公益財団法人日本ソフトボール協会

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JSA ソフトボールの基礎知識

用具

  • バットの長さ

    86.4cm(34インチ)以内
    バットの重さ/1077g(38オンス)以内
    太い部分の直径/5.7cm
    材質/木、竹、カーボン、合金、セラミック等各種。(金属バットが主流)。

  • 安全グリップ

    バットのグリップエンドから25.4~38.1cmの範囲で滑り止めのテープを巻くことがルールで定められている。

  • ボールの大きさ・色

    円周12インチ(30.2~30.8cm・ボールの重さ/6.5 ~7オンス(177.5~198.8g))。2002年から国際大会では、黄色に赤ステッチ(革の部分が黄色で縫い目の部分が赤色)のイエローボールが使用されている。 JSA(公益財団法人日本ソフトボール協会)では、2004年から日本女子ソフトボールリーグ1部、2007年から日本女子ソフトボールリーグ2部、2009年から日本男子ソフトボール東日本・西日本リーグでイエローボールが使用され、2010年から男女の日本リーグだけでなく、革ボール使用の全日本大会でもすべてイエローボールが使用されている。

競技場

  • 本塁から外野フェンスまでの距離

    国際ルールでは、従来、女子が200フィート(60.96m)以上、男子が225フィート(68.58m)以上と規定されていた外野フェンスまでの下限の距離が、2002年から女子が220フィート(67.06m)以上、男子が250フィート(76.20m)以上に改正された。
    JSAでは、既存施設の問題などがあり、改正を留保している。 また、野球のように右中間・左中間のふくらみや左右両翼と中堅との距離の違いはなく、すべて本塁から外野フェンスまでの距離は一定である。

  • 投・捕間の距離(投手板から本塁までの距離)

    女子が40フィート(12.19m)、男子が46フィート(14.02m)であったが、2002年の国際ルール改正で、女子のみ43フィート(13.11m)に改正された。また、投手板には半径8フィート(2.44m)のピッチャーズサークルがあり、平坦でマウンドはない。
    また、2006年の国際ルール改正で、女子ジュニア(U19/19歳以下の女子)の投・捕間の距離(投手板から本塁までの距離)が、従来の40フィート(12.19m)から43フィート(13.11m)に改正され、これに伴い2011年からJSAでも高校女子の投・捕間の距離(投手板から本塁までの距離)が、従来の40フィート(12.19m)から43フィート(13.11m)に改正された。

ダブルベース

  • ソフトボールは塁間が短いため(18.29m)、一塁でのクロスプレーが多く、守備者と打者走者の接触が起こりやすく、衝突により大ケガをすることなどもあった。
    1987年の国際ルールの改正で、カナダから一塁での接触プレーによる事故防止を目的として「セーフティーベース」の名称で、一塁にダブルベースを置くルールが提案され、可決された。
    1994年の第8回世界女子ソフトボール選手権大会から使用され、1997年からJSAルールにも採用され、現在に至っている。
    このダブルベースは、38.1×76.2cmの大きさで、白色の部分(白色ベース)をフェア地域に、オレンジ色の部分(オレンジベース)をファウル地域に固定する。打者が内野ゴロを打ったり、一塁でプレーが行われるときは、打者走者は原則としてオレンジベースを走り抜け、守備者は白色ベースを使用することによって、一塁での打者走者と守備者の接触する危険を回避することができる(ヒットを打って、一塁をオーバーランしたり、長打を狙って一塁を回るときや、いったん走者となって一塁ベースに帰塁するときは、白色ベースのみを使用する)。

投球

  • 野球では投球フォームについて、セットポジション、ワインドアップポジションの他は厳しい規定はない。
    ソフトボールでは投手は打者に対して、野球でいうアンダースローに近い形で投球するが、野球のアンダースローとの違いは、手と手首が必ず体側線を通過しながら球を離さなければならないという点である。

投法(ウインドミルとスリングショット)

  • ウインドミルは、もっともポピュラーな投げ方で、風車のように腕を大きく1回転させ、その遠心力を利用して投げるため、大きなスピードを得ることができる。腕の回転は1回に制限されており、打者を幻惑させるために何回転も腕を回すことは禁止されている。
    (女子の国際的なトップレベルの投手では105~110km/h を超え、北京オリンピックで金メダルを獲得した女子日本代表の上野由岐子投手はMAX120km/hを超える速球が「代名詞」となっており、体感的には、野球に換算すると160km/h を超えるスピードであるといわれている。また、男子の国際的なトップレベルの投手は130~135km/hを記録する)
    スリングショットは、ソフトボールの“原点"ともいえる投げ方で、時計の振り子のように腕を下から振り上げ、その反動を利用して前方に振り戻して投げる投法。ゴムのパチンコ(スリングショット)の動きに似ているのでこう呼ばれている。変化球を投げるには不向きであり、ボールの握りが常に打者に晒されてしまうため、現在ではほとんど見られなくなった。

離塁アウト

  • ソフトボールでは、投手の手から球が離れるまで、走者は塁を離れることを禁止されており、リードが認められていないため、“投手の投球モーションを盗んで盗塁成功"といったことは起こりえず、バッテリーにミスがなければ盗塁はなかなか成功しない。
    ただし、野球と違ってバントが多用されるため、一塁手と三塁手がベースより前に位置するような前進守備をしていることが多く、“三盗"を狙うケースは多い。フォーメーション上、三塁手がベースに戻るのか、遊撃手がベースカバーに入るのか、右打者・左打者によってもフォーメーションが変わりミスが生じやすい。また、そのミスが得点に直結することが多く、イチかバチかで“三盗"を試みるケースは多い。

リエントリー(再出場)

  • ソフトボールでは、1979年の国際ルールの改正で、「リエントリー(再出場)」が採用され、スターティングプレーヤーはいったん試合から退いても、一度に限り再出場することが認められた。
    再出場する場合には、自己の元の打順を引き継いだプレーヤーと交代しなければならず、それに違反し、相手チームからアピールがあると、「再出場違反」となり、違反した選手と監督が退場になる。
    JSAルールには、1980年に採用され、現在に至っている。

タイブレーク

  • これは文字通り、勝敗を早く決定するためのルールである。ソフトボールの正式試合は7回と定められており、同点の場合、8回の表からは前回最後に打撃を完了した選手を二塁走者とし、無死二塁の状況を設定して、打者は前回から引き続く打順の者が打席に入る。その裏も同様に継続し、勝負が決するまでこれを続けていく試合方式である。なおタイブレークの二塁走者に代走を送ることは、ルール上問題ない。
    ソフトボールでは投手戦になることが多く、これを解消しようとタイブレークというルールが生まれ、国際ルールが、1987年からこのルールを採用したのに準じ、同年、JSAルールにも採用され、当初は延長10回からタイブレークが採用されていたが、2002年のISFのルール改正で8回からタイブレークが採用されたのに合わせ、JSAルールでもすべての種別で8回からタイブレークが採用されている。

DP(指名選手・DESIGNATED PLAYER)

  • 1979年に国際ルールの改正で、DH(DESIGNATED HITTER/指名打者)が採用され(打撃専門のプレーヤーで守備につくことはできず、DHのついた守備者は守備専門のプレーヤーで打撃を行うことはできなかった。また、DHはスターティングプレーヤーであってもリエントリー(再出場)は認められなかった)、JSAルールにも1980年から採用されていた。
    これが2002年の国際ルールの改正で、DP(指名選手・DESIGNATED PLAYER)に改正されたことにより、守備につくこともでき、スターティングプレーヤーであれば、リエントリー(再出場)もできるようになった。
    DPを採用する場合には、その人数は常時1名に限られ、試合開始から終了まで継続しなければならない。また、DPはどの守備者につけてもかまわないが、その試合中は同じ打順を継続し、DPを採用した場合には10人で試合を行うことになる。
    DPもFP(FLEX PLAYER/DPのついた守備者)も、いつでも他の控え選手と交代できる点では他のプレーヤーと何ら変わるところはなく、出血を伴う負傷の場合に代替プレーヤーを使うことができる点も何ら変わりはない。ただし、DPもFPもスターティングプレーヤーであれば、いったん試合を退いても一度に限りリエントリーすることができ、「攻撃だけ」「守備だけ」に限定されることはない。
    DPは、基本的には攻撃を重視して起用されるプレーヤーだが、FPの守備を兼ねて守備につくことが可能である。この場合には、DPが打撃・守備ともに行うことになり、試合に出場しているプレーヤーは10人から9人になる(DPがFPの守備を兼ね、攻撃・守備共に行う場合には、FPはいったん試合から退いたことになる)。
    逆に、FPがDPの打順に入って打撃を行うことも可能で(DPが塁上にいる場合にFPがDPに代わって走者となることも可能)、この場合にはFPが打撃・守備ともに行うことになり、DPがリエントリーしない限り、試合に出場しているプレーヤーは10人から9人になる(FPがDPの打撃を兼ね、攻撃・守備ともに行う場合には、DPはいったん試合から退いたことになる)。ただし、DPとFPが完全に入れ替わり、DPが守備のみ、FPが攻撃のみを行うことは認められず、これに違反するとDP違反(不正交代)となる。さらにDPがFP以外のプレーヤーの守備を兼ねた場合には、DPのついた守備者がOPO(OFFENSIVE PLAYER ONLY/打撃専門選手)となり、DPがその守備を兼ねている間は打撃のみを行うことになる。
    DPルールを正しく理解し、活用することができれば、戦術的な選択肢が増えるだけでなく、少人数編成のチームでもその限られた人員をフルに活用することができるというメリットもある。

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