上野、延長9回、力尽く……
決勝進出ならず、敗者復活戦へ
8月20日(水)、北京オリンピックもいよいよクライマックスへ突入。この日から決勝トーナメントに入った。予選リーグを6勝1敗の2位で通過して日本は、予選リーグを7戦全勝、圧倒的な強さで1位通過したアメリカと対戦した。
■8月20日(水)/決勝トーナメント1位・2位戦
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1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
計 |
アメリカ |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
4 |
4 |
日 本 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
1 |
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(ア)○アボット(8回0/3)・オスターマン(1回)−ヌーベマン(9回)
(日)●上野(9回)−峰(9回)
〔本塁打〕ブストス(ア)
予選リーグを7戦全勝、チーム打率3割7分5厘、本塁打13、総得点53。チーム防御率は0・00で失点はノーヒットで失ったカナダ戦の1点のみ。打たれた安打は7試合でわずか5本。1試合平均で1本にも満たない安打しか許さず、39イニングで奪った三振は57。攻守にまったく隙のない「史上最強」の王者・アメリカ。
そのアメリカに、日本が誇る「世界一の投手」上野が挑んだ。上野は立ち上がり、1番・ワトリー、2番・ロー、3番・メンドーザを簡単に三者凡退に切って取る最高のスタート。アメリカの強力打線を寄せつけず、ゼロ行進が続いた。この「エース」の力投に守備陣も応え、アメリカの4回表の攻撃では、この回先頭の2番・ローがレフト線へ落とし、快足を飛ばして二塁を狙ったが、レフト・馬渕の好返球で二塁寸前タッチアウト。ピンチを未然に防ぐと、6回表の一死一・二塁では3番・メンドーザの痛烈なライナーをサード・廣瀬がガッチリキャッチ。すばやく一塁へと転送し、一瞬にしてダブルプレー。力投を続ける「エース」を好守で支え続けた。
一方、日本打線はアメリカの大型左腕・アボットをとらえられずにいたが、7回裏、二死から4番・馬渕が四球を選び、5番・佐藤がしぶとくセンター前ヒット。一打サヨナラのチャンスを迎えた。6番・廣瀬のバットに期待がかかったが、惜しくも三振に終わり、両チーム無得点のまま、延長タイブレーカーへともつれ込んだ。
延長8回表、アメリカはタイブレーカーの走者を二塁に置き、代打・バーグがセカンド内野安打。無死一・三塁の絶好機をつかんだが、ここは「世界一の投手」上野がアメリカ打線の前に立ちはだかる。8番・ジュン、9番・フラワーズを連続三振。1番・ワトリーをピッチャーゴロに打ち取り、絶体絶命のピンチを切り抜けた。
しかし、日本はその裏、7番・三科が送りバントを失敗。ファーストファウルフライに終わり、8番・峰もバスターを仕掛けるが、これもファーストファウルフライに倒れ、9番・藤本は三振。またしてもサヨナラのチャンスを逃した。
これで試合の流れが変わったか、アメリカは9回表、この回先頭の2番・ローが二遊間へ高いバウンドのゴロを転がし、ショート・西山が追いついたかに見えたが、懸命に差し出したグラブの先をはじき、センター前へ転々とする間に二塁走者が生還。アメリカが待望の先取点を挙げた。勢いづいたアメリカは、3番・メンドーザが四球を選び、無死一・二塁とすると、「主砲」ブストスが上野の投じた113km/hの速球を完璧にとらえ、レフトスタンド上段へ勝負を決めるスリーラン。力投を続けた「日本のエース」が、延長9回ついに力尽きた。
日本もその裏、代打・伊藤が執念のセンター前タイムリーを放ち、1点を返す粘りを見せたが、アメリカも最後は「エース」オスターマンを投入。日本、必死の反撃を三振、ピッチャーゴロ、ファーストゴロに抑え、決勝進出を決めた。
第2試合では、予選3位のオーストラリアが予選4位のカナダを5−3で破り、敗者復活戦に回った日本と対戦することになった。
勝てる試合だった。日本が思い描いていた通りの試合展開に持ち込んだ。それでも……力投の「エース」を援護することができなかった。あのアメリカの強力打線を延長8回まで無得点に抑えた力投を誰が責めることができようか……。やはり上野は「世界一の投手」であり、「日本の宝」であった。
ここで終わるわけにはいかない。もう一度、この「世界一の投手」をそれにふさわしい舞台に立たせようではないか。オリンピックのファイナル。これこそが「世界一の投手」にふさわしい舞台だ。
日本の戦いはまだ終わってはいない。再びアメリカと戦うために……。オリンピック・ファイナルという舞台に、上野を立たせるために……。勝たなければならない。今こそ、すべての力を出し尽くし、力の限り、戦わなくてはならない。あとは自らの力で道を切り開くしかない。勝つことによってのみ、チャンスは残される。「金メダル」がほしいのなら……こんなところで負けるわけにはいかない。
北京オリンピック 決勝トーナメント1位・2位戦 アメリカ戦スターティングラインアップ
1番・ライト 狩野亜由美(豊田自動織機)
2番・ショート 西山 麗(日立ソフトウェア)
3番・センター 山田 恵里(日立ソフトウェア)
4番・レフト 馬渕 智子(日立ソフトウェア)
5番・ファースト 佐藤 理恵(レオパレス21)
6番・サード 廣瀬 芽(太陽誘電)
7番・セカンド 三科 真澄(ルネサス高崎)
8番・キャッチャー 峰 幸代(ルネサス高崎)
9番・DP 藤本 索子(レオパレス21)
DEFO/ピッチャー 上野由岐子(ルネサス高崎)
※選手交代
9回裏 狩野OUT→伊藤 幸子(トヨタ自動車)IN ※代打
第29回オリンピック競技大会(2008/北京) ソフトボール競技 予選リーグ戦績表
予選リーグ第7日終了現在
(戦績表はその日の最終試合が終了次第、更新します)
チーム名 |
日本 |
アメリカ |
オースト
ラリア |
中国 |
カナダ |
ベネズエラ |
台湾 |
オランダ |
勝 |
負 |
順位 |
日本 |
── |
●0─7 |
○4─3 |
○3─0 |
○6─0 |
○5─2 |
○2─1 |
○3─0 |
6 |
1 |
2 |
アメリカ |
○7─0 |
── |
○3─0 |
○9─0 |
○8─1 |
○11─0 |
○7─0 |
○8─0 |
7 |
0 |
1 |
オーストラリア |
●3─4 |
●0─3 |
── |
○3─1 |
○4─0 |
○9─2 |
○3─1 |
○8─0 |
5 |
2 |
3 |
中国 |
●0─3 |
●0─9 |
●1─3 |
── |
●0─1 |
○7─1 |
●1─2 |
○10─2 |
2 |
5 |
6 |
カナダ |
●0─6 |
●1─8 |
●0─4 |
○1─0 |
── |
●0─2 |
○6─1 |
○9─2 |
3 |
4 |
4 |
ベネズエラ |
●2─5 |
●0─11 |
●2─9 |
●1─7 |
○2─0 |
── |
●0─3 |
○8─0 |
2 |
5 |
7 |
台湾 |
●1─2 |
●0─7 |
●1─3 |
○2─1 |
●1─6 |
○3─0 |
── |
●2─4 |
2 |
5 |
5 |
オランダ |
●0─3 |
●0─8 |
●0─8 |
●2─10 |
●2─9 |
●0─8 |
○4─2 |
── |
1 |
6 |
8 |
※5〜7位は同率チーム同士の勝敗で順位を決定(台湾2勝、中国1勝1敗、ベネズエラ2敗のため、5位・台湾、6位・中国、7位・ベネズエラとなる)
第29回オリンピック競技大会(2008/北京) ソフトボール競技 決勝トーナメント
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