公益財団法人日本ソフトボール協会

〒160-0013 東京都新宿区霞ヶ丘町4番2号 Japan Sport Olympic Square
日本ソフトボール協会 TEL.03-5843-0480 FAX.03-5843-0485

公益財団法人
日本ソフトボール協会

学校体育推進 学校体育ソフトボール基本ルール全文

はじめに

  • 1

    この基本ルールは、主に小学校高学年(5・6年生)並びに中学生以上を対象にした、学校体育ソフトボール授業のために考案したオリジナルルールである。(小学校低・中学年は、「ミニソフトボールルール」を参照されたい。)

  • 2

    この基本ルールは、投手が山なりのゆるやかなボールを投げ、打者が容易に打球することができるスローピッチ・ソフトボールルールである。

  • 3

    この基本ルールは、狭い競技場や屋内でもプレイすることができ、安全性の高い用具を使用して、楽しくソフトボールを行うことができるレクリエーションルールである。

  • 4

    この基本ルールは、「ソフトボール競技(ファストピッチ・ソフトボール)」への発展を意図して考案された合理的なルールである。

  • 5

    この基本ルールの適用に際しては、競技場・用具・人数など、また、児童・生徒の実態に応じて指導者の判断で変更することが可能である。ただし、安全性については、十分に配慮すること。

ルール1:競技場

  • 1

    塁間は、18.29m(小学校高学年は16.76m)とし、30m以上(小学校高学年は25m以上)のファウルラインを引く。

    [留意事項]

    1. ファウルラインはフェア地域である。したがって、ラインを引く際には、メジャーをまっすぐに引っ張ってその内側に丁寧に引く。
    2. 塁間の長さは、児童・生徒の実態を考慮して決めることが望ましい。
  • 2

    投捕間の距離は12.19m(小学校高学年は10.67m)とし、60.96cm×15.24㎝の投手板を描く。

    [留意事項]

    1. 投手がストライクが入らない場合、児童・生徒の実態を考慮して、指導者は投捕間距離を短くすることがあってもよい。その場合には、ピッチャー返しの打球には十分に注意させること。
    2. 授業入門期の段階では、ベースボール型経験者が投手を務めることが望ましい。
  • 3

    打者席は、本塁プレートから15cm離れたところに、縦2.13m、横0.91mの長方形を描く。また、危険防止のため、本塁プレートの角を中心にして半径3mの打者サークルを描く(ただし、フェア地域内にはラインは引かない)。

    [留意事項]

    1. 打者が、打者サークル外にバットを放り投げないように十分に注意させること。
  • 4

    捕手席は、本塁プレートの後方、打者サークルの外側とする。

    [留意事項]

    1. 捕手は、中腰または立ったままで構え、原則としてワンバウンド以上のボールを捕球する。また、打者が打撃を完了するまでは打者サークルに入ってはならない。特に、打者が投げたバットには十分注意すること。
  • 5

    競技場境界線(ボールデッドライン)は、原則として、ファウルラインから5m以上離れたところに引く。

    [留意事項]

    1. 審判員は、この競技場境界線内に、グラブ・ボール・バット等が放置されたり、人がいる状態では、プレイさせてはならない。試合を安全に進行するために大切なラインである。
  • 6

    次打者席は、競技場境界線(ボールデッドライン)の外側に直径1m以上のサークルを描く。

  • 7

    本塁から外野フェンスまでの距離は50m以上とし、可能であればホームランラインを引く。このラインをダイレクトに越えればホームランとし、野手に触れたか否かに関係なくバウンドして越えた場合には2塁打とする。

    [留意事項]

    1. グラウンドに向かい合わせで2面の競技場をつくる場合には、できるだけホームランラインを引くことが望ましい。
  • 8

    コーチズサークルは、一塁・三塁ベースからファウルラインの外側3m以上の位置に、直径1m以上のサークルを描く。

    [留意事項]

    1. このサークルは、ベースボール型経験者が初級者へルールなどについて助言をするアドバイス・サークルとして利用することが望ましい。
  • 9

    屋内で実施する場合は、塁間や投捕間の距離を体育館の大きさに応じて適切に決めるとともに、特別ルールなどを定めて実施するものとする。ただし、安全性については、十分に配慮すること。

ルール2:用具

  • 1

    ボールは、小学校高学年は、「学校体育検定2号球」、中学生以上は、「学校体育検定3号球」を使用する。

  • 2

    バットは、「学校体育検定バット」を使用する。

  • 3

    本塁プレートは、前縁が43.18cmの正規のプレイトを用いる。

    [留意事項]

    1. 危険防止のため、本塁プレートは、守備側・攻撃側と区別して二つ使用することも可とする。守備側の本塁プレートに対して、攻撃側の本塁プレート(スコアリングプレイト)は、接触プレイなどの危険防止を考慮して、守備側の本塁プレートの角から2m以上離れた打者サークルの内側に置き、三塁ベースから走者用のランニングラインを引く。また、三塁とスコアリング本塁プレートの中間にリターン禁止ライン(走者がこのラインを越えたら三塁方向へ戻ることはできない)を引く。
  • 4

    一塁ベースは、38.1cm×76.2cmのダブルベース(フェア地域側が白色ベース、ファウル地域側がオレンジベース)とする。

  • 5

    二・三塁ベースは、76.2cm平方のセーフティ塁ベースとする。

    [留意事項]

    1. 本塁プレート・ダブルベース・セーフティ塁ベースについては、本協会の学校体育推奨品があるが、ラインマーカーで地面に描いてもよい。
  • 6

    マスク・ヘルメット等は、必要に応じて使用してもよい。なお、使用する場合には、本協会の検定品を使用することが望ましい。

  • 7

    運動靴を使用すること(金属製のスパイクは禁止する)。

ルール3:チーム編成

  • 1

    1チームは、原則として、10名とする。

    [留意事項]

    1. 「ルール8 守備」の項で解説しているように、守備者は10名とする。ただし、数名のエキストラヒッター(打つだけの選手)を採用してもよい。
  • 2

    チーム編成は、男子単独、女子単独、男女混合でもよい。

ルール4:試合

  • 1

    試合は、5イニングの表裏の攻撃で得点を競うものとする。

    [留意事項]

    1. 試合時間は、原則として、30分以内とする。
    2. 体育授業における『試合』は、児童・生徒の実態を考慮して、いろいろな工夫をして行うことが望ましい。
  • 2

    攻守交代は、スリーアウトとする。

    [留意事項]

    1. 児童・生徒の実態を考慮してスリーアウト交代にこだわらなくてもよい。
  • 3

    試合開始時に登録された選手の交代は自由とする(無通告でよい)。

    [留意事項]

    1. 試合開始時に登録された選手とは、審判員の合図によって整列し、挨拶を交わした選手をいう。

ルール5:投球

  • 1

    投手は、両足を投手板上に置き、投球腕を肩を軸にして振り子のように振って、一歩踏み出して投球する(スタンダード投法)。

    [留意事項]

    1. 腕を1回転させて投げることは禁止とする。
  • 2

    投手は、打者が打ちやすい山なりボールを投げる。

    [留意事項]

    1. 投手は、本塁プレートの角の後方(捕手寄り)1m以内の位置にバウンドするように山なりボールを投げる。投げ終えた後は、ピッチャー返しの打球に十分注意すること。できるだけベースボール型経験者が務めることが望ましい。
  • 3

    ストライクゾーンは、打者が打撃しようとするときの肩から膝頭の低部とする。

    [留意事項]

    1. ストライクゾーンは、本塁プレートの上方空間にある。したがって、球審は、打者の立つ位置に関係なく、正しく裁定しなければならない。

ルール6:攻撃

  • 1

    死球(デッドボール)はなしとする。

  • 2

    四球(フォアボール)、三振はありとする。

    [留意事項]

    1. 四球・三振については、児童・生徒の実態に応じて工夫することが望ましい。
  • 3

    打者が、バントした場合にはアウトとする。

    [留意事項]

    1. 児童・生徒の実態や興味を考慮して、バントを認めてもよい。

ルール7:走塁

  • 1

    走者は、打者が打った後、離塁することができる。

  • 2

    走者の盗塁は禁止とする。

  • 3

    走者のスライディングは禁止とする。

  • 4

    野手の悪送球については1個の安全進塁権が与えられる。競技場境界線(ボールデッドライン)を越えた場合には、塁上の走者には、越えた時点で占有していた塁ベースを基準にして1個の安全進塁権を与える。

ルール8:守備

  • 1

    守備者は、投手(ピッチャー)、捕手(キャッチャー)、一塁手(ファーストベースマン)、二塁手(セカンドベースマン)、三塁手(サードベースマン)、遊撃手(ショートストップ)、左翼手(レフトフィールダー)、左中堅手(レフトセンターフィールダー)・右中堅手(ライトセンターフィールダー)・右翼手(ライトフィールダー)の10名とする。

  • 2

    捕手以外のプレイヤーはフェア地域のどこを守ってもよい。

ルール9:審判員

  • 1

    原則として、審判員は、球審1名・塁審1名とする。

    [留意事項]

    1. 各塁に塁審を置いてもよい。
    2. 審判員は1名でもよい。その場合、ルールに精通した先生、またはベースボール型経験者が望ましい。
  • 2

    球審は、本塁・三塁の責任審判員とする。球審は、右打者の場合は捕手の右側に立ち、左打者の場合は左側に立ってストライク・ボールを裁定する。

    [留意事項]

    1. 球審は、捕手と接触することがないように左右に立ち、ストライクゾーンの高低をしっかり裁定する。また、コースについては、ボールの落下点によって裁定する。
  • 3

    塁審1名は、一・二塁の責任審判員とする。

  • 審判員が特に留意すること

    1. 審判員は、競技場境界線(ボールデッドライン)内に、グラブ・ボール・バット等が放置されていたり、人がいる状態では、プレイさせてはならない。
    2. 審判員は、競技場またはその周辺にいる人々が、ボールから目を離さないように絶えず注意し、危険防止を徹底する。いわば、安全管理の責任者でもある。
  • 審判員の基本的なジェスチャー

    1. 集合準備・集合:球審は、試合開始に先立ち、両チームをベンチ前に整列させ、「集合準備」「集合!」のコールで、本塁プレートをはさんで整列させる。整列後は、球審の「双方、礼!」「お互いに、礼!」などの合図で、脱帽し、相手チームの選手に、「お願いします」と挨拶する。その後、身体を審判員に向けて一礼することが望ましい。
    2. プレイボール:球審は、試合開始時には、右手を高く挙げて、手の平を前に向けて開き、「プレイボール」とコールする。
    3. プレイ:球審は、「タイム」の後、打者が打席に入った時など、試合を進行させてもよい状態を確認した上でコールする。右打者の場合は、右手を前に伸ばしながら、左打者の場合は、左手を前に伸ばしながら、「プレイ」とコールする。
    4. タイム:球審・塁審は、試合を停止しなければならない時、速やかに両手を開いて高く上げ、「タイム」とコールする。この「タイム」のコールは、球審・塁審の連動動作である。上げた手を下ろすときは両者が一緒に下ろす。
    5. ストライク:球審は、ボールが落下した時点で、右手を頭上に上げて、「ストライク」とコールし、腕を90度に曲げる。なお、球審は、捕手の横でストライクゾーンの高低を確認し、ボールの落下地点で左右のコースを確認することが望ましい。
    6. ボール:球審は、構えの姿勢をくずさずに「ボール」とコールする。
    7. ボールカウントの表示:球審は、両手を頭上に上げて、左手で「ボール」、右手で「ストライク」の数を示す。
    8. ファウル(ボール):球審・塁審は、ボールとファウルライン(ライン・ラインの上方空間はフェア地域)の位置関係で素早く判定する。ボールをよく見続けて、両手を開いて高く上げ、「ファウルボール」とコールする。なお、「ファウルボール」は、野手がボールに触れた瞬間またはボールが止まった時点で、素早くコールすること。
    9. フェア:球審・塁審は、フェアボールかファウルボールかきわどい時、腕をフェア地域に真横に伸ばしながら、「フェア」とコールする。
    10. アウト:球審・塁審は、左手は身体の前で軽く握り、右手を頭上に上げて、腕を90度に曲げながら、「アウト」とコールする。
    11. セーフ:球審・塁審は、両手を水平に伸ばしながら、「セーフ」とコールする。なお、アウト・セーフの裁定で大切なことは、その当該プレイを、(1)見やすいところまで素早く動く、(2)安定した姿勢で止まる、(3)プレイを見続けたままでしっかりコールする、ことである。
    12. 試合終了(ゲームセット):両チーム整列の後、右手を高く上げて、「ゲーム」とコールする。試合開始時の挨拶と同様に行う。

ルール10:記録員

  • 1

    原則として、記録員は、攻撃側の選手が交代しながら務めるものとする。

  • 2

    記録の方法は、簡便で楽しい記録方法を工夫することが望ましい。

PageTop