけにとらわれず、冷静に状況・展開を見極めながら最終的には「総合力」で勝利を重ねていったといえるだろう。「日本のお家芸」といわれてきた内外野の「鉄壁の守備」も健在で、ショート・坂田大士、セカンド・岩本陸弥の「二遊間コンビ」を中心に「堅守」で何度も投手陣を助け、相手のチャンスの芽を摘み取っていたことも日本の「組織力の表れ」であった。
ただ……ゴールドメダルゲーム(優勝決定戦/オーストラリア戦)に関しては、その「スピード(機動力)」「組織力」がどうこうというより「完全な力負け」を喫してしまった感がある。試合の内容としては「ノーヒット、14三振」、「要所で2本のホームランを浴びる」等1-6で敗れたわけたが、打撃でいえば「本気」になったオーストラリアの「エース」レイトン・リードの切れ味鋭い「もう一段階上のレベル」のライズ・ドロップについていくことができなかった。パスボールの間に何とか1点を挙げはしたものの、残念ながら最後まで「打って取れるような雰囲気はなかった」というのが正直な印象である。守りにおいてもブロンズメダルゲーム(3位決定戦/ニュージーランド戦)でロングリリーフし、好投した北川右悟を先発に立てたが、3回表に勝ち越しのソロホームランを被弾。4回表にも代わった海邉和也が完璧な当たりのツーランホームランを叩き込まれ、痛恨の失点を喫し、実質ここで勝負あり……結局のところ「力でねじ伏せられる形になった」といわざるをえない。
今回の男子U19日本代表は「現有戦力」の中でできる限りの策を講じ、確かに懸命に戦った。世界の強豪にも物怖じせず、王座を守るのではなく、もう一度奪いにいくような「チャレンジャー精神」で終始「熱い試合」を繰り広げてくれたとも思う。だが、結果として「連覇」を期待されながら「優勝」「世界一」を手にすることができなかった。「本当に勝負がかかった局面」で「歴代最多優勝」を誇るオーストラリアに「世界のトップレベル」「本物の強さ」をまざまざと見せつけられてしまった現実があったということは、悔しいが認めなければならない。次回で「さらに強い日本」を作り上げるためにも、我々はこの事実を真摯に受け入れなければならないだろう。
今後に向けた「課題」を挙げるとするなら、やはり代表チーム編成後の「強化」をどう上積みしていくか。「世界の頂点を極めるため」のより具体的なプランをいかに確立し、遂行していけるか……である。現行では日本代表チームの名の通り、各カテゴリーで世界選手権等主要大会ごとに最強チームが編成されていることは間違いないが、その「代表チームの編成だけ」で頂点を極められるほど「世界の舞台は甘くない」ことを我々はもう一度しっかり認識しておく必要がある。「日本の男子ソフトボールの現状」として「多くの時間や資金」をつぎ込み、本格的な強化を図るということが「容易でない」ことは百も承知なのだが……そこで妥協したり諦めたりしてしまうのではなく、「新たな挑戦」として選手・協会が一丸となりステップアップしていかなければならないのではないだろうか。
「突出した能力を持った選手がいないと勝てない」と嘆きたくはない。「じっくりと、『真に』強化してきたか?」「『本気で』世界一を狙い、やるべきことをやってきたか??」を問うべきであり、今後に向けた強化・育成システムの再考、そして「さらなる発展」を期待したいものである。
【『歴代最多優勝』の意地! 『王座奪還』へ強かだったオーストラリア】
次に、「日本のライバル」でもある「世界の強豪国」の戦いをまとめてみたい。
「4大会ぶり5度目」の「世界一」に輝いたオーストラリアは、予選リーグを日本に次ぐ2位(5勝1敗)で通過。決勝トーナメントではもう一段ギアを上げ「貫録」すら感じさせる戦いぶりで、カナダ、日本(※日本はセミファイナル、ゴールドメダルゲームと2度対戦)を撃破し、3連勝! かつて世界ジュニア選手権「4連覇」の偉業を成し遂げた黄金時代のチームが蘇ったかのような「強さ」を見せつけ、見事「王座奪還」をはたした。
強豪・オーストラリアの特徴といえば、やはり「勝負」に対する「強かさ」。今大会、日本とは予選リーグ第6戦(最終戦)ではじめて対戦したわけだが、このときは「エース」レイトン・リードを先発登板させてきたものの、そのレイトン・リードが日本の実力を測るかのように「余力を残した」ピッチングに終始。日本打線の力量をある程度把握できたタイミング(※この試合では初回、2回表、3回表と3イニングの登板に限定した)で他の投手へ継投し、冷静に「その先(決勝トーナメントでの戦い)」を見据えた試合運びを見せてきた。セミファイナルで対戦した際にも「ダブルサウスポー」の一人、ショーン・レネガンを先発起用。予選リーグの対戦で2番手として登板し、敗戦投手となったもう一人の左腕・ブラッドリー・キルパトリックでもなく、極力「エース(レイトン・リード)を温存」しながら「日本打線にもっとも『ハマる』投手は誰か」を探るゲームプランで「本当の狙い(※ゴールドメダルゲームで「エース」レイトン・リードを「全力」でぶつけ、優勝を勝ち獲る)」を隠したまま、まんまと勝利を収め、一足先にゴールドメダルゲームへ進出。最終日、満を持して待ち受ける「理想の展開」へと持ち込んだのである。
とはいっても、今回のオーストラリアには「優勝を狙える」だけの「役者」がしっかりと揃っていた。「球速130㎞/h台」を思わせる力のある速球、「切れ味抜群のライズ・ドロップ」等「凄みのあるピッチング」で優勝投手となったレイトン・リードにどうしても目がいってしまうが、打線も強力。特に1番のライアン・キング、9番のジェレミー・ウォータース(※日本戦で2本のホームランを叩き込んだ)は「くせ者」で、自らチャンスメイクすることもできれば、返すこともできる。走・攻・守「万能型」の選手をあえて1番、9番に置き、「切れ目のない打線」を形成。相手守備に常に「嫌らしく」プレッシャーをかけていくあたりも、「さすが」だった。
前回準優勝、今回第3位に終わったニュージーランドは、2大会連続での出場が予想されていた「好投手(次代のホープ)」ダニエル・チャップマンをそのままトップチームに引き上げ、従来通り「育成メンバー」の顔ぶれで今大会を戦った。「投手・中堅手を兼務」し、打線の中軸も担ったレイリー・マケア、日本戦で“プレーボールホームラン”を放つ等「主砲」として活躍したハリソン・バルクがチームを引っ張っていたが、全体的に見るとまだ完成されたわけではなく、「これからの選手たち」という印象を受けた。
だが、元・ブラックソックス(※男子ニュージーランド代表チームの愛称)で現役時代に世界選手権を何度も制し、「世界的強打者」と評されたトーマス・マケア(※レイリー・マケアとは親子)がこのところ一貫してU19のヘッドコーチを務め、「勝者のDNA」「ブラックソックスの魂」を脈々と若い選手たちへ継承。トップチーム(ブラックソックス)でも「世界最強」と称された「伝説の打者」マーク・ソレンソンが指揮を執っており、「かつてのスター選手が積極的に代表チームの強化・育成に携わる」一つのスタイルが確立されているといっていい。この確固たる強化方針が「今後どれほどの成果をもたらすか」もうしばらく長い目で見ていきたいところではあるが、「母国の英雄」が次代を担う若い選手たちの「憧れの存在」としてしっかりと「リスペクト」され、歴史・伝統をつないでいることは間違いなく、そのスタイルこそ「ソフトボール王国」ニュージーランドの「夢」と「希望」を育んでいるといっても過言ではないだろう。
国際舞台では上位常連の「ホスト国」カナダ。この世界ジュニア選手権で過去に「連覇」を成し遂げた実績を持つアルゼンチンは、今大会、チームの「決め手」や「柱」に欠けていたように感じる。
カナダは「地元の大声援」に後押しされ、第4戦のニュージーランド戦こそ接戦(8-5)となりはしたものの、その他は圧勝で予選リーグ5連勝。無傷で決勝トーナメントに駒を進めたが、勝負のかかった決勝トーナメントではオーストラリア、ニュージーランドに0-2、2-5と連敗し、結局第4位で終戦。絶対的なエースがおらず、「タイプの異なる3人の投手」を「小刻みに継投」させ、どちらかといえば打力で「打ち勝つ」ソフトボールを展開していったが、その自慢の強力打線も“大会屈指の右腕”レイトン・リード(オーストラリア)の前では「16三振」「無得点」と一転して沈黙。この完敗を帳消しにするようなミラクル、救世主の出現もなく、自国開催というアドバンテージがありながらメダルを逃してしまった。
アルゼンチンもかつて「連覇の立役者」となったウエムル・マタ、ロマン・ゴドイの「強力二枚看板」のような「スーパーな選手」がおらず、その黄金期からすると「見劣り」は否めなかった。初戦の日本戦を落とす等、大会を通じて波に乗れなかったことも「5位に終わった」要因として挙げられるが、日本同様「突出した選手がいないときでも、いかに強化し、優勝が狙えるチームを作り上げていくか」という点が今後の課題になっていきそうだ。
一方で、その他の国々の戦いぶりやレベルを見た際には、残念ながら上記の強豪国(上位チーム)とは「大きな実力差」があるように感じた。正直なところ、オーストラリア、日本、ニュージーランド、カナダ、アルゼンチンの上位5カ国に間違っても勝てるような要素・雰囲気はなく、決勝トーナメント以外は見ていて“さすが、世界選手権!”という「迫力」や「おもしろさ」を感じることができなかったのが本音である。ヨーロッパやアフリカ地域等ソフトボールが盛んなお国柄でなくとも、こうして世界選手権に、まして「男子の大会」に参加の意を示してくれているのは「喜ばしいこと」「大事にしていかなければならないこと」ではあるが、世界選手権という大会の競技レベルやクオリティ、「男子ソフトボールのトップレベルを真にアピールしていく」という部分においては引き続きじっくりと検討していく必要があるように思う。
【世界一を争う舞台で戦った選手たちの『成長』『活躍』を期待! 】
ゴールドメダルゲーム(優勝決定戦/オーストラリア戦)で敗れた直後、悔しさが募る選手・スタッフの円陣の中で最後に田中徹浩ヘッドコーチはこう話した。「『優勝』にはあと一歩届かなかったが、決してここで終わりではない!この舞台で経験したこと、学んだことを各々がいかに『次のステージ』へつなげていくか。君たちにはこれからもトップレベルで戦い続けてほしいと思っているし、将来的にはトップチーム(男子TOP日本代表)の一員として、日本男子の『悲願』である『世界一』を勝ち獲ってもらいたい!!」と。
選手たちの今後はまさにこの言葉に集約されている。前回大会で「35年ぶり2度目」の「優勝」を飾り、今回「連覇」を狙った日本としては、やはり「ここで連覇しておきたかった」という想いが強い。「連覇」というチャンスはなかなかおとずれるものではなく、ここでしっかりと結果を残し、「日本の男子ソフトボール、ここにあり!」「男子も強い! すごい!!」と多くの人々をふり向かせてもみたかった。選手・スタッフ、そして関係者、大会を終えてきっといろんな想いがこみ上げてきたことだろう。
今大会で噛みしめた想いを、沸き起こってきた感情を、我々は忘れてはいけない。「日本の男子ソフトボールの未来」を切り拓いていくためにも、それぞれの場所でさらなる「成長」を遂げ、常に「前進」していかなければならないのである。大会終了直後のインタビューでは坂田大士キャプテンがこうも答えてくれた。「大会を通じ、自分自身としてはある程度活躍できたかなと思います。でも……決勝のオーストラリア戦ではまるで歯が立たなかった。『世界で勝つことの厳しさ』を痛感しましたし、『まだまだ未熟』ということにも改めて気づかされました。これから『日本の男子ソフトボールを自分が引っ張っていく!』とはまだ胸を張っていえませんが、自分なりに挑戦し続け、新たな道を切り拓いていきたい。どんな形であれ、挑戦することだけはやめませんよ!!」と。彼の素直な想いではあったが、「挑戦をやめない!」というその言葉を聞けただけで我々はまた前を向き、「希望」を抱くことができる。
2012年・2014年と2大会連続で世界ジュニア選手権に出場し、準優勝・第3位。「世界トップレベルに魅了」され、その後も“本場”ニュージーランドで武者修行に励む等「国内外で奮闘」を続ける「ワールドレベルの剛腕」岡﨑建斗。いわずと知れた2016年の世界ジュニア選手権「優勝投手」であり、近年「№1の逸材」と期待される「スター候補」小山玲央。そして、今大会攻守に「抜群の存在感」を示した坂田大士と……日本の男子も「若き才能たち」が力を発揮しはじめている。
早くから世界一を争う舞台で戦い、揉まれてきた彼らが中心となって「新たな時代」を切り拓いていってくれることを期待したい。「本気」で世界の頂点をめざし、挑戦し続けている限り……可能性は消えない! この世界ジュニア選手権を戦い抜いた彼らが、その経験・想いをどう受け止め、どう活かしていくか。それは「彼ら次第」だが、我々も彼らとともに夢を追いかけ、「成長」「活躍」を伝え続けていきたいと思っている。
No. | 役職 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|---|
1 | 団長 | 塩島虎一郎 | 日本ソフトボール協会 |
2 | ヘッドコーチ | 田中 徹浩 | 新島学園高等学校 |
3 | アシスタントコーチ | 安部 厚志 | 飛龍高等学校 |
4 | アシスタントコーチ | 津本 大貴 | 長崎県立佐世保西高等学校 |
5 | トレーナー | 田岡 幸一 | Body Laboratory |
6 | 総務 | 松繁 冬樹 | 高知県立高知農業高等学校 |
7 | 総務 | 加瀬 俊介 | 日本ソフトボール協会 |
8 | 広報 | 竹﨑 治 | 日本体育社 |