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医事委員会 医事委員コラム

コラム第1回 「熱中症が疑われる時の身体冷却の方法について」

 熱中症が疑われる時の救急処置として、水分・塩分摂取と並んで重要なのが身体冷却です。最も重症の熱射病では、高体温の時間が長くなるほど救命率が低下することがわかっています。
 熱中症の身体冷却の方法としては、体に水をかけて団扇や扇風機で風を送って水分が蒸発するときの気化熱を利用して冷やしたり、頸部(首)、腋下部(わきの下)、鼠径部(足の付け根)などにアイスパックを当てて冷却することがよく知られています。こうした方法も一定の冷却効果はありますが、皮膚の温度だけが下がって、深部体温(内臓など身体の中の温度)はなかなか低下せず、冷却効果は高くないことが近年明らかになってきました。
 図1は、身体冷却法と体温低下率の関係を示したものです。「身体を濡らして送風」や「アイスパックを当てる」よりも、「氷水浴(冷水浴)」(図2)や「水道水散布」(図3)の方が体温低下率は大きく、より短い時間で体温を低下させることができます。日本救急医学会 1)も、熱射病ではできるだけ早く深部体温を38℃台まで下げることが後遺症を生じないために重要であるとしています。 最近では、ビニール製の持ち運びのできるアイスバスも販売されています。夏季のソフトボールの練習や試合の際には、アイスバスと氷を準備することをお勧めします。

図1

図1 各種身体冷却法とその体温低下率 2)
30分以内に42℃から39℃以下まで体温を下げるためには、0.10℃/分以上の体温低下率が必要である。0.20℃/分の体温低下率の場合は、15分で39℃以下までの体温低下が可能である。

図2

図2 氷水浴(冷水浴) 3)
氷を浮かべたアイスバスに首から下を浸ける

図3

図3 水道水散布 3)
水道水をかける(できれば扇風機を併用)

参考資料
1) 日本救急医学会: 熱中症診療ガイドライン, 2015.
2) 松本孝朗: スポーツにおける熱中症と現場での救急処置. 臨床スポーツ医学35, 710-717, 2018.
3) 日本スポーツ協会: スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック(第5版), 2019.

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